竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年10月18日(金)9時58分~10時12分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議では、今回提出される法律案の決定を行ったわけでありますけれども、私の方から特にご報告することはございません。閣僚懇でも、特に意見はございませんでした。

それに先立ちまして、特殊法人等改革推進本部の会合がありました。閣僚会議でありますけれども、それにつきましても当初予定されておりましたとおり、順調に決定されました。特に、そこでも意見はございませんでした。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

金融庁関連の法案で、決済用の預金の創設を柱とするペイオフ関連の法案と、地域金融機関の合併促進の法案を控えていると思うんですけれども、自民党内で一部、異論といいますか慎重論といいますか、まだ十分納得を得られていないような状況だと思うんですけれども、この臨時国会に向けた法案の処理に当たって、現時点での大臣のお考えをお聞かせください。

答)

基本的には党のご理解、関係者のご理解が得られるように引き続き準備、議論を進めているところでありますので、その作業に期待したいというふうに思っております。今日の時点でも、いろいろとご議論させていただいているところであります。

問)

プロジェクトチームの方なんですけれども、今日、RCCの鬼追社長がお見えになるんですけれども、改めてどういった観点から整理回収機構に役割なり不良債権処理に当たって期待なさっているのか、お話しできる範囲内でお願いします。

答)

これは、各委員の方がご議論されることでありますので、特にその議論の枠をはめているわけではありません。非常に自由に、様々な観点から各委員がご議論されると思います。

私としては、やはりRCCに対する期待というのは、いろいろな意味で高いというふうに思っておりますので、そのRCCがどのような役割を果たしていくか、根本的なところから議論していただければ有難いと思っています。

問)

デフレ対策、総合的な対応策なのですけれども、来週、金融の中間取りまとめが出た後、月末まで諮問会議はないと思うんですけれども、昨日示された項目をどのように具体化していくのか、その辺のお考えをお願いします。

答)

諮問会議では、これまでもどのような対応策をとるかについて、既にかなり議論の蓄積があるというふうに思っております。したがって、その蓄積を踏まえて現実に、例えば雇用のセーフティーネットは厚生労働省、中小企業対策は経済産業省が中心になりますが、各大臣がリーダーシップを発揮してくださって、どのような形に今までの問題意識を積み上げて仕上がりが出来るかというところにかかっているのだと思います。

したがって、昨日の諮問会議でも、これまでの諮問会議での議論を踏まえて取りまとめをさせていただくということで引き取らせていただいております。各大臣のリーダーシップに基づいて、この政策を取りまとめるということをしていきたいと思います。

問)

総合対策なんですが、最初、大臣は政策を総動員すると仰ったのですけれども、補正はしない、減税もまだ固まっていないという段階で、政策を総動員するという内容になるのでしょうか。

答)

現時点では、まず金融の面でどのような事を行うかということを私たちの中間報告で示して、それに基づいて各省庁が一丸となって取り組むということですから、その意味では政策の総動員の体制は出来ていると思います。したがって、官房長官の方でも、一昨日、関係大臣を集めてそのような体制をとっているわけでありまして、その中から良い政策が出て来るというふうに思っています。

問)

月末の公表段階で、全ての政策は出切ったという位置付けなのか、その後も引き続き新たな政策を考えていくのか、どちらなのでしょうか。

答)

少なくとも、金融についてこういうことをやりますと。それに関連して、例えばセーフティーネットに関してはこういうことをやりますと。それに基づいて、例えば法律案がどうかとか、そういうことはもちろんで、したがって作業は続くわけでありますけれども、政策のメニューとしてははっきりと見えるような形にしたいと思っています。

問)

そうしますと、月末に示される総合的な対応策というのは、新たな予算措置はとらないという前提でまとめられるのでしょうか。

答)

現時点では、とにかくどういう政策をとるべきなのか、その政策のよいメニューをつくることがまず先決であって大変重要である、これはもう各閣僚の一致した意見だと思いますので、その中身について詰めているところです。

問)

銀行の自己資本についてなのですけれども、税効果会計に関しまして銀行側の方とお話ししていますと、不良債権処理を促進するためには税効果会計の今のやり方が必要だというお考えをよく聞くのですけれども、改めて大臣に今の税効果会計のあり方についてお伺いしたいのです。

答)

税効果会計のあり方については、様々な意見があるということはよく承知しております。そうしたことを含めて、今、プロジェクトチームでどのような方向を示すかということを鋭意検討しているところです。

問)

ダイエーに、政策投資銀行を中心に600億円ぐらいの基金を積んで支援していくということが昨日決まったのですけれども、これについて大臣のお考えを聞かせていただきたい。特に、今、不良債権処理を進めようとしているところで、この中では非常に厳しいリストラとか再編・淘汰ということを企業に要求しなければいけないわけなのですけれども、その一方で、政府が間接的にせよこういう形で一部の企業に関しては支えていく。これをどういうふうに整理していくのか、これは分かり易い政策になるのかどうかということです。

それからもう1点、今、政府系金融機関のあり方を諮問会議でも議論していると思うんですけれども、政策投資銀行がこういう形でお金を出していくと。これは、もともと郵貯とか財投機関債とか政府の信用で集めているお金ですね。焦げついたら税金で埋め合わせなければいけないお金を、剰余金とはいえこういう形でリスクの高いところに投資していくということは、中・長期的に見て政府系金融機関のあり方として良いことなのかどうか、その2点についてお伺いしたいのです。

答)

まず、ダイエーに関して、政策投資銀行など4つの機関が再建ファンドを組成するという話は聞いております。ただ、これは個別の企業の話でありまして、個別の判断の話でありますので、私の方からコメントは差し控えたいと思います。

ただ、一般論として申し上げれば、我々が行おうとしているのは銀行を強くすることであり、産業を強くすることであり、企業を再生させることであるということでありますから、それぞれの立場の判断に基づいて、企業の再建計画の履行を確保して、ある意味で企業価値を高めるという企業再生ファンドの仕組みを活用するということ、これは重要なことであるというふうに思います。それで企業再生が進められることは、その意味で一般論としては、こういう仕組みをそのために作っているわけでありますから、これは行われるべき政策であるというふうに思います。

一方で、その政策金融機関のあり方についての一般的なご質問でありますけれども、これは昨日の諮問会議の中でも少し触れさせていただいたかと思いますが、政策金融機関のあり方としては、これは粛々と長期的なあり方、本来のあり方をしっかりと議論していく。その上で、民業の補完というのが政策金融機関の重要な役割でありますから、民間の金融システムがしっかりしていない間は、民業の何を補完すべきかということ自体が非常に難しい問題になってくるわけです。

したがって、それまでの過渡期の期間においては、むしろ政策金融を積極的に活用すべきであるという意見、これは諮問会議でもずっと出されている意見でありますので、政策金融機関の長期的なあり方の議論と過渡期のあり方の議論、その工程については、恐らく10月から11月にかけて諮問会議でも明快にそのことを議論していくことになると思います。中・長期的なあり方と過渡期のあり方については、少し分けて議論していくということです。

問)

考え方としては、短期的なことが、中・長期的に望ましいというあり方と矛盾しても、これは容認せざるを得ないということですか。

答)

繰り返して言いますけれども、長期的なあり方は議論していく。しかし、今の状況というのは、ある意味で民間の金融機関がしっかりしないというアンユージュアルな状況だと思いますので、その間のあり方というのは、本来のあり方の議論とは分けて議論していこうということです。

問)

総合対策に戻りますけれども、大臣は打ち止め感が出るくらいのものを出したいと仰ったのですが、補正とか財政措置抜きで打ち止め感というのが出るのでしょうか。

答)

繰り返し言いますけれども、基本的には、まず何の政策が必要かということをしっかりと議論していくということです。その議論が、まず何よりも先決だと思いますので、そうした議論を現状では各大臣のリーダーシップのもとにしっかりと詰めているという状況にあります。

問)

先程のペイオフ法案と合併促進法案なんですけれども、担当大臣として今後の見通しと、それから自民党内には、金融安定化策全体を見通した中でペイオフ法案とか合併促進法案というのはその中のパーツであって、その全体像、PTで話し合われていることが現在の非公開のままでは合意しかねるというような意見もあるのですけれども、その辺についてどうお考えか。

そのPTは、非公開ということで、与党に対しても中身が伝わってこないということで不満があると思うのですけれども、それについてどうお考えかお願いします。

答)

全体像をどのようにするかということについて、やはり議論を急ぐ必要があるというふうには思っております。したがって、その中間的なものを来週前半には是非ともお示ししたい、そのような中でご理解を賜っていきたいというふうに思っています。

中身が見えないということでありますが、これはその一方で、金融当局というのは、その過程で議論がぽつぽつと漏れていくことによって市場に対して非常に大きなマイナスの影響を与えるということがあり得るわけで、であるからこそプロジェクトチームの冒頭に、この会議そのものは議論は議論として一気にクローズな中でやっていく、ある程度まとまった段階で公表するということを建前とさせていただいているわけです。この趣旨は、ぜひともご理解いただきたいというふうに思います。

問)

中間報告ですけれども、大臣は先程「来週前半」と仰いましたが、今日、一部報道で21日の月曜日に中間報告がまとまるというような報道が出たのですけれども、現時点でのその見通しというのを教えていただきたい。

それと、中間報告というのは、ある程度基本方向が出るのか、それとも問題点の整理、論点整理、そのどちらに落ち着くのか教えてください。

答)

まず、日ですけれども、21日ということが報道されているのでしょうか。それは、ちょっと私の知る限り根拠はないと思います。来週の前半ということしか、まだ決めておりません。

それと、中身でありますけれども、論点の整理のようなものなのか、その方向性が分かるものなのか。やはり出来るだけ方向性の分かるようなものにすべく、今、努力しているところであります。

(以上)

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