柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年7月30日(火)10時00分~10時14分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですが、6月の完全失業率と有効求人倍率の発表がありました。それぞれ5.4%と0.53倍ですが、前月比で変化がありませんでした。5か国農相会議の報告がありました。人事で、新東京国際空港公団総裁と首都高速道路公団理事長の交替について閣議の了解がなされました。

閉会中の閣議は原則として10時からということと同時に、6日は取り止めて7日になるというお話がありました。

閣僚懇に移りまして、普天間の代替施設の基本計画が固まった旨の報告がありました。15年度概算要求について8月7日に、枠組みと言ったり基準と言ったり変幻自在でございましたけれども、まあ「不要な経費は削減して」というような話でございます。2、3の閣僚から、当然の事ですけれども、良く相談をしてくれというような趣旨の発言がございました。以上でございます。

【大臣より発言】

この際ちょっと私の方から皆さんに申し上げたい事がございます。14検査事務年度の検査の基本方針と基本計画を作成しましたので、本日、事務方より発表をさせます。

その中で、基本方針・基本計画でも触れているのですけれども、システムリスクや事務リスクに係る管理体制の強化が重要ということから、今般、検査マニュアルの別冊として「システム統合リスク編」と、まあこれは仮称ですけれども、そういう物の作成作業に着手することにいたします。元々、本冊の方に載っていたわけですけれども、事実上検査マニュアルというのは検査官のマニュアルであると同時に、それぞれの金融機関にとってもこれが非常に重要なチェックポイントになるというようなこともあって、そういう趣旨をより徹底させるような形のものにしたいと、こんな事も考えまして別冊をパブリック・コメントにも付して取りまとめると、こういう考え方でございます。以上でございます。

【質疑応答】

問)

今の検査マニュアルの件なのですけれども、それはやはり「みずほ」の大規模なシステム障害があって、なお不安が払拭出来ないという観点からなのでしょうか。

答)

いえ、そういう事では必ずしもなくて、システムの重要性と言うか、この事については、あれがある意味「他山の石」になって、かなりしっかりして来ているというふうに見ておりますけれども、私共行政としては、ここで事実に任せるのではなくて、きちっとした節目を作っておきたいと、こういうことでございます。

問)

三井住友が持株会社化移行を正式に決めたと、正式にと言うか最終的に方針を決めたということなのですけれども、それについて大臣のご感想を伺いたいのですけれども。

答)

報道で知っているということでございまして、まあ別段、まだ公式の報告に接しておりません。そういう意味でコメントは差し控えるべきかもしれませんが、敢えて言えば、それぞれの金融機関が一つの経営戦略に基づいて、いろいろと周到に考えて組織の改変をするという事も有り得ることだし、まあ中身を聞いてみて納得が出来、かつ評価出来るものであれば歓迎したいと、このように思っております。

問)

昨日、自民党のデフレ対策特命委員会が第3次デフレ対策をまとめて、その中で金融庁の関連としてはペイオフの延期と検査マニュアルの見直しというものが入っているのですけれども、大臣としてどのようなご感想をお持ちでしょうか。

答)

ペイオフは対象と期間を検討すると書いてあったようですね。それからまた、もう一つの検査マニュアル、これは先週もお答えしたと思いますが、我々としては(別冊が)出来たばかりですから、これをしっかり運用するということに尽きますね。ペイオフは、党は党としていろいろお考えだと見ているわけです。党側も9月ということのようですから、まだ時間がありますね。

問)

明日で国会が閉じるわけですけれども、今国会はスキャンダルが続いたせいか、政府提出の重要法案がなかなか通らなかったという事があるのですけれども、内閣の一員として今国会をどう総括されますか。

答)

そうですね、非常に重要な法案を出しまして、これは国の将来を方向付けるような、そういう法案でありましたので、論議はしたのだけれども、いろいろと論点も明らかになったということで、成立にまで至らなかったことは非常に残念なのだけれども、今言ったような事柄の重要性からすれば、二つの国会にまたがって論議が十分尽くされるということの意義も非常に大きいというように思っております。

従って、提出法案の成立率ですか、そういうものがそうしたことの影響で100%といかなかったわけですが、これはこれでまた別の意義があるということで、次の国会に向けて更に練りに練って行くということは決してマイナス面ばかりではないと、こういうふうに思っています。

私共の方の法案は、まあ元々数が少なかったこともありますが、ご理解を得て成立の運びになったということは非常にありがたいと思っております。

ただ、議員立法の方で今国会の最後の段階になって提出していただいた事業法人の持っている銀行株の受け皿についての株式取得機構の改正案が実らなかった。多分、継続にしていただけるのだろうと思いますが、これはちょっと残念だったというように思います。

問)

先週もお伺いしたのですが、ペイオフ対策として金融システムの安定化をということで、首相からの指示というのは大臣の方にはまだないのでしょうか。

答)

指示はございません。この前もお話しした通りです。

問)

ペイオフに関してなのですけれども、延期することに関して、ペイオフを延期してしまうと国際的信用に対していろいろな見方が出てくるのではないかという議論があるかと思うのですが、現在、ペイオフを延期するという議論が起きていること自体については、そういう観点からするとどのようにお考えかお聞かせ願いたいのですが。

答)

いろいろな議論があるということは良いのではないですか。何と言うか、どこの国でも何の問題であっても論議は行われる訳ですから。それはむしろオープンに議論がされるということは、それはそれでよろしいのではないでしょうか。

問)

確認させていただきますが、そうなるとあくまでも従来通り来年4月1日でペイオフに行くということでよろしいですか。

答)

要するに、これは何回も話しているので、その場その場で書いたものを読んでいればいつも正確に行くのでしょうけれども、その場での言葉遣いになるものだから、これとこれと比べてということになると、かえってミスリーディングになってしまうわけですけれども、私の方はペイオフというのは構造改革の一環でありますから、この基本は揺るがすわけにはいかないと、この一点に尽きます。

問)

そうなると、3年前も首相がペイオフを実施すると言っていて延期になったのですけれども、今も、例えば地域金融機関の合併で例外は検討されていますよね。そうなると地銀や信組等を例外にするとか、そういう考えは有り得るのではないですか。

答)

それはもう、この前もやろうとして出来なかったことですから。この前やろうとして出来なかったことが今度急に出来てしまうというのは、ちょっと私の頭の中では整理出来かねることですね。何か「自分達は弱いですよ」ということを頭に貼り付けて世の中歩くような話になると思います。

(以上)

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