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伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成16年10月8日(金) 10時50分~11時07分)

【大臣より発言】

先程閣議が行われまして、私共に関連する案件はございませんでした。ただその中で臨時閣議を来週の月曜日に開催させていただくということになりました。閣僚懇談会においては官房長官から三位一体の改革の推進について、また村田防災大臣から三宅島の現地調査についての結果報告があったところでございます。

そして私の方からお話をさせていただきたいことがございます。これは足利銀行に関して二点、御報告をさせていただきたいと思います。一点目は足利銀行においては新経営陣の下、特別危機管理開始決定が行われる状況に至った経緯等を記載した報告書の取りまとめ作業が進められてきたところでありますが、本日夕刻公表される予定となっております。報告書は預保法第115条に基づき当庁より足利銀行に対し求めているものであり、過去に破綻した金融機関においても同様の報告書が取りまとめられております。二点目は本日預保法第113条に基づき特別危機管理開始決定の公告時における足利銀行の資産及び負債の状況について、官報に掲載したところであります。只今申し上げました二点につきましては本日夕刻、事務方から記者の皆様方にレクチャーをさせていただきたいと思っております。

以上です。

【質疑応答】

問)

昨日の金融庁のUFJに対する刑事告発を受けて先程、東京地検特捜部がUFJ銀行の東京本部と複数の役職員の自宅に家宅捜索に入ったようですけれども、改めて今回の刑事告発について大臣の所見をお願いします。

答)

UFJ銀行に対して、今お話がございましたように東京地検が強制捜査に入ったと報道があったことは承知をいたしております。捜査に関する事柄でありますので、今後の捜査に支障を及ぼす惧れがあることからコメントは差し控えさせていただきたい。いずれにいたしましても捜査の進展を見守っていきたいというふうに思っております。

問)

いわゆるオレオレ詐欺とか架空請求事件で、架空名義や他人名義の銀行口座を悪用するケースが出ております。それから警察庁が「口座の売買を禁止する法的規制が必要である。」ということで検討しているようですが、大臣はこうした口座の売買取引禁止の法的な規制についてどう考えていますか。

答)

今御指摘がございましたように、預金口座の不正利用問題につきましては利用者保護、或いは金融システムに対する信頼維持の観点から大変重要な問題であるというふうに認識をいたしております。このため私共といたしましては金融機関に対する口座管理の徹底等の要請を行っているところございますが、こうした取組みを引き続き徹底をしていきたいというふうに思います。そして、口座売買等の禁止についての対応の問題でありますけれども、こうした対応についての問題意識というものは私も持っております。従って警察庁を含めた関係機関とも協力をして適切な対応をしていきたいというふうに思っています。

問)

本日、ダイエーの高木社長と主力取引銀行のUFJ銀行の沖原頭取がトップ会談を行う予定です。会談では産業再生機構の活用が争点となる見通しですが、このダイエー問題が解決しませんと主要行の不良債権半減目標にも多少なりとも影響があると思いますが、銀行を所管する大臣としてこの問題、ダイエーの機構活用についてどうお考えでしょうか。

答)

この問題については、まさに金融機関の取引先であります個別の債務者企業の問題でありますのでコメントは差し控えさせていただきたいと思います。事業再生、企業再生一般についてお答えをさせていただくという観点でお許しをいただきたいというふうに思いますが、再生に当たってはやはり市場性、透明性、実現可能性の高い再建計画を策定し、そしてそれを着実に実施していくことが重要であるというふうに思います。それに当たっては単に財務リストラに頼るのではなくて、本当に事業を再生させ、そして競争力を回復していくことが何よりも大切なことではないかというふうに思います。そうした再建計画を作り上げていくためにも、今までの事業のどうした部分の競争力が劣化をしてきたのか、その原因というものを取り除いて、そしてしっかりとした選択と集中の中で市場から評価されるような競争力を強化する事業の再生というものを実現していかなければなりません。そのために例えばしっかりとした資産査定をしていくということも非常に重要なことではないかというふうに思っております。今までの私共の特別検査等の状況を見ますと、再建計画を持っている債務者の状況を検証させていただく中で、企業再生について着実に進んでいるものと、残念ながら企業業績が中々回復できないものと二極化されているわけであります。従って企業業績が十分に回復できないものについてはしっかりと再生に向けて、リスク管理態勢というものを強化していただく。金融機関側にとって見れば問題解決能力というものが非常に問われているのではないかというふうに思っております。そうした対応をしっかりして、そして再生というものを実現していっていただきたいというふうに思います。また、不良債権問題が正常化していく過程において、金融と産業の一体的再生という視点からしても大変重要な局面を迎えているのではないかというふうに思っております。そうした観点からもこうした問題に対してしっかり取り組んでいくことは大切なことだというふうに思います。

問)

強制捜査について、捜査への影響も勘案しまして捜査の進展を見守るというコメントだったのですが、やはり金融検査の場合どうしても任意のものであって、事態の全容解明を元々目指すものでもないし、そういう意味では本当の真実が金融検査で明らかにできるのかというと限界があるのではないかと思うのですが、そういう観点から今回の司直の捜査に期待するものなり求めるものなりありましたら伺いたい。

答)

私どもといたしましては銀行の経営の健全性の確保、或いは事業の適正性の確保ということをしっかり見ていくことが、利用者保護の観点においても大変重要なことだと思っております。また、捜査当局は捜査当局としての使命があろうかと思いますので、そうした使命に基づいて捜査がされていくと思いますので、その捜査の進展を見守っていきたいと思います。

問)

改めて質問しますが、業務改善命令から告発に至るまで3ヶ月余りの日数が経っていますが、その間時間がかかったというのはどういうことなのでしょうか。

答)

それは告発に当たっては今までもお話をさせていただきましたけれども、検査忌避等の行為についての悪質性、或いは今後の検査一般の実効性に与える影響、そして金融行政の目的遂行の確保、更には一般国民或いは私企業に対して処罰を求めることの重大性等を、総合的に勘案して検討してきたわけであります。そして判断をするために必要な時期であったということであります。

問)

そうした場合、素直に考えるとそういった部分も含めた上で業務改善命令と告発する或いはしないというのを同時にやる方が、今回のようにUFJが告発リスクに晒されることがなかったのではないかと思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

重ねてで恐縮でございますが、今お話をさせていただいた観点から総合的に勘案し、検討をさせていただいて今回のような告発、そして銀行法違反の行為に対して行政処分をさせていただいたということであります。

問)

告発リスクを抱えている金融機関は、増資等の発行条件が格段に跳ね上がり、自力増資が難しい状況になるというのは金融界ではごく当然のことと受け止められていたのですが、そのことについて大臣は認識がおありだったのでしょうか。

答)

重ねて申し上げて恐縮でございますが、私たちは告発するかどうかについては、今お話をさせていただいたような観点から総合的に勘案をして検討させいていただいてまいりました。そしてその結果として、今回のような告発並びに行政処分というものをさせていただいたということであります。

問)

告発リスクを抱えて増資ができないという状況があると、不良債権処理を求められているUFJは経営統合という選択しかないと思うのですが、それはそういう方向に促すという金融庁の意図があったということでしょうか。

答)

そういう意図はございません。先程からお話をさせていただいているように、この判断をするに当たっては総合的な視点から勘案をし、そして判断をさせていただいてきたということであります。

問)

意図があったかどうかというのは別として、結果的に増資ができなくなって東京三菱との統合であるとか、それ以前にも色々なすったもんだがあったわけですが、結果的に裁量行政と言うか、追い込んだのではないかという見方があることについてはどうですか。

答)

重ねてで恐縮でございますけれども、告発するかどうかについては、先程来お話をさせていただいている観点から総合的に勘案して検討をさせていただいてきたわけであります。そしてこの判断をするに当たっては、法令に基づいて私どもとしては適切に対応をさせていただいたと思っております。

問)

繰り返しになるかもしれませんが、今日日本を代表する大手銀行にそういった形で検察が捜索に入ったという点についてどう受け止められているのかということと、預金者とか取引先がこういったものについて、ある程度衝撃というか受けていると思うのですが、そういう影響についてどう見ているのか、2点お伺いしたいのですが。

答)

この点につきましても先程来お話をさせていただいているように、強制捜査に対する所感については捜査に関する事項でありますので、今後の捜査に支障を及ぼす惧れもあることからコメントを差し控えさせていただきたい。いずれにしても、捜査の進展を見守っていきたいと思っております。

問)

繰り返しになるようですが、一部の報道で、検査の過程でUFJは国内行になれば良いではないかというような、不良債権処理をした結果8%割れになれば国内行になって生き残るという手もあるかと思うのですが、そういうことを言ったとか、そういう報道が出ているわけで、そうすると告発リスクなどを抱えながら行政が追い込んでいるのではないかと見られていることについてはいかがでしょうか。

答)

それは憶測に基づく記事ではないかと、私どもはそういう意図はありません。重ねてになりますけれども、先程来お話をさせていただいている観点から総合的に勘案し、判断をさせていただいております。そしてその判断に当たっては、法令に基づいて適切に対応させていただいたものと考えております。

問)

大臣、今日竹中大臣とは告発の話は何かされたり、言われたり仰ったりはされたことはあるのでしょうか。

答)

今日、閣議が終わった後に「大変でしたね」というお言葉をかけていただきました。

問)

大臣の方から竹中大臣に何かお話は。

答)

「大臣の後を引き継いでしっかりこれからもやっていきます」というお話をさせていただきました。

問)

足利銀行について少しお伺いしたいのですが、報告書の方が公表されるということなのですが、大臣のその報告の受け止め方と、内容をどのように評価されているか伺えればありがたいのですが。

答)

先般、タスクフォースが開かれたわけですが、この中で池田頭取にも御出席をいただいて、報告書の概要について直接御説明をしていただきました。その際やはり金融機関の健全性の維持或いは向上を図っていくためには、適切なガバナンスが重要だなということを改めて強く感じたところでございます。

(以上)

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