英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成16年6月4日(金) 9時08分~9時27分 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。今日の閣議では、昨日、諮問、答申のありました「基本方針2004」、いわゆる「骨太2004」について閣議決定をしております。閣議決定に際しまして、私から発言をさせていただきました。また、それを受けて総理からも御発言がございました。

まず、私の発言でありますが、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」は、これまでの小泉内閣の改革の芽を大きな木に育てていくための基本戦略です。まず、平成17年度及び18年度という2年間を重点強化期間と位置づけ、この期間にデフレからの脱却を確実なものとし、新たな成長に向けた基盤強化を図ることとしています。この重点強化期間においては、「官から民へ」、「国から地方へ」の徹底、官の改革の強化、民の改革の推進、人間力の抜本的強化、持続的な安全・安心の確立といった5つの改革に邁進してまいります。また、改革の成果を日本の隅々にまで浸透させるべく、地域再生、雇用政策、人材育成施策の新たな展開、新産業創造戦略の推進、市場環境の整備、発展基盤の強化についての取り組みも示しております。また、今後の経済財政運営の考え方を示した上で、平成17年度予算に関しては、その狙い、歳出改革路線の堅持、予算配分の重点化・効率化、主要予算の改革についてまとめております。関係閣僚におかれては、本基本方針取りまとめに当たっての御協力に感謝いたしますとともに、今後、この方針の具体化に向けて引続き御協力をお願いいたします。

以上が、私の発言であります。

総理から、続いて発言をいただきました。総理の発言は、以下のとおりです。

「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」は、これまでの改革の芽を大きな木に育てていくための基本戦略であります。デフレからの脱却を確実なものとし、新たな成長に向けた基盤強化を図るべく、郵政民営化、大胆な規制改革、三位一体の改革、社会保障制度の総合的な改革等を進めていきます。また、当面の経済活性化に関しては、改革の成果を日本の隅々にまで浸透させるため、地域や雇用の問題に重点的に取り組みます。閣僚各位におかれては、基本方針の具体化に向けて格段の努力をお願いいたしたいということでありました。

同時に、これに関しまして、この「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」についての総理大臣の談話が発表されております。これは、後ほど、多分お手元に届くと思います。

閣議においては、そのほか証券2法の公布の決定をいただきました。

閣僚懇に関しては、特に申し上げることはございません。

私からは以上です。

2.質疑応答

問)

この「骨太」ですけれども、大臣御自身の自己評価として、100点満点でいうと何点ぐらいをつけられますか。

答)

自分で点をつけるのは難しいので、皆さんにつけていただきたいと思います。甘くつけると甘いと言われますし、悪くつけるとそんなに悪いのかと言われますので、皆さんにお願いしたいと思います。

ただ、1点、私としては「骨太」は4回目になりますけれども、これまでこういうことをやりたいと思っていたことが幾つかあったわけですけれども、それがなかなかできなかった。今回、そのうちかなり重要なものが、まさに機が熟して、この「骨太」の中にきっちりと書いて閣議決定できたという点があります。

代表的な点だけ申し上げておきますと、デフレ克服に向けた日銀との協力体制、これはその部分に関する記述は、昨年の記述と今年の記述でかなり違っております。今年の記述に関しましては、政府の政策との整合性について日銀にしっかりとやっていただくということとか、デフレ克服への道筋についても日銀に示していただく。これは、実物経済が良くなって、デフレ克服に向けて今一歩のところに来ていますけれども、大変重要な一歩であると思います。

第2の点は、規制改革がやはり極めて重要ですが、その中に市場化テストを導入するということが明示された。それについては、これも前からやりたかったことですけれども、なかなかそこまでいかなかったのですが、大変重要な一歩だと思っています。市場化テストというのは、よく申し上げますけれども、官民合同入札のようなものだと思っています。例えば、役所が統計の資料を作る。その時に、それを役所の中でやる方がいいのか、民間に委託する方がいいのか、入札して効率的な方にしようではないかと。これは、アウトソーシングを進めて財政の効率化にもつながるし、まさにそれを受託する民間の需要増にもつながるわけですから、大変重要な一歩だと思っています。イギリス等々では行われていたわけですが、日本で今度行われるように、それに向けた準備が進められるというのは、重要なことだと思います。

3番目は、地域再生、これまで特区等々に象徴されるように、厳しい財政の中でお金をなかなかつけられなかったわけですが、今回、地域再生に向けて、資金の問題についてもその枠組みを作っていくということが明示されています。来年度予算には、財政をやりくりしながらそれをやっていくということが実現されると思います。これに関しては、特に額賀政調会長の御尽力もいただいてこういう形になったというのは、やはり一歩前進であると思います。

4つ目は、特別会計について、数値目標を掲げてその整理といいますか、効率化を進めていくということが明記された。これは、各省庁の色々な反対が非常に強かったわけですけれども、それが明記されたというのは、これまた大きな一歩だと思います。この特別会計の議論も、この3年間ずっとやってきたわけですけれども、なかなか踏み込めなかった。それが、本当に、それこそ色々な御批判もいただいて、機が熟してこういう形になってきたと思います。

5つ目は─もう5つで止めますけれども、「日本経済21世紀ビジョン」、つまりビジョンについて、官民の英知を結集してそういうものを作っていくということが明記できたことだと思います。これは、大平内閣で、官民の英知を集めて11の大平研究会というものがありました。その時になされた議論というのが、実は今の政策のやはり根幹を作っている部分が大きいわけですね。環太平洋連帯構想というのは、その時出てきたものであります。それと、田園都市構想のような考え方もその時出てきているわけです。小泉内閣は、ビジョンがないというような御批判もありました。我々は、不良債権処理でありますとか財政健全化とか、目の前のことにどうしても追われていたわけですけれども、私自身、これは前からこのビジョンというのを是非やりたかったのですが、実は3年ぐらい前に諮問会議で1度出しかけたことがあるのですけれども、その時は閣内で反対されました。まだそんなことをやる時期ではない、目の前にやるべきことがあるということであったわけですが、今、改革の芽が出始めて、そういうことをやるということに関しても合意が得られたというのは大変重要だと。これは、我々としてもすぐに始動したいと思っています。

そういう点、繰り返しになりますけれども、今までやりたいと思っていたことでできなかったことが幾つかあったわけですが、それが今回の「骨太」の中には織り込まれているという点、この点はしっかりと実現に向けて努力をしたいと思います。

問)

今のお話の中で、日銀に対して、今回の表現ぶりを見ていますと、デフレ克服の道筋を示すことを含めて、金融政策運営の透明性の一段の向上に努めるべきと、かなり表現ぶりというものが踏み込んだなという印象を受けるのですけれども、今ちょっとお話がありましたが、この文言に盛り込みました大臣の思いというのでしょうか、何を期待するのかもう少し伺いたいのですけれども。

答)

これは、私の思いということではなくて、日銀も政府も思いは同じだと思っています。諮問会議で少し福井総裁と議論させていただきました後も、様々な形で日銀とこの問題を議論させていただきました。福井総裁とも議論させていただきました。その上で、本当に政府・日銀一体となって、一丸となって協力してやっていかなければいけない重要な局面であると。そういうことで、日本銀行も本当に色々な観点から御努力をくださっていると思います。

一方で、原油等々、実際のマーケットでも価格が動いておりますし、そういうことも見定めながら、ぜひ我々も引続きその努力をしたいと思いますし、日本銀行においてもしっかりと御対応いただけるものと思っております。

問)

「骨太」の中で「金融重点強化プログラム」と書いてありまして、その中に国際的にも最高水準の金融機能のサービスの提供というようなくだりがありますが、どのようなものに仕上げていきたいとお考えなのか、もう少し詳しく伺いたいと思います。

答)

この点については、本当に幅広く是非議論をしていきたいと思います。これまで我々が取り組んできている「金融再生プログラム」というのは、大変重要なプログラムだと思いますが、私がよく申し上げるところのリアクティブなものがやはり前面に出るわけですね、不良債権の処理であります。

しかし、不良債権を処理して全て問題が片づくわけでは、これはないわけです。収益力を高めて、正に御指摘のように最高の金融サービスが提供できるような状況になっていかなければいけない。その中身については、私はぜひ幅広く議論をしたいと思います。まず、庁内で幅広く議論をしたいと思いますし、金融庁の若い職員の皆さんにもこの議論にぜひ参加していただきたいと思っていますし、また幅広く社会全体で御議論をいただくべき問題だと思います。

前回の「金融再生プログラム」の時は、本当に時間的な制約の中で、私が就任してから約1カ月程度でその基本的な方策を取りまとめろという総理からの御指示をいただいていました。そういう中の状況と、やはり今は違っていると思っています。「金融再生プログラム」をまず終結させると言いますか、その目標を達成すること、これはまだ、あと1年近くあります。その間に、しっかりと幅広く議論していきたいと思います。

問)

先ほど、原油価格の話が出ましたけれども、OPECは原油生産の拡大を決定しました。これにつきまして、大臣の御所見を伺いたいのですけれども。

答)

マーケットでは、これに関して色々な御意見が言われているということを、私も聞いております。基本的にこの増産は歓迎すべきものであるという御意見と、一方で、これは現実と言いますか、事実の後追い的なものではないだろうかという観測もあるように伺っております。しかし、いずれにしても、消費国側も、また産油国側も、今の問題をそれなりに重視して対応していこうとしているわけですから、そこは引続き各方面の努力に私たちは期待したいと思います。

同時に、今回の価格増が、需要の拡大に基づいていると。需要拡大の6割は、アメリカと中国から来ているということでありますから、それなりに経済の過熱を防いでソフトランディングを果たしていくという、そういうマクロ経済運営は、これは各国に求められていることだと思います。

問)

昨日の「骨太方針」の会見の確認なのですけれども、三位一体改革について、今年やった4,000億円を含めるかどうかというところで、そこについて、今、政府でのコンセンサスがあるのかどうか、その辺をお伺いしたいのですが。

答)

全く同じ御質問なり懸念が、4兆円の補助金削減の時、昨年もあったと思います。この4兆円に、その前の年のものは含まれるのか、含まれないのかというような御質問があったかと思います。それも含めて、しっかりとしたコンセンサスを得ながら、その全体像を示していく必要があると私自身は思っております。

ただ、いずれにしても、私は敢えて昨日、80%移譲されたらどうなるかということを申し上げたわけですけれども、含めるとすれば3.2兆円になるし、含めないとすれば2.8兆円になるという数字を申し上げましたけれども、いずれにしてもこれは1つの目途としてでありますので、そんなに混乱させるような数字ではないのだと思います。そういう御指摘の点も含めて、しっかりと全体像を示していきたいと思います。

問)

改めて確認ですけれども、「金融再生プログラム」の不良債権比率半減目標というのは、何%になったら達成と言えるのかという話です。一応、かねがねお話で8.4%の半分程度ということですけれども、それはその4%台ということなのか、それとも8.4%の半分だから4.2%程度、すなわち例えば4%台前半とか、そういうことを指しているのか。大臣が、9月にも達成前倒しが可能だと仰られたのは、何を指して仰っておられるのですか。

答)

これは、もう我々は言い方をずっと統一してきたつもりです。4%台という言い方をしてきたと思います。半分程度というのは4%台であると、この言い方はずっと我々は一貫してきていると思います。

問)

夏の参院選で、比例区から大臣に出馬して欲しいという声が自民党内にあるようですけれども、大臣御自身のお考えはいかがでしょうか。

答)

昨日も委員会で御質問を受けましたけれども、ラブコールがあるのかというように聞かれて、ラブコールはない、いつも辞めろコールをいただいているというように申し上げました。そういう御要請は、ありません。また、私にそのつもりもございません。

問)

先日の官邸でのトラブルについて確認したいのですけれども、先日、官邸で、大臣への取材を巡って警護の方と報道機関の方でトラブルがあったようですが、大臣自身は直接関係ないとはいえ、そういう現象をどう受けとめられているか、今後のことをどのように考えられていらっしゃるのかお聞かせください。

答)

官房長官が言っておられましたけれども、私も後から聞きましたが、これはもう本当に偶発的なことだと思います。あそこは私自身も何回も通って、実は足を踏まれて靴が脱げたりとか、転びそうになったりとか、これは危ないなと思ったことが何度もあるのですね。これは、記者の皆さんは記者の皆さんで本当に一生懸命しておられるのだと思います。同様に、やはり警護官の方は、本当に一生懸命私の警護をしてくださっているのですね。そういう中で起きた、これは偶発的なことだと思いますので、ここは本当にお互いより注意をして対応していく必要があるなと思います。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る