竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年10月4日(金)10時55分~11時08分  於)金融庁会見室)

1.発言要旨

遅くなって申しわけありませんでした。

閣議がございました。私に直接関連する話としては、明日から東アジア経済サミットに出席するという出張日程だけでございます。

その後、都市再生本部で新たな第2次指定の話がありましたのですけれども、この点は経済財政政策担当大臣としては、特区の推進とも絡まってぜひとも強力に推進したいと思っているところであります。一見地味ではありますけれども、着実にこの点が進んでいます。特に、今日の都市再生本部では、事務局長の方から第1次、第2次指定の都市プロジェクトで、波及効果まで含めるとかなり大きい効果が期待できるという話がありました。それに対して総理からは、「民間資金、民間の投資だけでそんなに大きいんですか」というようなご質問もありまして、総理も大変期待をしておられると思いますし、私たちも期待をしております。

私の方からは以上であります。

2.質疑応答

問)

昨日、大臣は速水日銀総裁と会われたと思うんですけれども、その場で不良債権処理の加速策などについてどのようなお話し合いがあったのか、できる範囲でお話しいただけますか。

答)

基本的に、昨日お目にかかった趣旨は、総裁が、改造があっておめでとうというよりはご苦労さん、本当にしっかりやってくださいというご趣旨で昼食をご一緒させていただきました。

その席では、総裁の方からはG7についていろいろ様子を教えていただきました。私の方からは、全てがこれからなのではありますけれども、こういうメンバーでプロジェクトチームを発足させますと。その時点では、まだ発表されていなかったかもしれませんが、こういうメンバーでやりますと。速水総裁ご自身は、この不良債権処理の加速を以前から強力に主張しておられましたので、これはもう私の方から、「こういう責務を与えられた以上、責任を持ってしっかりとやります」ということを申し上げました。中身の詳細については、正にプロジェクトチームでこれからやりますので、日銀も例の株式買取の話と合わせて、金融・不良債権問題全体についてのビジョンを発表するというふうに聞いておりますので、連絡を取り合いましょうと、そういうお話でございました。

問)

昨日のプロジェクトチームの議論の中でも、金融安定化のためのいろいろな措置について話し合いがあったと思うんですけれども、メンバーの中原さんが、昨日のテレビ番組で、公的資金の強制投入という考え方についてお触れになっているんですけれども、この考え方について大臣はいかがお考えでしょうか。

答)

その中身については、これはもういろいろな考え方があると思います。それについては、これから正に議論を進めていくということになろうかと思います。

昨日もちょっと申し上げましたけれども、非常に集中的に議論をして、金融庁としての私の政策を決めたいと思いますので、プロジェクトチームの中での議論というのはちょっとしばらく控えさせていただきます。しかし一方で昨日確認しましたのは、それぞれ非常に強い主張を持っておられる方ですから、その主張を持っておられる方々がこれまでも一杯本を書いてあるんだと。そのことを、ご持論として個人の資格で仰ることは、別に妨げるわけでもないし、特にもう妨げると言ったって、いっぱい本を出していっぱいいろいろとしゃべってきている人ばかりですから、それはそれで個人のご意見としてお伺いするということだと思います。

問)

金融の安定化の問題について、来週以降また開催されると思うんですけれども、諮問会議ではどういう取り上げ方をどういうスケジュールで考えていらっしゃいますでしょうか。

答)

中間的な報告を2週間後ぐらいにしようと思っていますので、その頃に開かれる諮問会議では、これは私が金融担当大臣として報告したいというふうに思っております。

一方で、この問題を進めるにあたって経済財政諮問会議の役割は極めて大きいというふうに思っておりまして、それはやはり各省庁一体となって、例えば雇用対策でありますとか中小企業の対策でありますとか、それぞれの分野での産業調整とか、そういうことをやはり一体として進めないと意味がないし、できないわけであります。

その意味では、金融システムの強化、不良債権の処理という金融庁の仕事とほぼ同じぐらいに、私はこの周辺的な政策の対応というのが重要であるというふうに思っています。この点は、私自身が2つの顔を持って、2つの帽子をかぶっておりますので、ぜひともしっかりやりたいと思います。

問)

その周辺的な政策対応に絡んで、株安も進んでいることから、今年度の補正予算について必要ではないかという議論が一部にあるようですけれども、これについて大臣は、今の段階でどうお考えでしょうか。

答)

ちょっと「周辺的な」というのは、「関連する」というふうにぜひ言い直させていただきたいと思いますけれども、両方重要ですから、両方メインです。

補正予算云々については、これは財政運営そのものをどのようにするかということで随分といろいろ議論を深めてきた結果、今年1月の改革と展望の中で、経済の需要が一時的に弱くなったということを補うために、いわゆる経済のファイン・チューニング、微調整のために財政政策を活用するということは、他の国でもしていないし、我が国ももうしないんだ、財政のビルト・イン・スタビライザーを活用して、中・長期的に健全な財政システムをつくっていくんだということを明記して、これを閣議決定しているわけです。これが、基本的な考え方です。ですから、今すぐ直ちに補正予算をというのは、念頭には全くありません。

同時に、しかし総理は一貫して、大きなショックがある場合は柔軟かつ大胆にやるということでありますから、それはそういう状況になるか、なっているかどうかという実態判断の問題であろうかと思います。月例の経済報告ももうすぐさせていただくことになりますし、それは実態の中で判断していくことになるわけでありますが、現時点では景気刺激のための財政、補正予算というような従来型のものをするということは考えておりません。

問)

ペイオフ全面解禁の延期についてお尋ねしたいんですけれども、大臣のお考えとして、延期という場合は金融審が導入を決めた決済用預金については白紙に戻すのか、あるいはその決済用預金の導入そのものを延期するのか、そこら辺はどうお考えになっているのでしょうか。

答)

基本的には、金融システムをどうするか、その面での対策をどうするかという非常に包括的な議論をプロジェクトチームで今始めたばかりですので、その中で議論したいと思います。

問)

株安については、どのように受け止めていらっしゃいますか。

答)

大変厳しい状況であるというふうに認識しています。株は、これまで不良債権の処理が遅れているという理由で下がってきたというふうに言われて、今度は不良債権の処理が進むかもしれないという理由で下がっているというふうに言われている。日々の株式相場の性格というのは、やはりそういう側面があるのだと思います。

しかし、我々は中・長期的に正しい日本経済を強くする政策を実行していけば、マーケットというのはタイムラグが常にありますが、どこかの時点でそれを非常に正しい情報として織り込んで、適正な価格形成をしてくれるであろうというふうに思っております。短期的には、やはりアメリカの動向に非常に強く引きずられているという印象を持っておりますが、日本は日本としてしっかりとやらなければいけない部分がありますので、今申し上げたような形で四位一体の改革、なかんずくその中で金融システムの強化というのは重要だと思いますので、これまで申し上げてきた政策をやはり強力に進めるということをしていきたいと思います。

問)

確認ですが、中間報告というのは、国会召集までに公表されるということですか。

答)

日程のセットは、ちょっと十分にできておりませんが、一カ月ぐらいでトータルだと。そのちょうど中間ぐらいということを考えておりますので、その前になるか後になるかというのは、ちょっと今の時点ではまだ決めておりません。

問)

国会での総理の表明の中で必要になってくると思うんですが、それに間に合わせるというお考えはないのでしょうか。

答)

何事も、The sooner the betterという感じはいたしますので、できるだけ早くやりたいというふうには思っておりますけれども、とにかくメンバーの日程をそろえるのが今大変でありまして、できるだけ早く進めたいと思っています。

問)

昨日、大臣はリレーションシップバンキングということを仰いまして、中小企業とか中小金融への配慮というものがある程度必要だということを仰っているんですけれども、大銀行の中でもこの中小企業融資というのはいっぱいあって、それで金融マニュアルでもそれのための別冊というのがあるわけですが、この中小企業融資についての考え方というのは現時点でどういうふうにイメージされているか教えてください。

答)

昨日申し上げたように、リレーションシップバンキングの線引きを一体どこで引くのかということは、非常に難しい問題だと思うんです。これも昨日申し上げましたけれども、これについてどこの国でも、グローバルなバンキングとリレーションシップバンキングはやはり違うというふうに思っていて、現実にそういった対応が制度上とられていますが、その線引きかくありなしというようなことについての確立された考え方が、どうもあるとは思えないんです。であればこそ、そこは我が国の実情に合わせてどのように考えていったらよいのかということは、このプロジェクトチームでの1つのテーマとしていただきたいと思っております。

問)

その大銀行の中での中小企業融資というところは、どういうふうにお考えなのですか。

答)

ですから、そこはリレーションシップバンキングをどこで引くかですね。このバンキング、銀行が大きい小さいで引くのか、借り手の大小は余り関係ないですね、小さな企業でもグローバルな企業はありますから、これは単に大きさの問題ではもちろんないと思いますが、そこの線引きを借り手と貸し手とどのように整合的に考えるのか、これに対して確立された考え方があるようには、どうも私には思えないんです。だから、そこはちょっと識者の方とぜひ議論したいと思います。

(以上)

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