伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成17年2月25日(金)9時05分~9時20分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日の閣議でございますけれども、金融庁に関する案件、或いは私の方から発言はありませんでした。

私の方から一つ御報告させていただきたい点がございます。これは「金融改革プログラム」の施策の一つであります金融経済教育に関する部分でございますが、この度「金融改革プログラム」の施策として取り上げている「利用者のライフサイクルに応じ、身近な実例に即した金融経済教育の拡充」を推進していくに際し、外部の有識者より幅広く意見をいただく観点から、私の私的懇談会として有識者による「金融経済教育懇談会」を設けることといたしました。

メンバーはお手元にリストをお配りさせていただいていると思います。

第一回の会合は3月3日木曜日に開く予定でございまして、今後、月一回程度のペースで開催し、幅広く御意見をいただきたいと考えております。

以上です。

【質疑応答】

問)

「金融経済教育懇談会」のメンバーなのですけれども、どのような基準で選考されたのか、その辺をお願いします。

答)

幅広く金融経済教育の観点から御議論いただけるように人選をさせていただいたところでございます。リストを見ていただければ分かるように、社会人教育や義務教育の現場に精通されている方や、或いは金融経済教育に精通されている有識者の方々に御参加いただいております。

問)

今話題のライブドアとフジテレビの問題なのですが、株式の時間外取得や、或いは新株引受権の問題等、敵対的買収に関する法整備ないしはルール作りというのが今一段と求められているように感じるのですが、この辺についての大臣の御所見を改めてお尋ねしたいのですが。

答)

私共の所管に関係する部分で申し上げますと、立会外取引の問題であろうと思います。これは今までもお話をさせていただいたように、また皆様方が御承知の通り立会外取引というのはTOB規制の適用対象とはなっておりません。しかし公開買付制度の趣旨に鑑みてみますと、この使い方如何によればこの制度の形骸化を招く惧れがあると、こうした指摘がされているところでございますので、現在私共としてこの点については検討作業を進めさせていただいているところでございます。制度面の手当てを行う必要性があると、法制化というものを視野に入れながら検討作業を進めさせていただきたい。今後与党の方々とも御相談させていただきながら進めさせていただきたいと考えております。

問)

「金融経済教育懇談会」についてなのですけれども、具体的にどのようなテーマについて議論を掘り下げていってもらいたいとお考えなのかという点と、月に一回程度開催していくということなのですが、大体どれくらいの時期を目途に何か取りまとめ等をお考えなのかという点をお伺いしたいのですが。

答)

金融経済教育は非常に幅広い観点から御議論を賜りたいと思っております。どうしてかといいますと、人生を豊かにしていくためにライフステージの様々な機会を通じて金融の問題を考えられる、そういう機会というものをどのような形で充実していったら良いのか。その際にどういう形で金融教育というものをより充実していかなければいけないのか。またそうした中で金融庁として何ができるのかということを考えていきたいと思っておりますので、幅広い観点からの議論が必要ではないかと思っているところであります。

それと時期のことでありますけれども、今この時期までに何かをということは考えておりませんけれども、議論を進めていくに当たって何かおまとめをいただけることができるということも考えられると思います。また議論の内容如何によっては金融行政にすぐ反映させていただくこともあろうかと思いますので、そうした御議論を私共としてもよくお伺いさせていただきながら今後の金融教育の充実につなげていきたいと思っております。

問)

大臣の私的懇談会ということなのですけれども、文部科学省辺りとの連携というのはどのようにお考えなのでしょうか。

答)

文部科学省の方にもできましたらオブザーバーとして御参加いただきたいと、そのことをお願いさせていただきたいと思っております。

問)

学校教育の現場の中で、金融経済教育というものをするということをある程度目指しながらやっていくのか、それとももう少しそういう絞ったものではないということなのか、どこを中心に教育というものを考えていらっしゃるのでしょうか。

答)

今お話をさせていただいたように、人生を豊かにしていくためには金融との付き合い方というのですか、そうした学べる機会を増やしていくということが非常に重要であると思います。今御指摘がございましたように、初等教育、義務教育の段階で金融教育を充実させていくということも課題であります。またその後のライフステージの中で、やはり学べるチャンスというものを広げていく、また学びたいと思った時に学べる機会というものを提供し、その中で充実した教育というものが行われるということも非常に大切なことだと思っております。今どのステージに絞ってということではなく、それぞれのステージの専門家の方々にも御参加をいただいておりますので、幅広くこの点については御議論をいただいていきたいと思っています。その中で、議論の展開如何によっては、あるステージに絞って少し考え方をまとめていこうというお話もあると思いますし、また全体として、この金融教育のあり方というものを考えていかなければいけないという議論の展開もあるだろうと思います。それは今後の懇談会の皆様方における議論を私共として見守っていきたいと思っておりますし、色々な角度から御議論いただくことを期待いたしているところでございます。

問)

時間外取引の規制について伺いたいのですけれども、今日の大臣の御発言で、法制化を視野にというお話があって、あと与党との調整が必要だということですけれども、それがクリアされれば、今国会に証券取引法改正案を提出するということでよろしいのでしょうか。

答)

法制化を視野にということで今検討をしておりますけれども、その検討作業を進めていきたいと思っております。この問題を考える場合には、以前にもお話をさせていただいたように、立会外取引もこれは取引所の機能としては非常に重要なことでありますし、市場で果たしてきた役割というものも非常に大きいと思っております。そうした観点も踏まえて、十分に検討した上で、その法制化というものを視野に入れながら、与党の皆様方と調整を進めさせていただきたいと思っております。

問)

相当なスピード感を持ってということでよろしいのでしょうか。

答)

今お話をさせていただいたように、法制化ということを視野に入れながら検討作業を進めていきたい。ただし、技術的、或いは専門的な問題もございますし、この問題を考える場合に、立会外取引の今まで果たしてきた機能ということも十分踏まえて、総合的に検討していかなければいけないと思っておりますので、こうした点も十分考えた上で法制化を視野に入れながら与党の方々と御議論をさせていただき、進めさせていただきたいと思っております。

問)

金融経済教育懇談会のメンバーの話なのですが、アメリカに比べてこういった面での教育が遅れているという指摘というものがあるのですけれども、そういう問題意識があるのかということと、直接金融市場を育てていきたいという金融庁の発想があると思うのですけれども、それとも関連しているのかどうかというこの2点をお願いします。

答)

金融経済教育を充実していかなければいけないという問題意識を私共として持っているということが、まず最初のお尋ねに対する答えであります。そうした中で、こうした有識者の方々にお集まりいただいて御議論をいただく中で、金融庁として何ができるのかということを考えていきたいと思っております。

それから昨今の金融を巡る状況が変わりつつある。また個人を取り巻く金融環境も変わりつつある。そうした中で人生を豊かにしていくために、お金との付き合い方、金融との関わり、こうしたことを学んでいく機会を増やしていくということは、より重要なことになっていくと考えております。こうした観点から、これも最初にお話をさせていただいたことにつながりますけれども、今後の金融教育というものを更にどのように充実をしていったら良いのか、どのように進めていったら良いのか、その中で金融行政としてやることは何なのかということを考えていきたいと思っております。

問)

フジテレビとニッポン放送の間で新株予約権の発行の発表がありましたけれども、一般論でも良いのですが、ああいう今発行されている株式数を大きく上回るような株式発行があると、TOBとかそういったその制度自体が無意味化するのではないかという印象があるのですけれども、大臣はどういうふうにお考えですか。

答)

新株予約権の発行の問題は、やはりすぐれて商法の問題でございますので、これは金融庁の所管の問題ではございませんし、また今のお尋ねは極めて個別のことでございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと思っております。

一般論として申し上げれば、株式等の第三者割当、この際に既存の株主の権利を保護する制度としては有利発行規制や、著しく不公正な方法による新株発行の差し止めといった商法上の制度が存在すると理解いたしておりますけれども、重ねてになりますけれども、これは商法の問題でございますので、私共としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

問)

TOBをかけてから、ライブドアの出現とか色々あったと思うのですが、色々な条件変更をしたり、新株予約権の発行というような形が出てきたりして、株主や投資家にとってみれば非常に混乱するような出来事があったという点で考えると、これは投資家保護とか株主保護の観点からして疑問点も多いのではないかというふうに思うのですけれども、マーケットを監督する立場からどういうふうにお考えなのでしょうか。

答)

先程もお話をさせていただいたように、今まさに御質問は個別に関わる事柄でありますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げると、先程お話をさせていただいたように、既存の株主の権利を保護する制度として商法上の中に制度が存在をしているわけでございます。しかし、これは重ねてで恐縮でありますけれども、すぐれて商法の問題であり、私共の所管ではございませんので、これ以上のコメントについては差し控えさせていただきたいと思っております。

(以上)

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