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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年6月14日(金)8時53分~9時09分)

【閣議案件等】

閣議の方ですけれども、高齢社会白書の発表がありました。天皇皇后両陛下のポーランド及びハンガリー訪問の日程が決まりまして、7月6日ご出発、20日ご帰国ということだそうです。首席随員は高村正彦元外務大臣ということです。

塩川財務大臣、武部農水大臣の海外ご出張に伴って、塩川財務大臣の臨時代理は私、武部農水大臣の臨時代理は平沼経済産業大臣という指名がございました。

閣僚懇の方に移りまして、経済財政諮問会議で第二骨太のご論議があったという報告がありました。以上です。

【質疑応答】

問)

今日は大臣からのご発言は。

答)

ございません。

問)

今お話にありました第二骨太なのですけれども、金融の中期ビジョンというのが原案の方に入っているのですが、これについてどのようにお考えかお願いします。

答)

私どもも予て21世紀に入りまして、特に金融ビッグバンを受けてどういう金融システムをこれから目指して行くのかということについて考えておく必要があるということで、皆さんもご承知の通り、私の私的諮問機関の形で蝋山先生を座長とする懇話会を作っていただいて論議をして来たわけです。

これは正直言って、そういう床の間と言うか、お座敷の話でなく、もっと居間の話と言うか、そういう構えでやって来たのですが、こういうように中期ビジョンをやはり正式に考えておくようにというのが今度の方針ということになれば、このままの形ではちょっと求められている物と考えて来た事、考える事がちょっとちぐはぐになるおそれがあるので、同じ言葉なのですけれども、こちらの体制も少し変えて論議をしていただく必要があるかなと、こんなふうに思っていますが、結論はまだ出ていません。

問)

いつ頃までに策定をということになるのでしょうか。

答)

まあ出来るだけ早くということになるのだろうと思います。ただその場合に、今までやって来た粗ごなしの事もそこに無関係ではないですから、活きますから、そういう意味ではそれも活かしてもうちょっとお座敷の話にすると言うか、政府の正式の話にするということが必要なので、まあ何と言うか、もうちょっと補足をする項目があるのかとかですね、そういういろんな正式な話にするに当たっての補正というか、そういうものが必要になって来るということで、そうあまり長い時間は・・・。今までのものが活かせるという点だけはむしろ短くなるという感じで捉えていただいたら良いのではないかと思います。ちょっと具体的な時期はまだ何もスタートしていませんから申し上げるわけにはいかないということです。

問)

次にIMFのリポートで、また邦銀が不安定要素だというような事が指摘されているのですが、これまでも何回かそういう指摘はあったと思うのですけれども、今回またそういう指摘を受けて大臣としてどうお考えかお願いします。

答)

まあIMFはIMFで、今までも度々ここでも申し上げたかと思うのですが、IMFのスタッフの皆さんはやや、マクロエコノミストが多いのですけれども、そういう方々のお話で、まあそう新しい話ではないというように思っているのです。

ですから、いずれアセスメント等がありまして、日本のシステムの安定度というか、そういうものを・・・システムの安定度ですよ。これはよく間違えられるわけですけれどもね。そういうシステムとしての安定度というのを測るという作業も始まるので、そういう時にはIMFもスタッフがよりミクロの金融機関の専門家が来られますので、そういう方々といろいろお話をすることを通じて正しいご理解をお願いして行きたいと、このように思っています。

問)

そうなるとFSAPの今の進捗状況はどうなのですか。

答)

FSAPは、今は通貨とかマクロの金融政策でしたか、そういう為替とかそういうところから始めていただいているかと思います。いずれ時期が来て、夏過ぎ・・・秋ですか、徐々に個別の、ミクロの金融システムにも入って行く段取りだったのではないかと、こういうように思っています。まだ、だから私どもの方の作業は始まっていないということです。

問)

始まっていないと言うと。

答)

具体的に始まっていないと。今言ったようなそういうアセスメントの作業の段取りが決まって、そういう大体今言ったような段取りで、我々の方の話は最後に持って行っていただいたわけですね。これはいろいろと新しい・・・具体的に言えばペイオフ解禁等の話もあったので、それは一番最後に持って行ってもらっていると、こういうことです。

問)

全体の作業がそれでしたら秋から始まるということでしょうか。

答)

まあ大体そんな感じで私はいますけれども。

問)

中期ビジョンのことなのですが、以前大臣は「収益などの数値目標ということになると、それはビジョンと違う」と仰られていましたが、今、政府の正式な話になるということで補足ということが必要になると仰ったわけなのですけれども、例えば、数値目標を義務付けるとか、罰則規定を設けるとか、そういうことも考えられるわけでしょうか。

答)

ちょっとビジョンという呼称から言ってもそぐわないように思うのですけれどもね。まあ実態の問題もあるし、ちょっとビジョンという事だとそういう事ではないのではないかというふうに思うのですけれども。

問)

そうなると、中期ビジョンを作成しなければ、例えば今出されている不良債権の目標とか、やはり達成は困難ですか。

答)

いや、不良債権の処理については、この間の4月12日に特別検査の結果の発表をした時に、同時に「私どもはこれからこういう手法で、こういう事をメルクマールにして不良債権の処理を進めて行きます。RCCも活用します」というような一連のことを申し上げましたね。そういう事で私どもとしては不良債権問題を片付けて行こうと、こういうように思っているわけです。

銀行の収益力のことについては、私は最も早い時から、皆さんが何か資本がどうのこうのと仰っているずっと以前からそういう問題よりも収益力の弱さということが一番の問題ではないのかということを言って来てまして、そのことは金融機関にも伝わっているというか、金融機関の方もその事を自らの問題として考えていますね。もう今そういうことでリストラもする、経費の削減もする、それからまた利鞘の拡大もするというようなことで、今、必死に努力をしているというふうに私は思っています。厳しい経済状況がありますから、なかなか難しい課題ということは分かるのだけれども、少なくとも今までになく努力しているわけでありまして、そういう実態を踏まえて、なおそういう目先の、集中調整期間の間はどうか、あるいはそれが終わった後はどうかというような、そういうタイムスパンの問題ではなくて、もうちょっと中期のタイムスパンで日本の金融システムはいかにあるべきかという事が中期ビジョンというものの課題だと思います。

それでそういう事を示す事は、私が中期ビジョンを手がけた時も申したのですけれども、やはり必要なのですね、個々の問題を裁く時にも。だからそういう意味での目標としての中期ビジョンですね。そういう物をこれから努力して、より明確に出来たらいいなということを課題として考えていると、こういうことです。

問)

そうしますと、私的懇話会の議論を踏まえて、もともと懇話会がスタートする時には今年の夏くらいを目処に何らかの形でアウトプットを出したいというのが座長のお考えだったと思うのですが、それをたたき台にして政府の正式なものとして出していくという、そういうお考えで宜しいのでしょうか。

答)

「たたき台」というのが良いか、その議論を「活かして」という表現が良いのか、私はその議論を活かして今度、新しく位置付けられた中期ビジョンというものを描くというのが良いのではないかと思っています。まあ似たようなものですけれどね、「踏まえて」ということで。

問)

その補足される部分については、検討項目をどういうふうな形で出すのかということはもう大臣は御指示されたのでしょうか。

答)

まだです。

問)

例えば、収益性にしても、やはり経営の問題が私は多分一番大きいと思うのですけれども、これはやはりかなり大きいウェイトを占めるのですか。

答)

まあ今、仰ることが、一般論・抽象論としては私も全く同じ考え方を持っています。ただ、そのようなことを私が言った時に、すぐ具体の人事だとか、そういうものに結び付けてお考え願いたくないと、こういうことですね。経営が重要だということは、私も本当に強く感じています。ただそれは、では人事はどうかというふうに、すぐ短絡的に捉えて頂きたくないということです。

問)

昨日、与党の党首等の会議の中で、保守党の党首がペイオフの流動性の部分の方の再延期を言及しているようなのですが、改めてこの問題についての大臣のお考えをお聞かせ願いたいのですが。

答)

基本的には私共は、この4月から定期性預金についてペイオフの制度を導入させて頂いたわけですけれども、その時にも申したのですけれども、やはりこれは構造改革の一環なんですね。構造改革というか、銀行あるいは広く金融機関一般の方々に、やはり緊張感を持って仕事をしないと預金者の信頼を得られないと、預金者の信頼を得られるには、自分たちというのはどうあるべきかということを強く考えて対処してもらいたいということ、それが金融機関の構造改革だし、日本の金融機関を強くする道だということを申し上げてきたわけですが、その考え方を変えるということはありません。そういう考え方は変える必要がないし、変えるべきではないというように思っているのが現状です。

問)

その同じ考え方を持ったまま、スケジュールを変えるということは可能なのでしょうか、あり得るのでしょうか。

答)

まあ今は全く考えていませんけれどね。

(以上)

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