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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨
(平成15年9月5日(金) 10時59分~11時12分 於)金融庁会見室)
1.発言要旨
おはようございます。
閣議がございました。
金融庁関連では政令が1本ございますけれども、特に私の方からコメントすべきことはございません。
閣僚懇でも、私の直接の関係ということではありませんが、構造改革に関連して、鴻池大臣から構造改革特区の第三次提案について、「現在48の規制改革が実現しているけれども、さらにこの期待感は高い。各大臣においても引き続きリーダーシップを取って、前向きな対応をお願いしたい」という話がありました。
これを受けて総理の方から、「この構造改革特区は、改めて「官から民へ」、「国から地方へ」という構造改革を加速させるための突破口となるものである、今後とも各大臣は、実現するにはどうすればいいかという方向で対応するように、また、しっかりと事務方に指示するように」というようなお話がございました。
閣議、閣僚懇に関連して、私の方からは以上でございます。
2.質疑応答
- 問)
-
金融庁の方からお伺いします。
9月危機という言葉を今年はほとんど聞かないのですけれども、株価上昇で金融不安が薄らいだことがその背景にあると思うのですが、大臣のご認識はどうでしょう。
- 答)
-
基本的に、主要行を対象とした「金融再生プログラム」を今、着実に実行している段階にあります。主要行に関しては、ご承知のようにあと2年で不良債権比率を4%程度にするという、その目標に向かってグッドスタートを切ったというふうに思っておりますので、今、正にそういうトラックにある、そういう途上にあると思っています。
もちろん、金融の問題全てが解決しているわけではありませんから、今の状況をしっかりと加速していくということが必要なことであろうと思っております。
アメリカ経済を中心とする世界経済の動向、それと株価の動向等々、条件は悪くない方向に行っていますから、こうした時期にこそしっかりと進めなければいけないと思っております。
- 問)
-
一方で、地域金融機関の方はまだこれからという感じがするのですが、地域金融機関の機能強化策が出たと思うのですが、その評価、足りないところがあればどの辺が足りないのかということは……。
- 答)
-
正にご指摘の点は大変重要なポイントで、主要行以外のところについてはリレーションシップバンキングで、新しいコンセプトで地域の企業の再生と、金融機関そのものの強化を進めようというところで今スタートを切ったばかりです。その入口として、各強化計画を出していただいたところです。
強化計画そのものをどのように評価するかというご質問だと思いますが、これはまだ本当に出されたばかりで膨大なものでもありますので、今、まだ一生懸命消化をしているところだというふうにご理解をいただきたいと思います。
繰り返しますけれども、この強化計画を通して各金融機関にリレーションシップバンキングの機能強化のためにどうしたらかいいかというような、本当にしっかりとした対応をしていただく。同時に、各行でそれを競っていただく。そういう中で、是非ともさらに金融機能の強化に向けた線を歩んでいってもらいたいと思っております。是非、今出された強化計画を我々なりにしっかりと読み込みをしたいと思っております。
- 問)
-
昨日、法人企業統計季報が発表になりまして、それで1年9ヵ月ぶりのプラスということで、GDPの二次改訂も上方修正されるという民間シンクタンクの見通しが出ているわけですが、この数字の大臣の受け止め方をお願いいたします。
- 答)
-
ご指摘のとおり、数字そのものとしては幾つかのポイントでよい傾向が出てきたと思っております。
このGDPの改訂そのものは、これは正に淡々と統計の作成として行うべきものでありますから、私の決断としてどうこうするということではないと思っております。こういうものが織り込まれて、改訂がこれまでと同様のペースで進んでいくということになろうかと思います。
- 問)
-
現在、タイのプーケットでAPECが開催中で、そこでひとつの焦点になっているのは、中国人民元を巡る問題だと思うのですけれども、日本としては柔軟な為替制度というのを求めることで事実上切り上げを求めていると思うのですけれども、かと言って、この切り上げ自体、日本の経済にとってプラス面だけではないと思うのですけれども、これについては大臣はどうお考えになりますでしょうか。
- 答)
-
これは所管外のことでもありますので、余り申し上げるべき材料を持っておりませんが、制度そのものはやはり経済発展とともに進化していかなければいけない、日本の場合もそうであったと思います。そうした中で、マーケットを通して為替レートというのは適切に決まってくるものであると思います。そういう、非常に大きな枠組みの議論がなされているものと認識をしています。
- 問)
-
人民元のことについてお伺いしたいのですけれども、今、大臣は経済活性化と財政再建のためにデフレ克服が重要だと仰っていたわけですけれども、人民元が実力以上に安くなっているところがデフレの要因の一つになっているのかどうか、基本的なご認識についてお伺いしたいのですが。
- 答)
-
デフレの要因としてはもう何度も言っていますけれども、三つの要因であると我々は常に認識をしています。一つは需要の要因、一つは供給サイドの要因、もう一つはマネタリーな要因。
その供給サイドの要因というのは更に二つあって、技術革新によってもたらされるものと、要素価格の低下によってもたらされるもの。その要素価格の低下というところで、その中国の安い人件費水準というのは効いてくるわけですね。
しかしそこで、もちろん国内の賃金水準に加えて、そこで為替レートがかかってくるわけですから、為替レートがそれなりに要素価格デフレに関してそれなりのインパクトを持っているというのは、これは事実であろうかというふうに思います。
ただ、それがどの程度大きいかどうかについては、ここは専門家の間でも議論はそんなに簡単ではないのですね。よく言われる購買力平価から乖離していると。購買力平価とマーケット水準が乖離しているというのは、多くの人が認めるところだと思うのですけれども、適正な為替水準というのは決して常に購買力平価そのものではありませんから、その点については、やはり議論を更に深めていかなければいけないということなのではないかと思います。
ただ、いずれにしても経済の発展とともに為替の制度そのものは、柔軟に変わっていかなければいけないと思っておりますので、そういう枠組みの議論をしていくことが現状では重要なのではないかと思っています。
- 問)
-
自民党の総裁選の公約で、金融関係で総理に公約として入れるようお願いしたこと、あるいはしたいことというのは何かございますでしょうか。
- 答)
-
何か一部で、公約に私の方からお願いをするという表現がありますが、これは従前から、経済政策はこうあるべきだということでいろいろご議論をさせていただいているという、これは非常に素直な言い方であろうかと思います。
そういうふうに議論しているということで言いますと、金融に関しては、やはりこの「金融再生プログラム」をしっかりと着実に実行していくということに私は尽きていると思っています。その意味では、そのプログラムの中に問題は出し尽くしていると思います。それに則って、今工程表に沿って粛々と議論すべきことは議論をして、制度をつくるべきものは制度をつくっておりますので、そこが、公約にお願いするというのではなくて、今後の構造改革を進めていく上でやはり重要なポイントなのではないでしょうか。
- 問)
-
これまでに何度か質問しているかもしれませんが、このところの金利の動向ですね、日銀は一応の資金供給というのを重ね重ねやっていまして、相当、金利に干渉していますけれど、金利の最近の動き、それから景気への影響というのを改めて伺いたいと思うのですけれども。
- 答)
-
正に為替レートと同じで、金利も資金需給を反映して決まっていくわけでありますから、そこでマーケットで決まった水準に対してそれがどうこうというコメントをするのは適切でないと思います。
ただ、やはり経済の現状を考えると、急激な上昇というのは、これは好ましいことではないということは明らかだと思います。我々としては政策的な観点からは、何と言っても財政の健全化に向けたシナリオをしっかりと示して、それをしっかりと実行していくことによって、長期的な観点からの国債に対する信認低下、それによる金利上昇ということにならないように、これはしっかりと我々としては政策を運営しなければいけないと思います。
- 問)
-
足下の景気への影響というのはどのようにお考えでしょうか。
- 答)
-
金利は正に日々変動しておりますから、どの水準で収斂していくのかということがまだ見極められない状況だと思います。
もちろん、金利上昇の影響というのはないわけではありませんけれども、基本的にその変化が余りに急速であるということ、これは大変好ましくないというふうに思いますけれども、これが正にマーケットの需給を示しているわけですが、そうした中で適正な、安定的な金利水準に収斂していく中では、影響というのもある程度吸収されていくものであるというふうに思います。
- 問)
-
大臣は明日から鹿児島へ出張されますよね。その出張が決まった経緯と、向こうでどのようなものを見たり聞いたりしたいかということをひとつ……。
- 答)
-
鹿児島の出張は、これは向こうで構造改革についての色々な説明をしてほしいというご依頼がありましたので、それで参上をいたします。
色々なイベントがあるかと思いますけれども、詳細は私、今持っておりませんけれども、いい機会でありますので、色々な地域で構造改革についてご説明する機会があれば、これは喜んで引き続き参上したいと思いますし、また同時に、昨日も地方に行っておりましたけれども、地方の経済の実態をこの場で肌で感じさせていただいて、最先端で努力しておられる皆さん方の話を聞く、これもやはり大変重要なことであると思っております。
- 問)
-
追加ですけれども、詳細日程の中に若手の経営者と交流をされるという話を聞いているのですけれども、それについてはどのようなことを期待されていますか。
- 答)
-
基本的には今言いましたように、やはり最前線で活躍してご苦労されておられる方の声を聞いて、肌で感じるということは大変重要だと思うのです。そういうことを私自身は大変期待をしています。
特に若手の方は、ここはこうじゃないか、ここは正しいよ、ここはちょっと変えた方がいいんじゃないのと、そういうことを忌憚なく言ってくれて、私自身も、いやいやそれはそうじゃないんだとか、それはあなたのおっしゃるとおりだと、是非そういうライブリーなディスカッションをしたいと思います。
(以上)