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竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成16年1月16日(金) 9時06分~9時18分 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議の決定事項等々について、特に報告することはございません。本日は、政府演説の検討閣議でありまして、少し長い時間行いましたけれども、検討の内容も申し上げないことになっていると思います。私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

今日以降春闘が本格化します。今の企業部門の回復が所得に波及して、それが更に消費に波及していくのが今後の景気回復の大きな鍵になると思いますが、その観点からこの春闘をどういうふうにご覧になっているか、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

答)

春闘のあり方そのものに対しても、色々なご議論がある中での春闘だと思います。これは、基本的には私は経営対労働側という概念ではなくて、企業それぞれがそれぞれの事情のもとに、業績を受けてどのように賃金水準を決めていくかという問題に次第になりつつあるのかなと思っております。その意味では、全体としてどうこうだということを評価するよりは、それぞれの企業がきちっとその業績を踏まえて、合理的な水準に賃金を決めていく、その中で当然労働者の意向はそれなりに反映されていくと、そのような形になっていくべきだと思います。

問)

昨日の景気ウォッチャー調査で、先行きについてBSEの影響を懸念する声というのがかなり強まっていますが、BSEが消費者に与える影響について、現時点でどうご覧になっていますでしょうか。

答)

景気ウォッチャー調査そのものについては、全体としてプラスの効果が出ているということで、一時、過去一、二カ月下がった時期もありましたけれども、きちっと元に戻ってきていると、そういう状況だと思います。

お尋ねのBSEの問題そのものについては、これから今の時点で、なかなか経済全体についての影響というのを図るのはちょっと難しいのかなと思います。もちろん、こういった問題に対して、日本の消費者は大変厳しい態度で敏感に反応されますから、その局所局所、部門部門についてしっかりと見ていく必要は当然あると、これは常に思っております。

いずれにしても、今の時点でその効果を予測するという段階ではまだないと思いますので、当然、衛生を担当する部門にはしっかりと対応をしていただく、我々はそういうものも踏まえて、向後の部分を見ていきたいと思います。

問)

来週から国会が始まりまして、金融庁関連でも公的資金の新法とか、もしくは信託法の改正とか、幾つか俎上に上がってきているものがあると思うんですが、大臣としては次の国会、どんなふうな考え方で臨まれるのか、課題をどう捉えられているのかというところからお願いします。

答)

小泉構造改革、2年9カ月行ってきて、それを更にステップアップするための、この平成16年というのは、大変重要な年になると思います。それとの関連で、国会でご審議をいただかなければいけない法律の数も非常に多いと。昨日、たまたま法制局長官からお伺いしたんですが、法律の数、提出される予定の数は過去の平均に比べて多いものになると考えております。正に構造改革、構造を変えるために色々な法的な枠組みを変えていかなければいけないということだと思いますので、これまでの成果をしっかりと踏まえて、成果をしっかりとご理解いただくべきところはご理解をいただいて、その上で更なるその飛躍ができるような法律改正をしたいと、そのために国会でもしっかりとご議論をさせていただきたいというふうに思っています。

問)

足利銀行問題についての閉会中審査が、昨日開かれたんですが、その中で公認会計士協会の奥山会長の方から、いわゆる監査と検査の格差について、どうしてこれだけ差が広がっているのかということについて、調査するようなチームを協会の内部に作って検討していきたいと、状況の把握に努めたいというようなお話があったんですけれども、もちろん検査と監査というのはもともと性質の違うもので、目的も違うので、格差が出ること自体は当然だと思うんですけれども、なるべく格差がない方が多分望ましいというのは、多分そのとおりだと思うので、金融庁として何か格差を少しでも埋めていくような、何か施策というのをお考えになられているかどうかということについて、お願いします。

答)

基本的には監査を、独立した立場で監査をされる公認会計士及び公認会計士協会のお考えの話だと思いますので、その独立性ということも踏まえて、我々が中身についてコメントする立場にはないというふうに思います。

ただ、いずれにしても我々としては、銀行監督のための検査を行うと。これは仕組みも目的も、監査と検査は違っているわけでありますけれども、その検査の結果をいろんな形で、その決算等々に反映していただくというのは重要なことであると思っております。そうした観点から、公認会計士協会がまさに独立した立場で色々なご努力を重ねるということは大変好ましいというか、ありがたいことであるというふうに思っております。そのような位置付けをしております。

問)

今の質問の関連でお尋ねしたいんですけれども、奥山会長は、金融庁の方にもそういった乖離問題に関する調査で守秘義務を守る範囲でご協力いただきたい、という趣旨で発言されていたと思うんですが、この点については金融庁としてはどういうふうに臨まれますか。

答)

協力の中身がどういうものか、ちょっと聞いておりませんので、今即座にお答えできないわけでありますけれども、もちろんこれは我々としては検査をしっかりやっていって、それを決算に反映していただくと、それがまさに検査の目的でもありますから、どういう点でご協力できるのか、ご協力できることがあれば当然のことながら協力するということになると思います。その中身如何だと思います。

問)

その関連で、やっぱり金融庁は、預金者保護とか金融システムの安定のために検査というのをされていると思うんですけれども、一方で監査というのは証券取引の円滑な、安心して取り引きできると、投資家のために行われていると思うんですけれども、こちらも所管をされていらっしゃるわけですね。2つのシステムというのが、やはりある程度バランスといいますか、整合性のとれたものであるというのは望ましいと思うんですけれども、検査のロジックだけが一方で監査を振り回しているような状況というのは余り好ましくないと、私は思うんですが、大臣はこの現状をいかが認識されていらっしゃいますでしょうか。

答)

基本的には、決算というのは一般に公正妥当と認められる会計慣行に基づいて行われなければいけない、その会計慣行が、例えば公認会計士協会が想定しているものと、金融庁が想定しているものが違うとは全く思っておりません。その意味では、そのものが2つ存在するような言い方が時折一部の方になされますけれども、それは違っているというふうに思います。ただし、当然のことながら、検査は我々が直接行います。監査は、そこに独立したプレーヤーがいらっしゃいます。それぞれ時間的な制約とか、枠組みの中でやっておられるわけですから、その意味では結果が違うということはあり得るわけですね。

ただいずれにしても、我々は、先程言いましたように、何か2つの基準でもって、決して何か銀行、対象を見ているわけではなくて、それに基づく物差しというのは共通しているわけであります。しかし、時期が違う、目的が違う、立場が違う、そういう中で監査と検査というのは、それぞれの役割を果たしているわけですので、私は今の制度そのものに矛盾があるというふうには考えておりません。

問)

例えば、監査法人への報酬が余り渋られているので、マンパワー的に足りないために監査の精度は今後一層向上が求められるとか、そういった問題意識は大臣はお持ちではございませんか。

答)

独立した立場にある監査法人が、独立性を強めながら、その社会的責任を果たさなければいけない、これは大変重要な問題であると思います。そうした問題意識を我々が持っているからこそ、先の国会でも公認会計士法の改正をやらせていただいた。非常に大きな前進であるというふうに思います。もちろん、制度は常に完璧ではありませんから、更に今後どういうような問題があるかということは、引き続き検討していかなければいけないと思っています。

問)

奥山会長が、繰延税金資産の算入制限問題についても、昨日発言されていたんですけれども、基本的に監査法人が繰延税金資産の判断で、色々悩むことがないように算入制限ルールを導入した方がいいと、賛成であると述べられたものの、その前提として税の繰戻還付、税法を改正して税の繰戻還付を、これは不可欠であるという趣旨の発言をされていらっしゃったんですが、残念ながら先の税制改正では検討事項に、繰戻還付の部分はなってしまったんですが、この点についての大臣のご所見をお伺いしたいと思います。

答)

前半の繰延税金資産の算入問題をどうするのかと、これについてはまさに、我々も重大な関心を持っているからこそ、引き続き金融審ワーキンググループで議論をしていただいています。これはしかし、色々なご意見があります。奥山さんのようなお考えの方もいらっしゃれば、そうでない方もいらっしゃる。ここは専門家で引き続きしっかりと議論をしていただくという以外にはないと思います。

税制の問題は、これはもう我々の立場ははっきりしているわけで、当初から「金融再生プログラム」を作った当初から、そのことを強く当局には要望をしております。これがなかなか、色々な諸般の事情で、財政事情等々で実現されないというのは、我々も大変残念だと思っておりますが、これは引き続き与党の中でもご検討をいただけると思っておりますので、粘り強く、我々の方としてもお願いをしていきたいと思います。

(以上)

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