柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年9月13日(金)10時20分~10時38分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、引き続いて福田臨時代理の下で行われています。閣僚からのご発言は、郵便物の損害賠償請求の制限に関する最高裁判所の判決があったということの報告がありました。閣僚の外国出張のご報告がありました。H- II Aロケットの打ち上げ結果の報告がありました。寬仁親王のトルコご旅行の予定についての発言がありました。

それから、遠山文部科学大臣と尾身沖縄及び北方対策・科学技術政策担当大臣の外国出張に伴う臨時代理の指定がありました。大木環境大臣と中谷防衛庁長官が指名されました。

閣僚懇に移りまして、株価の低迷の状況に鑑みまして、もっと国民、特に個人に株を保有してもらうということについて、いろいろ考えて行くべきではないかというお話がありまして、私からはこれを受けた形で、「昔の貯蓄奨励に比べると、株というのはなかなかそういう具合に行っていない事はご指摘の通りであると。しかし、この点はこれから、国民の認識を改めていってもらうべきところは改めなければいけないので、さしずめ、税制などの点で、既に塩川大臣にはいろいろご面倒を見ていただいているけれども、今後ともそうした事を進めて行かなければならないと思っている」という旨の発言をしておきました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

今の発言なのですけれども、新たに税制面の優遇措置というか、そういう事をお考えということでございますか。

答)

それはもう年度税制改正で要望していますから、そういう事を念頭に置いて発言をしたということでございます。

問)

今日、4大メガバンクの首脳とお会いになるという事のようなのですけれども、これはどういった趣旨でございますか。

答)

私も今朝の新聞を見てちょっと驚いたのですけれども、そういう予定はございません。

問)

ないということですか。

答)

ありません。

問)

当初からそういう予定はなかったということですか。

答)

ありません。

問)

今後も、特に4大メガバンクの首脳から話を聞くという事はどうでしょうか。

答)

何かペイオフ絡みの事についてご理解が進んでいるところもあるし、ということで、いろいろ考えてくれたのではないかと思いますけれども、まあ別段そういう予定は念頭にないのですけれども。

問)

20日に経済財政諮問会議を控えているのですけれども、これに向けて、金融庁なりデフレ対策として何らかの具体案というのは、今、どういうふうにお考えになっていますでしょうか。

答)

20日の経済財政諮問会議というのはどういう位置付けになるのかというのもまだ判然としていないのではないでしょうか。少なくとも私はそうなので、私がまずそこに行くのか行けないのか、それもまだ分かりませんし、その辺りがどのくらいの意義を持った節目になるのかというのはちょっと分からないのですよね、10月が取りまとめという事で。ただ、そこら辺りで、総理もお帰りになって、少しそういう事の仕事に取り掛かる時期なので、そこに私が在京していないというのはちょっと良くない事だという事で出張を取り止めているわけで、別段、何かが具体的にあるからそれに向けて予定の変更をしたというわけではないのです。具体的にはまだ何ら考えていません。

問)

今日の一部報道で、今お考えになっている決済用預金の猶予期間なのですけれども、これを1年を軸に検討しているという事だったのですけれども、その期間についての現状をちょっと教えていただけますか。

答)

何か半年というのも出ていましたね。冬柴幹事長は「半年」と言うし。とにかく我々としては、客観的にシステムの改修、それから預金者の認識というのは、これはかなり幅のあるものでしょうけれども、特にシステムの改修というものの所要時間という事を念頭に置いていますので、ちょっと1年間というのは始めて聞きましたね。

問)

大臣のご認識でも1年間というのはちょっと長いかなということですか。

答)

ちょっとどころでなく長いのではないかと思います。中には「1ヵ月で済むよ」というところも、どこかのプロセスの中で聞いたような気もするわけで、そういうところもあると。これは区区なのですね。おそらく根っこになっているソフトが非常に改修し易いソフトになっているか、ややこしくなっているかで区区なのですよ。

問)

今日、日米首脳会談で総理の方から、不良債権処理の加速という事でまた表明があったのですけれども、これについてどういうお考えかお願いします。

答)

これは予てから「加速しよう」という事でスケジュールが決まっているわけですね。それをきちっとやって行くという事で、その中にも幅があったのを我々はきちっとそれをやって行くと、スケジュール通りに、あるいはスケジュールを少し先取りした格好でやって行くという事を仰っているのだろうと、こういうふうに受け止めています。

問)

それは今の「2年、3年ルール」とか「5割、8割ルール」・・・。

答)

そういう事ですね。そういうものを、もっときちっとやるという事です。

問)

「もっと」ですか。

答)

「もっと」というか、そこが実は、元々が、例えば学校とか病院とか、そういうようなあるいはレピュテーショナル・リスクがあるというような事について少しアローアンスがあるわけですが、そういった事に対してどういうふうにするかという事を含めて処理を進めて行くということだろうと思います。

問)

そうしますと今までの施策を見直すとか・・・。

答)

そこまで行くかどうかですけれどもね。

問)

塩川大臣が、RCCの不良債権買取価格を上げた場合に、損失が出ればという前提ですけれども、RCCと銀行で折半するという事を仰っていたのですが、このやり方を大臣はどういうふうに見られるかという見解をお願いします。

答)

これも今言ったように、不良債権処理の加速という事の一環で出て来ている一つのアイデアであります。まあ、せっかくの塩川大臣のご提案でございますので、検討はさせていただいております。ただ、いろいろ現在段階で難点が多くて、なかなかすぐに金融庁として採用しかねるなという段階ですね。

問)

国民負担というのはちょっとまずいのではないかと、だからRCCのところについては預金保険料で償却して行けば良いというふうな発言をされていたと思うのですけれども、預金保険料は銀行から集めますけれども、その下には国民が居るわけですし、そういう国民に対する影響というのはどういう形で分析されているのですか。

答)

預金保険は預金保険なのですね。ロスの補填の財源ではないのだろうと思いますね。しかし、国会で決めれば良いのだろうというのが塩川大臣のお考えかと思うのですけれども、やはり我々としては、預金保険はある種の弱者対策というか、低額の貯蓄性預金に対する保険だというものを、今回、「いや、そうではなくて、決済用預金についても預金保険を適用するという事で行きたい」という事で拡大をお願いしようと思っている矢先でございますから、それを更にまた遠いところにまで行くという事について、果たしてこれが納得していただけるかどうか、ちょっと難しいのではないかというのが先程から言っている事です。

問)

先程も20日がどういう取りまとめの位置付けになるかまだ分からないと仰ったのですが、今日も株価が200円位安くて、このままですと銀行の大半が株の評価をする時の月中平均ということで、月初から株価が安いものですから、これが負担になってくる可能性が出てきたのですね。それで月末にかけて株価を睨みながら、いろいろ考えを巡らせるところだと思うのですけれども、銀行の決算を控えて不良債権を処理しなければいけない中で、また株の評価損が出てしまうと。ひいては貸し渋りということにも繋がりかねない状況なのですけれども、そういうことに対する何か対策等はお考えになる予定でしょうか。

答)

これはですね、予て申し上げてきたと思うのですけれども、不良債権の処理、特に間接処理のところまでについては特別検査も実施してリアルタイムの処理をしたということで、マーケットの評価も高いものがあったと率直に言って受け止めております。それからこの問題については、16年度までに正常化するというスケジュールの上に載っているという認識を持っているということは予て申し上げてきた訳です。

不良債権問題についてはそういう認識ですし、客観的にも事実なのですが、我々の金融システムというか金融機関が直面している問題というのはもう一つあると。これは株の保有が大きな固まりになっている、それが時価評価ということで値下がりをすれば多額の評価損が出る。これも結果はまた自己資本に障ってくるということが可能性としてあり得る訳ですね。

これに対しては皆さんご存じの通り、取得機構ということで手が打たれている訳ですが、これが有効に働くということが、今までの打っていた施策がきちっとワークするという意味で大事だというように思っております。

その余のことは今、我々は考えない訳ではありませんけれども、何か相当良い案があるかと言えばなかなかこれはなくて、株価のことは金融の世界だけで処理できないのですね。ですから株価が上がるような経済的な施策が取られるということも、我々としてお願いせざるを得ないということもあり得るということです。

問)

例えばどのようなことなのでしょうか。マクロ的な・・・。

答)

一般的な経済政策ですね。まさにデフレ政策です。

問)

塩川大臣はオーバーバンキングについて、「合併しろとは言えない」と、「モデルケースでサンプルを示したらどうだ」ということなのですが、そこはある程度お話をされているのですか。

答)

塩川大臣と我々というのは、しょっちゅう話はしておりまして、いろいろお考えも聞いています。ただ我々が今回検討してこの前も皆さんにお示ししているような、合併等の促進策の中の話と受け止めているのですね。

問)

塩川大臣は取得機構について、「なかなか機能していないのではないか」ということも仰っていますけれども。

答)

それは先程申し上げたことです。

問)

具体的に仰っているのでしょうか。

答)

いろいろ言って下さっていますよ。

問)

改めて確認なのですけれども、4大メガバンクの首脳とは直近にはお会いになっていないのでしょうか。

答)

どういうことを仰っているのかは分かりませんが、勿論いろいろな形で時々は会いますよね。ですけれども、「直近で、この一日二日で会ったか」と言えば、会っていません。

(以上)

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