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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年10月8日(火)9時57分~10時08分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議がございました。閣議で私に関連することとしては、まず東アジア経済サミットに出席した旨の報告をいたしました。各界のリーダーと意見交換して、日本の現状についてよく理解を深めてもらった。小泉構造改革に対しては非常に強い期待が寄せられて、またその理解も深まったという旨のご報告をいたしました。

閣僚懇では、私の方から昨日のペイオフの解禁の延期のご報告、それと諮問会議等で議論しましたように、不良債権処理、デフレ克服に向けて政策を集中投下していくようにしなければならない。そのための議論を月末を目途に取りまとめることを諮問会議等で進めていくので、各閣僚のご協力をよろしくお願いしたいという旨のことを申し上げました。

閣僚懇では、特にあと1点ご報告することとしましては、総理から構造改革特区の推進に向けて、強力にこれを進めるようにと。できないことをできるようにするのが特区であるということで、非常に強く檄を飛ばされたといいますか、そういう総理からのご発言がございました。

私の方からは以上であります。

2.質疑応答

問)

まず、昨日ペイオフの2年延期、そして7項目の検討項目ということで大臣の方から示されたんですけれども、依然、株式市場の方はそれを受けて、今日も大きく反発するわけではなくて、マーケットはかなり厳しい状況なんですけれども、これについてはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

答)

何回も申し上げておりますけれども、マーケットは世界的に非常に厳しい状況にあるというふうに認識しております。その大きな要因として不確実性があると。アメリカにはアメリカの不確実性があり、これが一番大きいというふうに思いますが、日本には日本の不確実性がある。その不確実性を取り除くための重要なステップにある、プロセスにあるというふうに思っていますので、お約束した期限に向けて、しっかりとその実績が示せるように、淡々と粛々と努力をしたいと思います。

問)

昨日、2回目の特別PTがあったと思うんですけれども、今進捗状況というのはどのようなことになっているんでしょうか。

答)

実質、昨日が第1回目でありましたけれども、大変よいキックオフができたというふうに思っております。この議論を更に発展させて、きちっとした判断ができるような状況に持って行きたいと思います。

問)

補正予算ですけれども、大臣はいつも従来型の需要追加型の補正は組まないと仰っているんですけれども、それ以外の分野、特に雇用関係では、これは雇用保険の方はもう財源は枯渇しているし、何らかのあれをとらざるを得ないのではないかという声があると思うんですけれども、この点に関しては、従来型の補正でなければ、どういう補正が必要なのか。その辺をお願いします。

答)

まず、政策として一体何が求められているのかということをしっかり議論するというのが今の段階だと思います。更に、それに何らかの措置が必要になった場合に、その措置については、様々な工夫でこれを調達するという道も私はあると思っております。つまり組み換えとかですね。その意味では、今の時点で単純な補正論議をするのは少しミスリーディングであると。まず何よりも、今政策として一体何をやるべきかということをしっかり議論するということに専念したいというふうに思っております。

問)

そうしますと、このいわゆる30兆円枠、それについてあくまでも堅持していくと、そういうことですか。

答)

基本的に、財政規律をしっかりと維持しながら、財政の健全化を図るということは、構造改革の最も重要な一部分であるというふうに認識をしております。

問)

非常に分かり難いんですけれども、来年度に関しては30兆円枠はないわけですよね。何でここまで30兆円枠を今年守らなければいけないのか。大臣はいつも政策というのは分かり易くないといけないと仰るんですけれども、非常に分かり難いので、その辺がマーケットなんかも分かり難いと見ているところだと思うんですけれども、それはどういうことですか。

答)

いや、そんなことはないと思います。基本的に、何度も申し上げていますけれども、マクロ運営の基本というのは改革と展望にあるわけです。改革と展望というこのビジョンに示された形で経済を運営していって、10年程度でプライマリーバランスを回復させると。これはもう一番シンプルなメッセージなんですね。そのスタートラインとしての30兆円というのが、今年、財政の方向転換をする意味で大変重要であるというふうに考えているわけです。

ですから、結果的に収支差額であるところの国債発行額というのは、その時の経済情勢によって変動しますけれども、今年が30兆、来年が幾ら、だから分かり難いということではなくて、改革と展望に沿って中期的にプライマリーバランスを回復させていく。そのシナリオの線を崩さないというのが非常に重要なポイントです。それが、恐らく中期的に経済を考えている方にとっては非常に分かり易いメッセージになっていると思います。

問)

デフレ克服のために、政策を総動員するということを強調されていましたが、そうなると、今年度の補正についても明確に言わない限り、なかなか総動員に説得力はないと思うんですけれども、その点はどうですか。

答)

まず、したがってそれぞれ、昨日上げた7項目について一体何をやるべきなのか、何ができるのか。今年度何をやるべきなのか、来年度何をやるべきなのか、やはりそういう中身とシナリオを作ることが重要なんだと思います。予算の枠組みの話は、その上で議論すべき項目として出てくるものだと思います。

問)

減税のことに関してなんですが、先日、塩川大臣が減税について、6割が企業、4割が個人という考えを示されたんですが、規模は別として、シェアのイメージとしては、大臣は塩川大臣と同じような考えを持っていらっしゃるんでしょうか。

答)

実は、どういう内容の減税をするかという案が塩川大臣から諮問会議で示されたことはまだありませんので、その6割4割というのも、新聞報道で私聞いているだけでありますので、今収束に向けての最終段階でありますので、その中身の議論を諮問会議の場でしっかりと詰めていきたいと思います。

問)

大企業とか大銀行について、大臣がトゥー・ビッグ・トゥー・フェイルの考え方は、一般論だと思うんですけれども、とらないというお話を雑誌でなさっているようなんですけれども、そのことに関して、いろいろな憶測がマーケットで流れているんですが、もう一度その意味内容について明確にお話いただきたいんですが。

答)

これは、ご指摘のとおり雑誌のインタビューで、一般論として、特定の銀行とか特定の企業の問題ではなくて、一般論として、トゥー・ビッグ・トゥー・フェイルという考え方は適切ではないということを申し上げました。それをもって、大手の銀行の整理を言及したというような報道を行っておられるところもあるんですが、これは大変大きな誤解を生みますし、むしろ市場を攪乱するような伝え方であるというふうに思います。私はまだ何も決めておりませんし、何をするかを決めるために、プロジェクトチームで一生懸命今議論を始めたところでありますし、そういう個別なことは何も申し上げておりません。一般的な考え方というのと、政策的な決定というのを非常に意図を持って短絡的に結び付けるような議論は、もちろんこれは私自身も慎んでおるつもりでありますし、ぜひともご協力をお願いしたいというふうに思います。

問)

金融担当大臣としてお伺いしたいんですが、株価の金融機関への影響と、それからもし、選択肢として株価対策というのはあり得るのかどうか。その点をお伺いします。

答)

株価の影響というのは、いろいろな時点で、いろいろな影響を想定していろいろな議論が可能であると思います。ただ、私自身は日本の経済というのは非常に強い潜在力を持っていると思いますし、我々が目指しているような政策をすれば、株価はかなり高く上昇するというふうに思って自信を持っておりますので、むしろ現状の株価というのは、飛躍のための準備段階にあるというふうな見方をしております。

したがって、これが日々の変動がどのように金融機関に影響を与えるかということは、これはそんなに単純に申し上げられることではないと思いますので、むしろやるべき政策をしっかりと固めて、それを国民、マーケットにきちっと理解をしてもらって、日本の経済が持っている潜在力を発揮させることによって、日本の本来の株価にもっと上昇していけるような状況を一生懸命つくっていきたいというふうに思います。

(以上)

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