竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年11月1日(金) 9時41分~9時56分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。私の方からは、一昨日取りまとめました金融再生プログラムと総合対応策について報告をいたしました。今日はその他案件はありませんでした。海外のご出張等々のご報告が多かったのでありますけれども、私の方からは特に申し上げることはごさいません。

2.質疑応答

問)

金融再生プログラムについてなんですが、まだ詰めの必要な部分、曖昧な部分が多いかと思います。11月中に作るという工程表の中で何をどう具体化させていくのか。現段階でのイメージなり、段階などありましたらお願いします。

答)

一生懸命作業を始めたところであります。工程表ですから、非常にたくさんの項目をあの中に書いておりますから、これだけやってこれは後でいいということはないと思いますので、やはり一つ一つについてしっかりと詰めてみたいというふうに思っております。そういう作業の積み重ねとして、しっかりと工程表を作りたいと思います。

問)

今回のプログラムの作成過程において非常に見えにくい部分があったという批判がかなりありますけれども、プロジェクトチームの活用なり、今後、その不透明だということに対して改善されていくおつもりがあるのかないのか。プロジェクトチームの位置付けについてもお願いします。

答)

これは何度か会見でも申し上げたと思いますけれども、これは金融の規制監督当局の行政の話でありますから、これがすけすけに全部見えていたら、これはまた大問題なんだと思うんですね。ですから、論点整理はきっちりとさせていただく。

しかし、大変大きな影響をもたらす問題であるから、その枠組みについては、論点整理を踏まえた上で、銀行とも与党とも相談をさせていただいたということだったと思います。その意味では、このプロセスそのものは問題の性格上、やはりこういう形にならざるを得ないと私は思います。

今後、まだ残された問題が様々あると思っています。そういう事については、プロジェクトチームの皆さんの意見も聞きながら、これは行政でありますから粛々と対応していきたいと思います。

問)

引き続きチームで検討していくということになりますか。

答)

ですから、これまでこのプログラムを出すために、プロジェクトチームの皆さんの意見を聞いてきたわけですけれども、これを実行に移す段階で新たな問題がまた出てくるんだと思うんですね。それと、まだ残された問題もある。そういう観点からいうと、プロジェクトチームの皆さんでぜひ一度論点を出してもらって、その中で、ここのところはどういう仕分けをしていったら良いのかということを考えてみたいと思っています。

問)

一部報道にありますが、今回のプログラムを受けて、早速不良債権の最終処理を前倒しするという動きが少しずつ出てきているようです。この動きについてどう思われているかということと、一方で、今回のプログラムの過程において、大手銀行の反対声明が出たりとか、結構大臣と銀行界との間で溝が出てきているような印象もありますが、これからどう折り合いをつけていかれるのかという点をお願いします。

答)

新しい動きというのは、詳細な報告は私は受けておりませんけれども、これは当然、銀行自身にやはり大いに努力をしていただいて、16年度には問題が解決しているような動きですね。まさに速やかな動きを期待したい、責任を持った行動を期待したいというふうに思っています。これは、銀行は銀行としての立場で発言され、物を仰るのは、私は当然のことであろうかと思います。我々も、そういった意味での意見は聞きながら、しかし、規制監督当局として、やはりやらねばいけないことは、これはこれでしっかりとお願いしながら、今後もやっていきたいと思います。

問)

金融再生プログラムに関することなんですが、主要行の対象部分は先日発表されて、14年度中には地域金融プログラムというふうな段取りだということなんですけれども、大臣が仰る主要行という括りは、どういうふうにお考えなのか。例えば、国際業務を展開しているということであれば、必ずしも7グループの全てが国際業務を展開しているわけではないし、地方銀行の中にも国際業務を展開している銀行があります。それを、その法律とか基準をつくる場合にどう線引きなさるのか。つまりその規模でやるのか、ないしは国際業務なのか。その辺はこれから詰められるお話かもしれませんが、お考えをお願いします。

答)

正にご指摘のように、これから詰めるべき問題だと思います。これは行政上の区分をどのようにするかということは、やはり技術的な問題もあろうかと思います。ただ、イメージとして申し上げれば、いわゆる旧都銀、旧長信銀、旧信託銀行、主としてそういうところをイメージしていただければよろしいのではないかなと思います。

問)

そうすると、法律とか規則をつくる場合にはそういう表記になるわけですか。それとも銀行の名前を羅列していく形になるんですか。

答)

そこは技術的な問題でありますので、今どういうやり方が行政として相応しいかということを詰めてもらっています。

問)

今年度引き続き、特別な形で検査をされていくということですけれども、昨年度にも特別検査というのがされた。そして今年度また特別検査をされる。一方で、先日のようないろいろな提言がなされていると。具体的に、昨年度と今年度の特別検査というのは、これはどういうふうに違っていると考えられるのか教えてください。

答)

これも実態に合わせて、現場でぜひいろいろ実態を詰めて、工夫をしてもらいたいというふうに思っています。ただ、何度も申し上げていますように、検査そのものは非常にしっかりとなされてきているというふうに思っています。むしろ金融庁の査定と銀行の自己査定のギャップをいかに埋めるか。一部、特定の評価の大口の債務者について、新しい手法をいかに採用していくかとか、そういうところに、当面我々は注目をしていかなければいけないと思っています。

問)

産業再生機構なんですけれども、これは運用の仕方によっては、大臣が仰っている3原則の中のガバナンスの発揮の部分に抵触する可能性もあると思うんですが。

答)

基本的に、この再生というのが、再生という名を借りた企業の温存に安易になっては、やはり元も子もないと思っています。この点の仕組み作りは大変慎重でなければいけないでしょう。ですから、その組織・機構のあり方、更に言えば、やはり人選、人材の登用の仕方、これは制度設計、仕組み作りそのものですけれども、これには非常に様々な観点から配慮した、非常に戦略性の高いものにしていかなければいけないと思っています。

問)

産業再生機構で再生する企業の基準なんですけれども、一部報道では、キャッシュフローに対する有利子負債の割合というのを基準にするというふうに出ているんですけれども、どういうふうに再生する企業を選別するかという目安というのはあるんでしょうか。

答)

そういう新聞記事があるみたいですけれども、私自身はそういう議論があるということは一切承知をしておりません。まだ私の知っている限り、議論はそういうところまでは立ち至っていないと思います。

問)

産業再生機構の制度設計は、だれがどういう場所で議論していくことになるんでしょうか。

答)

この議論はまだ始まったばかりであります。しかし、これは特定の省庁で出来る話ではありませんので、これは内閣全体でやると。具体的な主体として、内閣官房がいいのか、内閣府がいいのかということは重要なポイントだというふうに思います。

しかし、同時にこれは、私自身はこれは多面的な角度からもぜひ検討してもらいたいと思っていまして、例えば、今政府系の機関のあり方等々を、それとないしは公的な資金の流れ全体のあり方について、経済財政諮問会議で議論されていますので、そういうところでもぜひ議論をしていただいて、多面的に議論が出来るような仕組みにしておかないといけないと思います。

問)

金融検査マニュアルなんですけれども、これは今回検査の方針をDCFを盛り込むとかということで変えるのに伴って、それから特別検査を今年度に行うということに伴って、金融検査マニュアルの見直しというのはどういうふうにお考えになっているか。やるとすれば、かなり時間がかかることだと思うんですけれども、今年度DCFなんかをやっていくということとの関係、それを教えていただきたいんでけれども。

答)

基本的には、マニュアルを変えるか変えないかとかということが政策の今の議論の目的では全くありません。いかにして、金融再生プログラムに書かれているような資産査定の厳格化を行えるかということを、今これから工程表を作って議論をして行こうという段階でありますので、そういう実務的なと言いますか、実務的な積み上げの中で、今後一体何が必要かということを明らかにしていくべきだと思います。

問)

ということは、これまではマニュアルを策定する過程で、いろいろパブリックコメントにかけたりとか、広く意見を募っていたと思うんですけれども、今回はそういった手続きは重視しないということでよろしいんでしょうか。

答)

いえいえ、マニュアル云々を変えるとか、そういうことであるならば、私はそういうところには立ち至らないと思っておりますけれども、もしもそういうことが必要であるんだったら、それはそういう手続は当然踏まなければいけないわけでありますけれども、我々が今目指している、より正確な資産査定を行うためには、それこそ実務としてどういうことをしなければいけないか。それを工程表で今考え始めている段階でありますので、これはもうその中で粛々と結論を出していくということだと思っています。

問)

作業工程表の中では、繰延税金資産の算入上限の導入予定みたいなものも明記されるお考えなんでしょうか。

答)

基本的には「検討する」というふうになっているわけですから、どういう形で検討していくのかということは、これはやはり明示をしなければいけないのではないかなと思っています。

問)

現在の算入上限については、これはやはりパーセンテージとか、そういったもので考えていらっしゃるんですか。

答)

いや、それを検討するということであります。

問)

マクロの話なんですけれども、政府のデフレ脱却の目標なんですけれども、1年先送りするということを聞いていまして、大臣も28日の銀行との会談の中で、当面のデフレの解消目標年度を1年先送りするということを検討するということを仰っているんですけれども、なぜそういうことになったのか、その背景。それから、今後どういうふうなことで具体的に見直しされるのか。そこを教えてください。

答)

まず、銀行との懇談でそういうことは言っておりません。懇談でありますから、何を申し上げたかというのは、コメントは差し控えさせていただくことは申し上げておきますが、そういうふうに私が言ったというのは、これは正確ではないと思います。

ただ、いずれにしましても、これは国会等でも答弁をしたかもしれませんけれども、マクロの姿がどうなっていくかということに対しては、これまでと違って、小泉内閣は改革と展望を示して、それを定期的に見直す、ローリングするというふうにお約束しているわけですから、実際にどのような姿が想定されていくかということは、この改革と展望の議論の中できっちりと数量的な裏付けも含めて、議論して示していきたいと思います。

問)

当局として、前々から示されていた大手行は今年度中に10兆円のオフバランス化をやると、そういうのがあって、一方で、先日出てきた提言等、行政側の対応は変わりそうだという動きもあると。今この10兆円というハードルは、どのくらい高いハードルに大臣にとっては見えるんですか。あるいは、もう当然越えなきゃいけないハードルなのか、当然越えられるのか。もし具体的に仰っていただけるのであれば、どこまでいけそうなのか。その辺を。

答)

何兆円どうこうするというようなことは、これは金融庁としては何も言っていないと思います。どういうことを言っておられるのか分かりませんけれども、これはそういう議論はこれまでなかったというふうに承知しています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る