伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成17年5月17日(火) 9時19分~9時29分 場所:国会内)

【大臣より発言】

閣議がございまして、閣僚懇談会も含めて私共金融庁に関係する案件はございませんでした。

閣僚懇談会の中で、官房長官から人事交流の推進についてお話がございました。昨年の2月20日の閣僚懇談会において、総理から各閣僚に対して今後3年間で各省の幹部の1割を目途に人事交流を積極的に行うこととしていただきたいと、また官民交流、特に若手職員の交流についても併せて推進をしていただきたい旨の発言がなされているところであり、本年は総理が昨年指示された方針に基づいて交流を推進する第2年期となりますので、更に本格的に交流を進めるようそれぞれの事務方への指導をよろしくお願いしたいと、こうした旨の御発言がありました。

また竹中大臣から17年1-3月期のGDPの第1次速報値について御報告がございまして、季節調整済前期比で1.3%、年率換算成長率で5.3%という報告がございました。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

盗難キャッシュカードの被害補償についてスタディグループがとりまとめを行いましたが、被害者の団体などからは被害者に負担を求めたという点などで不満の声が出ていると思うのですが、こうした被害者の不満についてどのように受け止められておりますでしょうか。

答)

偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループで過日第二次の中間とりまとめが行われて、その中で盗難カード被害に対する補償のあり方の基本的なルールについて公表させていただき、御説明をさせていただいたところでありますが、この中で預金者の無過失が認定される場合には金融機関が全額を負担することとしておりますが、キャッシュカードが盗難され現金が引き出されるに至った事情について無過失を立証することは預金者にとり極めて困難である。こうしたことに鑑みまして、預金者は自己の盗難の状況等について可能な限り合理的な説明を金融機関に対して行い、金融機関において一応確からしいという心証を得た場合には、預金者の無過失を認定することを基本とすべきであるという考え方が示されたところであります。

また預金者に過失がある場合等の標準的なケースにおいては、預金者は損害の50%を負担することとしておりますが、これは預金者にはカードが盗難されることについて何らかの過失があると推認されるケースが多いので、金融機関にはシステム提供者として預金の安全性への信頼に応える責務があることから、双方に被害発生の責任ありとして原則双方が損失を負担すべきという考えによるものであります。

仮にこれらの標準的なケースも含めて、全ての盗難被害について個々のケース毎に立証作業を行うこととした場合には、預金者、金融機関双方にとって実務上の負担が極めて大きくなると、こうしたことが懸念をされますので、実務上の実行可能性への配慮から標準的なケースについてこのようなルールを設けることは速やかな解決・被害救済を促し、結果として預金者の全体的な負担を軽減する効果を有するものと考えているところでございます。

問)

預金者が負担をするというのはしょうがないという考え方なのでしょうか。

答)

預金者保護そして金融機関の方々の実務に対する影響、そしてその利便性、そうしたことも踏まえて理論的な妥当性そして実現可能性、そうしたことに対する認識ということも十分御議論をいただいてスタディグループとしての基本的なルールというものが示されたと思っております。

問)

一方で与党も盗難カードについての立法を検討されていますけれども、法制化されますと法律が優先されて義務付けられると思いますが、そうしますと金融庁のスタディグループの案というものの位置付けというのはどういうものなのかということになると思うのですが、現状大臣はこのスタディグループのとりまとめの案についてどのような位置付けで、これについて金融機関はどういう対応をすべきだとお考えでしょうか。

答)

これは第二次の中間とりまとめが公表されるに当たって私の方からもお話をさせていただきましたけれども、こうしたとりまとめも踏まえて金融関係団体或いは各金融機関の方々においては、実効性のある取組を進めていただきたい、そのことを期待いたしているところでありますし、また今御質問の中には与党の取組についてのお話がございました。偽造・盗難キャッシュカードの問題について、補償のあり方も含めて精力的な御議論をいただいているところでありますので、そうした取組について私共承知をいたしておりますけれども、現段階でそうしたことについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、与党の皆様方の御議論を今後も注視をしていきたいと思っております。

問)

金融庁が東京証券取引所に対して、上場廃止基準について適正かどうかということについて報告を求めていますが、東京証券取引所の現状の基準について金融庁として現状と合っていないというような問題意識があるのかどうか。これを見直すべきだとお考えでしょうか。

答)

御承知の通り5月13日に金融庁といたしましては、証券取引法第151条の規定に基づき東京証券取引所に対して報告書の徴求を行ったところでありまして、その中において現行の上場廃止基準が企業再生のあり方の多様化など、企業を巡る環境の変化に十分対応したものになっていくために今後どのような認識やその対応というものを考えておられるのか、そうした考え方について御報告を求めさせていただいたところでございます。今お話をさせていただいているように、企業再生のあり方というものは多様化してきておりますし、上場廃止基準というものは昭和45年2月に虚偽記載について規定されたものでございますから、そうした中で様々な変化に十分対応した上場廃止基準をどのように考えていくのか、そうしたことを議論していく時期に差し掛かっている。そうした認識の中で、私共として東京証券取引所の組織としての正式な考え方についてお伺いをさせていただきたいということであります。

問)

盗難カードの件ですけれども、今まで被害にあわれた方、過去に遡っての補償の遡及についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

過去の問題も含めて金融機関の方々に対して被害が発生した後の適切な対応というものを今までも私共として求めてきたところであります。そして被害の補償のあり方の基本的な考え方について、これを偽造のケースについても、また盗難のケースについても、スタディグループで精力的に御議論をいただいて、そして2回にわたる中間とりまとめというものを行っていただいたところでございますので、こうしたことを踏まえてより実効性のある取組を金融関係団体の皆様方或いは各金融機関の皆様方に進めていただきたいと、そのことを期待いたしております。こうしたことを通じて預金者の皆様の金融機関に対する信頼性というものを向上していただきたいと思っております。

問)

そうするとでき得れば過去の分についても補償ができるのであればしていただきたいということなのですか。

答)

今回のとりまとめを踏まえて、それをより実効性のある観点から取組を進めていただきたいということでございます。

(以上)

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