柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年9月6日(金)10時43分~11時01分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、平成15年度機構・定員等の要求のあり方について報告がありました。ヨハネスブルグ首脳会議ほか、海外出張の閣僚からの報告がありました。H- II Aロケット三号機の打上げについて話がありました。それからJRAの理事長人事について再任という話がありました。片山総務大臣の臨時代理に村井国家公安員長、石原行政改革担当大臣の臨時代理に中谷防衛庁長官がそれぞれご指名されました。以上です。

閣僚懇ではさして話がありませんでした。

【質疑応答】

問)

今日、総理のところでお話をされているという話もあるのですけれども、具体的にはどのようなお話をされたのでしょうか。

答)

これは、総理がまた引き続いて外国にいらっしゃると、首脳会談も行われるということで、最近の金融情勢ということで全体的に状況報告をしたという事でございます。勿論、その中には昨日の金融審議会の答申ということについても要点をご説明しておきました。

問)

例えば、株価がかなり下がっているのですけれども、株価対策なり経済対策等について何かお話されたという事はありますでしょうか。

答)

これは、私だけがどうこうという話ではありませんので、状況の報告をしましたけれども、対策的なお話はいたしておりません。

問)

先程も仰られたのですけれども、昨日、金融審議会の総会が開かれましてペイオフの見直し案が答申された後なのですけれども、かなり一部の委員からは批判も出るなど、異例の形での答申になったのですけれども、それについてどういうふうに思っていらっしゃいますか。

答)

金融審議会の委員の先生方も非常にバラエティに富んでいるし、当然いろんな議論がなければ何のための審議会かという事にもなりますので、私は議論が活発に行われるということは非常に良い事だと思います。何でもかんでも原案なり何なりが、全く異論もなしに通るという事があるとすれば、そちらの方が少し異常ではないかというふうに思いまして、あのような事というのはこれからも十分予想される事ですので、あまりそれを異例とかというふうに言うというのは、何でもunanimousに全会一致でなければならないという前提に立ったご議論で、私は少しずつそういうものも改めて行かなければいけないのではないかと、こういうふうに思います。

問)

一方では、相変わらず与党なりでペイオフ解禁の全面延期という声もあるのですけれども、こういう動きについてはどういうふうにお考えでしょうか。

答)

これは私共の考え方、特に昨日、金融審議会からあのような答申を頂いたわけなので、それを良く説明して行くという事が必要だというように思います。説明をすればご理解が得られるというふうに思っているところです。

問)

総理からは、金融審議会の答申についてはどのようなお話がありましたか。

答)

専門家のご意見がこういうふうにまとまったということで、大変結構なので、これを基礎に置いてしっかり取り組んでもらいたいということでした。

問)

一連の議論が極めて分かり難いという批判が一番強いと思うのですけれども、なかなか理解されない理由はどのようなものだというふうにお考えですか。

答)

元々金融というのは難しいという事なのですね。ですから全体のピクチャーを理解して話を進めると、「ああ、そういう事か」という事になるというのが本来的に難しい面もあるのですね。特に今回の決済とか支払いとかというような事になってくると、特に決済のところなんかは日頃あまり意識されていないのですね。

例えば、どこかから請求書が来て、「振込んでください」と振込先の口座番号が書いてあれば振込みしますね。振り込んだ途端に我々と債権者の関係というのはこれで支払った事になるのですね。我々が振り込みの用紙をもらえば、我々としてはそれで支払いが済んだということになるわけですけれども、しかし現実にはまだそれが請求をしたところに振り込まれていないと、そちらの勘定に付け替えられていないということになります。ではどうなっているのかというと、それは銀行が持っているわけです。第一には支払い側の銀行が持っている。それからその次にそれが移送されれば、今度は受け取り側の銀行が持っている。しかし銀行は持っているけれども、まだ受け取り者の口座にはちゃんと記帳されていないと、そういう段階があるのだというような事を、我々は日頃意識していないですよね。我々は振込用紙に書いて銀行に振り込めば、もう済んだと思いますよね。

そういう事をもう一回、実はそれは決済途上の別段預金なり、仮受けの勘定にありますよというところまではなかなか理解するのは難しいのではないですかね。あの答申にはそれも書いてあるのですね。

問)

ペイオフの実施時期のお話なのですけれども、金融機関のシステム対応に配慮するために若干の猶予期間を設けるという方針をお聞きしたのですけれども、具体的な期間はどのぐらいをイメージされているのでしょうか。

答)

これ、もうちょっと良く状況を聞いてみないと、まだどういうふうに処理すべきかということは、まあ昨日もらったばっかりですから。ただ、システム対応には十分配慮すべきであるという事が書いてありますから、それを受けて、これからヒアリングをしてどのぐらいにするかという事を考えて行くということになろうかと思います。

問)

その期間の、いわゆる有利子の普通預金の取り扱いというのはどのようにお考えですか。

答)

いや、それもどういう事になるか、まだ私も詰めて考えてはいませんけれども、その間に破綻が凄く起こるとも思えませんから、どっちにしても同じ様な話だと思いますけれども、常識的に言えば保護するというのか、一回切ってやるのか、そのどちらかなのですけれどもね。

問)

その点に関して、何年も前から2003年4月にペイオフ解禁すると言っていたのが変わってきていて、議論の分かり難さに拍車をかけていると思うのですけれども、どの程度の時期かというのは早めにアナウンスする必要があると思うのですけれども、それはどういうふうにお考えなのでしょうか。

答)

要するに、4月1日というのが会計年度の開始だし、事業年度の開始で、まあ常識的に言うと、そこで制度が変わるというのが一番分かり易いのですね。ところが、今回の問題のようにシステムという事が切っても切れない関係にあるという事を考えると、4月1日というのは良い日ではないということになりつつあるのですよ。本当は4月1日からと、こういうふうにやれば良いのだけれども、4月1日に現実にそのプログラムでコンピュータを動かさなければならないという事になると、4月1日が区切りの日だけに今度は逆に難しいという、変なこじれた関係に、これからいろんな問題がそういう事になって来るのだろうと思うのですね。

問)

少し確認したいのですが、そうなると全面的に猶予期間が1カ月とか、半年とかあるということでよろしいですか。

答)

よろしいですかということに対しては、先程お答えした通りですけれど。

問)

検討対象にはなっているんですね、全面1カ月とか半年とか。

答)

排除はされないでしょうね。検討対象になるとまでは言い切れませんが、排除はできないです。どのくらい期間がかかるか、要するにシステムの改修と言うのですか、これをやって、ちゃんとテストやってもらわないといけませんからね。

問)

そうなると預金全部は、その期間は保護されるということですね。

答)

それは、一回切って、と言うのは、完全ペイオフで、今度は改めて決済性の預金を保護するというのか、今言ったように、それまでは潰れるということも余りないので現実問題、同じことなのではないかということで、今のと同じようにして、その始まる時に決済性預金のみに絞り込むかと、二つに一つでしょう。

問)

日銀の速水総裁が昨日の記者会見で、また公的資金を含めた対応について言及されていまして、不良債権処理を進めていくと自己資本が薄くなるということについてご指摘をされているのですが、株価が下落してくるとそういう懸念が日銀などで高まってくるようですが、これについて改めてなのですがお考えをお願いします。

答)

日銀総裁として新しいことを言ったとは捉えていません。今までの表現と何ら変わっていないでしょう。

問)

整理回収機構を使った不良債権の買い取りの促進が必要ではないかという議論をする自民党の議員がいますが、これについては新たな方策等は考えておられますか。

答)

RCCも一生懸命やっているし、かなりこれから進むと、むしろ見込みありますよね。そういうふうにやっているところにまた更にやらなければいけないかというと、ちょっとまだ私はそこまで考えが進みませんね。むしろ今、一生懸命やっているのを見ているわけですからね。

問)

20日頃までに経済閣僚が、それぞれのところで具体策ではないにしても、活性化策とか…。

答)

いや、別にそういうことを聞いていません。20日までとか何とかということを一部言ったという報道は知っていますけれども、具体的に私どものところに何かの絡みで来ているかということについては、まだ、全然聞いていません。ただ、それぞれの経済閣僚が非常に重要視していると、現在の株価の動向をよく見ているということは言えようと思います。

問)

経済対策、株価対策の一環として、堀内総務会長がですね、公的資金でETFを買い支えるというアイデアを出されているのですけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

答)

それはね、この前の金融システムのビジョン懇の中でも少し議論されていたのを聞いていますが、何て言うのでしょうか、リスクの分配ということだと、仮にETFみたいなものだとですね、少なくとも年金、こういうところはですね、これに投資するということはそれなりに合理性を持っているのではないかという強い発言があったことを、私は印象深く覚えていますよ。率直に言って、堀内さんとの話でもそういう発言を紹介しておきました。

問)

今日の総理との話の中で、いわゆる朝銀の問題の話は総理の方からあったのでしょうか。

答)

総理の方からは別段ありませんが、私の方はちゃんとご説明しておきました。どういうふうな進捗状況であるかということを。

(以上)

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