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伊藤金融担当大臣初閣議後記者会見の概要

(平成16年9月27日(月) 22時20分~22時37分)

【大臣より発言】

このたびの内閣改造で奇しくも金融担当大臣を拝命致しました伊藤達也でございます。今まで2年間、金融行政に竹中大臣の下で副大臣として携わらせて頂いてきたわけですけれども、竹中大臣の志を引き継いで決意を新たに金融改革に一生懸命取り組んで参りたいと思います。どうか引き続きよろしくお願い申し上げます。

【質疑応答】

問)

今日、任命される時に総理から何時どのようなタイミングで言われたのでしょうか。また、竹中さんからは何か声をかけられたのでしょうか。

答)

総理からは、昼過ぎに電話で直接お話をさせていただきました。その中で「今まで伊藤さんは一生懸命改革に取り組んでこられた、引き続き大臣としてその改革に取り組んで欲しい」というお話をいただいたところでございます。その後、竹中大臣と直接お会いをさせていただきました。竹中大臣からは、「自らの思いを引き継いで金融改革に邁進をしていただきたい」というお話をいただいたところでございます。

問)

「金融再生プログラム」の目標の一つである不良債権比率の半減がこの9月末にも達成できるのではないかという見通しがありますが、大臣ご自身は、副大臣の時の経験も踏まえてどのような見通しでおられますか。

答)

「金融再生プログラム」は、2年半で不良債権比率を半減させることを政策目標にして取組みをさせていただいております。金融機関の方々のご努力で着実に不良債権比率の低下に向けて進捗しているところでございますけれども、私どもとしますと、この目標を達成するために金融改革の手を緩めることなくしっかりと対応し、国民の皆様方、利用者の皆様方が安心して金融システムを利用できるような金融システムの安定・強化に向けての対応をしっかりとやっていきたいと思います。

問)

見通しについてはいかがですか。3月末には5.2%でしたけれども、9月末には4%台になるのではないかということについては。

答)

これは、今金融機関の方々が一生懸命ご努力いただいているところですので、具体的にどうかということについて私の方からコメントすることは差し控えたいと思いますが、数値目標はあくまで数値目標でありますので、一番重要なのは、金融システムの安定・強化を図るということであります。そのために、私ども金融行政としてもしっかりとした対応をしていきたいと思いますし、また、各金融機関の方々も、強い問題意識を持ってこの不良債権問題の終結のために取組みをしていただいておりますので、そうした取組みを更にしっかりしていただきたいと思っているところです。

問)

総理から3つのテーマを与えられたと会見で仰ってましたけれども、それぞれどのように取り組んでいこうと考えていかれるのか、御所見を伺いたいと思います。

答)

総理から3つの点に留意して金融行政にあたって欲しいというお話がございました。重ねての繰り返しになりますが、1つ目は、「金融再生プログラム」に基づいて不良債権問題を終結し、ペイオフ解禁拡大を予定通り実施をしていく、そのための金融システムの改革にしっかり取り組んで欲しいということであります。

2つ目は、地域経済の活性化や、中小企業の再生という問題が大変大きな経済構造改革の課題にもなっているわけです。こうしたことを実現していくためにも金融面から、特に地域や中小企業の金融の円滑化ということは非常に重要でありますので、こうした取組みもしっかりやって欲しいということでありました。

3つ目は、国際的にもレベルの高い最高の水準の金融機能を利用者のニーズに対応して提供できるような金融行政を行って欲しいということでしたので、こうしたことを踏まえて利用者の方々の利便性を向上し、利用者の方々のニーズに応えられるような金融システムを構築すると共に金融システムの安定強化に向けての施策ということも今まで以上にしっかりと対応しながら経済構造改革を強固に支える金融システムというものを構築していきたいと思います。

問)

2年間金融行政に携わってこられたわけですけれども、その2年の間で伊藤大臣が考えられる、御自身が考えられる実績について教えていただきたいというのが1つ。

2つ目は、竹中前大臣と色々な議論をこれまでされてこられたと思うのですが、お考えについて違いがあるところ、それは否定とかそういうことではなくて、自分だったらこう考えるけれどもというような違いがあるところがあれば教えて下さい。

3点目は、伊藤大臣は中小企業金融に元々大変お詳しくいらっしゃって、貸し渋りの問題等も以前から取組んでおられた経緯で、金融界の中では非常に銀行に対して厳しいと、竹中大臣も厳しいというふうに言われていましたけれども、伊藤さんも厳しい方だというふうな認識を持たれていると思うのですが、その点について御自身どのようにお考えになられているか、以上3点お願いします。

答)

まず第1点目でありますけれども、経済構造改革を進めていくにあたって、その最大の関門が不良債権問題でありました。これを解決していくことが竹中大臣の下で、私も副大臣をさせていただいて、この2年間の取組みの中での最大の課題ではなかったかというふうに思います。これを解決していくために「金融再生プログラム」を策定し、そしてそのプログラムに基づいて諸施策を展開する中で、不良債権比率半減に向けて取組みをさせていただき、重ねてになりますけれども、この比率が着実に低下をしてきているのではないかというふうに思っております。このことを通じて、金融システムの安定強化を実現していく、そしてそれだけではなくて、やはり多様で高度な金融システムというものを、金融機能というものを利用者のニーズに対応した形で提供していかなければいけないわけでありまして、そうした取組みをこれからしっかりしていきたいというふうに考えているところであります。

竹中大臣との考え方の違いはという御質問がありましたが、これは全くありません。竹中大臣とは同じ思いを持って、同じ問題意識を持って、今まで2年間金融行政に携わってまいりました。この竹中大臣の志というものをしっかりと引継いで、国民のための金融行政の実現というものをしっかりやっていきたいというふうに思っているところでございます。

3点目、「厳しすぎる」というそういう声についてというお話がございましたが、これは竹中大臣もお話になられたように、やはり金融行政と関係機関との関係においては、健全な緊張関係というものが重要ではないかというふうに思っております。これはやはり、利用者の方々を守り、国民の皆様方の期待に応えるための金融行政を推進していくためには、ある種の馴れ合いがあってはいけないということは当然のことであります。しかし一方で、やはり問題意識を共有して、そして行政も関係の業界の方々も共に努力をしながら日本の金融システムの質を向上させていく、多様化を実現していく、高度化を図っていくということは非常に重要なことだというふうに思っておりますので、そういう意味で問題意識を共有していくために、私共としてしっかりとした説明を行い、そして意見交換を通じてそうしたことが推進できるようにしっかりやっていきたいというふうに思っております。それを重ねていくことによって今のようなお話というのも段々無くなっていくのではないかというふうに思います。

問)

大臣が変ったことによって、市場関係者とか業界関係者は金融行政がどんなふうに変化を見せるのか、見せないのかと非常に注目していると思うのです。官邸での会見では竹中路線を踏襲すると仰いました。ただ今、竹中さんとの政策的な違いというのは全くないということなのですけれども、それはよく理解できたのですが、伊藤大臣の個性というのは今後の金融行政においてどういうふうに発揮されていきたいのか、政策面でも職員との接し方でもどんな些細なことでも良いのですけれども、自らの個性というものをどこにどう発揮していきたいと考えなのでしょうか。

答)

これから私共と致しましては、「金融再生プログラム」や或いはリレーションシップバンキングの機能強化、このアクションプログラムに基づいた諸施策を展開して、金融システムの安定化に努めてきたわけでありますけれども、ポストのプログラム作り、つまり「金融重点強化プログラム(仮称)」を作成する予定になっております。この中で、金融システムの安定・強化と多様な金融機能、或いは高度な金融機能というものを利用者のニーズに対応した形で提供をしていく、そういう方向性を持ちながら、金融行政を展開していくためのプログラムをまとめさせていただきたいというふうに思っているところであります。このことが、構造改革を支える強固な金融システムを築き上げていくということに繋がっていかなければいけませんので、そうした目的に向かって邁進をしていきたいというふうに思っているところでございます。更に今、経済構造改革の中で、やはり地域の活性化、或いは中小企業の再生というものは極めて重要な課題でもあります。私は今まで経済産業政策でありますとか中小企業政策にも取り組んでまいりました。金融と、そして産業政策、中小企業政策がより以上に連携をして、そして今お話をさせていただいた課題に具体的に応えていけるような、そういう展開をしていかなければいけないというふうに思っております。地域の中にも中小企業においても、潜在的に素晴らしい力があります。また、失ってはいけない価値というものもたくさんあります。そうしたものを引き出していく、そうした価値を磨き上げていく、そのために金融行政としてやるべきことがあるならば、それに対してしっかり応えていきたいというふうに思っております。

問)

郵政民営化が今内閣の最大の課題であるわけですが、金融行政の立場から色々御意見を言っていかなければいけないこともありますけれども、場合によっては、竹中郵政担当特命相と意見が合わないような事態もあるかと思うのですが、金融行政の立場から郵政民営化にどのように臨んでいかれるか、教えていただけますでしょうか。

答)

この民営化については基本方針が閣議決定をされて、今後政府としては、法案の作成とその具体的な作業に取組んでいくわけでありますけれども、私共と致しましては、これも先程官邸での記者会見でもお話をさせていただいたように、民間とのイコールフッティングの問題でありますとか、或いは事業毎の損益の明確化、或いは事業間のリスク遮断の徹底、こうした基本的な考え方というものをしっかり踏まえて、基本方針に基づいて適切な対応をしていきたいというふうに思っています。

問)

大手スーパーダイエーの問題なのですけれども、産業再生機構の活用に今なお膠着状態になっていますけれども、この現状についてどう進展すべきか、そこの辺の御所見をお願いします。

答)

個別の問題でありますのでコメントについては差し控えさせていただくことについて御理解をいただきたいというふうに思います。一般論として申し上げれば、事業再生についてしっかりとした透明度のある、市場の評価が得られるような再建計画というものを作り上げることが大変重要であるというふうに思っております。単に財務リストラの視点からの計画ではなくて、事業の競争力というものを回復をしていく、お客様の支持や、或いは市場の評価が得られるような再建計画を作っていくということが一般論として非常に重要なことではないかというふうに思います。

問)

また個別の話で申し訳ないのですが、UFJの告発の件なのですけれども、この点については。

答)

この点についても官邸での記者会見でもお話をさせていただきましたように、今まで4つの視点を含めて総合的に検討をしていくと、しかし、告発をするかしないかについては言及は差し控えさせていただきたいということをお話をさせていただいてまいりました。この点については御理解をいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても法令に基づいて適切に対応をしていきたいというふうに思います。

問)

僭越なのですが、今回、抜擢された理由はどの辺にあったかというふうに御自身はお考えになってらっしゃいますでしょうか。

答)

これは正直に言って荷物を片付けておる中で総理からお話がございましたので、その中では今まで改革に一生懸命取組んできたと、だからこそ大臣としてしっかりやって欲しいというお話でございましたので、そういう点で私に「金融改革をやれ」というお話があったのではいかというふうに思います。

(以上)

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