竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年11月19日(火) 9時41分~9時52分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議の内容そのものについて、私に直接関連する部分、私から特に報告することはございません。

閣僚懇で、その補正予算の論議等々が活発化しつつあるということで、何人かの大臣から、各省庁の意見をうまく集約して、よい方向に政策を持っていって欲しいというような趣旨のご発言がありました。財務大臣からも、そのようにしましょうということで、引き続き議論をしていくということであります。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

本年度の補正予算ですが、政府与党の調整が進んでいると思いますが、現在のところ、規模、内容について、どういった方向で調整が進んでいるのかということ。あと、大臣ご自身はどういった規模、内容が相応しいとお考えかについてお聞かせください。

答)

ご承知のように、昨日与党の三幹事長、三政調会長、それと、官房長官、財務大臣、私で会合の機会を持ちました。補正予算等々について、ある意味では初めての会合でありますけれども、昨日の時点では、財務大臣の方から、今の財政事情がいかに厳しいかということ、私の方からはマクロ経済の運営に当たっては非常に不確実な要因があるということを、一通りお話をしまして、それで意見交換を行ったという段階です。引き続き、それぞれ議論を持ち帰ってといいますか、引き続きどのような対応をすべきかについて、今議論を進めている最中だというのが現状でございます。

私自身がどう考えるかということでありますけれども、これは、基本的には短期的な経済の不確実性にどのように対応して、適切なマクロ経済運営を行っていくかという観点と、一方で、2010年代の初頭には、プライマリーバランスをやはり回復させるという、中長期の財政の健全化とを両立させなければいけないものですから、その狭い隙間をどのように担っていくかという点が大変重要であると、そのような視点から与党との話し合いを続けたいというふうに思っています。

問)

あと、日銀の政策決定会合ですが、代理の方が出られると思いますが、政府側としてはどういった立場で臨まれるんでしょうか。

答)

基本的には今日の議論を踏まえて対応をするということに当然なるわけでありますから、前半の現状分析、政策対応等を踏まえて議論を政府の代表として申し述べるということになるわけでありますが、基本的なスタンスとしましては、我々としては不良債権問題等々の金融の改革を政府としては進めていると、かつ、その財政面での対応についても議論を始めていると。そうした中で、やはりこれは中央銀行においても金融面においても金融の緩和を一層期待しているというところでありますので、そうした議論を深めていただきたいというふうに思っております。

ちょっと済みません。先程、私1点申し忘れたんですけれども、11月13日に預保の松田理事長とRCCの鬼追社長においでいただいて、「金融再生プログラム」について、RCCに関する部分の積極的な対応をお願いしたいということを申し上げました。これは先週の記者会見でそのことをここで報告していると思いますが、これを受けまして、RCCでは、まず企業再生機能の強化、民間の企業再生ファンド等々の連携強化について、具体的な対応措置の検討を含めて、今週中にも公表の見込みだというふうに私の方は聞いております。「金融再生プログラム」の速やかな実施ということを我々も努めていますので、その1点だけご報告を追加でさせていただきます。

問)

補正予算についてですけれども、与党から公共投資の上積みについて要望が出ているようですが、その点について大臣のお考えをお聞かせください。

答)

昨日の段階では、現状についての分析、意見交換をしただけでありますので、その上積みとかそういう段階の話ではないと承知をしております。まだ基本的な現状認識等々の意見交換をしているところです。

問)

それから、最近の大手銀行株の株安ですけれども、これについて、銀行の国有化や自己資本の脆弱性に触れた「金融再生プログラム」が原因にあるという見方が強まっているんですが、その点について、大臣のお考えはいかがでしょうか。

答)

基本的に、今の銀行に関しては資金面とか自己資本の面で、これはもちろん一生懸命不良債権の処理はしていただかなきゃいけないんですが、現状で、そういった健全性等々について問題があるというふうには思っておりません。

やはり我々がやるべきこと、銀行にもやっていただかなきゃいけないことは、基本的には「金融再生プログラム」を、「金融再生プログラム」というのは、資産査定をきっちりとやりましょうと、ガバナンスをしっかりとやりましょうということですから、これは恐らく資産査定をちゃんとやらないでおきましょうとか、ガバナンスを強化しないでおきましょうなどという議論は、これはあり得ない議論だと思います。そういうことをやっていくということは、これは当然必要な方向なのであって、それについて、その「再生プログラム」の具体化、これを「工程表」等々で詰めるところは詰めていくし、その具体化の中身を受けて、やはり銀行にしっかりした対応をしていただく、経営のシナリオをしっかりと示していただく。そういう中で、銀行の株に対しても、マーケットでやはり次第に正しい評価をしていただけるようになると。銀行の収益力向上等々の努力が示されて、それを市場が評価していくというふうになるというふうに考えております。

問)

今の大手銀行株、例えば竹中大臣が金融担当大臣を兼務されてから、UFJで7割、みずほで6割近く株価が下がっている、ちょっと尋常でない状況だと思いますが、なぜこういうことが起きたのかということですね。例えば、大臣は、マーケットとの認識のギャップを埋めるということを「金融再生プログラム」で具体化されたと思うんですが、とすれば、株価は上がってもおかしくないはずだと思うんですが、なんでこういうことになっているんでしょうか。

答)

個別の株価について、特に短期的な日々の変動についてコメントをすることは差し控えたいと思います。ただ、以前も申し上げたかもしれませんけれども、株式市場というのは、やはりその方向感を得るのに少し時間がかかるというのは、どこの国でもそうであるし、どの時代でもそうであったかと思います。よく例に出させていただきますけれども、スウェーデンで銀行に対して今は非常に高く評価されている政策をとってから1年間株は下がり続けたと。その後、突如上がり出して4倍ぐらいになったと。そういう株の方向感を得るためのタイムラグというのはやはりあるのだと思います。先程も申し上げましたように、「金融再生プログラム」を実行することによって日本の金融システムは間違いなく強くなると。その過程で、「工程表」等々でどのような細目でやっていくのかということをやはり明示して、それを受けて、銀行の方でも明解な収益力向上のための、健全化のためのシナリオを示していただく、そうした中で、長期の均衡価格、これはもっと高いところにあると、日本の株全体としてかなりもっと高い水準にあると私は確信をしておりますけれども、そういうところに向かった新しいダイナミックな動きが出てくるのであろうというふうに思っております。

問)

要するにタイムラグが問題だと思うんですけれども、ではそのスウェーデンとの比較で、政策発表をされてから1年間下がり続けたということですけれども、日本の今の現状は、これから中期的に株安の傾向は続くというご認識なのか、そこら辺はいかがなんでしょうか。

答)

これはそこが読めたら多分皆さん株式市場で非常に大きな利益を得ることが出来るのだと思います。中期的にはそういう動きが出てくるということは私は間違いないと思いますが、そういう正しい方向への流れを一刻でも早く実現するために、したがって、これはマクロ経済政策の観点から、デフレ抑制のためのしっかりとした措置も要るでしょうと。だから今、補正を含めた論議を始めているわけで、来年度の先行減税についても同じような視点が必要だと思いますし、何よりも、早く銀行の「工程表」等々で示せることを明示していきたいというふうに思っておりますので、これは早い時期にそういう方向感が出てくるということを期待をしております。

問)

資金繰り等の問題は出ていないんですか。

答)

そういうふうには全く認識しておりません。

問)

「工程表」は来週中ぐらいには出てくるんでしょうか。

答)

今月中という約束でありますので、そうすると来週中ということに多分、ほぼなると思います。ちょっとカレンダーが頭の中に正確に入っておりませんが、今月中には、11月中には出したいと思っております。

(以上)

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