柳澤金融担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成14年9月30日(月)11時52分~12時12分)

【閣議案件等】

今朝は臨時閣議がございました。最初に塩川大臣の先立っての会議への出席の報告がございました。次いで総理のご発言がございまして、「今回、内閣の改造を決心した」というお話がありました。これは、「厳しい内外の情勢で問題が山積しているので改造するのだ」というお話がありました。それから、「この間、毎日大変厳しい日が続いたわけだけれども、閣僚の皆さんがそれぞれの部署で大変ご苦労様でした」という労いの言葉をいただきました。それから、「今後どのような立場に居ようと、この構造改革の推進のためにご協力を願いたい」というお話がありました。要点はそのようなお話であったというふうに思います。

それから、官房長官の方からご指示がありまして、辞表に署名をいたしたと、こういうことでございます。そういうことで、他は格別ご発言はなしということで臨時閣議が終了いたしました。以上です。

【質疑応答】

問)

この改造の話はここ数日、随分新聞紙上を賑わしているのですけれども、大臣の去就につきまして様々な報道がなされていまして、まずお聞きしたいのは、総理及び官邸から改造後の体制について何らかの話がございましたでしょうか。

答)

ございません。

問)

改造の条件として、総理は「改革の趣旨に沿う閣僚の方々を望みたい」というお話をなさっていまして、不良債権問題については2004年度には正常化する姿を描くというお話をされているようですけれども、この点について、これまでの大臣が行って来られた金融行政との関連についてご説明いただけますでしょうか。

答)

ご指摘の通り、経済の活性化ということが今回の改造に望まれる基本方針ということの第一項目に謳われておりまして、その中で「平成16年度には不良債権問題を終結させる」という文言がございます。これは予てから皆さんに申し上げている通り、平成16年度に不良債権問題を正常化させるということがございまして、我々もその事を実現すべく毎日、あるいは節目節目で施策を展開して努力をして来たということでございまして、改めてこういうご決意を基本方針に盛り込まれたということについては、私共は全く、これまでよりも一層気を引き締めて金融庁として頑張って行かなくてはいけないという基本方針のご提示というか、そういうものだと受け止めております。

問)

ワシントンで開かれましたG7での塩川大臣の公的資金を巡る発言で、大臣と事務方とで説明が二転三転するような事態があったのですけれども、この事に関して、塩川大臣本人から、もしくは財務省側から何か説明はございましたでしょうか。

答)

ございました。これは、話の中で不良債権の加速の話があったので、財務大臣の方から、一つは不良債権の相手方にある企業の方の再編というか、そういうものにこれから取り組むと、こういう話をしたということでした。それからもう一つは、オーバーバンキングの話に関連して、地域金融機関の合併等にも取り組まなくてはいけないと。その場合には、必要とあらば公的資金を使うということを話されたそうです。

まあちょっと、そのままの話を申し上げますと、この話をすると日頃よく背景・状況が分かっている皆さん方のような、こちら(日本)からいらっしゃった方は問題なくそういう事だということで理解をされるけれども、やはり現地の駐在の記者の方々は、公的資金の活用というか注入もあるということを言葉として聞くと、「どういう場合に」ということを全くすっ飛ばして理解されて混乱があったというようなご趣旨でした。

問)

財務省が一旦公的資金については話していないという説明をした事に関しては、塩川大臣は仰られたでしょうか。

答)

そういうような事ではなくて、皆さんにとっては報道が乱れたということで、あるいはいろいろ問題があるのかもしれませんが、私共にとっては、実態という、事の真実、それをどういうメッセージで相手方にお伝えしたかということが最重要問題でして、それは「かくかくしかじかだったよ」と、こういうお話として私は承ったわけです。

問)

公的資金の発言については、地域金融機関の合併について、資本注入に関しては金融庁も予算要求をするなどの動きはあるのですけれども、塩川大臣の発言はそれに乗ったものなのか、それとは次元が違う話なのか、そこはどう理解なさっていますか。

答)

それに乗ったものというふうに受け止めています。

問)

塩川大臣からお話があったのは今日でしょうか。

答)

今朝です。

問)

不良債権の問題について、今、総理と大臣との間で考えに大きな開きがあるとお考えになっていますか。

答)

そういう事はありません。不良債権問題は、我々はこれまで一生懸命やって来たわけですが、今回、更にこれを加速する必要があるということで、そういう指示をいただいているわけですから、いかにしてそれが可能であるか、これはもう私共は全力を挙げて考え、アイデアを作り出していかないといけないと、こういう事だろうと思っておりまして、そういう意味では別に総理のお考えとの間で齟齬があるというような事は全く考えておりません。

問)

公的資金問題に関して、自民党の方からRCCの損失補填に使うか、或いは資本注入に使うかどちらか、方法は別として新しい枠組で不良債権問題に公的資金を使うという要望が強くて、官邸の方もいろいろなことを視野に入れてやってくれと、新しい公的資金の枠組を念頭においたようなことを要望しているわけなのですけれども、これに関しては大臣は今の時点で、全く今までの考えにお変わりがないのか、ある程度要望を入れて、世界の情勢なども勘案に入れて、ある程度柔軟にこの問題について対応するお考えがあるのかお聞かせ下さい。

答)

私はここでも何回も申し上げているのですが、常に気持ちはオープンだし、オープンという意味は言葉で言っているのではないのですね。言葉で言っているのではなくて、こんな難しい問題を解決していこうという時に、いろいろな皆のアイデアを聞いてですね、少しでも良いものがあればそれを取り入れていくということ、それはもう一貫して言ってきたことです。それは我々が何と言っても責任があるし、情報も一番持っているという立場で、これを取捨選択したり整理したりするということは、これは我々の責任でありまして、そういう意味で我々は皆の声を聞きながら、その中のベストの選択をするということで、一貫して来ている訳です。そういうことで我々はいろいろこれまで言われて来たことについて、「これを何で採用しないのだ」という時は、「かくかくしかじかの理由があって採用しないのだ」というようなこともかなり詳しくお話してきたというふうに思っています。

じゃあ今後どうするのだということですけれども、今現時点でという前提でのお話だと、まあ昨日の今日、或いはこの一週間ばかりの間でそんなに飛躍があったり断絶があったりというふうには、それはあるべきではないだろうと、こう思います。しかし我々経済官庁ですから、やはり先程言ったようにいろいろなアイデアを聞いてその中から客観的情勢の中からどういう選択をしていくべきかということを、それは当座のことだけではなくて私共ずっと行政というのは長く続きますから、将来への影響等というものも全部総合的に考えて選択していくという、そういう何というのですか、基本の姿勢、これはもう揺るがないと、こういうことなのですね。ですからいろいろなことを総合的に勘案して、我々が持っている情報はあらゆることを勘定に入れてベストのチョイスをして行くということです。こちらが多数派だから自分達は不本意だけど従ってしまうということではなくて、本当に責任ある当局として、大げさに言えば歴史に照らして間違いない選択をするというのが我々の基本姿勢でありました。

問)

あらゆることを考えに入れてということは、その中には公的資金についての新しい仕組みというものも入ってくる可能性があるというふうに考えて良いのでしょうか。

答)

今現時点で、もちろん観念論というか、私が言ったことの論理的な話の構造からいけば入ってくるのですが、そういう論理の話ではなくて今の状況でどうなのだと言えば、私もいろいろ考えて、まあ最後の瞬間まで考えておった訳ですけれども、それはまた次の人に託せばよろしいのではないかと、こういうふうに思います。私はもう退任してしまったのですね。私退任して今署名して来ましたので。ですから今までどうして来たか、そのことは私個人的には正しかったというふうに思っているし、今後のことについても同じように考えていくべきではないだろうかということですが、具体的な内容は次の方がお考えになるのではないでしょうかと、こういうことです。

問)

一つの締めなのでお伺いしたいのですが、小泉改革というのは構造改革であり、官から民への訳ですよね。そういった中で、公的資金を使うというのは、それに資するものなのかどうかの大臣のお考えを改めてお聞かせいただけますでしょうか。

答)

そこはポイントだと思います。ですから私が考えていることは、我々民間の金融機関ということなのですね。民間の金融機関が自律的に国民から期待される機能を果たすということが、我々が目指すべき方向であると、こういうことなのです。従って非常に金融危機であれば今の法律が言っているように、いろいろな手段が与えられて公的にこれを支えるという仕組みがある訳ですけれども、基本的に自分達の資本或いは自分達の資金でもってその機能を果たしていくということが目指すべき方向なのですね。ですからそれと逆のことをやるというのは、余程のことが、金融の危機等止むを得ないという選択としてあり得るのですよ、ということが法も命じているところだろうと思うのですね。ですからそういうことを基本に置いて考えているのです、ということです。

問)

公的資金の活用についてあらゆる選択を検討ということで、総理が柳澤氏にお任せしたいということになった場合に、お受けになるかどうかという点をお聞きしたいのですが。

答)

ちょっと仮定の話で、そういうご質問にはこの場でお答えするのが適当と思わないので、大変恐縮ですが・・・。

問)

逆に次への意欲はおありですか。

答)

それは政治家ですから、意欲というか責任感というか、これを引き継いでやれと言われれば、私は自分の責任感としては相当自分の責任感に私自身が左右されるということです。非常に責任感というものを重く受け止めざるを得ないでしょう、ということです。ですけれども、最終の答えは留保していますからね、その答えでもっても。というのはここでそういう仮定のご質問にお答えするのは私は適当ではないと思っております。

問)

九州の西日本銀行と福岡シティ銀行が合併を発表する予定ですが、金融システムの安定化という面からこれをどう評価されるのか、また今後の地方銀行の再編のモデルとなり得るのか、この辺りはどう思われますか。

答)

前から持ち株会社の形での統合というか、そういうことは発表されておったわけですが、これを方式を変えるとか変えないとかというのが今のご質問の趣旨だろうと思いますが、方向として前にも持ち株会社の時にも申し上げたかと思うのですけれども、やはりそうした方向というのは我々としては今必要だなと、望ましいなと思っている方向と合致した動きだと、こういうように評価しております。

問)

持ち株会社方式ではなくて、一気に合併ということになっているのは、金融庁の意向といいますか指導といいますか、そういったものが少なくとも向こうに伝わっているのでしょうか。

答)

先程のコメントが今の時点では最大限だと思います。

(以上)

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