竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年11月26日(火)9時18分~9時25分 於)院内)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議に関して、特にご報告申し上げることはありません。

閣僚懇では、来年2月にWTOのドーハラウンドに向けての非公式な閣僚会合が開かれるという点につきまして、外務大臣、経済産業大臣、農林水産大臣からご発言がありました。いずれにしても、協力して、この非公式会合そのものは交渉の場ではありませんけれども、閣僚レベルでこの重要問題に対して理解を深め合うという意味で大変重要であるので、閣内協力してやろうということになりました。

厚生労働大臣の方から、セーフティーネットの拡充に向けて、8月の概算要求の時にはなかった条件として不良債権処理の加速という問題が出てきているので、この点については、金融庁の方針と財務省の方針を一致させて、もちろん補正予算でやるわけでありますけれども、補正予算で出来ないものは来年度の本予算で柔軟に取り上げる等々、そういう方向でやってほしいというご指摘がありました。

私の方からは以上であります。

2.質疑応答

問)

今週取りまとめる「予算の基本方針」ですが、先週出された素案に比べまして、どの程度踏み込んだものになるのか、お話しいただきたいと思います。

答)

先週の素案ももうかなり完成に近かったと思いますけれども、その中で一部ペンディングになっていたようなところがあったと思います。そういうところを最終調整して、各方面と協議をして、何とか取りまとめのために努力をしたいというふうに思っているところです。

問)

昨日、経団連の奥田会長が、諮問会議の民間議員について、1月以降も他に適当な方がいらっしゃらなければ、自分が続けるかもしれないということを仰っていたんですが、1月以降の民間議員4人の顔ぶれについて、大臣は今の時点でどういうお考えがあるのかお聞かせください。

答)

奥田さんの発言はちょっと存じ上げておりませんが、民間議員の4名の方々はこの2年近く、本当に良くやっていただいているというふうに思っておりますので、皆さんそれぞれ大変お忙しいとは思うんですけれども、総理、官房長官とご相談をして、1月が任期でありますから、近いうちに方針を打ち出したいと思います。

問)

昨日、銀行決算が発表されまして、各行のリストラ策とかが発表されました。UFJにいたっては、新旧分離のようなこともあったようですが、こうした各行の経営合理化の努力についてどのように評価されますか。今後も更に必要だと思われますか。

答)

それぞれの一つ一つについて、詳細の報告をまだ私自身は受けておりませんのですけれども、一般論として申し上げれば、やはりこういう個々の経営努力の積み重ね以外に銀行を強くする方法はないわけでありますから、こういう方法が積み重ねられていくということは重要な方向であるというふうに思っています。

我々の方としては、今週中にもその「作業工程表」を明らかにして、行政としてはこういう考えでやっていくということを明らかにしたいと思いますので、銀行の方においても一層の経営努力を重ねられて、そういった努力が結実していくということを期待しています。

問)

産業再生・雇用対策戦略本部の第2回の会合が開催されますが、基本方針の取りまとめに当たって、大臣は何を望まれますか。

答)

これは非常に重要な方向を少しずつ今決めていっている段階でありますから、どれも大変重要なポイントなんだと思っています。ただ、その仕上がりに向けて、特に私自身やはり注意しなければいけないなと思っているのは、何といっても、やはり民間の人材、民間の知恵、広い意味での民間の活力をいかに結集できるかということだと思っています。国家機関が丸抱えでできるということでは、性格上は基本的にはないと思います。官民合わせて資源を総動員しなければいけないという意味で、国が旗振りをするわけでありますけれども、やはり民間の自由な活力が生かされるような組織になるように、そういう仕組みになるようにぜひ努力をしたいと思います。

問)

ちょっと細かくなりますが、プログラムの中に盛り込まれていました中小企業のセーフティーネットに関して、Jローンとか信託会社の件については、これは法律があるのですが、かなり古くてですね、現状ではなかなか扱い難いと思うんですが、これについて取りまとめの見直しなどについてはどうですか。

答)

これは、既にRCCの方に依頼した事項の中に入っております。その中でしっかりと議論されるということになってくるというふうに思いますけれども、そういうものも含めて、「作業工程表」の中で、これ全ての問題について手続きがありますから、措置済みのものと、それとこれから速やかにやっていくもの、年度内にやっていくもの等々、これはJローンだけではありませんけれども、包括的に明確にしていきたいと思います。

問)

産業再生機構本部の話なのですけれども、2つありまして、1つは、買取価格に対する問題意識をお伺いしたいということ。もう一つは対象企業についてですが、塩川大臣は大企業優先とおっしゃっておりますけれども、一方では谷垣大臣は中小企業が優先だとおっしゃっていますが、これはどうなるのでしょうか。

答)

これは本当に詰めなければいけない、いずれも重要なポイントだと思います。そのものが制度設計の中核をなすような問題だと思いますので、これは各大臣とじっくり話し合いたいと思います。

ただ、方向としてやはり考えられるのは、買取価格そのものは資産査定をきっちりとやっていけば、簿価と時価の区別というのはなくなるわけでありますから、金融庁の立場からは、だからこそ資産査定をちゃんとやるような仕組みを作っておきたいと。そうすると、簿価、時価というような議論をそもそもする必要はなくなるわけでありますから、そこが金融庁としてはやはり大事なポイントであろうと思います。

それと、対象をどうするかということも、これも組織の大問題でありますけれども、私はこれだけと、この分野だけということでは必ずしもないんだと思います。可能性は排除しないということだと思いますが、当面のプライオリティーがどこにあるかということは、これはまた別途考えなければいけないことでありますから、そういう意味では、今各大臣が仰っているような点というのは、いずれは収れんしていくんだろうというふうに思います。

問)

生保の予定利率が引下げられるという話についてと、保護機構の延長についてなんですけれども、改めて大臣はどのようにお考えですか。

答)

生保の問題というのは、一部報道では何か金融庁によって決定したというふうな報道があるようでありますけれども、金融庁としては、今生保の問題を幅広く勉強しているところでありますので、その勉強していく中で、今ご指摘のような重要な点もぜひ議論を深めていきたいというふうに思っているところです。

問)

そうすると、今の時点で、予定利率の引下げをする場合のメリットと言うか、もしするならば、どういう点ですべきであるか。またしないなら、どういう点からしないというお考えというのをお聞かせいただけませんか。

答)

これはまだ検討中のことでありますから、すべてのいろいろな可能性、すべてのやり方にはそれぞれメリット、デメリットというのがありますから、そういうことを含めて、今幅広く勉強をしているところだということです。

問)

今週末の「工程表」では、リレーションシップ・バンキングについてのアクションプログラムというのは、ある程度の方向性は示されるのでしょうか。差し支えのない範囲で教えて下さい。

答)

何度も申し上げていますけれども、「工程表」というのは政策の方向性を示すものではありません。政策の中身そのものは、「金融再生プログラム」の中で書けることは全部書いております。それをどのような事務手続きでやっていくかということでありますから、例えばリレーションシップ・バンキングについてはどういうところで議論するかと、そういうことを決めるものでありますから、政策の中身の方向性等々について、それはもう「金融再生プログラム」の中に書かれた以上のものはないというふうに考えていただきたいと思います。

(以上)

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