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竹中金融担当大臣記者会見の概要

(りそな銀行の15年3月期決算の業績予想修正について)

(平成15年5月17日(土) 17時31分~17時46分)

【冒頭大臣より】

それではご報告いたします。先刻、りそな銀行より金融庁に対しまして平成15年3月期決算における同行の自己資本比率が、健全行の国内基準である4%を下回る2%程度となるとの報告を受けました。政府としましては、りそな銀行の自己資本比率の低下が、我が国やりそな銀行が業務を行っている地域の信用秩序の維持に重大な支障を及ぼすことのないよう、万全の措置を講ずる必要があると考えております。このため本日18時30分より、金融危機対応会議が招集されることとなりました。同会議におきましては、預金保険法第102条第1項第1号の措置、すなわち資本増強に関し必要性の認定を審議する予定でございます。

なお日銀法第38条第1項の規定に基づき、万一の場合必要があれば、いわゆる日銀特融を行うよう財務省と共同で要請をしたところでございます。

りそな銀行においては現時点で流動性に問題がある状況にはありませんけれども、政府として引き続き万全の対策を図る所存でございます。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

今回、預金保険法102条に基づく初の危機認定ということになると思うのですけれども、まず今回の認定に至る経緯についてお話いただけないでしょうか。

答)

まず必要性の認定を審議するために会議を開きますので、その結果につきましては会議が終わりましてから改めて詳細に報告をさせていただこうと思います。いずれにしましても先刻、本日ですけれども、りそな銀行から冒頭で申し上げましたような自己資本に関する報告を受けましたので、政府としても責任を持ってしっかりとした対応をして行きたいというふうに思っております。

問)

今回は自己資本不足になった原因として、繰延税金資産の計上を十分認められずに監査法人から指摘されたということが原因と言われていますが、これは去年の秋に作られた「金融再生プログラム」で盛り込まれたものが厳格に適用された結果ということも言えると思うのですけれども、そのことについては大臣はどのようにお考えですか。

答)

ここに至る経緯については、今、詳細にまた検討しておりますので、後程またお話させていただく機会があるかもしれませんが、繰延税金資産の扱いそのものに関しましては、ご承知のようにそもそも「金融再生プログラム」において書かれていることは極めて単純明快でありまして、「ルール通りにやって下さい」と、それをしっかりと監査法人には見て下さいと、そういうことでありますので、これはもう以前からも監査法人においてしっかりとそうした検討が行われて来ていたものというふうに認識をしています。

問)

これまで3月危機だとか言われて来た時に、「危機は絶対に起こさせない」ということで首相も含めてずっと言われてきたわけですが、今回こういう危機対応会議を開くということで、ある意味で政府の方で危機を宣言したという形になりますので、それは今後他の金融機関への金融システム不安が拡大することも懸念されると思うのですけれども、そのことについてはいかがですか。

答)

そこは是非、非常に正しくご認識をいただきたいと思うのですが、これから会議を開きますが、今回議論する措置というのは破綻に係るものではなくて再生に係るものだということです。再生を議論するのだということであります。それと今、「危機か」と言われると、先程申し上げましたように流動性の問題、預金の問題等々は生じていないわけで、今、危機であるとはもちろん認識をしておりません。しかし放置しておくと問題が生じるかもしれないので、危機を未然に防止するために会議を開くわけですから、そこは正に危機を起こさせない、危機を未然に防止するためにこういう対応を政府としてしっかりと取っているという、この点を十分ご認識いただきたいと思います。

問)

公的資金投入の額なのですけれども、これはどのように決められるのか。例えば額の妥当性については、りそなの方の意見を尊重するのか、それとも金融庁の方で決めるのか。国際基準行の枠にするのか、国内基準行の枠にするのか等、お願いします。

答)

これからその必要性の認定を審議するわけでありますので、必要性と、それから更に先の議論、今仰った規模の議論等々、これは会議を踏まえてご報告すべきことがあればご報告をさせていただくつもりです。

問)

それを決められる日程の目途などはありますか。

答)

そういうことも含めてこれから会議を開いて審議をしたいと思います。

問)

危機対応会議の後に正式にりそなの方が申請すると思うのですけれども、それは来週に持ち越すという可能性もあるのでしょうか。

答)

お尋ねの件は手続き論でありますので、まず認定の議論を今しようとしているわけでありますので、その認定の議論を踏まえて手続き的なものについてもその中でしっかりと議論をして行きたいと、速やかにご報告すべきことがあればご報告をしたいと思います。

問)

確認なんですが、現在、りそなから来ているホールディングスと子会社のそれぞれの自己資本比率を正確に教えて下さい。

答)

りそなホールディングスが決算内容をこれについて発表すると聞いておりますので、詳細については、りそなホールディングスの方に聞いていただきたいと思います。

問)

2点聞かせてください。今金融危機ではないというお話がありましたけれども、放って置くと危機が来るというのは現時点で既に危機ではないのかという質問が一つと、この枠組みではなくて、例えば銀行法の早期是正措置とか、別の手でとりあえず対応するというお考えはなかったのか。この2点についてお聞かせください。

答)

我々としては、予てから申し上げてきましたように、金融から経済の底割れを絶対に起こさせないと、そのことが政策運営上大変重要であるというふうに思ってまいりました。今もそのことを強く思っております。そうした観点に立って我々の判断としまして危機を未然に防ぐためにこの金融危機対応会議を開かせていただくというふうに結論したわけであります。

問)

これまで業績予想などで十分な健全性を保っていたとしている銀行が2%程度に一気に落ちると、このことにおける繰延税金資産の性格というものについて一般的にお伺いしたいのと、あと、これはりそな固有の問題なのか、それとも他の銀行にも共通する問題なのか。この2点をお願いします。

答)

これまで報告を受けていた自己資本比率と今日受けた自己資本比率の間、低下の主たる要因が何であったのかということに関しては、今精査をしております。したがいまして、これについては別途ご報告していただきたいと思います。それとは切り離した形で一般論として繰延税金資産について性格をどう考えるかということでありますが、我々はこれについては、当初からこの資産性についてしっかりと議論をしようということで、金融審でワーキンググループを作って問題意識を持って議論をして来たところでございます。これについては引き続き、これは正に日本の専門家を集めて議論をしていただいていますので、しっかりとした議論を行ってもらいたいというふうに思っております。

現状において、他においてこういった問題があるというふうには思っておりません。そういうふうには聞いておりません。

問)

今回、102条の運用という形で公的資金を仮に投入するとすればですね、今金融審で正に話し合っている新しい予防的な注入の枠組みということを話し合う必要性がそもそもどうなるのかと、これで入れられるのだったら金融審で話し合う必要がないのではないかという話になりかねないと思うのですが、その辺はどういう見通しを持ってらっしゃるのでしょうか。

答)

そもそも金融審のワーキンググループで議論しているのは、今の法律の枠組みで対応をすべきこと、対応できること。しかしそれ以外に対応をする必要があるのかないのか、その必要性を含めて審議をしていただいておりますので、今回こういうことだから議論そのものが必要がないということでは全くないというふうに思います。そういうことが必要かどうかも含めて専門家に検討していただいているということです。

問)

今まで投入した公的資金ですが、優先株と劣後債と合わせて1兆1,000億円余りあると思うのですが、この取り扱いは、仮に追加投入するということであればどういうことのなるのか。減資という形をとられるのか、その辺をお聞かせください。

答)

繰り返し申し上げますけれども、まずその必要性の認定をこれから議論するところでありますので、その認定の結果がどうなるか。それを受けて、今度は具体的な制度設計と言いますか、スキームをどうするか、これはちょっと2段階で分けて考えなければいけないものであるかと思いますので、まずしっかりと今日の6時半からの会議でその必要性の認定、そうした問題についてまず議論をしたいというふうに思います。

問)

りそなの問題で、繰延税金資産の取り扱いを巡る金融庁の姿勢と言いますか、それは一貫したものなのでしょうか。

答)

先程の答とも関連しますけれども、金融再生プログラムの中で明記していますように、これは公認会計士協会の実務指針に則って、しっかりと企業がまず対応するのだと、その実務指針に則ってこれは監査を行うものだということであります。その決算ないしは監査に対して、特に監査人の判断に対して我々は一切口を挟む立場にはありません。独立した監査法人がプロフェッショナルとして独立した立場で判断をすることであると。我々はそうした結果を受けて今度は金融の監督の立場から何をするかということを、これは今度は私たちの問題としてしっかりと議論をしなければいけない。そういう関係にあると思っております。

問)

今回の措置なんですけれども、大臣の進められてきた金融再生プログラム、金融を再生して行こうということで、去年の秋以降おやりになっているわけなのですが、そういう流れの中ではこれは改革の一歩となるのか。位置付けについて、そういうふうに位置付けられるのか、大臣のご認識をお伺いしたいのですが。

答)

今回の対応そのものを以ってですね、改革云々ということを評価できるかどうか、私には定かではありませんが、私達としては再生プログラムにおいてしっかりとした枠組みを作った。今回の措置は、その枠組みの中でそれをしっかりと行政の立場で運用、実行していくものでありますから、そこについてはしっかりと枠組みを作って、しっかりと実行していく。その行政の私達の政策当局の基本に則って間違いない行動をしていきたいと思っております。

(以上)

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