伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成17年3月29日(火)9時34分~9時45分 場所:国会内)

【大臣より発言】

閣議がございまして、政令について2件金融庁に関係するものがございました。まず始めに、金融庁組織令の一部を改正する政令でございまして、本政令は証券取引法の規定による課徴金に関する事務の一部を総務企画局に所掌させるほか、監督局銀行第二課の設置期間を延長すること等を定めるものであります。もう一件でございますが、預金保険法の施行令等の一部を改正する政令でございまして、預金保険機構の一般勘定等における資金の借入れ等の限度額については毎年度見直しているところでありまして、本政令は平成17年度の限度額について定めるものであります。

閣議に関しては、以上であります。

私の方から一件御報告をさせていただきたいと思います。「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」について御報告をさせていただきます。保険分野においては、販売勧誘についての苦情等が多いことや保険商品や販売方法が多様化していること等を踏まえ、「金融改革プログラム」にもあるように、利用者利便の向上及び保険契約者等の保護の観点から、保険等の販売・広告等における顧客説明等のあり方について検討する必要があると考えております。

金融庁といたしましては、「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」において、このような検討を行っていくこととし、4月1日に第1回の会合を開催することといたしました。

本検討チームにおいては、募集時の重要事項等の説明等のあり方、適合性原則の遵守、比較広告のルールの見直し等について検討することとしております。なお、詳しい内容については、監督局保険課に問い合わせをいただきたくお願いをいたします。

以上です。

【質疑応答】

問)

今日未明のスマトラの大地震の件ですが、この件について閣議・閣僚懇の中で何か発言はあったのでしょうか。

答)

閣僚懇で外務大臣の方から状況についてお話がありました。

問)

「金融改革プログラム」に向けました「工程表」ですが、本日与党の方にも御説明していると思いますが、最終的な取りまとめに向けた現段階の進捗状況等について伺いたいと思います。

答)

「工程表」につきましては、本年度内に策定し、そして公表することといたしておりますけれども、現在今御指摘がございましたように与党を始めとした関係者の皆様方とよく相談をさせていただきながら、大詰めの作業をさせていただいているところでございます。私共といたしましては、こうした調整作業が終了次第「工程表」を公表させていただきたいと考えておりまして、引続き作業に鋭意取り組んでいるところでございます。

問)

昨日、金融審議会のリレーションシップバンキングのワーキンググループの方で座長メモというものが出まして、その中で地域の金融機関は自主的に分かり易い数値的な経営目標を含むものをしっかり示して、ただそれが達成できない場合については金融当局がしっかりモニタリングして場合によっては行政処分をも辞さないと、そういう姿勢で臨むべきではないかという座長の会見があったのですが、それを踏まえまして金融庁としてどのように対応するつもりなのか伺いたいと思います。

答)

座長メモにおきましては、地域の利用者の利便性の向上或いは信任というものを確保するためには、情報開示の充実及び利用者にも分かり易い情報の積極的な提供が重要であり、またこのような情報開示等を通じて金融機関の経営判断の自主性を確保しつつ情報開示による規律付けを行うことが必要と考えられる。こうした点を踏まえれば、各金融機関が自主的に数値的な目標を含む分かり易い客観的かつ具体的な目標を策定、開示することを通じて利用者の評価を受けること。また当局が不良債権比率の縮減など財務に関する一律の数値目標を設定することについては適当でない。こうした座長メモが示されたところであり、私共としてもこうした座長メモの御指摘を十分踏まえて新たなアクションプログラムを策定していきたいと考えております。

また先程の御指摘の中での行政の役割でありますけれども、数値目標を私共が一律に課すことではないと、先程お話をさせていただいたように利用者の利便性の向上、そして信任を確保するために自主的な取組みと情報開示を通じた規律付けを行うことが基本となろうかと思いますが、設定した目標が達成できないからといって直ちに行政上の措置を講ずるということではなくて、先程お話をさせていただいた基本というものを踏まえて、利用者利便の向上や或いは信頼性を確保していくために適切なフォローアップをしていくことが重要ではないかと思っております。いずれにいたしましても、座長メモの指摘を踏まえて私共として新たなアクションプログラムを策定していきたいと考えておりますけれども、現在この点についても与党の皆様方、関係者の皆様方と調整をさせていただいておりまして、その作業は大詰めを迎えておりますので、調整作業が終了次第新たなアクションプログラムを公表していきたい、引続き鋭意作業を進めていきたいと思っております。

問)

4月1日から新銀行東京が営業を開始しますが、改めて政府系金融機関が見直されている中、公的な保証がある銀行が発足するということについての評価と、一般論として新規参入銀行に期待することをお聞かせください。

答)

新銀行東京は東京都が地方自治体として自らの地域経済の活性化を図る観点から中小企業への総合的な支援を行うという政策目的を実現するために設立した銀行であり、東京都は民業圧迫という批判に対し都議会における議論において、都は具体の執行には関与せず、経営の大枠を監視する。地域金融機関が提供できないリスクの高い分野への資金供給を行うなど民業圧迫とならないように十分配慮する。他の金融機関と共存し、かつ公平な競争を行うものであり、都の力を背景とした優越的な地位を得ようとするものではない旨の説明を行っていると承知をいたしておるところであります。金融庁といたしましては、このような考え方が遵守されるよう注視をしていきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても同行は東京都が大株主であるものの通常の民間の銀行であることには変わりがないことから、今後とも法令に基づいて適切に監督をしていきたいと思っております。

第二点の新規参入の問題でありますけれども、一般論として申し上げれば、銀行業への新規参入については、わが国金融の活性化等に寄与することを期待するというのが金融庁としての基本的な考え方でございます。

問)

昨日国会でも取り上げられました貸株の話ですけれども、ソフトバンクインベストメントに対して貸株をされるということで注目を浴びているのですけれども、現行の貸株の規制等のあり方について、今のままで良いのかどうか、検討する必要はあるのかどうか、そこについての大臣のお考えをお願いします。

答)

まず個別のことについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。一般論として申し上げれば、貸株は証券取引法違反となる行為ではございませんので、認められている行為だと思います。今後金融技術の進歩等、市場が変化をしていくそのことについては十分注視をしていかなければいけないと思いますし、昨日も国会で答弁をさせていただいているように、仮に市場の公正性を確保していく観点から措置を講じる必要性が生じれば、適切に対応していかなければいけないと思っております。

問)

ペイオフ解禁までもう秒読みという段階だと思いますが、改めて大臣の現状の認識と、多くの銀行が決済用預金の導入を決めていますが、こういったものについては色々議論があると思います。なぜ必要なのか、いつまで必要なのかという議論があるかと思いますが、それについての大臣の御所見を伺えればと思います。

答)

ペイオフにつきましては、予定通り来月の1日に実施をさせていただきたいと思っております。その実施の環境は整ってきていると思います。その理由につきましては、金融システムが安定化をしてきたこと、「金融再生プログラム」或いは「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」の諸施策を展開することによって、全体としても不良債権比率というものは低下し、自己資本比率も改善してきております。また情報開示の態勢も充実してきておりますので、以上の観点からペイオフを予定通り実施できる環境にあると思っております。

決済用預金の問題につきましては、色々議論がある中で導入をさせていただいてきたところでございますし、我が国の決済システムというものを確保していくと、そうした観点からこの制度を導入させていただいたところでございますので、その必要性についての認識が現在変わるものではないと思います。

(以上)

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