伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要
(平成17年7月8日(金)9時39分~9時55分 場所:金融庁会見室)
【大臣より発言】
今朝閣議がございまして、何件か皆様方に御報告がございます。
まず政令でございますが「保険業法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」でございまして、これは保険業法等の一部を改正する法律の一部の規定の施行期日を平成17年8月1日とするものでございます。
それからもう一つ「保険業法施行令の一部を改正する政令」でございまして、
これは生命保険契約者保護機構に対する政府の補助の手続きについて定めるほか、所要の措置を講じるものでございます。
それからもう一点。これは私の方から報告させていただきたいことがございまして、本日の午後、「平成17検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」を公表する予定でございます。今回の基本方針は「金融改革プログラム」を策定して以降、初めてのもので、本プログラムに沿ったものとしております。具体的には金融機関の自主的かつ持続的な経営改善を促進するため、新たに策定した「金融検査に関する基本指針」に基づく検査を行うとともに、「金融検査評定制度」を踏まえた取組を行うものであります。また、これまで不良債権問題を重視した検査を行ってきたのに対して、利用者保護を第一の柱に掲げ、個人情報保護等を検証するほか、プロセスチェックに重点を置いて幅広く検査を行うことといたしております。なお本日の午後検査局より本件について説明をさせていただきたいと思いますので、詳細につきましてはその時にお尋ねをいただければと思います。
それからもう一点、本日の閣僚懇におきまして、英国における同時多発テロ事件について外務大臣、或いは国家公安委員長、官房長官から御発言がございました。外務大臣からは邦人の被害について報告は受けていないということでございました。また、小泉総理からは今回の事件に対して、強い憤りを表明し、被害者の皆様方に対してお見舞いの気持ちを表させていただいたという御報告がございました。国家公安委員長、並びに官房長官からはテロの未然防止に対して万全を期するよう関係閣僚に協力の要請がございました。また、国土交通大臣、或いは防衛庁長官、経済産業大臣からそれぞれの取組について御報告があったところでございます。その中で交通機関等の関係機関に対してテロの未然防止に向けた万全の対策を要請したというお話がございました。
以上です。
【質疑応答】
- 問)
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今お話がありましたロンドンの同時多発テロについてですけれども、今のところ海外の市場等を見ても影響はあまりないようですが、金融または経済全体に対して影響はないでしょうか。
- 答)
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まず当庁におきましては、海外当局や現地関係者との連絡等、精力的に情報収集に努めているところでございまして、現状で金融市場の取引全般に特段の問題は生じていない模様であるほか、現地の本邦金融機関についても特段の人的、物的損害は確認されておりません。また7日のロンドン市場においては通常通り取引が行われ、ニューヨーク市場においても通常通りの取引が行われ、そして東京証券取引所も本日朝から通常通り取引が行われているものと聞いております。私共といたしましては引続き情報収集に努めていく所存でございます。
- 問)
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明治安田生命の保険金不払いについてですが、先日金子社長が最大で1,000件ぐらいに及ぶということを公表されましたけれども、この点について金融庁として今後どのように対応されていくのか。それと同業他社、生保業界全体に亘る問題なのかどうなのかという点も含めて、業界全体を見通してどういう対応をされるのかを教えてください。
- 答)
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まず明治安田生命に対しましては、御承知の通り本年2月25日付で、死亡保険金支払における不適切な取扱等があったことから行政処分を行ったところであり、同社では現在改善命令に基づき作成した業務改善計画を実施しているところでありますが、このような改善への取組が行われている中で更なる保険金等の支払に関わる不適切な取扱いが判明したことは、私共としても極めて遺憾なことであると思っております。私共といたしましては、まず事実関係及びこのような重大な問題を招いた原因等の究明を行っていくことが極めて重要であると考えておりますので、検査部門とも連携をして厳正に対応していきたいと思っております。
また他の保険会社についてでございますけれども、適切な保険金支払や保険募集を行っていくことは、言うまでもなく保険会社として基本的な役割を果たし、健全な生命保険事業を運営していく上で極めて重要な問題であると考えております。このため生命保険会社全社について、改めて保険金支払や保険募集の実態把握が必要であると考え、本年の3月に保険業法第128条第1項に基づく報告徴求を行ったところであります。このような報告徴求の結果、当局として把握した限りでは、各社において、先般の明治安田生命と同様の死亡保険金支払に関わる不適切な取扱いは認められなかったものでございます。いずれにいたしましても、今後とも保険会社において適切な保険金支払や保険募集を行っていくということは極めて重要なことでございますので、契約者の方々の信頼を確保するために十分な努力を行っていただきたいと思います。
- 問)
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テロの関係ですけれども、日本の金融機関に対して大臣から特に何かお話をされるとか、もしくは対応をこういう形にして欲しいと求めるということはないのですか。
- 答)
-
今私共とすれば、情報収集に努めておりますので、現地の関係者の方々とも緊密に連携を取らさせていただいて、そして、連絡等を十分に取りながら今後の対応については考えていきたいと思っております。先程お話をさせていただいたように、今のところ、現地から被害の報告を受けておりませんので、今後テロ対策について十分にその対応を考えていただきたいということです。これは各社、こういう事件が発生しておりますので、各社それぞれの対応がなされているところだと思います。重要なことは緊密な連携だと思いますので、しっかりと緊密な連携を図っていきたいと思っております。私共としても総括審議官をヘッドとして、連絡体制を整備させていただいているところでございます。
- 問)
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明治安田生命の件ですが、今回の発表については2月のものと違う種類の保険であったり、違う態様の不適切な不払いということだと思いますが、新たに明らかになったような種類の不払いがないかどうかを、改めて業界各社に点検なり報告なりを求めるお考えは現時点でお持ちでしょうか。
- 答)
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まず第一義的には、残念ながら今回のような明治安田生命の更に不適切な取扱が起きてしまったということを踏まえて、それぞれの生命保険会社において、自らがそうしたことがないかどうか点検をし、そして検証していただくことがとても重要なことだと思っております。いずれにいたしましても、それぞれの生命保険会社の方々が、利用者の信頼を勝ち得るような適切な保険金支払い、或いは募集体制というものを確立していただくことが重要なことでありますので、そうした体制の整備、確立に向けて十分な御努力をしていただきたいと思います。
- 問)
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テロの関係ですけれども、閣僚としてお伺いしたいのですが、まずこのテロの事件について、どのように受け止められていますか。また、このテロが起きたことで、国際情勢が今後どうなっていくかという話が出てくると思います。今後、どのように日本は対応すべきだとお考えでしょうか。
- 答)
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テロに対してでありますけれども、私自身もこうしたテロに対して強い憤りを感じておりますし、被害に遭われた皆様方に対して心から御見舞いを申し上げたいと思います。そしてテロに対しては、こうしたことを未然に防止していくために、各国との協力が重要でありますし、また先程御報告をさせていただいたように政府の中でもそれぞれの役所が連携して、テロ対策について万全を期していくことが重要なことでありますから、そうした取組をしっかり進めていかなければいけないと思っております。従って、私共としても海外の金融機関の方々でありますとか、海外の当局者との連携をしっかりしていきたいと思っております。
- 問)
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アルカイダの関連グループが犯行声明を出したというのも流れておりますが、日本はイラクに自衛隊を派遣しています。そして今年の年末に派遣の期限が切れるわけですが、自衛隊のイラク派遣について、大臣のお考えはどのようなものでしょうか。
- 答)
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少し所管を離れた御質問でございますけれども、政府としては、イラクの平和を維持していくと、そしてその復興を強力に支援していくために、自衛隊を派遣させていただいて、人道援助等をさせていただいているところでございます。そうした中で、現地の方々からも大変高い評価を得ているということを承知致しておりますので、自衛隊の方々の御努力というものが結実して、そして一番大切なことは、現地における秩序の維持と、そして平和の回復ということですので、本当に現地の方々が安心して暮らせるような環境が一日も早く回復していくことを心から願うところであります。
- 問)
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派遣の延長について、今、大臣のお考えはありますか。
- 答)
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これは政府の中で現在対応させていただいているところでありますし、今後延長の問題についても、政府で議論をし、その後の対応をさせていただくことになるわけでありますから、現時点で所管でない私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
(以上)