竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成15年1月17日(金)10時40分~10時50分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。私の方から出張の報告を若干させていただきました。その他には20日の財政演説の検討等も行いましたが、特に申し上げることはございません。

以上です。

2.質疑応答

問)

「金融再生プログラム」に基づいて、特別検査の再実施が近いと思います。対象あるいはどういうことをポイントに特別検査を実施されるか、お考えを教えてください。

答)

現時点で、前回から大きく変える点を私のレベルで指示していることはございません。前回申し上げましたが、この特別検査は、銀行が査定を行うのとリアルタイムでしっかり行う、またそれを継続して行うところに意義があると思っております。もちろん、現場レベルで、検査の担当レベルで少しでも制度を良くしようということでいろんな努力をしているわけでありますけれども、前回と比べて非常に、ドラマチックに違うことをやろうということではありません。

問)

来週ダボス会議が予定されていると思いますが、現時点でご出席されるのかどうか、あるいは米国初め各国の経済閣僚と個別に会談する予定があるのか、現在での予定を教えてください。

答)

現時点では、特にまだ何も決定しておりません。ダボス会議の意義というものは大変重要であると思っております。一方で国会の日程の制約等々もありますので、今いろんな方々とご相談をしているところです。

問)

三井住友銀行がゴールドマンサックスから資本調達するわけですけれども、外資と日本のメガバンクが連携というか提携することについてどのように見ていらっしゃいますか。

答)

個別の問題でどうこうということはありませんが、一般論として外資と云々というような特別な見方は特に持っておりません。これは、やはり新しいビジネスモデルを作ると、自らの競争力を強化するために、結果を出すためにいろんなことをメガバンクもしているわけですから、ぜひいろんな、最大限の可能性を考慮してガバナンスの強化、収益力の向上、いろいろ努力をして欲しいと思っています。

問)

ハザマ等ゼネコンが、バッドカンパニーの分割ですとか統合に向けた動きが見られるんですけれども、「金融再生プログラム」の影響がどのようにあるか、お考えをお聞かせ願います。

答)

まず、個別の問題については新聞報道等々で報じられておりますけれども、基本的にはまだいろんなことを検討している段階であると聞いております。したがって、個別のことについてコメントすることは出来ないのでありますが、ほぼ連日のようにいろんなことが報道されている。これは基本的にやはり各行の資産査定の厳格化、コーポレートガバナンスの強化という方針に沿って、様々な努力がなされつつあるという一つのサインであろうと思っています。しかし同時に、個別の問題についてはやはり詳細をしっかり見たいと思いますし、何よりも結果を出すということが重要でありますから、「金融再生プログラム」の狙っているところ、求めているところに沿って、ぜひとも各行にはしっかりとやってほしいと思っています。

問)

金融政策に関連してお伺いします。1点目は、来週の日銀の金融政策決定会合にご出席されるお考えがあるのかどうかということ。もう1点は、インフレターゲットに関する議論の政策効果について。反対される方は達成手段がない中では、期待インフレ率を上げることはできないというように仰います。また、無理なことをやれば中央銀行の信用の低下につながるといったことで反対されるんですが、政策効果という意味においてご意見伺えますでしょうか。

答)

まず最初の政策決定会合については、国会日程との関係で今回は難しいのかなと思っております。

2番目の効果の議論。これはもう専門家の間でも相当の、しかも第1級の専門家の間でも意見が分かれているところでありますから、それぞれに効果があると、効果が期待出来ると、それぞれの言い分にうなずける点はそれぞれにあると私自身も思っております。

ただ重要な点は、いつも申し上げておりますように、結果としてマネーサプライがもっと増える状況が出現して、その結果としてデフレを抑制する効果が働くと、これはやはり私はそのことを否定している意見というのは聞いたことがありません。マネーサプライを増やさなくていいとか、マネーサプライと物価が全く関係がないとか、そういうことの意見を私は聞いたことがありません。その意味では、マネーサプライが増えるような形にもっていく、そのためにどういうやり方があるかということですから、ここは幅広く議論をすれば良いのだと思います。

問)

昨日、自民党に「改革と展望」の案をお示しになっていると思うんですけれども、その中でお聞きしているところでは、財政健全化の目標とかデフレ克服の目標、いずれもかなり後ずれすると、昨年示したものと比べてですね。政策の強化ということが必要になってきていると思うんですけれども、一方で構造改革がなかなか結果が見えない中で、税収増もなかなか図ることが、消費税引き上げということも小泉さんはやらないと仰っている。ちょっと政策の手詰まり感があるような雰囲気がかなり濃厚になっているんですけれども、ここをどうブレークスルーしていくかということに関してちょっとお聞かせください。

答)

政策の手詰まり感という言葉がよく使われるわけですけれども、これはもう当初からこれはもうナローパスであると、そんなに打ち出の小槌のような政策はなくて、非常に狭い道を非常に限られた政策手段の選択肢で歩まなければいけないということは、これはもう覚悟していたことであります。だからこそ、この「改革と展望」のようなビジョンの策定にあたっては、常に最新の情報に基づいて見直しを行っていく、つまりローリングを行っていくということが必要だというふうに考えていたわけで、そのローリングを今回その「改革と展望」の中で行っているわけです。その意味ではやはり構造改革を進める、しかも財政赤字がこれだけ膨らんでしまっていて、不良債権を銀行部門が抱えていて、企業のバランスシートが傷んでいて、過去十数年の負の遺産を全部背負って今の内閣の政策、今の日本経済があるわけですから、そこはもとより覚悟の上であると。しかし、それを越えていかなれければ日本の経済の展望が開けないと、じゃあ荷物が重いから政策選択肢がないから、じゃあどうしたらいいのかという選択肢は別にどこからも何も示されていないわけで、するとやはり粘り強く構造改革を進めていくということに尽きるのだと思います。

問)

今日から政府税調が議論を始めますけれども、今年のテーマとして、例えば消費税ですとか法人税ですとか、どういった形で見直されるべきか、改めて考えをお伺いしたいんですけれけども。

答)

この点は、我々も1月20日に経済財政諮問会議の第1回の会合を開きますので、そうした中で各議員のご意見も伺いながらいろんな対応策を考えていく必要があると思っています。ただ、重要な点は、シャウプ税制以来の抜本的な税制改革を行うというふうに決意をもって、それが15年度から第1年次としてスタートするわけでありますから、税制改革は今始まったばかりであると。昨年まで議論した抜本的な改革の中身、これを活性化をするために広く薄い税制、納得のいく税制、簡素な税制ということですから、これまで基本方針として定めてきたことを次の年次の目標としてどのように実現していくかと、そういう大きなフレームワークの中での議論が必要になっていると思っています。

(以上)

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