伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成17年5月13日(金)9時38分~9時55分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議がございました。金融庁に直接関係する案件はございませんでした。

一つ御報告させていただきたいことがございます。偽造キャッシュカード問題スタディグループにおける盗難キャッシュカード問題に関する中間とりまとめについて御報告をさせていただきたいと思います。

偽造キャッシュカード被害への補償のあり方に関する中間とりまとめにおいて、盗難キャッシュカードの問題についても更なる検討が必要ではないかとの指摘があったところであり、私の方から事務方に指示をさせていただいて、先般4月15日、盗難キャッシュカードの問題についても検討項目とするよう、スタディグループに対して要請を行ったところであります。スタディグループにおいては、本要請を受け、盗難キャッシュカード問題について、精力的な御議論をいただいてきたところでありますが、本日5月13日、盗難キャッシュカード被害への補償のあり方について、中間とりまとめが行われ、その内容を公表する予定であると聞いているところでございます。

具体的には、補償のあり方の基本的なルールとして、金融機関への速やかな届け出、警察への被害届、金融機関による調査への全面的な協力等を条件として、届出日の一定期間前以降に発生した被害について、仮に金融機関が無過失であった場合であっても、原則として、預金者と金融機関が50%ずつ負担。ただし、預金者が無過失の場合、金融機関が全額負担。また、預金者が重過失の場合、預金者の全額負担が望ましいとしているものと承知しているところでございます。

金融関係団体及び各金融機関においては、同スタディグループの中間とりまとめを踏まえ、補償のあり方について、真剣な検討を行っていただきたいと考えております。

また、この中間取りまとめにつきましては、後ほど事務方より詳細についてご説明をさせていただきたいと思いますので、詳しい点については、その時にお尋ねいただければと思っております。

以上です。

【質疑応答】

問)

盗難カードの対策ですが、自民党も業界の自主ルールでは対応できないという判断で、今月議員立法をする方向で調整をしていると聞きますが、その内容について、軽過失の場合の金融機関の負担割合については、スタディグループの中間とりまとめよりも手厚くする方向で検討しているとのことですが、こうした自民党の対応について、大臣としてどのようにお考えなのかお聞かせください。

答)

自民党において、偽造・盗難キャッシュカードの問題について、被害補償のあり方も含めて精力的な議論が行われていることは、承知しておりますが、現時点でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。今御報告をさせていただいたように、金融庁として、スタディグループにおいてこれまで議論されてきた盗難キャッシュカード被害への補償のあり方を中心に中間とりまとめを行い、その内容を公表する予定でございますので、今後、金融関係団体及び各金融機関においては、これらの取組を踏まえ、本問題に対する必要な検討を行った上でより実効性のある対応を行うよう期待しているところでございます。

問)

東京証券取引所が来月13日にカネボウの上場廃止をする決定をしましたが、これについて大臣の御所見をお聞かせください。

答)

5月12日、東京証券取引所は、監理ポストに割り当てていたカネボウ株式について、上場廃止基準に該当すると判断し、同社株式の整理ポストへの割り当てを決定したものと承知しております。これにより、同社株式は整理ポストへの割り当て決定の翌日から1ヶ月後の6月13日に上場廃止となると聞いているところでございます。個別の上場株式の取扱いについては、取引所が自主規制規則に基づき判断するものであり、同社株式の取扱いについても、東京証券取引所がこれまでの聴取等を踏まえて判断されたものと承知しております。

問)

今の件に関してなのですが、今回異例だったのは、産業再生機構が絡んだところだと思うのですが、産業再生機構は上場を維持して欲しい旨要望していた訳ですが、それを振り切って上場廃止に踏み切ったことについては如何ですか。

答)

個別の上場廃止の取扱いについては、取引所が自主規制規則に基づいて判断するものであります。同社株式の取扱いについても、これまでの聴取と調査を踏まえて上場廃止基準に基づいて判断されたものと承知しております。

問)

上場廃止基準についてですけれども、西武鉄道の時も議論になったと思うのですが、今の上場廃止基準は端的に言いますと白か黒かという非常に柔軟性のない基準ではないかという指摘が出ているのではないかと思うのですけれども、とりわけ今回の事業再生プロセスにある企業に、重大性という一言を理由に上場廃止にしてしまうというそういう基準の運用については色々課題があるのではないかと思うのですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

答)

これは個別の問題を離れて一般論でということでお話をさせていただきたいと思いますので、その点について御理解をいただきたいと思います。今取引所を巡る環境というものは変化しておりますし、金融と産業の一体的再生ということで、事業再生についての案件も今まで以上に出てきております。そうした中で新しい経営陣が旧経営陣の不正を積極的に解明した結果、上場廃止になるならば引続き隠蔽したままにしておこうと、こうしたことを誘引することになるのではないかという御議論があり、また一方で、では経営者が変れば過去の不正の問題というものが全て許されるのかと、こうした議論もあるところであります。このように取引所を巡る環境というものは変化してきているわけでありますので、その中で自主規制規則、或いは上場廃止基準そのものに対する議論を深めていくということは大切なことだと思いますし、東京証券取引所においてもそうしたお考えはお持ちではないかと思います。金融庁といたしましても東京証券取引所をはじめ取引所の皆様方と日常的に意見交換をしているわけでありますので、そうした意見交換の中で必要があれば議論をさせていただくと、或いは意見交換していきたいと思っております。

問)

栃木県知事が10日に足利銀行の受け皿に関する要望書を細田官房長官に提出されました。内容的には受け皿への早期移行と地域の中核金融機関としての機能維持、受け皿選定過程への県の参加の三点で、要望書は県と県及び地元政財界等とで組織する県民会議、更に満場一致で採択した県議会の三本柱という形で出しておられると思うのですが、オール栃木という形で県民の総意としての要望活動であったわけです。細田官房長官はその際に関係閣僚にお伝えして今後検討すると話されたようですが、本日の午後には大臣に同じような形で栃木県知事が要望書を提出する予定になっていると思うのですが、県民の総意としての今回の要望活動について大臣はどのような御見解を持っておられるのかということと、また早期移行とか、地域金融機関の機能維持についての考え方については3号措置の趣旨から言って、国と県の基本的な考え方にそう大きな隔たりがあるとは思えないのですが、ただ問題があるとすれば受け皿選定過程への県の参加、これは問題があるのかなと考えるのですがその点についてはどのようにお考えですか。

答)

二点御質問がありましたけれども、今お話がございましたように本日栃木県知事が金融庁の方にお見えいただくと、そして私も時間を調整してお会いさせていただきたいと思いますので、まず直接知事から御要望の内容についてお伺いさせていただきたいと思います。

問)

今日この後に発表される盗難キャッシュカードに関する中間取りまとめの件ですが、被害者団体は盗難預金通帳についても補償を求めていたと思うのですが、それに関する金融庁のお考えはどのようなものですか。

あと二点目の質問はちょっと違う話なのですけれども、今週の水曜日に在日米国商工会議所が金融庁宛てに要請を発表したと思うのですけれども、それは日本のATMネットワークを海外と互換性のあるものにするべきだと、更にそのために日本のATMネットワークのセキュリティーを高めるべきだと、国際標準にすべきだという内容だったと思うのですが、それに対する金融庁の対応はどのようになさろうとしているのですか。

それから前回も同じような内容のものを2003年に発表していると思うのですが、それ以降正式なお答えは金融庁の方からいただいていないというふうに在日米国商工会議所は言っておりますけれども、それは事実ですか。

答)

まず一点目の盗難通帳の問題でありますが、これは以前記者会見でもお話させていただきましたけれども、偽造及び盗難キャッシュカードによる不正取引が認証機能を含むATMシステムの脆弱性に関わる問題であるのに対して、盗難通帳を用いた窓口での不正取引というものは対面での本人確認に基づくものであり、ATMという機械を利用した不正取引とは態様が異なること、そして盗難通帳の問題は印鑑と通帳による本人確認という預金取引の基本に関わる問題であること、こうしたことから窓口での本人確認手続等の実務への影響、そして預金者保護、或いは利用者利便の観点も含めて偽造及び盗難キャッシュカードの問題とは異なる幅広い観点から慎重な検討が必要であると考えているところであります。なお盗難通帳の問題につきましては、これまでも金融庁及び全国銀行協会等において様々な対策が採られてきているところでございますので、この問題についての事態の推移について私共として注視していきたいと考えております。

それから米国商工会議所の問題でありますけれども、そうした様々な団体の方々から色々な要望をいただいているところでありますが、そうした要望については私共として中身を精査し、そして対応させていただいているところでありますけれども、後ほど広報室から皆様方にこの点についてはお話をさせていただくことができればと思っております。なお一般論としてセキュリティーの問題というのは極めて重要な問題でありますので、それぞれ民間の金融機関において利用者保護の観点から適切なセキュリティーを講じていくということが基本になろうかと思っております。

(以上)

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