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竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成16年3月12日(金) 8時56分~9時18分 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がありました。

私の直接の担当で特にご報告することはございませんが、官房長官の方から、今国会で準備された法案が126件、条約は21件に達するという報告がございました。これまでの準備の努力、ご尽力に感謝するということでありました。

閣僚懇では、小池環境大臣の方から、全閣僚に対して、今、知床が世界遺産の候補になっているということでありますが、その知床のキャンペーンを兼ねて、それぞれの名前が入った名刺をいただきました。私もいただきました。これは全閣僚に、それぞれの名刺が今日は配られております。キャンペーンに努力をしていきたいということでありました。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

昨日公表された「改革工程表」の改定版に、2004年度中の不良債権問題の終結という表現が盛り込まれましたが、改めて実効性をどのように担保されるのか、お考えをお伺いします。

答)

「金融再生プログラム」に示された、主要行を対象にした不良債権比率の半減、そうすることを通して、不良債権問題を終結させると、これはやはり是非とも実現しなければいけない。不良債権比率の低下に関しては、順調に低下をしていると認識をしておりますが、これは何度も申し上げていますけれども、今度の3月期の決算、それとあと残り1年の上り坂というのは、大変きついと思いますから、金融機関にも頑張っていただきたいし、我々もしっかりと対応したいと思います。

問)

17日に国会が、4大メガバンクのトップを招いて公的資金新法に関する参考人質疑があるのですが、金融界の声をどのように反映されるか、うまく活用できるようにどのように考えているのか、どのような意見を吸い上げるお考えなのか、今の大臣のお考えは。

答)

参考人の場では、銀行の方というのは、意外と発言の機会が私は制約されていると思いますので、こうした機会に是非しっかりとご主張をしていただくというのは、大変私は重要なことだと思っております。

ご質問の、意見を吸い上げるかということですが、公的資金新法に関連して、法案の趣旨説明を昨日したところでありますけれども、とにかく国会でしっかりと審議をして、その中で我々としての説明責任を果たしていくというのが、まず大事なことであると思います。

問)

昨日の諮問会議ですが、独禁法の改正で色々竹島委員長をお呼びになって議論されたと。竹島委員長は、15日までの国会への法案提出期限には多分間に合わないだろうというようなことを仰ったという報道もありますが、この辺りの見通しというか、昨日の議論を受けて、更に調整をという総理の指示もありましたけれども、そこの見通しをどう捉えていらっしゃいますか。

答)

昨日は独占禁止法の経済政策としての中身についての議論をしたわけでありまして、今国会に法案を提出するかどうか、これは公正取引委員会の進捗状況を踏まえた、竹島委員長のご判断であるし、また国対との間で色々ご議論されることだと思います。そうしたことは、昨日は特に議論はしておりません。昨日の記者会見で申し上げましたように、その方向として、競争政策をもっと前の方に展開していかなければいけないということについて、私は幅広い合意があると思っております。ただ、制度設計については細部について、よりオープンなディスカッションをする必要があるということも事実であると思いますので、その辺りを最終的には竹島委員長の方でしっかりとお答えをされると思います。

問)

週明けに月例経済報告が出ますが、この1カ月間の各種経済指標の動き等を受けて、現時点では足元の景気をどう見ていらっしゃいますでしょうか。

答)

まだ最終の議論を事務方とはしておりませんが、基本的には指標そのものは個別に見ると、良い指標が出てきていると認識をしております。しかし、大きな流れそのものは回復しているという、そのものが、何か別にどこか、基本的に非常に大きく変わるということなのではないと思っております。これは、我々としては、着実に回復している、その軌道の中にあるのではないかと思っております。最終的に詰めたいと思います。

問)

先程あった公的資金の金融機能強化特別措置法の論戦が昨日始まりましたけれども、昨日の趣旨説明のやり取りをお伺いしていると、若干かみ合わないというか、お互いといいますか、野党の人も自分の言いたいことを一方的に言った部分が多いように思ったのですが。ただ、経営者責任と言いますか、モラルハザードの点ですね、これはもう大臣も、かねがね留意されてこられた点だと思うんですけれども、今後、その議論の過程で、例えば更に野党側の考え方を組み入れて、その経営責任を今の法案よりも強く求めるとか、そういった選択肢と言いますか、その辺の経営者責任、モラルハザードの問題、いかがでございましょうか。

答)

昨日の短いやりとりだけでありますので、野党の主張を十分に私自身理解しているわけではないと思います。しかしながら、私の考えでは、今回の我々が出した法案というのは、そのモラルハザードについて非常に細部に気を配って、細かい配慮をして、ある意味で厳しい内容になっていると認識をしています。抜本的な組織再編でない場合は、これは結果責任を問うわけでありますから、これはモラルハザードの防止という意味では、大変厳しい体系になっていると思います。抜本的な再編の場合は、それそのものがしっかりとした責任を果たすということになるわけですから、現時点では我々の法律というのはモラルハザードの防止に向けた、非常にしっかりとした枠組みが作られていると思っております。

問)

不健全行、いわゆる過少資本の不健全行への注入というところだけ比較すると、政府案も野党案も、注入時に経営責任と株主責任を明確にするという点では同じなのかなという気もしますけれども、その辺りの大臣のご認識をお伺いします。

答)

そこは、もともと与野党が一致して金融再生法を作って、それが今の法律の中につぎ込まれているわけですから、そこは当然一致しているということなのではないでしょうか。

問)

もう一点、保険の商品の銀行窓口販売ですけれども、昨日も自民党の財務金融部会の合同部会がありまして、反対で一致したというふうに伝えられておりますけれども、こういった政治の動きを踏まえて、現在の大臣のご所見をお伺いしたいと思います。

答)

この問題に関しては、部会等々においても反対意見が出されたということは承知をしております。

この窓口販売については、規制改革推進3カ年計画において、15年度中に結論を得て所要の措置を講ずるというふうにされておりますので、我々もこの計画を踏まえて鋭意検討を進めているという状況にあるわけです。

ご承知のように、現在金融審議会の第二部会において、非常に幅広い方々に参加をいただいて、幅広い視点からの議論をいただいているところでありますので、その審議会での検討も踏まえて、我々として最終的にどうするか、適切に判断をしていくつもりです。

問)

その最初の印象というのは、全面解禁をするというイメージで受け止めていたのですけれども、結果としてひっくり返るということも選択肢としてあり得るんでしょうか。

答)

我々としては、今審議会、部会でやっているところで、そこの中には非常に幅広い考えの方がいらっしゃいますから、その方々にまずしっかりとご検討いただいて、その上で適切に判断するということになると思います。

問)

郵政公社の投資信託の法案のことですけれども、先送りと言うか、今国会には出さないというふうに総務省のお考えで。昨日の諮問会議では、郵政公社は色々な改革の中で、商品を沢山売れるようにした方が良いというのは皆さんのご認識であったように思うのですけれども、ということは、ある程度改革、民営化のアウトラインができれば、そういった商品を増やす一つの選択肢として、そういった投資信託の販売も良いのではないかというご所見でございましょうか、お伺いしたいのですが。

答)

基本的には、麻生大臣とも話をしまして、その民営化の全体の姿と整合的な形でやっていかなければいけないのではないでしょうかということで、それを民営化案を踏まえた上でどうするかということを考えるべきだということで合意をしたわけですね。

総務省と金融庁は、具体的には投信の窓口の販売の実施に関する具体的な論点について、調整を開始するということにしておりますので、諮問会議での議論も踏まえながら、調整すべきことをしっかりと調整していきたいと思います。

ご指摘のように、方向としてはフィービジネスは、やはり重視されるべきであると、その取り扱い商品のラインナップも多様化されるべきであると。方向については、昨日はやはりそういう方向で幅広い議論がなされたと思っております。

問)

ということは、民営化の方向が見えてくれば、民営化する前に投信の窓口販売を始めても、それは容認できるということですか。

答)

これは移行期をどうするかということ自体が、民営化の基本的な姿、ディスカッションすべき項目でありますから、そういう視点も含めて引き続き諮問会議で議論をしていきたいと思います。

問)

臨時国会にも法案を出すというようにも言われているのですけれども、昨年は臨時国会がなかったのですが、今年はもうやるというのは……。

答)

これは、国会のことは私が決めることではありません。いずれにしても、我々としては秋に向けて、しっかりと基本方針を取りまとめるということになります。

問)

今週9日に、一部上場のキャッツの有価証券の虚偽記載に絡んで、大手のあずさ監査法人の公認会計士が逮捕されたわけですけれども、いまだにこういう大手の監査法人と企業の間も、こういう虚偽記載、粉飾決算というものが行われていると、それで逮捕に至ったと、監査法人がですね。こういう事態はどういうふうに受け止めていらっしゃるかということと、4月から金融庁の方に監査法人の審査会ができるわけですけれども、対象になるか、審査会の役割はどういうことを期待していらっしゃるかということをお伺いしたいのですが。

答)

キャッツの関係で、公認会計士が逮捕されたと、大変遺憾なことだと思います。公認会計士の役割、社会的責任というのは、日本のみならず、世界中で今、非常に注目されている、そういう環境下にあって不正を働いたということでありますから、これは当然厳しい態度で臨まなければいけない問題だと思います。

この社会的責任との関連で、ご承知のように4月から新しい公認会計士法が運用の運びになります。これは、我々としてもその中で、新しいクオリティーのモニタリングのシステムが作られるわけですから、我々としては与えられた権限を最大限活用して、今3月期の決算を行っていますけれども、3月期の決算も対象にして、4月に新しい仕組みができれば、できるだけ早くこの制度を、我々に与えられた権限の範囲でしっかりと活用して、厳正に対応していくということが必要だと思っております。公認会計士は、どちらかの特定の利益、利害に偏るということがあっては断じてならないわけで、我々としては公認会計士法の新しい法律の精神に則って、厳正に対応していく心づもりでおります。

問)

今、公認会計士法の改正に沿って、不透明な対応をしているような会計士には厳正な対応をされるというようなお話でしたけれども、巷間、金融機関と監査法人の関係という意味で言いますと、金融機関の繰延税金資産を非常に甘めに算定しているのではないかとか、もしくは融資先企業の再建計画を金融機関が甘く見ているのを容認しているのではないかとか、あるいは非常に監査法人が甘めに監査を受注しているケースがあるのではないかとかというふうなことが様々語られているのですけれども、こういったようなことというのは、その厳正に対処をされると仰った中に入っていくというふうに受け止めてよろしいのでしょうか。

答)

まずご承知のように、今度の新しい法律では、監査業務と非監査業務の明確な区分が求められている。それとの関連で、例えばですけれども、非監査業務をやっているので監査業務にそれが及んでいると、及んでくるというようなことは、これはもうないとは思いますが、そんなことがあっては断じてならないわけであります。例えばですけれども、仮にそのようなことが懸念されるような場合があれば、これは当然、我々としては見過ごす問題ではないと思います。個別の監査の内容、再建計画の話とか、繰延税金資産の話とか色々仰いましたけれども、それに関してもそういうことがない、私は日本の公認会計士はしっかりとした対応をしているとは思いますが、万が一にもそういう対応があるならば、これは我々としては見過ごせない、しっかりとした当然対応をしていく。公認会計士の社会的責任がある、我々もそれを監督する責任があると思っております。

問)

東証の方ですけれども、16日に取締役会議が開かれるということで、まさに大詰めを迎えてきていると思うのですが、空白期間が長いという、こういう状況の中で、最終的にどういう形で人選をお望みであるのか、その辺りのお考えを伺いたいのですけれども。

答)

これは繰り返しになりますけれども、これは株式会社東証がお決めになることで、その中で指名・報酬委員会とか、しっかりとした体制もお持ちであるというふうに思います。

どういう形を望んでいるかということでありますが、これは世界から注目されている東証らしく、それなりのしっかりとした見識を形にしたような人事にしていただきたい、そのように思います。

問)

総理が指示された省庁の次官のトップへの天下りが原則禁止ということについては、大臣はどういうふうに受け止めておられますか。また内閣府とか金融庁について、具体的にどういう方針で臨まれるのか。

答)

総理は以前から、いわゆる指定席にはしないんだと、そうすることによって、一種の利益、利害のようなものが、官庁自身が一つの利害、利益を固定化してしまうのではないだろうかと、そういう批判に応えるためにも指定席にしないで適材適所だと、これはずっと総理が言っておられたと思います。従って、私自身は先般総理が国会で答弁されたのは、ごく自然なことである、自然の流れであると受け止めております。これは、内閣府、金融庁にも当然のことながら問題は及ぶわけでありますが、現実問題として、金融庁はまだ組織が新しいということもありますが、そういう指定席とか、そういう形にはなっていないと思います。当然のことながら、それぞれの政府系の機関の機能を最大限発揮できるように、適材適所で、私が決めるべきことに関しては、当然総理の精神を体現してしっかりとやるつもりでおります。

問)

昨日、商工中金が中小企業の再建のスキームとして、デットデットスワップというのがありまして、それを扱った中小企業の再建策というのが発表されているのですが、これは金融検査マニュアルの中小企業金融編で謳われたものを活用したものだというふうに受け止めているのですけれども、今後そういったことも踏まえて、中小企業の再生ということについてはどんなふうに見られているのかということをお願いします。

答)

昨日、商工中金が、これは確か東京都の中小企業再生支援協議会と連携して、その再生計画作成を支援している中小企業に対してデットデットスワップを用いた再生支援の第1号に取り組むと、こういう話だということは承知をしております。今、ご指摘のあったように、これは先般のマニュアル改訂の一つの、実は我々としても目玉であります。根雪部分のような形で、長期の運転資金として出されているようなものは、本来資本性があると、それはまさにデットデットスワップについて、きちっとした対応をとったものについては、それを資本としてみなすという先般のマニュアル改訂の一つの、我々としては自信を持って作った目玉であったわけですが、早速商工中金において、そうした取り組みをされたということは、これは我々としても大変勇気付けられることであると思っております。その中小企業金融の実態に光を当てた取り組みが行われなければいけないと、そのことによって金融の円滑化が進んでいくということを我々は期待をしておりますし、ご質問の趣旨は、もっと広く今後全体をどうしていくのかということかもしれませんが、リレーションシップバンキングの考え方にデットデットスワップ、こうしたものも示されていることでありますから、やはりリレーションシップバンキングのプログラムを着実に、具体的に形にしていくという努力を続けることが重要だと思っております。

(以上)

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