伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成16年11月26日(金)9時38分~9時50分 場所:参・議食)

【大臣より発言】

今閣議がございまして、私共に関係する案件はありませんでした。その後司法制度改革推進本部が開催をされました。

以上です。

【質疑応答】

問)

昨日、経済財政諮問会議に出した「金融重点強化プログラム(仮称)」の論点整理の件なのですけれど、指摘が三つ出ていましたが、それについて具体的にどのような対応、ご感想をお持ちか教えてください。

答)

三つの御指摘があって、一つは地域金融が非常に大切であると、現在地域金融が色々な課題を抱えているわけでありますけれども、そうした課題に応えながら地域に貢献する金融というものをしっかり確立をしてほしいと、そうした意味からお話があったと承りました。

数値目標の問題については、ある意味では来年の4月にペイオフを解禁拡大するということでありますので、これは自己責任と市場規律を重んじて新しい金融のステージの中で地域金融も含めたスタートを切って行くわけでありますから、そうした意味からすると地域がそれぞれの個性や或いは持ち味を活かした形での地域での金融機能を強化していく、そうした方向の中でどう進捗の取組みというものを外から見ても分かるようなものを考えていくとか、その点について今後議論を深めていきたいと思っているところであります。

二番目の貯蓄から投資という、これは日本経済を活性化していく、その中で経済を支える資金の流れというものをしっかりと確立していく意味からも非常に重要なことであります。今回のプログラムにおいてもこうした強い問題意識の中でプログラムの作成をしていきたいと考えておりますので、これもどのような形を取ることが改革の進捗状況を表すことになるのか議論を深めさせていただきたいと思います。

三点目は、やはりガバナンスの強化ということが非常に重要であると、したがって過去の取組みも含めてレビューをというお話でございました。そういう意味からも私共として金融庁の総点検プロジェクトというものを今推進しているわけであります。その中でもそうした視点を持ちながら総点検をしていきたいと思っております。

問)

特に一点目ですけれども、数値目標を取り込むことについて前向きに議論を進めていくという感じですか。それとも数値目標の是非から議論をしていくということなのか。どれくらいの積極的な取組みなのでしょうか。

答)

いわゆる不良債権比率というのは、金融システムを安定化させていくための一つの進捗状況を表す目標であったわけであります。ある意味では強烈な規律付けをする目標でもあったと思います。今金融環境は大きく変わる中でそうした意味合いの数値目標を設けていくことは、私は今現在必要性というものはそれほど感じてはおりません。そのことよりもいかに地域の自主性、或いは地域の個性に応じた改革の取組みを促しながらそうした前向きな経営努力を評価するようなものをどう知恵を出していくかということについて議論をしていきたいと思っています。金融システムの安定化という問題については、先程もお話させていただいたようにペイオフを解禁拡大するということが大きな節目になっていくわけでありますので、今日まで「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」を推進してきたわけでありまして、これを総括し、そしてこれから更に地域に密着した金融機能を強化していくための施策というものを取りまとめ、これら今までの取組みを拡充強化して行く方向の中に私はあると思っておりますので、そうした方向性の中で議論を進めていきたいと思っております。

それともう一つ重要なことは、地域の活性化というものは金融面だけで実現できる話ではありません。各省の様々な施策との連携、各省との緊密な協力関係の中で地域経済の活性化という経済構造改革の大きな課題に取り組んでいかなければいけないと思っております。その中で金融が地域経済の活性化にいかに貢献していくことができるのか、寄与していくことができるのか、そうした視点の中でこれからのプログラム作りの具体論を進めていきたいと思います。

問)

大手行の決算が一通り終了しましたが、それについての御所感、総括をお願いします。

答)

主要行の中間決算については、不良債権比率が4.7%、今年の3月期に比べて0.5%ポイント低下をいたしております。私共が不良債権比率を2年半で概ね半減すると、「金融再生プログラム」で掲げた目標に向かって順調に進捗をしていると思っております。しかしこの中間期というのは、来年17年3月期に向けての通過点でありますから、不良債権問題の再発を防止しながら来年の3月期に間違いなくこの目標を達成できるように、確実に目標を達成できるように改革の手綱というものを緩めることなく取り組んでいかなければいけないと思っております。

特に金融と産業の一体的再生という観点からして見ますと、今回の特別検査において企業再生についてはその進捗がされているものと、中々企業業績が回復しないものと、二極化の傾向が現れているわけであります。そうした意味からも金融と産業の一体的再生に向けての総仕上げをしっかりやっていく必要があると思っております。

問)

銀行決算ですが、財務の健全性は進んだと思うのですが、健全性を進めた上で金融機能の面で言うと、例えば貸出金が増えているのかどうかということが大事だと思うのですが、引続き減少傾向を示しているわけですけれども、この辺り大臣見ていて底打ち感が出ているのか、それともまだまだ下がっていきそうなのか、その辺りどう御覧になっていますか。

答)

やはりバブル期に比べて、この貸出金の総額というものがある意味調整をしていく流れの中で低下をしていくという傾向はあろうかと思います。今バブル期から比べると大体8割くらいまで低下をしてきたのではないか。そしてバブル期前の時期から比べるとまだ今のレベルというのは高い状況にあると思いますから、そういう比較からすると調整局面という意味では最終的な場面に入りつつあるのではないかと思っております。こうした調整局面の中で非常に重要なのは、その中でも新しい資金ニーズが起きているわけでありますし、産業界・経済界においては様々なチャレンジが行われているわけであります。

また、成熟産業、オールド・エコノミーと言われる分野においても新しい挑戦というものが行われているわけでありまして、そうした調整に対して、或いは新しい試みに対して応えていく事ができるのかということも一方で問われているのではないかと思っております。

今主要行の中では、例えばニーズの高い無担保・第三者保証不要のスピード審査の新しい商品というものを投入して、そしてこの貸出残高というものも増えてきているわけでありますから、そういう意味からしますと、やはりニーズに応えた金融商品の提供、或いはサービスというものを提供することによってそのニーズにしっかり応えていく、真に必要な金融機関としてのサービスを提供していくということが極めて重要ではないか。それに応えていく事によって、収益というものも向上していくことにつながっていくと思います。

問)

地域金融機関の目標なのですが、皆にある程度当てはまるような基準を設けてそこに向けての努力を促すのか、それとも個別にそれぞれの事情に応じてある一定の目標なりを定めてもらってそこに向けて努力を求めるのか、その辺のイメージというのは今どうお考えでしょうか。

答)

まだどういう形でそうしたものを考えていくのかということについて議論が収斂しているわけでもありません。また昨日経済財政諮問会議で御指摘があった点も、数値目標を間違いなく導入しなさいということではなくて、導入の是非も含めて検討を進めていただきたいということでありました。したがって私共が考えているのは、今地域の金融機関も含めて様々な努力を続けているわけでありますから、そうした努力を外から見てどの程度改革が進んでいるのか、或いは改革の成果が出ているのか、そうしたことを分かりやすく表現をしていくための何らかの工夫をすることができないのかどうか、そのことを具体的にこれから議論していきたいと思っているところであります。

したがって不良債権比率というような一律の、つまり金融システムの安定化を実現していくと、強烈な規律付けをすると、そういう数値目標のイメージではなくて、改革の進捗状況というものを表していくような工夫というものができるかどうか、そういう視点に立ってその是非も含めて議論をしていきたいと思います。

(以上)

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