伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成17年7月22日(金)9時18分~9時28分 場所:国会内)

【大臣より発言】

閣議がございまして、金融庁に関係する案件はございませんでした。

閣僚懇談会において、財務大臣から人民元の為替レートについて御発言がございました。通貨バスケット制による新たな管理変動相場制に移行するということでありますが、バスケット制の具体的な細部について現在確認中であるということでございます。今回の中国の措置につきましては、これを歓迎するということであり、今回の措置が市場に及ぼす影響について、市場の動き等を十分に注視し、必要な時には適切な対応をする所存である旨の発言がございました。

皆様に私の方から御報告をさせていただきたい件がございます。金融機関における個人情報管理態勢に係る一斉点検の取りまとめの結果について、全体の概要を私の方からご紹介させていただきたいと思います。

そもそも今般の一斉点検は、金融が、国民から高いレベルでの個人情報の保護が求められている分野であることを踏まえまして、本年4月の個人情報保護法等の施行に合わせ、預金取扱金融機関、証券、保険の各業態の金融機関等に対し、個人情報管理態勢に係る一斉点検を実施するとともに、その結果を6月末までに当局に報告するよう、文書をもって要請をさせていただいたものでございます。

現在、要請を行ったほぼ全ての金融機関から報告を受けており、全体で1,069機関ある中で、紛失等が発覚した金融機関等の数は287機関、全体の26.8%となっております。

個人情報の先数でみますと、合計で約678万先について紛失等が発生しております。そのうち、不正利用などに繋がり、顧客に被害が発生した、又はその可能性が高いと報告されているものは、現時点ではございません。

金融機関の対応といたしましては、紛失等が発覚した287の金融機関全てにおきまして、問い合わせ窓口の設置などの顧客対応、或いは役職員への指導・啓発や業務フローの見直しなど、再発防止のための内部態勢の整備等が講じられている、又は講じられる予定になっております。

詳細については後ほど事務方から説明させていただきたいと思います。

今般の一斉点検の結果は、基本的には個人情報保護法等が施行される4月1日以前に発生した事案とはいえ、このように、多くの金融機関において紛失等の事実が判明したことは大変遺憾であります。個人情報保護法等の施行後においては、金融機関における顧客情報の適切な管理は、個人情報の保護及び金融機関に対する利用者の信認の確保等の観点から一層重要であると考えており、各金融機関におかれては、引き続き、顧客情報の適切な管理に努めていただきたいと考えております。

以上です。

【質疑応答】

問)

先程、冒頭にもお話がありましたが、中国が人民元の切上げに踏み切りました。日本の経済・金融に与える影響について、お考えをお聞かせください。

答)

為替レートの改革に向けた重要な第一歩であると今回の措置については考えておりますけれども、為替制度につきましては金融庁の所管外の事項でございますので、詳細なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、中国経済と我が国経済との関係が深まっていることを考えますと、市場の動きについては十分に注視をしてまいりたいと思います。

問)

今お話のあった銀行の個人情報管理の問題ですが、かなり件数も多いですし、287機関と多いと思うのですが、今後の金融庁としての対応というのは、どのようにお考えですか。

答)

一斉点検の結果を踏まえての今後の私共の対応につきましては、個々の報告内容等を精査した上で検討することといたしたいと思います。その際には、個々の事案の重大性、悪質性を精査することになりますが、以前もお話をさせていただいたように、今般の一斉点検は、金融は国民から高いレベルでの個人情報の保護が求められている分野であることを踏まえ、各金融機関に対し自主的な取組を要請したものであること、個人情報保護法等が施行される4月1日時点の個人顧客情報についての点検監査を求めたものであること、一斉点検以外で発生した事案の有無や各金融機関で現在なされている対策や安全管理態勢の適切性、こうしたことを総合的に勘案して判断する必要があると思っております。

問)

夢真ホールディングスの日本技術開発に対するTOBの申し入れの届出を受理したという話ですが、その中に途中での撤回条項が含まれているのですが、その点も容認したというふうに受け取られているようですが、この点についていかがお考えかお聞かせください。

答)

個別事案についてでございますので当局からのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。一般論で申し上げますと、公開買付届出書が提出された場合、その内容について審査を行い必要があれば更に訂正を求めることになっているかと思います。更に個別事案を離れて一般論として申し上げますと、公開買付の撤回の事由として、株式交換、合併、破産等が法令上列挙されるとともに、これに準ずる事項で公開買付届出書において指定した事項が生じた場合には、撤回が可能とされているところでございます。株式分割自体は、例示に含まれておりませんが、公開買付期間中に株式分割が行なわれた場合に、撤回が認められないとすることは公開買付者に非合理的な買付を強いることになります。従って株式分割が行われ、公開買付の目的の達成に重大な支障となる場合には、公開買付の撤回が可能であると解することが妥当であると考えられると思います。

問)

人民元の話ですが、先程の話では為替レートに関してはお話があったのですが、金融を始め経済への影響という意味ではどのように見ておられるのかお願いします。

答)

先程お話をさせていただきましたように、中国経済と日本経済のつながりは大変深いものになっておりますので、そうした意味からいたしますと、今後の市場の動向等を含めて十分に注視をしていきたいと思っております。

問)

TOBの関係ですが、TOB期間中の株式分割後の権利についてもTOBの対象に含めることを容認されていると報道がされていますが、その点はいかがでしょうか。

答)

一般論としてお答えをさせていただきたいと思いますが、株式分割により将来発行される株券の買付も、基本的に公開買付の対象となる株券等の買付に該当するものと解されます。仮に、これが公開買付規制の対象外とされた場合これらの権利の買付が証券取引法の規制を受けることなく全く自由に行われることになると解さざるを得ず、かえって証券取引の公正性の観点から問題が生じることに留意する必要があると思っております。

(以上)

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