柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年5月24日(金)9時30分~9時45分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですが、私の方から、昨年8月1日以降、本年3月31日までの間の金融再生法に基づく「破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告」の国会への報告について閣議決定をお願いいたしました。二番目は環境白書が出ました。三番目は13年末現在の対外貸借、それから13年中の国際収支の報告が行われました。

以上が閣議で、その後閣僚懇に移りまして、ワールドカップの関係について総理を含む10名の閣僚から各所掌分野の対処状況等につきましてご報告がありました。最後の総理の発言は、まず第一に安全。第二に、特に日韓共催という最初の二国の共催による催しであるということ、これを背景に「やって良かった」ということになるようにと。そのために、「各省庁が連携、協力をして」と、こういうご訓示もいただきました。以上です。

【質疑応答】

問)

銀行等保有株式取得機構の改正案について与党3党で合意したのですけれども、銀行保有以外の一般企業が保有する株式も買い取るということになったのですが、これについて大臣はどうお考えでしょうか。若干、市場価格形成に影響を与えるのではないかという見方もありますけれども、その点をお願いします。

答)

これは、最初に銀行の保有株について保有制限を課して、ある種のセーフティネットと言うか、マーケットに対してのセーフティネットでこの取得機構がスタートしたわけですけれども、その根底には当然持ち合いの解消ということがありまして、銀行がそれだけの保有株を持ってしまったのも持ち合いということが背景だったし、それからそれを放出させると、売却させるということも、これは持ち合いの解消ということの意味を持つわけで、そういうところに着目して、であるならば片方の事業会社の側が持っている銀行株について、これを放出させることについても同じ様な趣旨から手当てをしたらどうかと、こういうのが与党側の考えだというふうに聞いております。まあ、一理あるということが私の評価でございます。

問)

今日、決算発表の集中日で、銀行も含めて200数十社になっているのですけれども、市場活性化という観点からこの集中の仕方は相変わらず変わっていないのですが、それと一部明日の土曜日に発表するところも出て来ているのですけれども、そういう中でも、まだ集中がこれだけ際立っているという点についてどうお考えかお願いします。

答)

これは何と申しますか、最近は一時のようにもの凄い、なるべく株主があまり参加し易くないようにというような意味合いでの集中というものがあったということが言われてまして、まあ私も当時は部外者でしたけれども、そんなものかなというような感じも持ったこともあります。

しかし最近は、むしろIRということに非常に熱心で、各社ともいろいろそこの場にいない株主に対してはスクリーンで同時に分かるようにするとか、非常に時間も十分かけて議案を審議するとかというようなことで、株主を疎かにするというような感じは全体として私は少ないと、少ないと言うかなくなっているというようにも思うのですが。

さて決算発表について、多分、市場が開いている時にやるということについてはいろんなことがあるのでしょう。そうなるとあまり市場にショックみたいなものを与えないということになると、自ずと曜日も限られて来るというようなことに多分なって、そうするともう時期的に言うと、こういうことになるというようなことなのかなあと、今お尋ねを受けてそんな感じがしていますが、株主に対する情報の開示を疎かにするというようなことを、もしやろうとすれば、これはもう本当に私は株主の方からしっぺ返しを食うと、まさかそんな愚かなことは考えているわけではないだろうと、こういうふうに思っています。

問)

みずほフィナンシャルグループの検査なのですけれども、半月程経っていると思うのですけれども、現時点で中間的な報告を受けていることがありましたらお願いします。

答)

正直言って進行中で私は受けておりません。私の方からは、「ちょっと中間的に報告が欲しいかな」というような気持ちがありますが、まあディスターブするというのもどうかという感じもあって、今はまだ控えています。いずれにせよ近々、中間的な報告はあるのではないかと思いますが、まあ私が受けている感じを言うと、念を入れて調査をしていると、こういうことのようだということで、私はそれはそれで良いことだと思って受け止めています。

問)

今日、大手行の決算が正式に出て来ますけれども、当局として昨年度を振り返ってどういう年であったか。そして今年度はどういうふうな年と展望しているかと、そういう見通しを教えてください。

答)

昨年度はやはり大きな問題としては特別検査を行ったということが一番の大きな問題ですね。そういうことに尽きます。その他もRCCの機能を強化したとか、景況が悪かったとかいろいろ言い出すとたくさんありますが、基本的には大手行について特別検査を行ったと、こういうことで、その影響は直接、間接・・・間接というのは、言わば横串的なということですけれども、直接に検査対象となったところ、それからその影響を受けたところ等から言うと、かなりの大きな影響が出るというふうに見て良いのではないかと、こういうように思っています。

そういうことですので、今年度と言うか14年度については、そういうランクダウンした特別検査の対象債権、これの速やかなるオフバランス化をやってもらいたいということです。そういうことで、準備がきちっとしていれば、それは処理損というような形で財務に与える影響はもう既に済んだという形で進むと思いますので、そういう意味で私は、ある意味で13年度末に相当の不良債権の処理が進んで、14年度は出来るだけ早くに正常化に向けての姿が見える年になって欲しいと、またそうすべきだと、こういうように思っています。

問)

最近の株価なのですが、平均株価も一時1万2,000円に乗せたりしているのですけれども、最近の市場をどうご覧になっているかということと、あと銀行経営との関連について最近はどう分析されているかをちょっとお聞かせ願いますか。

答)

そうですね、基本的に日本の経済の底打ち感というか、底入れ感というものが影響しているというように見ております。あとテクニカルなことはいろいろ私も市場の声として聞いておりますけれども、そういうことよりも日本経済の底入れということ、それがいずれ企業業績に跳ね返って来るだろうという、そういう考え方が基調にあるのだろうと、こういうふうに思っておりまして、その期待に沿うような経済運営というものをしなければいけないというふうに改めて思っているところです。

問)

公的資金を注入した大手行の中小企業向けの貸出が目標に達しないところも相当出て来るのではないかと言われていますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

そうですね、これは昨日も国会で議論をしたという記憶があるのですけれども、あるいは他のところだったかもしれませんが、要は何と言うか、確かに資金繰りというようなものについて苦しいというものが増えているのですが、それ以上に資金需要が少ないと、弱いということの方が、DIなんかも数字が大幅なのですよね。そういうことからすると、やはり現在の景況でかなり中小企業は厳しい経営環境の下に置かれていて、資金需要もかなり弱まっているということだろうと思います。

それが反映するということだとすると、こういうように自由企業体制でやっているということからすると、当然その影響ということになろうというふうに思います。

ただ一方、非常に最近になって特に中小企業貸出に対して、銀行にとっても収益機会と捉えようというようなことで、かなり工夫した・・・例えば無担保とか無保証で出そうとか、あるいは審査を非常に迅速にやるためにいろいろな、他が蓄積してきた財務のデータを使ってどんどん結論を早く出して行こうとかというような動きもありますので、早くにそういう努力の成果が出て来ることを期待しているということです。

(以上)

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