柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年5月31日(金)9時31分~9時55分)

【閣議案件等】

今朝の閣議ですけれども、ITERの会議が行われることを控えまして、我が国でも候補地の選定をして政府間協議に臨むと、こういうことになりました。候補地はご案内のように青森県六ヶ所村です。

それと、13年度の観光白書が発表されたということです。それから3番目に、労働力調査とCPIが出ました。4月の完全失業率は5.2%で対前月比プラスマイナス0です。それから同じく4月の有効求人倍率は0.52倍ということで、これは前月より0.01ポイントプラスになりました。5月の東京都区部のCPIはプラス0.2%とプラスになっているのですが、それでも対前年同月比ではマイナス1.2%だということでした。

5月31日に世界禁煙デーというものがありますということでした。それから環境の日が6月5日にあって、これが6月中も環境の日になりますということでした。

それから最後に総理から各外国出張閣僚についての代理が発表になりました。以上です。

閣僚懇は別段ございません。閣僚懇は大臣の給与の寄付の問題がちょっと話題になりました程度です。

【質疑応答】

問)

今日は大臣からのご発言は。

答)

ありません。いや、終わってから「ETFを買って下さい」とお願いしておきましたけど。まあ正式発言に登録されていませんけれども。

問)

日銀の山一証券への特融で、1,464億円の焦げ付きになる見込みということなのですが、日銀の方は国への穴埋めを求めているというようなこともありまして、それに対する大臣のお考えと、ペイオフ凍結解除で日銀特融に対する柔軟性というか、そこら辺の議論もあると思いますので、それに対してどういう影響を与えるかお聞かせください。

答)

これは、日銀が決算を発表したので、山一特融も当然貸出金の資産として計上されているので、どう処理されているかということについてのご説明をなさったものというふうに思っています。まだ山一の整理がついていないので確定は出来ないのだろうと思いますが、引当金を積んでいるのでしょうか、そういうような話かと思います。ですから、その確定をした時にはどうするかということについて、当然決着をしなければいけないということでありますが、これについては「宮沢答弁」というのが基礎になって検討が進められるのだろうと。まあ宮沢答弁は「何か政府もやらなくてはいけないだろう」というようなニュアンスであったと記憶しています。

それからペイオフ下の日銀特融についてどう考えるかということでございますが、これは当然風評リスクなどの場合は自己資本がちゃんと健全であるけれども、風評のリスクに晒されるということもあり得るので、それについては手当てしますということがこの前の、いつぞやの段階の政府の文書でもこれは明確になっています。そういうことでして、取り敢えずカバー出来る体制にはあるというふうに思います。

問)

本日の一部報道にあるのですが、信託業務について事業会社にも解禁の方向で検討をということなのですが、それについていかがでしょうか。

答)

これは予てから信託業法という片仮名文字のものがありまして、いずれこれはこれから活かしていかなくてはならない法制度だと思いますので、そういう古めかしいものではなくて、やはりそれを本当に使い勝手の良いものにしようということで、まあ中期的な課題という認識は持っていました。

今は信託銀行の業務とかというようなことで、いろいろ整理をつけてやっているわけですけれども、この前も少し広げましたね、ああいうようなことでやって来たのですが、もっとその基本にある信託の制度というものについてきちっとした勉強をして、使えるものにして行こうということをかねがね考えておりまして、近く金融審議会にご検討をお願いするということになるだろうと思いますが、具体的な日程は今決まっているというわけではありません。

問)

その事業会社に対して解禁することについてのメリットというのですか、それはどの辺りをお考えなのでしょうか。

答)

まあ信託を使っての話というのは、いろいろなものがあるのだろうというように思いますね。どういうようなメリットというわけですが、まあメリットがいろいろ考えられるのですよね。つまり、例えば証券化などというような事を一つ考えても、これはSPT(スペシャル・パーパス・トラスト)、要するに特定目的信託というようなものが凄く機能しないと進んでいかないと私なんかは思っていまして、そういうようなものが新しい近代的な法制の下できちっとあるということが良いのは、これは言うまでもない事ではないかと考えているわけです。

問)

ちょっと金融行政から離れて恐縮なのですが、今日、日韓共催ワールドカップの開催日なのですけれども、大臣としてどういうご感想をお持ちかよろしくお願いします。

答)

私はサッカーどころの出身なんですよ。私のこの風体から言うと、およそ皆さん想像しないかもしれませんが。しかし、私と同じくらいの体つきの宮沢さんも「ゴールキーパー以外はどこでもやったことがある」と世界に行って言い放ったくらいですから、あまり体格とは関係ないようですね、ゴールキーパーは小さくては務まりませんけれども。

特に私は静岡県サッカーを盛り上げて来た男がたまたま学校の同級生ということもあって、予てから非常に関心が強いものがありまして、ワールドカップの誘致にも私なりに非常に努力をさせていただいたということで、今日の日を迎えるというのはもう非常に嬉しいです。私の出身の町に大スタジアムが出来まして、まあ日本の代表はそこで試合はしないものですから、私は横浜での試合を見に行きますけれども、大いに盛り上がってくれることを、静岡県の選出代議士としては何よりも望んでいますね。

問)

日本国債の格付けの引下げ問題なのですが、この影響をどのように分析されていますでしょうか、まだ結果等は出ておりませんが。それと、政府の対応として、質問状という形でやっておりますが、日本経団連の奥田会長などは「ちゃんと抗議しろ」というようなご発言もあったようですけれども、政府としてどういうふうに対処すべきとお考えでしょうか、2つお願いします。

答)

これは後ろの方から言いますと、財務省が本気になって、何と言うか根拠がないというか、しっかりした根拠に基づいた格付けでないと到底受け入れられないという観点から質問をしているということは私も承知をしております。財務省が当面所管の役所と、直接関係のある役所ということで、そうした手立てを講じていること、これを私は多としているわけです。

影響は、これはもう非常に影響があるということを私は心配していまして、やはりソブリンの格付けが下がりますと、一般論としてはその国の企業のいろいろな格付けが、格付けはいろいろなものが対象になるのですが、それらがやはりスライドして厳しい状況になるということですので、これはもう本当にかなり心配をしております。

問)

格下げの問題を金融の世界にちょっと引き付けてお考えになっていることがございましたらお願いします。

答)

まあ、考えているというか、まだ現実のものになりませんからね。とにかく一番の傘になっているソブリンの格付けがしっかりされないと困るねという考え方ですね。先程もちょっと言ったのですが、例えばSPT、特定目的信託というようなものも、アメリカの住宅抵当金庫のファニー・メイとか何とかという愛称が付いていますよね。あれなんかも保証があるので、保証をしてくれる保証債務者の信用格付けが、そのSPTが発行する債権の信用格付けになるのですよ。そのくらい関係が深くなるわけですね。我々の方は政府保証債ではないのです。各金融機関の資金調達というのは別に政府保証であるわけないのですが、やはり、その国のシステムの中にいるということで影響を受けるというようなことになっているようですね。何かこれから脱却する方法があるかと言っても、それはなかなか、我々は我々でちゃんと財務内容をしっかりして、それを説明して行くという事に尽きるだろうと、こういうふうに思っています。

問)

所管が財務省なので直接的な物言いは出来ないかもしれませんが、やはりここは財政構造改革というものをしっかりやるべきなのか、あるいは国債の格付けというのはあくまでも債務の償還能力を見てくれというふうに言って行くのか、どちらが良いと思われますか。

答)

私は予てからあれはデフォルトの問題だと思っていますよ。何も国の経済政策を格付けられているわけではなくて、やはり具体的な発行する国債の償還確実性というものの格付けだというように思っています。

そうだとすると、それはやはり勿論国力というか国の経済も、あるいはそれの一つの表れとしての財政の状況というのも必要かもしれませんが、同時にまた、そういう債務に対する心構えというか、借金は返すのだという、そういう心構えも関係があることで、まあ日本はそうしたことについては非常に厳格な国ですからね、私はそういうところも見てもらいたいというように思っています。

問)

大手銀行の決算がまとまったところですが、昨年だったと思いますが、大臣が講演で「大手銀行の自己査定と金融当局の検査の結果の格差が25%程度ある」という御発言をされていると思うんですね。その理由として、検査マニュアルに銀行が不慣れであったというような理由を挙げておられるのですが。

答)

今年度の検査ですか。

問)

つまり、平成13年度の検査についてです。

答)

平成13年度は依然として一巡目のところがありましたね。それが一つ。それからもう一つ、やはり要管理先債権を厳しく見ると、要するに条件変更というものを、変更という意味をですね、成すべき変更をしていなくて、スタンドスティルのものについても変更と見る、条件緩和と見るというような、そういうルールを適用したということは、これは自己査定でも効いているかもしれないけれども、やはり自己査定と検査の間でも効いているのではないかなあというふうに思ってまして、ですから要管理先債権が非常に増高しているということは、その影響だというふうに思っています。

ですから今度は検査との関係だと、一番の基本は一巡目の検査、二番目は主要行については1年に一回フォローアップという体系、それから特別検査、それから特殊要因として、今言った要管理先債権の基準ということで、ここのところ検査について打ち出した施策が全部かぶって、その結果として出ているというふうに理解しています。

問)

そこはどのくらいの格差があったかとか、そういう認識はいかがですか。

答)

格差については、ちょっと私はそういう係数を今、現在ここで把握していませんけれども、自己査定もそういうものだということで、かなりくっついてきたと思いますが、やはりまあ若干は当然あったのではないかと、こういうように思います。それで揃ったということです。これからはそれが基になって出てきます。ちょっと定量的には出てません。

問)

東京で、信用金庫の合併が表面化しているのですけれども、こういう動きに対する評価と、合併を後押しするための施策について金融庁の方で考えていらっしゃるということですけれども、その作業状況についてはいかがでしょうか。

答)

みんな忙しい中ではあるのだけれども、一応、どの程度の熟度のものが出てくるか私もまだ確たる感じを持てませんけれども、来月一杯のところでその促進策というものをまとめてもらいたいと思っているし、まとめてもらえるものだというように思っています。ちょっと中身はまだ申し上げられる状況ではないということです。

問)

RCCの活用なのですけれども、銀行決算の時も今年度の不良債権の方をRCCを活用して売却していきたいという声もあったのですが、ちょっとまだ時価買取が始まったと言っても様子見で、経済合理性に合わせてRCCに売却するか、他に売却するか考えたいと言っているところもあるのですが、何回か出た話で恐縮なのですけれども、もっとRCCの買取を促進するために今の状態で良いのか、それとももっと何か改革を考えていらっしゃるのか、また2次ロスの件というのもどうお考えか教えて頂きたいのですが。

答)

まあ何と言うか、まだ具体的な話では、なかなか難しいというか、そういう面があるという今のお話も私もちらりとは聞いていますね。ちらりとは聞いていますが、基本的にはむしろ時価買取になってくれて、「RCCも結構適正な値段で買ってくれるではないか。だったら自分たちでサービサーを雇ってというよりも、むしろRCCにお願いした方が効率的だ」というようなことで、かなり引き合いとしては出てきているというふうに、むしろ認識しています。

ですから私は時価ということがこれから機能して行けばですね、行けばというか、行くだろうと思うのですが、それ以上何かやらなくてはならんというふうには思っていません。今の制度でこれを縦横に使って、積極的にRCCへの売却を進めてもらいたいと、こういうように思っています。

問)

2次ロスに関しては、やはりそれは出ないようにやっていくべきだというお考えでしょうか。

答)

いや、何と言うか、もちろん買取の時価というのは、それを含んだところで想定されるロスということですが、2次ロスのことも考えて出来るだけやってもらうということ、買い進んでもらうということですね。

ですから、特別、2次ロスについてどう処理するかというようなことは、考えておかなければならない要素ということにはならないというように思います。

(以上)

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