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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年5月14日(火)9時30分~9時54分)

【閣議案件等】

本日の閣議の後、東チモールでのPKO活動のビデオを見たものですから、ちょっと遅れましたのですが、閣議の方は平沼経済産業大臣の海外出張につき大木環境大臣が臨時代理に任命されました。それから、財務大臣の方からADB、ASEAN+3の会合の出張報告がありました。文部科学大臣からは子供サミットの話がありました。

閣僚懇に移りまして、まあちょっとADBの報告に際して、ODAの予算削減の話がありましたので、外務大臣から削減しないようにという逆陳情がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

先週の日本経済新聞社の報道について伺いますけれども、特別検査について、そのプロセスの中で検査局と監督局が協議をして、149社のうちの50社に破綻懸念があるというふうに絞り込んだというような報道がありましたけれども、その事実関係はいかがでしょうか。

答)

一々報道についてコメントするのは適当ではないかとも思いますが、今ご指摘の個所は私もたまたま読みましたが、そういう事実として記憶に残っていることは全くないということでございます。

問)

先週末、千葉県の木更津市で日米官民対話というものが開かれましたけれども、不良債権の問題とか企業再建の問題というのは一つの重要なテーマになったと思います。その中身はともかく、この官民対話のメンバーというのは外務省の人選によるものだと思うのですが、野村證券の副社長が金融界からは出ていらっしゃるのですけれども、銀行界からは参加者がいません。メンバーを見ますと、必ずしも銀行界から人数制限の関係で入る余地がなかったというふうにはちょっと考え難いのですけれども、こういう場に当事者がいないということは、その対話の実を上げる上でも必ずしも好ましいことではないと思うのですけれども、大臣はどういうふうにお考えになりますか。

答)

私もややそれと似た様な感じを持ちましたね。どういう基準で選んだのだろうという感じと、それからどこが選んでいるのだろうというようなことについて、やや訝しい気持ちを持ちました。皆さんの方も全く民間の発意でやっている会合であれば、そこまで関心をお持ちになるということもないのでしょうけれども、まあお聞きするところ、あれは総理のイニシアチブの下での会合ということなので、テーマにも拠るのでしょうけれども、テーマとしてそういうことが想定されるのであれば、やはりそれに相応しい人が選ばれなくてはならないのではないかという気が私自身もいたしました。

ただ、何と言うか、人選の手続き等を私は全く知らなかったものですから、これ以上のコメントは申し上げません。

問)

最近と言うか、ここ2~3年の銀行の皆さんのビヘイビアというのを拝見していますと、公的資本注入を受けたところは出来るだけ、そういうあまり目立った事はしないと言うのか、無駄なお金のかかる活動はしないという事だと思うのですけれども、今回そういうバンカーが排除されたのか、あるいは自ら出なかったのかはよく分かりませんが、むしろこういう場には積極的に出て行って、現在の取組みですとか不良債権問題の手触りですとか、そういう物を語るということは割と大事なことなのではないかと、この官民対話に限らずですね。

中でも東京三菱銀行の方はいろいろこういう催し物に出て来ることは多いと思うのですけれども、資本注入を受けた銀行というのは、まあ遠慮があるのかないのか、出て来ないと。だけれども公的資金を受け入れているからこそ、何かそれに伴う制約ですとかコストですとか語れる物もあると思うので、むしろ積極的に少し前に出て行く時期なのではないかなと思うのですが、大臣は銀行の方と接触されて、そういうお話などをされたことはありませんでしょうか。

答)

それは、そういう外部へのエクスポージャーというものについて話をしたことはないのですが、まあ一般論として、やはりIRと言うかPRと言うか、そういうものは非常に重要だというふうに私自身も思っています。まあ何と言うか、そういう個別行の立場ではなくて全銀協というような立場で、全銀協の代表ということで行けば、そこのところの立場を離れていろいろ、しかし実際はそれぞれの立場があるわけですから、それで感じていることを直接に話が出来るということになるはずですから、従って私も今言ったようなことが必要なのではないかと。非常にIR、それからPRの必要性というものは非常に大きいということを私自身も感じていまして、まあこれからちょっとどういう人選だったのか、まあこれだけではないのでしょうけれども、全銀協という立場で出れば、そんなあまり個別銀行の政府側との立場についていろいろ、そう慮る必要もないでしょうから、むしろやった方が良いのではないかという気がいたしますね。同感です。

問)

日本の国債の格付けの問題についてちょっと伺いたいのですけれでも、ムーディーズが2月13日に「引き下げの方向で3ヶ月以内に検討する」と言ってから、丁度今日辺りがその日なのでいろいろ市場では思惑も出ているのですけれども、「シングルA」格への引き下げがあった場合に、銀行に対するインパクト、マーケットを通じてどういうインパクトがあるのか、その辺の見通しについてちょっと教えていただけないでしょうか。

答)

見通しというより、私はちょっと心配ですよね。そういうようにソブリンの格付けが下がった場合、そのソブリン下でのいろいろな各機関の、企業の信用がスライドして影響を受けるというようなこともあるようですから、そういう意味では、まず国債のソブリンについて的確な格付けをしてもらうということも、その国の企業の格付けを適切にしてもらうために本当に必須の条件だというように思っていますから、従ってここはしっかり見てもらいたいというように思っています。

問)

財務省が出した意見書についてはどういうふうなご所見でしょうか。

答)

まあ何と言うか、私の感覚から言えば、ああいう物を出さないで済めば一番ベストだと思うのですね。思うのですけれども、もうここまで来たらやむにやまれず仰ったのだろうというように思って、それはそれなりに私は理解をしているわけです。そういうことです。

問)

環境省が今、国会に提出している土壌汚染対策法案が間もなく成立する見通しだと思うのですが、その法律については土地の所有者に対して厳しいものになっていまして、一部では金融機関が根抵当権を設定している場合に、土地の所有者になった時に、浄化基準とかが課せられないという除外規定がその法案に書かれていないのですけれども、それは金融機関にかなりの負担になるというふうに思われまして、土地の価値が下がって土地の流動化の妨げになったり、不良債権処理問題が進まなくなるのではないかという声も出ているのですけれども、それについて大臣はどのようなご認識でしょうか。

答)

そこまで正直言って考えたことはないですけれども、ただ、今ご質問を受けながら私が感じたことは、そういうことの負担を負っているような土地を、一般論として頭に想定すると、そういうものが銀行が取っている担保の非常に大きな部分を占めるということでもないのではないかと。もちろん工場跡地とか、そういうものを取っている場合には確かに影響があるのでしょうけれども、どうでしょうね。まあそんなに大きな影響があると、今は特段思っていませんね、正直言って。

問)

では、今まで環境省の方とは全くそういう話はされていないのですか。

答)

成立すると言っている時期だからねえ。それは合議でも来た時に銀行の方から申し出でもあれば、「いや、これは非常に困った事になる懸念があるのですよ」ということでもあれば気が付いたかもしれませんけれども、まあ土壌汚染と金融行政とがどのくらい関係があるのか、今も大変着眼点が鋭いというふうに敬意を持ってみましたけれども。

なかなか何と言うか、さればと言って、これは所有者負担でしょ。だから抵当権を実行して、とりあえずちょっとそこのところは所有権が移動するというのですか、そういった時には今度転売する時におそらく所有者としての義務を負うということなのかもしれませんけれどもね。

まあなかなか土壌汚染の法律が回って来た時にそれを考えてやらなかったかもしれないね。まあちょっと注意を喚起して、銀行等にこれからよく心してどうするのか、何らかの機会に注意喚起をしておく必要があるかもしれませんね。

問)

あおぞら銀行の件なのですけれども、昨日の長官会見でも質問が出たのですが、ソフトバンクがあおぞら銀行の株を売却表明したことで国内外のファンドが数社名乗りを上げているという話が出ておりますが、大臣としてはこの件をどのようなご認識で御覧になられていますでしょうか。

答)

長官が答えた通りなのですけれども、まだ私共の方にそうした申し出というか、そういうようなことが伝えられているということはないんですね。ただ、マスコミの皆さん、これはもう国内外を問わず、そういうことを前提にしたいろんな御質問をされるので、そういうことを知っているわけですけれども、我々としては、私はそういう時にも言うのですけれども、競争的な関係にあって、「このグループに決めましょう」という判断というのは、永久ということではない、あるいは完全にその株を上場するという時までということでもないのかもしれないけれども、やはりある程度の年限の間は、その株主構成というものが基本的に大きな変動をしないという前提でやっている、それからそういうことを約定の前文でしたか、そういうところにもきちっと書いているわけですね、当然のことですけれども。

そうだとすると、まず第一にそういう株主構成を構造的に変化させるようなことに至るのかどうか。仮に構造的な変化を、あの時は主株主というのは3社というようにこちらは受け取っていたわけですが、その中の1社が変わってしまうというような大きな変動なのかどうか。変動である場合は、やはり、あと残る2社がどう考えるかということが、この変動というか、今言った落札の前提になったこととの関係から言うと、非常に重要になってくるだろうと、私はそういうように思っているんですね。

従ってそういうことを申し上げているわけですが、いずれにせよ、まだ我々のところで何か公式の話というふうになっているわけではないということです。

問)

それに関連しまして、ソフトバンクが売却する理由として、金融庁の検査を受けたくないからではないかという見方もあるのですが。

答)

主要株主としての。

問)

ええ。その辺は大臣はいかがでしょうか。

答)

それはちょっと私はあれですね、そんな今言ったような前提に立っての話ですから、そこまでちょっとお答えするのはどうかと、こういうように思います。

問)

先程仰った、「ある程度の年限」というのは具体的にはどの程度の期間を指していらっしゃるのでしょうか。

答)

まあね、それは上場の時期との関係にもよるのでしょうけれども、まあ1~2年というわけにはいかないのではないですか。

問)

ペイオフの解禁を挟んで、この3月と4月に都市銀行の預金の前年同月の伸びが10%前後伸びて、他の業態はそれよりもかなり低いと、プラスマイナスというようなところなのですけれども、この動きはどう見ていますか。

答)

そうね、預金が増える時に、やはり都市銀行が選択されている、あるいは流動性預金が選択されているというのは、正確な知識に基づいた行動であれば、我々それは「健全な動きだ」というふうに言ってきたことでありまして、だからと言って、「それが健全な動きだ」と私が今この立場で言うということも適切でないのですけれども、それぞれ預金者がお考えになって行動されているのだろうと、こういうように思います。

ただ、何と言うか、どこかの機関からどこかの機関へ移動が起こっているというふうには見ていません。預金を増やす時に、どこを選択するかということの動きだろうというように思っております。

問)

先程のあおぞら銀行の件なのですけれども、1~2年というわけにはいかないだろうと、ある程度の年限は大事だということですが、今後ソフトバンクが株を放出する時に、当局としての承認を出せる立場にあると思うのですけれども、その相手を検討する際に、1~2年もつかとかそういったことは、その場で重要なファクターとして入ってくるのでしょうか。

答)

まあこれはあの当時、例えば東証の再上場基準というのは3年だったですね、最低でもね。それを今や東証は規則を変えて、もっと短くても再上場は良いですよというようなものになっているようですけれども、そういうことからすると、やはり3年というのが‥‥では3年なら耳を揃えて3年頑張ればいいんだなという、そういうものではないですけれどね、何と言うか一つの目処なのかなあというように思いまして、やはりそれはそうでしょうね。何をもって我々がこれを落札者としているかということですね。そういう時にも最低でも3年くらいもって再上場するんだろうと。

ですから少なくともその期間は持ってくれるだろうという想定で、我々はやはり考えているということですね。

問)

いわゆるプライベート・エクイティ・ファンドというのがありますが、懸念を示されるというか、3年もつかどうかというのはいかがでしょうか。

答)

いや、今までもプライベート・エクイティ・ファンドも「これは中長期的投資です」と、はっきり言ってますよ、みんな。その意志は、気持ち・意向というものは、きちっと明言して参加してきますからね。

(以上)

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