竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年5月23日(金) 9時45分~9時58分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議、閣僚懇で、特に私の方から報告することはございません。

2.質疑応答

問)

北海道銀行と北陸銀行が来年度を目途に経営統合するという方針が明らかになりましたけれども、地域的に離れている地銀同士の経営統合をどのように評価なさるか伺います。

答)

新聞報道は承知をしておりますけれども、当事者からの正式の発表は特に何も聞いておりません。ちょっと今の段階でコメントは差し控えさせていただきます。

問)

両行とも公的資金が入って、かつ北陸はもう既に優先株の範囲で議決権が発生して、北海道銀行も今度の決算でそうなりますけれども、そういう状況で何も連絡が入ってないということなんですか。

答)

いろいろなことを常に経営革新のために当事者は考えておられますが、正式に発表するという段階には至っていないということです。従いまして、ちょっと今の段階ではコメントは差し控えさせていただきます。

問)

東京都の新しい銀行の構想がだんだん明らかになってきていますけれども、一方で政府系の金融機関、あるいは郵貯のあり方が議論されて、民業圧迫じゃないかと、そういう批判もある中で、新たにこういう自治体が銀行経営に乗り出して来ることについて、どのように見てらっしゃいますか。

答)

これも同じような答えになってしまうのですが、新聞報道では承知しておりますが、正式の発表はまだ当事者からもないというふうに聞いております。従いまして、個別にちょっとコメントすることは出来ないのですが、一般論としてあくまで申し上げれば、我々としてはこの銀行業界、金融業界を活性化させるような新規参入は、当然歓迎する立場にあります。そのことは「金融再生プログラム」の中にも書いてますし、就任当初から私も色々なところで申し上げてきたつもりであります。この業界を活性化させるような、そういう新規参入については、一般論としては良いことであるという位置付けで歓迎して対応して行きたいと思います。

問)

その主体が自治体であるということでも変わらないということですか。

答)

仮定のご質問になってしまいますので、具体的にお答えすることはできませんが、業界を活性化させる、結果的にこの業界が活性化して日本経済が活性化して行く、そういう新規参入を歓迎するということです。

問)

生命保険の予定利率の関係ですけれども、法案の提出に向けて動きが加速化しているということですけれども、一方で金融審議会での議論など、まだ議論が収れんしていない中でかなり拙速ではないかと、そういう批判もありますけれども、ここら辺はどのようにお考えですか。

答)

我々としては、プロセスに関しても、内容の検討に関しても、時間的制約が大きい中でしっかりとやるべきことをやって行きたいと思っています。

この問題、やはり逆ざやの問題、生保業界が抱える構造問題として大変大きく厳しいと認識をしています。それ故に誤解が生じないように慎重に多方面から勉強してきて、その論点を整理して、それで法制化に向けた努力をして来たつもりであります。引き続き、多方面にこれは議論をしていっていただいていかなければいけない問題だと思っております。

問)

予定利率の法案なんですけれども、今日、一応閣議決定は・・・・・・。

答)

ちょっと今、先程言い忘れて、今正式に申し上げようと思っているんですけれども、今日これは閣議でかかっております。従って、閣議の報告で大変重要なことを言うのを忘れましたけれども、この法案が閣議で了承されたということですね。

問)

これから国会審議が始まるんですけれども、改めて閣議決定という状況を迎えたということについてご感想を聞かせていただきたいんですけれども。

答)

この問題はもう何度もここでお話ししましたけれども、問題は存在しているわけです。逆ざやという問題が現実に存在している。しかし、この問題をどのように解決していったら多くの人が満足して、納得してもらえるか。その問題そのものの中にあちらを立てればこちらが立たずという問題が存在している。非常に困難であるから、では何もしないで置いておくのが一番良いのかということになると、それはまた困るという人も出て来る。皆さんもよくご承知のように、そういう基本的な性格の問題であります。

従って、非常に多方面から我々としては検討して来たつもりでありますけれども、これは正に最もオープンに議論していただける場が国会の場でありますから、これまで我々なりに問題の重要性を認識して、しかし、問題の難しさも認識して対応してきたつもりでありますけれども、正に幅広く議論していただく段階だと思っています。

問)

大変失礼ですけれども、予定利率の法案を忘れるぐらい今関心をお持ちになって、心を占めてらっしゃるものが何かおありになるんですか。

答)

いえいえ、忘れるというのは忘れていたわけじゃなくて、ご報告をしそびれたということでありまして、ここまでこぎ着けるのは金融庁としても大変だったし、関係の皆さんも色々ご努力をいただいたと思っています。でも、まあ今ご質問にもありましたように、問題、大変難しいですから、その意味でこれからオープンに議論していただくということが大変重要だと思っております。

我々としては、言うまでもなく、金融庁としてやらなければいけないことは沢山ありますけれども、この予定利率の問題というのは、我々としても取り組むべき最も大きな課題の1つであるということは間違いありませんので、閣議で今日その法案が了承されて、引き続きオープンのディスカッション、オープンの議論のプロセスが大変大事だと思っておりますので、しっかりと対応して行きたいと思います。

問)

予定利率の法案の冒頭に保険業の継続が困難であるという文言があります。対象のことを指していると思うんですけれども、現時点で保険業の営業継続が困難になるような生保、これから近々発生して来るような手応えも含めてどう思いますか。

答)

決算の段階で改めて色々なことを幅広く確認しなければいけない段階だと思っております。決算の数字の報告を受けておりません。少なくとも、従って今期の決算の前の状況プラス若干の月次の状況とかありますが、それで見ている限り、今すぐどうこうということではないと思っておりますが、先程申し上げましたように、これは非常に大きな逆ざやという構造問題が存在しているということは事実でありまして、それが非常にじわじわと色々な体質に影響を与えているということは、これは否定出来ないと思っています。そういった観点からも、今回の法案で問題意識を折り込んだつもりであります。

問)

今の枠組みで有効に活用されて、逆ざや問題が解決されるというふうにお考えですか。

答)

逆ざや問題を解決するには、正に総合的な取り組みが必要だと思いますね。これは経営体質そのものの強化をしていかなければいけない。更にはディスクロージャー、情報開示を進める中で、様々な形でのチェックをマーケットからも、顧客からも受けて経営を健全化して、正して行くという努力、総合的な努力が当然のことながら必要だと思います。今回の措置は、そういった総合的な努力の中で一つ重要な一助になる、そういう位置付けなのだと思います。しかし、これから制度について色々ご審議をいただくわけですけれども、こうしたものをいかに今後活用して行くかという経営姿勢の問題、それが何といっても最大の基盤、基礎であると思いますから、今回の問題は国民で広く議論していただきたいと思いますけれども、何よりも保険会社、当事者自身にしっかりと受け止めていただきたいと思っています。

問)

地方銀行の関係なんですけれども、個別行のコメントは出来ないということですけれども、一般論としてこういった地方銀行の再編が、なかなかこれまで見えて来なかった部分が今回出て来そうだということなんですけれども、地方銀行の再編のあり方とか、「不良債権アクションプログラム」も出来ましたけれども、そういう中でのこういう動きについてどのように評価なさいますか。

答)

一方で、今、主要行を中心に非常に明確なターゲットを決めて、とにかく不良債権問題の終結を目指していると。もちろん地方銀行もそれと全く別に存在しているわけでありませんけれども、ご指摘のようにリレーションシップバンキングという、やはり非常に多様な、少し違う機能に根差した再生の道を模索をしてもらっているわけです。これはやはりリレーションシップバンキングの道を確立して、そのリレーションシップバンキングの道の確立と不良債権の処理というのを同時並行で進めて行こうというのが先般の「アクションプログラム」の考え方ですから、主要行等々に比べれば、これはある程度時間がかかるということは、これは覚悟の上なんだと思います。

しかし、これは逆にそうすることによって、現実問題の混乱を生じさせないで、正に地方の中小企業等々が再生していく道を作っていこうということでもあるわけです。

そうした中で、様々な動きが出つつあるし、今後も出て来るのだと思っています。リレーションシップバンキングの趣旨に則って、きめ細かな経営戦略を立てていっていただく、それが色々な形で結果になっていくということを我々としては期待をしています。

(以上)

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