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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年12月17日(火) 14時17分~14時35分 於:金融庁会見室)

1.発言要旨

遅くなりました。今日は閣議がございました。閣議では、私に直接関連するものとして、先般諮問会議で決定いたしました政策金融のあり方についてのご報告を閣議でいたしました。閣僚懇では、公務員の早期退職慣行の是正の話が出まして、幾つかの意見が交わされましたけれども、総理からは、これは早期退職慣行の運用の問題であるから、みんな知恵を出し合ってしっかりと、これは運用の問題なんだと、柔軟にしっかりと、変えて行くべきところは変えて行きなさいというお話がありました。

今日はその後、日銀の金融政策決定会合に出席をいたしました。全員一致で現状維持ということであります。即ち、当座預金残高が15兆円から20兆円程度となるよう金融市場調整を行うということ。なお、資金需要が急激に増大するなど、金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行うということであります。

その他に、企業金融円滑化策、企業金融を円滑化するための策として、証書貸付債権の担保拡大及び資産担保コマーシャルペーパーの適格基準緩和の決定がなされています。これらについては、企業の資金調達の円滑化に資するものとして、これは評価をしたいと思います。

私の方からのご報告は以上であります。

2.質疑応答

問)

今朝、塩川大臣が日銀総裁は民間人がいいというような発言をしたんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

これは小泉総理の人事政策全体の中で、政府系の金融機関についても民間の柔軟な発想を入れたいということは以前から言っておられますし、私も民間人で適切な方がいらっしゃれば、それは大変好ましいことであるというふうに思います。

問)

政策についてはどうでしょうか。インフレターゲットとかそういう政策を持っている人がいますけれども、そういう思い切った政策が出来る人がいいというふうにお考えでしょうか。

答)

インフレターゲット、インフレ目標論というのは、非常に何かシンボルのように議論をされていますけれども、インフレターゲット論というのは、あくまで1つの手段であります。重要な点は、今日の難局に当たって、この厳しい局面を打開するために積極果敢な金融政策を打ってくれるような方が日本銀行を引っ張っていってほしいと、それに尽きているのだと思います。インフレターゲット云々というような1つの問題にとらわれることなく、そういう一種の行動主義というか、アクティビズム、そういうものを期待をしているところです。

問)

竹中総裁という説もまだ根強いんですけれども、いかがですか。

答)

これは幾らなんでも大臣を2つやっているわけですから、そんなことは100%あり得ないと思います。

問)

あと、金融PTを廃止するという報道がありましたけれども、その辺の事実関係はいかがでしょうか。

答)

金融の例のプロジェクトチーム、世間では竹中チームと呼んでいるようでありますけれども、これは10月に短期間で、あの厳しい状況の中で「金融再生プログラム」をまとめるに当たって非常に大きな役割を果たしてくれました。ちょっとこれはオーバーかもしれませんけれども、あれだけ短期に集中的に、あれだけ大きな決定をする貢献をした、ちょっと日本の政策史に残るのではないかというふうに私は思いますけれども、その5人の方々の貢献というのは非常に大きかったと思います。ある意味では、あの5人の方々はこの金融改革のDNAそのものであると思います。あの金融改革に資してくれた5人の方々が、今後タスクフォース、様々な制度改革を議論する金融審のワーキンググループ等、それぞれに散らばっていって、引き続き金融改革をリードしてくれるというのが自然の姿であると思っております。

問)

その中で木村さんがタスクフォースから外れるという報道もありましたけれども。

答)

これはまだタスクフォース、ワーキンググループ、それぞれどのような形でこの5人の方々に引き続きやっていただけるかどうかというのは、まだ議論をしております。いずれにしても、タスクフォースも重要だし、自己資本の議論をするワーキンググループも重要だし、リレーションシップバンキングを議論するワーキンググループも重要だし、それぞれ極めて戦略性の高い場が複数ありますので、その中にこの金融改革のDNAの皆さんには、やはり重要な仕事をしていただきたいと思っております。

問)

今日、朝銀の受け皿のハナ信組で総代会が開かれて、日本人の理事長が選出されると思うんですけれども、その条件が整えば公的資金を入れる手続きに入るんでしょうか。それと、その場合、2次破綻とか不正送金の問題というのが指摘されているんですが、それに対して金融庁の方ではどのような対処を考えておられるのでしょうか。

答)

基本的には、今総代会でその人事の調整、人事の透明化、そういったことも含めて最終的な調整と意思決定がなされているというふうに承知をしています。したがって、それをまず待ちたいというふうに思うわけですけれども、金融庁の対応としては、事業譲渡契約が行われたのちであるならば、それ以降は法令に則って、厳正に手続きに則って審査をして、しかるべき判断をするということになろうかと思います。いずれにしても、現状はまだ進行形でありますから、それをしっかりと見守りたいということ、それと、事業譲渡契約が結ばれたならば、それをしっかりと審査をしたいということだと思っております。

問)

今日の決定会合では、大臣ご自身はどういったご意見というか、主張というか、また、それに対して各審議委員からはどういった議論が、公表できる範囲で結構なんですけれども、いかがでしょうか。

答)

実は私も行ってみて気が付いたんですが、金融担当大臣を兼務してから、なかなか日程が合わずに、この政策決定会合に出たのは今回が初めてだったんですね。金融改革に関しては、日銀の速水総裁を初め、皆さんからもいろいろご支援をいただいているし、そのことに関して感謝を申し上げて、この金融改革は是非ともしっかりとやっていきますので、引き続きご協力をお願いしたいと、その経緯のお話等々もご報告いたしました。

更に、最近の政府の政策の状況についてはかなり詳しくお話をしました。補正予算、先行減税、どういうマクロ運営の理念に基づいてこういう政策を立案、決定に至ったのかということ、更には来年度の予算編成に対する考え方、経済運営に対する考え方全般を述べさせていただきました。その上で、やはり「改革と展望」の中で今議論しつつあるように、デフレの克服、抑制というのが実は大変重要なポイントになってきていると。その過程で金融政策に対する期待は非常に大きいのだというお話をいたしました。

実は昨年、かなりもう、これは1年ぐらい前だったかもしれませんが、政策決定会合で、私の方から、いろいろな金融政策に関して、これは難しい、これは困難である、いろいろな声が日銀からは聞こえてくる。その限りにおいては理解できることも多いんだけれども、では一体日銀としてはどのようなシナリオでデフレ克服をしたいと考えているのか。日銀としてのシナリオをぜひ聞かせてほしい、そういう話を以前したことがあるんですが、やはり今まさにそういうことを議論すべき時ではないのかということを申し上げました。この政策に対しては賛成、反対ということではなくて、どのような政策、そのためにはもちろん政府もやらなければいけないわけですね。しかし、その不良債権処理は我々しっかりやりますと、財政についてもぎりぎりの運営をしておりますと。その上で我々としては金融政策に対して期待をしているわけで、日銀としては一体どういう政府の政策と自らの政策によってデフレを克服したいのか、そういう議論をぜひ展開をしていただきたいというお願いをいたしました。

議論の中では、日銀の政策審議の中でも、これまでの伝統的な政策手段を超える方法があるか、あるやなしやというような積極的な議論も行われておりますし、日銀のそういった、先程もアクティビズムという言葉を使いましたけれども、そういった意味での行動主義を期待したいと思っております。

問)

IMFの金融審査についてなんですけれども、IMFが4大メガバンクを含む個別行から、不良債権などについてヒアリングを行ったということですが、この件について、大臣はどのような報告を受けていらっしゃるのでしょうか。

また、これはかなり異例な事だと思うんですが、これについて大臣のお考えをお聞かせください。

答)

最新の情報を私もまだ聞いておりませんのですけれども、例のFSAPを今粛々とやっているというのは承知をしております。4大メガバンクの一部にヒアリングがあったということもどうも事実のようでありますが、そのこと自体は決してそんな特別なことではないと、諸外国の例等々でも別に異例の事ではないというふうに思っております。FSAP、今どのようになっていくか、これも粛々とやっていただいたらいいわけでありますので、見守りたいと思います。

問)

先程のプロジェクトチームの件なんですが、プロジェクトチームの5人の方は、いずれもタスクフォース、あるいは金融審のワーキンググループの方に入られるということを、先程の発言では仰っていたんでしょうか。確認なんですけれども。

答)

これはまず何といってもご本人の了解が要りますから、ご本人の了解が、まだ最終的にどのような形になるか、我々も最終案を決めておりませんし、ご本人の了解もとっておりませんが、私としてはそのようにお願いしたいというふうに思っております。

問)

公的資金注入の際の一般の株主の責任について、大臣のお考えをちょっと教えて欲しいんですが。

答)

今日の新聞に載っていたことだと思います。しかし、これは個別に判断しなければならない要素がたくさんあるというふうに思っておりますので、今日の新聞に載っていたようなそういった決定があるというふうには、決定がなされているということでは全くございません。これは公的資金のあり方等々含めて今後議論されていくべき問題であると思います。

問)

最近の世論調査で小泉内閣の支持率が少し下がって、経済運営のあり方についても意見が出ているんですけれども、竹中大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

国民はやはり総理なり我々なりがもっと先頭に立って改革を更に加速していけということを期待しているのだと思います。改革が間違っているから支持率が下がったとは全く思っておりません。もっと改革に対して馬力を上げてやっていけというような1つのメッセージだと思っておりますので、年末から新年にかけて更に頑張りたいと思います。

問)

先程の日銀の決定会合の関連なんですけれども、日銀にシナリオを聞かせて欲しいと提案されて、日銀側からは何か答えはあったんでしょうか。今後その場として決定会合の場で議論されていくことになるのでしょうか。その辺をお伺いできますか。

答)

これは決定会合の場でということでは必ずしもないと思います。何らかの形で、それは日銀の調査部門がやるのか、政府の場合は「改革と展望」を毎年閣議決定していくという中で、その展望、ビジョンを示すというのが仕組みの中に組み込まれているわけですね。もちろん日銀の場合はそういうことではありませんから、どういう形で示されるのか、これは日銀に考えていただいたらいいと思いますが、いずれにしても、政策論を一体となってしていく以上は、そういうことは全体としての姿をどのように描いていって、その中で政府と日銀がそれぞれどのような役割を果たしていくべきとお考えなのかということは、ぜひ前向きに議論をしていただきたいと思います。

問)

名目成長率の件なんですが、2年ぐらいの間、具体的にやったらどうかという考え方もあるようですけれども、そこは具体的にそういう議論であるとか、少し竹中さんのお考えをお聞きしたいんですけれども。

答)

名目を2年……

問)

名目成長率、いわゆる名目の、実質ではなくて、名目の指標ベースで、インフレターゲットにも絡んでくると思うんですけれども、実質ベースではなくて、名目でどうかという、名目の成長率ですね。

答)

ひょっとしてそれは名目成長目標を掲げたらどうかと。そうすると、そこには実質成長目標とデフレーター目標が一緒に入ってくるかという、そういうご趣旨ですか。

問)

そういうことですね。

答)

これは2つの目標を同時に掲げることですから、技術的にそんな簡単なことではないですね。今も決してそういう意味では成長の目標値を掲げているわけではないわけで、我々としては、「改革と展望」にしても政府経済見通しにしても、こういうような政策を行って経済を運営していきたいと思っていると。その際に想定される姿がどうであるのかというのを数値として示しているわけですので、それ以上、その基本的な性格を変えるということは考えておりません。

ただ、その想定される姿の中には、これは今年の「改革と展望」を見ていただいてもわかりますように、実質と名目両方書いているということで、したがって、その意味では実質成長率も、それと物価の動向も両方、更には失業指標まで含めてですけれども、政策運営のスコープの中には既に入っているということだと思っております。

問)

今日の日銀の決定を受けて、更に金融緩和を求めていかれるのか、それともこれである程度抑止策を評価されるのか、いずれでしょうか。

答)

我々としては企業金融に関する部分は新しい試みとして、その効果のほどはまだ我々にもよく煮詰めきれていないところはありますが、やはりぜひ評価をさせていただきたいと思います。その上で、やはりキーポイントになりますのは、マクロ金融政策でありますし、結果的にマネーがどのように増えていくかということでありますから、引き続き日銀といろいろなことを議論していきたいと思いますし、決定は独立して日銀が行うわけでありますけれども、その成果に引き続き期待をしたいと思います。

(以上)

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