竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成16年3月26日(金) 9時35分~9時50分 院内)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。

私に直接関連する部分で、特にご報告することはございませんが、今日、家計調査が発表されておりますので、消費者物価がプラスになっている。それと、実質消費が季調済前月比でプラス2.5%になっているというご報告が総務大臣からございまして、それにつきまして、閣僚懇で少し話題になりましたので、私の方からは2点だけコメントいたしました。

物価に関しては、特殊要因等々もありますので、消費者物価は横ばい圏内という見方は私自身は変えておりませんということと、消費支出に関しましては、1月に4%台とかなり高くなった後、2.5%と、そういう続いているところに意味があると思う。ただし、これは勤労世帯でありますので、全世帯の統計を見ながらしっかりと判断をしていきたいと、そのような話をさせていただきました。

その他、先般の尖閣諸島での問題につきまして、何人かの大臣からご発言がございましたが、これは各大臣にご確認をいただきたいと思います。

私の方から、1点ご報告があります。

これは閣議の関連ではありますが、本日の閣議におきまして、3月31日付で谷内満政策統括官の退職を認め、4月1日付で大田弘子大臣官房審議官をその後任に充てる人事が承認されております。今後も、私としては更に多くの民間の方々にその優れた知見、知識、経験を公務に活かしていただきたいと考えており、そのためにこのたび新たに経済財政部門におけるハイランクの官職に就く職員を広く民間から公募することといたしました。本年7月頃から、原則2年程度の任期としまして、審議官クラス、参事官クラスをそれぞれ1名ずつ募集をいたします。いずれの方につきましても、重要な政策課題に関する理論的、実証的な研究及び我が国経済に関する調査分析等の業務に携わっていただきます。また、経済財政諮問会議の議論に資するよう、実際の政策についての提案を積極的に行っていただきたいと考えております。詳細は、内閣府のホームページの採用情報のサイトに掲載をさせていただきます。

また、参事官補佐クラスでは、既に公募を行いまして、4月1日から政策統括官、経済社会システム担当部局に、株式会社日本総合研究所の出身の方を新たに採用する予定としております。更に、非常勤でもハイランクの民間人、これは審議官ないし課長クラスの民間人を非常勤で登用できるように、新たに政策参与という非常勤ポストを訓令で設置することといたします。民間人登用拡大のための体制整備をしっかりと行っていきたいと、更に考えております。

私の方から以上でございます。

2.質疑応答

問)

先程のCPIの件ですけれども、横ばい圏内ということですけれども、一方で素材価格の高騰も顕著で、最終製品メーカーにしわが寄る情勢です。こういう情勢をどうご覧になっているか。一部には、ある種スタグフレーションの恐れもあるのではないかという指摘もございますが。

先日の月例経済報告でもこの件でテーマになっているんですけれども、その後、マーケットの動向とはいえ、景気などに影響があり得るということで、更にその後、政府としては何か対応をお考えになっているか、あわせてお伺いします。

答)

まず、これは月例関係閣僚会議でも申し上げたのですが、こういう問題というのは、一部の資材が高騰して、それでそこにボトルネックが生じると。価格が高くて調達できなくて、それで経済産業活動の連関に途切れが生じるというのが、やはり最大の懸念であると思います。そうしたことが生じないように、これは各部局部局でしっかり見ていくしかないわけでありますけれども、我々は当然経済全体の運営の立場から、引続きしっかりとモニターをしているところでございます。問題意識を持ってモニターをしていきたいと思います。

ただ、今仰ったスタグフレーションというのは、スタグネーションとインフレーションですから、少なくとも経済が回復している中で、スタグネーションには当たらないわけでありましょうから、スタグフレーションというご批判はどういう趣旨なのかなと思います。いずれにしても、ここの点はしっかりと、やはり重要な点ですので見ていきたいと思います。

問)

今仰った人事の件ですけれども、大田審議官を統括官に起用なさった狙いと、更に民間からの枠を広げていくというご説明でしたけれども、それの狙いもあわせてご説明いただけますか。

答)

人事は適材適所でございますので、個々のポストについて申し上げる立場にはございませんけれども、基本的には、やはり谷内統括官は正に経済分析の専門家でいらっしゃって、経済学の博士号をお持ちの方で、経済財政白書の第1号をお書きになった後も、本当にしっかりとした内閣府全体の経済分析の要になってくださったと思っております。その谷内さんの後任として、やはりこれは民間といいますか、大学でのご経験等も活かして、新しい政策統括官には、経済分析、調査、更にはそれを政策立案に結び付けるという面でしっかりとご対応いただけると思っております。

民間でありますけれども、これは政府一般について言えることですけれども、民間の知見をその中に活用していくということは大変重要なことだと思います。特に、内閣府の場合は、組織自身が新しくて、そういう民間の方にご活躍いただける余地も、他の省庁に比べても相対的には広い、大きいのだと私は思っておりますので、引続き、良い形で民間の方にはご参加をいただいて、それによってまた内閣府の職員自身も刺激を受ける、そういう好循環を作っていきたいと思っております。

問)

郵政民営化ですけれども、民間人を含めた法案準備室の構想が出ていますけれども、所管大臣がどなたになるかという問題はともかくとして、この構想自体をどう評価されるかということと、今後、それが実現された場合に、諮問会議との連携なども視野に入るのでしょうか。

答)

これは、今、色々総理、官房長官の方で色々な立場からのご検討をしていただいていると思っております。当然、諮問会議で秋頃までに取りまとめを行うということははっきりしているわけでありますので、諮問会議としては、総理、官房長官のご指示に従いながら、しっかりとあらゆる部署とですけれども、連携をとりながらやっていく必要があると思っています。

問)

昨日も山口銀行の方で顧客情報の流出が判明しております。一連の事象を受けまして、大臣ご自身は、何か情報管理の体制整備に関しまして、構造的な問題が起きているのか、それとも事故が単に相次いでいるだけなのか、どのように受け止めてらっしゃるかご認識をお伺いしたいと思います。

答)

本当にご指摘の通り個人情報が流出していると。これは、実は銀行だけではなくて、あらゆる業種でそういうことが起きています。特に大きなのではインターネットのプロバイダー等々、通信情報分野で起きております。しかし、銀行というのは、個人の非常に重要な財政、財務情報を管理するわけですから、とりわけ情報管理の責任は大きいと、社会的な責任は大きいというふうに認識をしています。

我々としては、こういうことはあってはならないわけで、情報管理について徹底するように指示を既に早い時点で出しております。この問題に対して、たまたま出てきたのか、構造的なのかという問題に関しては、これはそんなに容易に判断できませんですけれども、やはり基本的にはシステムそのものを強化していかなければいけないという認識の下にしっかりと対応していきたいと思っています。

問)

会計士協会の方が、検査と監査の格差縮小で、当局との連携を求めておりますが、当局とされまして、今後の対応方針をお聞かせ願えますでしょうか。

答)

これは以前の記者会見でも一度申し上げたかなと思いますけれども、これは会計士協会の方でしっかりとご対応をいただいていると、そういう問題だと認識をしております。もちろんその上で、必要があれば、我々としては協力できることがあればしっかりと協力をして、しっかりとしたシステムにしていただきたいと思っております。

問)

昨日のりそなが保有するコスモ証券株の売却ですけれども、公開買付けの価格が市場でついている価格よりかなり低いのではないかという指摘が出ていますが、その点について、大臣、どうお考えになりますか。

答)

個別の話ですので、その個別の話、特にプライシングについて私がコメントする立場にはないと思っております。

これは一般論としてですけれども、こういう場合は売り出されることによって、その後の均衡価格がどうなるのかということから、専門家が色々検討してプライシングをなさるのが普通なのではないでしょうか。今回の場合についてどうこうということは、私には分かりませんが、一般的にはそのような形で各社は対応しておられるのだと思います。

問)

先日、経済同友会が金融の改革に対する提言をまとめたのですが、その中で、来年のペイオフの完全解禁の後、決済用預金を恒久的に保護するのはモラルハザードだという指摘をしたのですけれども、それについて大臣のコメントをください。

答)

同友会の提言は、これは民間の提言でありますから、中身についてどうこう言う立場にはございませんけれども、同友会としての色々な意味でのご見識をお示しになったものだというふうに思っております。

特に市場のメカニズムを活用して、しっかりとやりなさいというのは、同友会のご提言の基礎になっているというふうに思っております。

その中で、決済用の預金、ペイオフとの関係で決済用預金につきましてのコメントは承知しておりますけれども、基本的には決済用預金のご趣旨を是非ともよくご理解をいただきたいというふうに思います。モラルハザードになるということでありますが、これは基本的には、金利がノーマルな状況になってきた場合には、決済用預金というのは、これは金利が付かないということを前提にしているわけでありますから、金利が付く方を選ぶのか、金利がつかない方を選ぶのか、これは当然その選択者において適切な選択が行われるわけでありましょうから、このことを以ってモラルハザードにつながるということではないと我々は理解をしております。

問)

一昨日の国会での答弁で、谷垣財務大臣が、郵政民営化に絡んで、非市場性国債を郵貯、簡保の運用対象に挙げることを今後検討する必要も出てくるということを視野に入れるということを仰いましたけれども、大臣、どうお考えでしょうか。

答)

これは純粋に国債管理政策の話でありますので、財務省のご所管の話でありますので、ちょっと具体的に大臣がその時どういう言い方をされたのかというのは、今手元にありませんが、当然色々なことをご担当としてはお考えなんだと思います。

郵政民営化の趣旨というのは、もちろんこれ自体が大作業でありますけれども、この大きな組織が日本市場経済にソフトランディングする過程で、民間経済ないしは政府の今の部門も更に変わらなければいけないところは変わっていく、同時に変わっていくんだ、だから大改革なんだと、総理はそのような趣旨のことを仰っておられますが、当然のことながら各部署で責任のある対応をご検討をいただいているというふうに思っています。

問)

それで、2007年の民営化からある程度の期間を置いて完全民営化に移行するという話の流れになっておりますけれども、その移行期間の部分は、そういう変わるべき民間なり、政府なり、改革のための時間でもあるという考えでしょうか。

答)

基本的には、先般の諮問会議の後の記者会見でも申し上げましたけれども、2007年に民営化をいたします。しかし、民営化をして、それが即最終形態ということではない。最終形態に至るには、これだけ大きな組織でありますから時間を要すると。その時に、経営の自由度というのとイコールフッティングというのは、コインの両面としてバランスをさせなければいけない。当然、その中で、これは郵政の問題だけではなくて、日本の経済システムそのものがそれに歩調を合わせて変わっていかなければいけないということだと思っております。

(以上)

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