柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年9月10日(火)10時29分~10時42分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、閣僚の発言としては、平成15年度概算要求の取りまとめがございました。それから、平成14年版厚生労働白書が取りまとめられましたということです。また、100歳の方へのお祝いをお届けするというご報告がありました。ちなみに、今年度に100歳になられる方は10,052名、本年9月1日現在で100歳以上の方は17,934名ということでした。2,000人くらい増えたということでした。ヨハネスブルグ・サミットの関係ほか、海外出張のご報告がありした。南部アフリカの食糧危機への緊急無償資金援助の話がありました。

9月17日の閣議が18日に延期された事と、9月24日の閣議は現在のところはスキップするという話がありました。

川口外務大臣、平沼経済産業大臣の海外出張に伴いまして、福田官房長官と私がそれぞれの臨時代理に指名されました。

閣僚懇に移りまして、BSEの最初の発生からちょうど1年というような話等がありました。

【質疑応答】

問)

閣僚懇等で大臣から何かご発言はありましたでしょうか。

答)

しておりません。

問)

昨日、経済財政諮問会議がありまして、そこで民間議員が様々な提言をなさっているのですが、金融分野については経営の悪い銀行と良い銀行を分けて、悪い銀行については公的資金の活用及び国有化に入る姿まで展望するような話をなさっているのですけれども、これについての大臣の見解はいかがでしょうか。

答)

これはどういうスキームでそういうお話をなさったかは、まだ私は詳細を聞いておりませんので、ちょっと分からないのですけれども、私共としては、今のフレームワーク、つまり経済政策としてのいろいろな金融行政の話と、それから危機対応の話、これは截然と分かれているわけです。そういう枠組で我々は対処して行くべきだというふうに考えておりますし、また対処は可能であるというふうに思っております。

問)

同時に、ペイオフに関する考え方を明確化して欲しいというような話とか、金融問題についての提言をなさっているのですけれども、大臣ご自身が経済財政諮問会議に出席なさって、金融問題について説明なさるような場面は今後あるのでしょうか。

答)

当然有ると思いますよ。当然有ると思いますけれども、まあ適切な時期に適切なテーマの下で出席させていただきたいと思っています。

問)

例えば月内に出て欲しいというような要請というのは来ているのでしょうか。

答)

いや、私はまだ聞いておりません。

問)

デフレ対策に関する議論が昨日の政府・与党連絡会議等でもありまして、一つは整理回収機構の機能強化、不良債権の買取価格を引き上げるような方向で検討出来ないかという議論があるようですけれども、これについて改めて大臣のご見解をお願いします。

答)

これは先般の法改正によって「時価」という事で買い入れが出来るようになりまして、その後、非常に実績も上がっております。従って、今これを「実質簿価」というような言葉が使われる事が多いようですが、ちょっと私なんかはその意味するところも良く分からない話でございますので、的確なコメントが出来ているのかどうか覚束ないのですけれども、私はやはり「時価」という事であるべきだし、それでうまく制度が回っているという認識でございます。

問)

株式市場の関連で、ETFについて年金や郵便貯金などの公的な資金で積極的に買い上げを進めてはどうかという話もあるようですが、これについて金融庁としては検討なさいますでしょうか。

答)

金融庁は何を検討して良いかよく分からないですけれども、金融庁としてはもうETFについて、この組成をした場合に適切な税制上の取り扱いが出来るという事の指定を次々と受けておりますので、結構活用されているのですよね。ETFはまだ市場が小さいとかという報道をちらっと見ましたけれども、かなりの規模になっております。そういう事で、非常に活用されておりますので、金融庁としてはそれでよろしいのではないかと、こういうように思っています。

問)

公的資金でそういった商品を買い上げるアイデアそのものについては、まあ大臣の個人的な見解でも結構なのですけれども、どう思われますでしょうか。

答)

これはPKOというような事を言って、そういう事を考えるとしたら、それは決して良い事ではない、良くないと私ははっきり申し上げたいと思います。ただ、ちょっとその間に私に言及をされる向きがあったようですが、私が言ったのは、年金と郵貯と簡保を並べてしまうと本質が滅茶苦茶になってしまうわけですが、要するに年金の運用という事について、ETFのような物であれば特にということですけれども、これは定性的に言うと、非常に性質に見合った、適合したポートフォリオ投資という性質を持っているものですよ、という学者の見解もありますよ、ということを紹介したということでございます。

問)

日銀に対して、追加的な金融緩和を求める声が政府・与党内でポロポロ出て来ているのですけれども、大臣は金融政策については現時点ではどうお考えでしょうか。

答)

金融庁というのは、自分達の組織の中にそうしたマクロ政策を担当している分野はないのですね。従いまして役所組織を代表した私の立場でこれを申し上げるということは適切でないということを、予て自らの態度として皆さんに繰り返し申し上げているところでございます。

敢えてこの段階でちょっとコメントをしますと、私はそれぞれの人達が、それぞれ自分の所掌していることについて責任を持った対応をするということが大事だというふうに思います。マクロの経済政策があまり上手く行かなくなったり、あるいは荷物がこっちに回ってきそうになると、ミクロの行政の方に「何かやることはないか」と言ってみたり、またその逆を言ってみたりというのは、私はあまり良いことではないというふうに思っています。

問)

明日でアメリカの同時多発テロから一年経つのですけれども、この間、金融にもかなり打撃を受けたと思うのですけれども、一年を総括して見てどのようなご感想をお持ちでしょうか。

答)

まず情緒的に言うと、私はアメリカに駐在していた時はブルックリンハイツというところに住んでいたのです。私が駐在し始めた年に、あのビルディングが出来上がったのです。私のアパートはちょうどウォールストリートの対岸にありましたから、毎日のようにあのビルを見て過ごしたと、こういうことです。従って、最近のいわばダウンタウン、マンハッタンの風景を良くテレビで見ますと、何か間が抜けたようで極めて空白感というか喪失感が強いですね。それはもう否めないです。何か自分の心の中にも空洞が生まれているような、そういう感じがいたします。

あのような凄い建物が一瞬の内に潰えてしまったということで、我々としては、我々のソフトのシステムというのは、ああであってはいけないというように思って、この一年、持ち場でもって私なりの力を注いで参りました。引き続いてそういうことをして行きたいと、このように考えております。

問)

スタンダード&プアーズが生命保険会社の格付けを何段階か下げましたが、その理由が株安で自己資本が減っているとか、特定の銀行との資本の持ち合いが問題であるとか、そういうところでネガティブな判定が出ているようなのですが、生保の健全性について大臣は現時点でどのようにお考えでしょうか。

答)

株価の下落ということがかなり大幅に生じていますから、そういう意味で、自己資本はソルベンシー・マージン比率の分子を構成する訳で、それなりの影響を受けているということは私も否定はしません。ただ、まだ今日において、何か大変な事態が起こりそうかというようなレベルになっているかと言えば、そうではないということを改めて申し上げたいと思っております。

(以上)

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