伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成17年7月26日(火)9時46分~9時59分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議がございまして、政令について金融庁に関係する案件が2件ございました。経済産業省との共管の案件でございまして、一つは「有限責任事業組合契約に関する法律の施行期日を定める政令」、もう一つは「有限責任事業組合契約に関する法律施行令」でございます。

また閣僚懇におきまして、村田防災大臣から首都直下地震対策専門調査会報告及び千葉県北西部を震源とする地震について、7月22日に開催されました中央防災会議の首都直下地震対策専門調査会において最終報告が取りまとめられた旨お話がございました。更におりしも23日には千葉県北西部を震源とする地震が発生し、このため今後の都市型震災対策について関係省庁局長会議を開催し、必要な対策について早急に取りまとめてまいりたい旨御発言があったところでございます。

更に皆様方に御報告をさせていただきたい案件がございます。適切な保険金支払いを行っていくことは、保険会社として生命保険事業を運営していく上で必要不可欠なものであり、今般、そのような生命保険事業の信頼を損なう事象が発生していることは誠に遺憾でございます。

このような事態を踏まえまして、金融庁といたしましては、本日、全ての生命保険会社に対しまして、保険金等支払管理態勢の実態把握及び不払事案に係る再検証を要請し、保険業法第128条第1項に基づき、その結果について報告徴求を行うところとしたところでございます。

具体的には、各社において、保険金等支払管理態勢の再点検及びその結果、過去5年間における全ての保険金、給付金の不払事案に係る再検証及びその結果、再検証の結果、不適切と判断した不払事案への対応状況について、報告するように求めたところでございます。

本件につきましては、まずは生命保険会社各社において、自ら適切な保険金等の支払管理態勢等の構築に努めることが重要であると考えておりますが、当局といたしましては、この問題についての統一的、包括的な取組みを確かなものにしていくために、このような一斉点検を要請したところでございます。

私からは以上です。

【質疑応答】

問)

先程の保険金のことに関連いたしまして、保険会社は自主的に調査する旨を各社明らかにしていたかと思いますけれども、やはりこういった問題が他社にも拡がりがあるのではないかという懸念、及び何かそういったことを把握されているのかという質問が一点です。

それからTOBの問題につきまして、幅広く検討を色々提案されていると思いますけれども、ワーキンググループの日程等も含めまして、今後どれくらいで結論を出すのか、あと日程的なもの、それとどういった方向性での検討を期待されているのかという点について伺いたいと思います。

それと先般、金融機関の個人情報保護で600万先以上の問題が明らかになりましたけれども、改めまして結果を受けてどういった監督姿勢で臨まれるのか、或いは行政処分についてどういった考えで臨まれるのか、以上三点を伺いたいと思います。

答)

まず一点目の質問でありますけれども、生命保険会社各社において自ら適切な保険金等の支払管理態勢の構築に努めることが重要であると考えておりますが、この問題につきましては、やはり全ての生命保険会社において統一的な形で確実に保険金等支払管理態勢の再点検が行われるとともに、不払事案について再検証が行われたことについてしっかりと確認していくと、そのことを明らかにしていくことが重要でありますのでそうした観点から法令に基づく報告徴求を行うことが適当であると考えたところでございます。

二点目のTOBに関する件でございますが、これに関係をして公開買付制度等ワーキンググループ、これを今月28日に第一回の会合を開催する予定でございますが、その後のスケジュールにつきましては、現段階ではまだ未定でございます。検討すべき論点は多岐に渡っておりますけれども、精力的かつ迅速に御議論いただきたいと考えております。

三点目の個人情報の問題でありますけれども、今回の一斉点検の結果を踏まえて私共の対応につきましては今後、個々の報告内容等を精査した上で検討することといたしたいと思います。その際には個々の事案の重大性、悪質性を精査することになりますが、これも以前の記者会見でお話をさせていただきましたけれども、今般の一斉点検は各金融機関に自主的取組みを要請したものであること、そして4月1日時点の個人顧客情報についての点検監査を求めたものであること、一斉点検以外で発生した事案の有無や各金融機関で現在なされている対策や安全管理態勢の適切性等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えているところでございます。いずれにいたしましても金融機関における顧客情報の適切な管理は、個人情報の保護及び金融機関に対する利用者の信認の確保の観点から大変重要であると考えておりますので、各金融機関におかれましては今回一般企業に先んじて実施した一斉点検の結果等を踏まえて、顧客情報の適切な管理に一層努めていただきたいと考えております。

問)

生保の関係でちょっと細かいのですが、報告徴求というのはいつまでに報告しなさいということになっているのかということと、過去5年分と仰いましたけど、なぜ5年分なのでしょうか。

答)

まず時期についてですが、本年の9月30日までに各社より報告を求めたいと考えております。これは生命保険各社において、過去5年間の不払事案の件数をひとつひとつ検証していくには、相当の時間、労力を要すること、また個々の事案について丁寧に検証をしていただく、正確性を期す必要がある、こうしたことを鑑みて、9月30日までにと考えております。

また、なぜ5年分かということでございますけども、約款上の保険金等の請求権は、3年間請求が無いときには消滅することとなっておりますが、契約者保護の観点から十全を期すため、過去5年間の検証を求めることが適当だと考えたからでございます。

問)

全ての生保というのは、数でいうと何社になるのでしょうか。あと報告徴求ということですから、検証して中身にずさんな管理態勢があった場合、当然これは行政処分の対象となると考えてよいのでしょうか。

答)

数については、39社ということでございます。もうひとつの後段の質問は仮定の御質問でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、保険会社において不適切な保険金等の不払が判明すれば、まず適切な顧客対応を行うことが肝要だと考えております。

問)

TOBの関係で、一般論で法律の解釈についてお尋ねしたいのですが、前回の大臣の御説明ですと、株式分割で将来生まれる株式については、TOBの対象になり得るという御説明があったかと思うのですが、これが例えば新株予約権の場合はどうなのでしょうか。新株予約権もTOBの対象になり得る株券に該当すると考えてよいのでしょうか。

答)

これも個別の問題ではなくて、一般論でということでお答えをしたいと思いますが、御指摘のような防衛策に対しては対応策を講じて公開買付を行うことについては、まずそれらの防衛策が適正なものかどうかについて、一義的には会社法制に照らして判断されるべきであると考えております。その上で防衛策に対する対抗策の取扱いについては、証券取引法令に照らし、証券取引の公正性、透明性を確保し、投資者の保護を図るという観点から判断が行われるべきものであると考えているところです。

(以上)

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