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- 平成14年7月~12月
- 竹中大臣記者会見要旨
竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録
(平成14年11月12日(火) 9時15分~9時26分 於)院内)
1.発言要旨
おはようございます。
閣議がございました。
閣議に関しまして、私の方から特にご報告申し上げることはありません。
今、金融庁の方では「金融再生プログラム」に関して、月内を目途に作業工程表をつくって公表するということをしておりますけれども、そういう作業を進めながら、他方、早急に対応可能な措置については順次実施に移していきたいというふうに思っています。
こうした考え方に立ちまして、先ほど、閣議後に第1回の産業再生・雇用対策戦略本部が開催されましたけれども、金融システム改革にあわせて、企業、産業の再生を強力に推進していくという観点から、3つの点に関して関係閣僚のご尽力をお願いしますということを申し上げました。
第1は、税制、投融資制度、商法の特例など企業再生に資する支援環境の整備。第2に、過剰供給問題に関する指針や企業再生基準の策定など過剰供給問題等への対応。そして第3に、早期事業再生ガイドラインの策定。そういった点にご尽力を要請したということであります。
なお、今日の夕方ですけれども、日本公認会計士協会に対しまして、「金融再生プログラム」への的確な対応をお願いしたいというふうに思っております。今後とも、「金融再生プログラム」の速やかな実施に努めていきたいと思っております。
一方で、本日、月例経済報告があります。明日、QE等々がありますので、この金融とマクロ経済の強化に向けた一体化に向けて、政策運営をしっかりとやっていきたいというふうに考えているところです。
私の方からは、以上であります。
2.質疑応答
- 問)
-
今朝、一部報道に、今後の公的資金の注入は、優先株ではなくて、原則として普通株の形式で行っていくというような報道がありましたけれども、この点について大臣の現時点のお考えをお聞かせください。
- 答)
-
そのようなことが金融庁で検討されているとか、あるいは決定されていると、ちょっとそういう事実は承知しておりません。「金融再生プログラム」を着実に実行していくということでありますから、工程表の策定、できるものからの実施、そういうことをしっかりとやっていきたいと思います。
- 問)
-
また、産業再生機構ですけれども、債権の買取り価格については、金融担当者として何らかのお望みがある点もあると思うのですけれど、どのように考えていらっしゃいますか。
- 答)
-
今日、第1回の本部で、準備室も立ち上がったところで、その制度設計の議論はまだまさに始まったところでありますから、そういう詳細について、今ちょっとコメント申し上げる材料は持っておりません。
ただ、基本的には「金融再生プログラム」の中でしっかりと資産査定をしていくということでありますから、いわゆる時価と簿価というのはほとんど一致していくはずでありますので、我々としてはやはりまずそれをやることが大事だというふうに思っています。
- 問)
-
ディスカウント・キャッシュフローなどを導入すれば、資産査定の厳格化として簿価と時価が近付くと、基本的にそういう考え方なのですか。
- 答)
-
もちろん、DCFだけではありませんけれども、資産査定をしっかりやっていくと。そのために、自己査定と金融庁検査の格差も公表して、しっかりとその格差を埋めていって欲しいということも求めているわけですので、そういう全体の資産査定厳格化の努力の中で簿価と時価が一致していくという状況を実現していきたいと思っています。
- 問)
-
産業再生本部なんですけれども、今日、総理からはどういった指示がありましたでしょうか。
- 答)
-
総理からは、基本的には、これは内閣を挙げてしっかりとやっていくようにと、基本的にはそういう指示でした。取りまとめ、再生機構については谷垣大臣にしっかりとお願いしたいと、雇用については坂口大臣、中小企業のセーフティネットについては平沼大臣にしっかりお願いしたい、そういうことも含めて全内閣としてやっていきなさい、そういうご発言でありました。
- 問)
-
関係閣僚から、特にご発言等は?
- 答)
-
関係閣僚からの発言はございました。私の発言は、先程も申し上げましたけれども、それぞれ基本指針をしっかりと作っていきたいということ、また同時に、そういうものが余り杓子定規のものになってはいけないだろう、硬直的なものになってはいけないというご指摘もありました。
それと、時期的にどのようなペースで進めていくべきかというような、これはご質問、コメントもありました。年内に基本指針とか、そういうものをしっかりと決めて、いろいろな枠組みについて通常国会で議論してもらえるようにというのが、これは谷垣大臣の方から方針としてお話がありました。
- 問)
-
大臣は先程公認会計士協会に対応をお願いすると仰いましたけれども、具体的にはどんなことをお願いするのでしょうか。
- 答)
-
「金融再生プログラム」の中で、いろいろな査定の問題等々をやっていくと書いていますけれども、特に引当に関するディスカウント・キャッシュフロー的手法の採用、引当金算定における期間の見直し、主にこの2点について、具体的な検討をお願いしたいというふうに思っております。
- 問)
-
早期企業再生で、基本指針というものですが、これがちょっと漠然としていてよく分からないのですけれども、どういうものなのですか。これを、産業再生機構の買取りの時にも使っていく基準として使っていくものなのかどうなのか、イメージは。
- 答)
-
イメージとしましては、再生機構が取り扱うテリトリーがどういうところにあって、それがどういう目的なりフレームワークで行われるかということを示すものになるのだと思います。
ただ、これに関しても、先程申し上げたように、これはやはりしっかり作らなきゃいけないという一方で、余り厳密に作り過ぎると柔軟性を失うということでありますから、それがどのようなイメージになるのかということに関しては、やはりこれから各閣僚の間で調整していかなければいけない問題だと思っています。
- 問)
-
それは、年内にですか。
- 答)
-
年内とはっきりと区切ったわけではありませんけれども、通常国会に必要な法律を出すということになりますと、やはりそういうものはある程度年内にやっておかなきゃいけない、そういうご趣旨だと思います。
- 問)
-
先日の北海道銀行を含めてですね、公的資金が無配になっている地銀がありますけれども、これを普通株に転換していくお考えはないでしょうか。転換していくとすれば、どういうケースが想定されるのか。その条件は、大手行と地銀とでは違うのでしょうか。
- 答)
-
まず、大手行に関しては、この「再生プログラム」にありますように、そうしたガイドラインをしっかりと作ろうということになっていますから、そこが重要な出発点であると思います。
一方で、リレーションシップバンキングについては、今後検討していくわけでありますので、どちらにしてもそういう枠組みというか機軸をしっかりとつくる中で考えていくべき問題であるというふうに思っております。
- 問)
-
優先株の普通株転換のガイドラインはいつ頃作るのでしょうか。
- 答)
-
これは、今、工程表でどういうことでやるかということを事務的に詰めている段階ですので、その中で結論を出していきたいと思っております。
- 問)
-
工程表の中には、いつ頃までにガイドラインは作るということは入ってくるということでしょうか。
- 答)
-
最終的にどういうイメージになるか分かりませんけれども、「再生プログラム」に書かれていること1つ1つについて、もちろんできることは、この間の格差の公表みたいに早くやっていきたいわけです。一方で、随分たくさんありますから、それぞれについてどういうスケジュールでどういう仕組みで議論するかということも踏まえて工程表で明らかにしていきたいと思っています。
- 問)
-
普通株転換のガイドラインというのは、基本的には既に金融再生委員会当時に出ていますよね。
- 答)
-
ええ。
- 問)
-
それを見ると、市場の評価が著しく低下した場合はこれをやるんだということが書いてあるんですけれども、それには該当しませんか。
- 答)
-
該当するかどうかというのは、どういう意味ですか。
- 問)
-
今の現状が。
- 答)
-
これは、今の国会でも答弁させていただきましたけれども、ご指摘のように、再生委員会の時のガイドラインがあります。しかし、それだけで十分かどうかということを含めてガイドラインの見直しを検討するということになっていますので、先程から言いましたように、その枠組みをまずしっかりと作ることが重要である、その中で現実を判断していかなければいけないと思っています。
(以上)