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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年5月28日(火)9時33分~9時57分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、「平成13年度首都圏整備に関する年次報告」が閣議決定になりました。それから、尾身大臣の北方領土(国後島)訪問の報告がございました。

大臣発言は以上で閣議は終わりまして、閣僚懇に移りまして、炭疽菌と称するものが厚生労働大臣のところに送られて来ましたと、本物ではないようだという報告がありました。

それから、北方領土訪問の報告について他の閣僚から少しレスポンスがありました。まあ、そこに行って日本の援助、日本の経済力を示しておくことは大事だという話がありました。

それから、現時点での国会提出法案及び条約の成立の状況について報告がありました。

それからまあこれは「雑件だが」という前置きで、閣僚が寄付金等をしているのですけれども、それが何らアピールしていないのではないかと、これは使途の問題、使途と言うか使い方の方にも問題があるのではないか、一工夫してもらいたいというお話がありました。以上です。

【質疑応答】

問)

大臣の方からご発言はあったのですか。

答)

いや僕は寄付金のところで、寄付金というのは国税では勿論それは所得から控除されるわけですけれども、地方税では寄付金をいくらしても地方税の課税所得からは引かれないのですね。ですから、貰っていない、稼得していないものなのに税金がかかるのですね。だからそれなら閣僚の給与を低くした方が良いのではないかと言ったのですよ。すっきりしていてその方が良いと。寄付なんかしていたら地方税がかかってしまうのだからということで。しかし、やはり使途が問題でしょうという話に落ち着きましたね。

問)

先日、主要行の2002年3月期決算が発表になりまして、不良債権の残高が27兆円の規模に膨らみまして、減らそうという努力をしている割には、蓋を開けてみたら大幅に増加したということです。これに対する大臣の受け止め方をまずお聞きしたいということと、今後については各行は業務純益の範囲内で不良債権の処理が収まるという見通しを立てていますが、この見通しに対する大臣のご認識をお聞きしたいのですが。

答)

まあ残高は、私どもはプロジェクションをしている当時から、今年というかこの平成14年3月末は増えるだろうということを言っていたのですね、プロジェクションしていたのですね。それはどうして増えるかというと、要管理先債権の明確化というか実質厳格化ですけれども、これが全行に広がりますからね、それで増えるというふうに思っていました。

ところがそれに加えて、今回特別検査をやって、それが破綻懸念先以下にかなり落ちるものがありましたので、それがダブルにかかってこういうことになったということで、勿論それ以外にも実体経済の方の不振というものが影響していることは確実だと思うのですが、特殊要因として今、先に言った2点があって、そういう要因もあるので、原因というか理由は非常に明確だというふうに思っています。

ちょっと分析してみるとお分かりのように、破綻懸念先も増えていますけれども、増え方というか、例えば、最近で一番ピークだったのは勿論言うまでもなく99年3月末ですけれども、その時に21.9兆円というような中での要管理先の金額と、今回の要管理先の金額とはもう倍以上違っていますから、そういう意味で今度の26.8兆円というものの非常に大きな部分が要管理先で占められているということがあります。

これをどうやって処理して行くかですが、破綻懸念先以下のものは、これはもう破綻懸念先であれば非常に分厚い引当が行われているというようなこともありますから、これはルール通りの、実質2年くらいのオフバランス化を進めて行く時にも、そんなに与信費用というかコストはかからないというふうに見て良いと思うのですね。ですから、私はトータル2.5兆円という見込みが正しいかどうかというのは、これはまあちょっといろいろな面で、我々のプロジェクションをやる時には、もうちょっとマクロのアプローチをとりますから、それとの間がどうなるかは良く分かりませんけれども、まあ3.7兆円くらいの業務純益ということからはみ出すということは考えなくて良いのではないかというふうに思います。

従って、経済の状況が現在見込まれている、内閣府でやっている「改革と展望」の示すところであれば、まあ当たらずと言えども遠からず、つまり各行の言っているトータルベースでですね、そういう展望かなと思っています。

問)

金融システムの強化という一環で、銀行に収益の数値的目標を義務付けて、それが達成出来ない場合には経営責任を問うなどのペナルティを課すというような仕組みを導入すべきだという考えが経済閣僚の中にもあるようなのですが、こうした考えについて大臣のお考えをお聞かせ下さい。

答)

まあ我々としては不良債権問題、あるいは金融システム安定化のための施策というのは、我々なりで考えて、きちっと提示しているというふうに考えていますけれども、そういう声が強いということも、強いというかそういう考え方があるというようなことも承知はしているわけですね。

ただどうなんでしょうか、民間企業で利益の目標を作らせるというのは。それこそが、やはり民間企業の民間企業たる所以ではないでしょうかね。まあ、そのためにマーケットの力というのが働いているのではないかと思いますね。

問)

市場原理に任せるべきだというようなことですか。

答)

そうですね。今のところ・・・数値目標ねぇ。いやそれぞれに何と言うか、企業戦略というものがあるわけですね。非常に今のところはちょっと低空飛行だけれども、それをしばらく行ってグッと花開かせるのだというような、そういうことを考えることもあるし、当面とにかく何らかの理由で利益を上げて行くのだという、そういうことがあり得るのですよね。そういうものにどういう影響があるのかなとも思ったりしますね。

問)

先日の会見で「『みずほ』に対する検査の中間報告を求めたい」と仰っていましたが。

答)

まだないのですよ。

問)

通常の検査だと。

答)

だからまだ立ち入りが、やはり何と言うか、佳境に入っているというか。全くの推測ですよ、全然インプリケーションもサジェスションもないのですけれども、まあ一所懸命やっているから私としてはそっちの方が大事だと思っていますからね。今はまだ中間報告はない段階です。

問)

先週金曜日の大手銀行の決算で、三菱東京フィナンシャルグループの三木社長が「貸出の量的拡大をやって行きたい」と、「貸し興し」という表現をされていたのですけれども、そういう大手銀行の頭取、社長がそういうことを仰るのは非常に久し振りな気がしたのですけれども、この辺りはどのように受け止めていらっしゃるのですか。

答)

非常に良いと思いますね。つまり、積極的に貸出先を掘り興して行こうという感じの姿勢というのは、非常に良いと思いますよ。是非頑張って成果を上げてもらいたいと思いますね。

問)

貸し興しをするという、銀行がそういう姿勢を見せている一方で、不良債権処理の大口の問題企業の方が片付いた、目処が付いたというふうに見ると、次は中小企業の方の不良債権処理にかかるというふうにも見られていると思うのですが、そういった中で金融庁が出している施策の中で、検査マニュアルの中小企業融資編の別冊を作るとかという動きがあるのですけれども、中小企業の方の健全だけれども資金繰りが苦しかったところを助けて行くという狙いでしょうか。つまり中小企業の方で資金繰りが苦しいという声が相変わらずあるのですけれども、今後、不良債権処理も加速する、でも一方「貸し出しますよ」という銀行の姿勢もあるという中で、その展望、見通しというのはどういうふうに見られているのですか。

答)

貸し興しと言っても、不良な貸出先に追っかけるように貸して行こうということではないのですよね。むしろ、伸びる企業に対して、何と言うかいろんな事業展開というものをいろいろ提案というかそういうことをお互いに考えながら、それだったら融資を付けますよというような格好がおそらく貸し興しということだと思うのですよね。ですから、決して貸し興しは今非常に困っている企業に対して緩やかな温情主義の貸出をするということを言っているのではないだろうと、こう思いますね。

まあそことの間は整理がつくわけですが、問題は不良債権の処理を進めるということと、検査マニュアルでああいうふうに、いわゆる実態の把握の時に配慮すべき事項を明確にするということとが、何かこう矛盾が、方向性が逆になっているのではないかということは、感じとして問題意識がちょっと頭にうまく入りませんねという話は良く分かりますね。

これはですから、私は先般の4月12日に発表をする時に話しましたですね。一部、二部という言い方ですね。一部は不良債権処理を進める方向の、あるいは金融システムをより強くするためのと言うか、そういう前向きな話と。二部のマニュアルの方は、これはむしろ実態把握をより正確にしようということの話で、ちょっと方向が違うだろうと思って、これを一緒に発表すると、一緒のものだとするとあっち向いたりこっち向いたりで、良く分からなくなるというおそれも感じましたので、それを引き離して二部にして発表したということでしたね。だけれども、本当にそれでは逆方向かといえばそれはそうではないですね。そうではなくて、やはり検査マニュアルにおける別冊というのは、今までも言って来た事が良く分からないで、本当に第一線にまで徹底しているかということを、そういう問題提起があったので、それはきっちりやりますということでして、それはそれできちっと債務者区分のところですね。処理というのはその先の事ですから、そこは良く考えていただければ矛盾はないと、それぞれにしっかりやれることだというふうに思っています。

問)

節目なので不良債権の問題についてお伺いしたいのですが、残高が4割増えた段階で、不良債権の問題は山を越したとかというような、今の現状認識をお聞かせください。

答)

山を越したというか、要するに不良債権の処理損で言うと、97年度末は、10.1兆円、98年度末の時には10.4兆円というように一番高かったですね。それで、4.5兆円、4.3兆円と、こういうふうに限りなく業務純益の範囲内に接近してきたわけですけれども、それが7.7兆円ですか、今度上がったわけですね。ですから、その次はもう、今、銀行が言っているところでは、あと2.5兆円というところに推移していくと、こういう山というか、こういう形になったと、こういうことです。これをどういうふうに考えるべきかということですね。

私は、やはり10.1兆円、10.4兆円というところは、非常な引当不足が起こっていたということだろうと思います、バブル経済の時のね。それがまあ一段落したというふうに思っていたわけですけれども、その後まあ、それなりにいろいろとまた処理もしてきたわけですが、ここへ来まして特定の業種についていろいろ環境の変化がより厳しくなるということの中で、もう一回…特にそれが破綻をするということなものですから、リアルタイム方式にそこのところの検査をし直したんですね。その影響もあるということは確かですね。

そういうことで7.7兆円になったということですので、ではその後は何も出て来ないかと言われれば、それはやはりなかなか将来のことは予測がつかないけれども、まあしかし、今、内閣府の「改革と展望」が言うような経済全体の軌道を走るということであれば、私はまあ一山(ひとやま)、二山(ふたやま)を越えたと、三山(みやま)越えるということはないのではないかと思っています。

問)

先週金曜日の閣議後会見でもお伺いしたのですが、大臣の私的懇話会におけるご発言について改めてお伺いしたいのですけれども、日本の直接金融市場が今一つだというコメントの中で、そのお答えの中には、チャネル…業態によってお客さんが固定化しているのではないかというご発言があったのですけれども、これは例えば銀行の窓口で将来株式の売買が出来るようになるとか、そういうものが買えるようになるとかということも視野に入れていらっしゃるというふうに理解してよろしいのでしょうか。

答)

いや、だから勿論、証券会社ももう少し脱皮をして、今、銀行に行っているような方を自分の顧客にするというような、そういう努力も必要だろうと思いますね。それから、小口かもしれないけれども、今、郵便局に行っているような人達も自分のお客さんにしていくというような努力が必要だというふうにも思います。

ただ、現実問題として私がその時に思って念頭にあったことというのは、やはり銀行の投信窓販というのは非常に累積型で伸びているのではないかということですね。あるいはドイツで、随分株式保有者の層が、裾野が広がったけれども、これは郵便局での株の売り出しというのが非常に影響しているというふうに、当時の当局からも聞いてることだとですね、やはりいろいろと工夫していかなければならないし、またその前に証券会社の努力というか脱皮というか、そういうことも必要なのではないかと、そういうように思ったということです。

問)

事務方の方でも検討するようにということは…。

答)

どういうことが考えられるんだと。

問)

そういう指示はされたということですか。

答)

予て(指示)しているんですけどね。

問)

予てされているんですか。

答)

ええ。

(以上)

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