伊藤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成17年8月12日(金)10時35分~10時46分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議がございました。岩永新農林水産大臣も御参加された閣議でありましたが、まず、竹中大臣から「子育て世代の意識と生活」という副題で国民生活白書についての御発言がございました。更に平成17年4月から6月期のGDPの一次速報値について御発言があり、実質成長率について前期比0.3%、年率1.1%、3四半期連続のプラスである。そしてこのQEの結果を見ると、設備投資や個人消費が増加するなど企業部門と家計部門が共に改善しており、先般月例経済報告でお示しをした景気が踊り場的状況を脱却しているとの判断に沿ったものとの認識を示されたところであります。また、閣議において藤末参議院議員から、国土交通省と共管となります住宅ローンの不良債権化に関する質問に対する答弁書について閣議での決定がございました。

更に私の方から発言をさせていただきたいことがございます。これは事務ガイドラインの改正でありまして、貸金業者の取引履歴開示に関わる事務ガイドラインの改正をさせていただきたいと思います。

本日、貸金業関係の事務ガイドラインの一部改正案をパブリックコメントに付させていただきたいと思います。先般7月19日に最高裁において貸金業者が債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、特段の事情の無い限り信義則上取引履歴を開示する義務を負うとの趣旨の判決が出されました。

金融庁といたしましては、これまでも債務者から取引履歴の開示を求められた際には、これに協力するよう貸金業者を指導してきたところでありますが、今般の最高裁判決を受け、事務ガイドラインにおいても正当な理由に基づく開示請求を拒否した場合には、行政処分の対象となり得ることを明確化することといたしたところでございます。

なお、これに併せて弁護士等の代理人を通じる場合を含め、取引履歴の開示が求められた際の本人確認の手続についても明確化することといたしました。本件については、パブリックコメントの結果を踏まえて速やかに改正を行いたいと考えております。なお、詳細につきましては監督局金融会社室にお問い合わせをいただきたいと思います。以上です。

【質疑応答】

問)

冒頭でGDPが3四半期連続でプラスというお話がありましたが、昨日東京証券取引所でも株価が4年ぶりの水準を付けました。特に金融機関の株価の上昇がかなり目立っていたようですが、改めて金融界の現状を踏まえて日本経済の状況について御所見をお伺いできればと思います。

答)

今回のQEの結果を見てみますと、設備投資や、或いは個人消費が増加するなど企業部門と家計部門共に改善して、そして景気が緩やかに回復をしていると思います。これは企業部門の好調さ、そしてそのことが家計部門へ波及し、民間需要中心の回復につながっていると、これが続いていくことが見込まれているのではないかと思っております。

金融部門との関係でありますけれども、主要行の不良債権問題が正常化し、そして民間銀行部門の不良債権問題への取組みが進捗していると、こうした中で企業部門においても債務そして雇用そして設備、この3つの過剰というものが是正されて収益力が回復してきた。これは今日まで改革なくして成長なし、構造改革を進めてきた大きな成果が出てきているものと思っております。こうした成長を確実なものにしていくためにも、やはり郵政民営化を実現して、官から民への流れというものを更に進めていくことが極めて重要であると考えているところでございます。

問)

大臣というお立場を離れてお答えいただければと思うのですが、8月15日、終戦記念日ですが、靖国神社に参拝されるお考えがあるかどうかお聞かせください。

答)

個人としてという御質問でございますが、私自身は参拝をする予定は現段階ではございません。

問)

今、靖国神社にA級戦犯が合祀されているという現状についてどう思われるかお聞かせいただければと思うのですが。

答)

靖国神社は宗教法人でございますので、神社がどのような対応をされていかれるか、これは憲法の保障する信教の自由に基づいて、どう神社が自主的に決定するかということであって、政府として見解を申し上げる事柄ではないと思っております。

問)

一部で議論されている国立追悼施設の建設について、必要だと思われますか。

答)

この新たな施設建設につきましても、様々な意見があるところでございますので、政府といたしましては、国民の皆様方の世論の動向、諸般の動向を見極めながら、更に検討を進めていくものと承知いたしているところでございます。

問)

今の靖国参拝に関連してですが、8月15日に参拝の予定はないということですが、その理由について簡単にお話いただけますか。

答)

これは私自身の問題であると思いますので、私自身は終戦記念日にあたって心静かに戦争で犠牲になられた方の御冥福と、そして平和というものが恒久的に実現されるように、そのことを心静かに祈りたいと思っております。

問)

小泉総理は靖国神社の参拝について、適切に判断すると述べておられますが、総理の参拝についてはどのように考えておられますか。

答)

小泉総理はこれまでも私人として参拝されてきたものと承知いたしておりますので、今後も総理御自身が個人として御判断されるものだと思っております。

問)

小泉総理の参拝につきましては中国や韓国の反発がありますけれども、それについてはどのように考えていらっしゃいますか。

答)

今お答えさせていただきましたように、総理御自身が御判断されるものだと思っております。

問)

貸金業に対する取引履歴の開示の問題ですけれども、貸金業というのは、金融庁所管の貸金業と、都道府県所管の貸金業とに分かれていますけれども、基本的には全体という考えでよろしいのでしょうか。

答)

先程冒頭で御説明させていただきましたように、これに関わる事務ガイドラインで、今回の最高裁の判決を受けて、そして正当な理由に基づく開示請求を拒否した場合には、行政処分の対象になり得ることを明確化するということであります。

問)

取引履歴の開示は基本的には義務であるということを明確にする、ということでよろしいのでしょうか。

答)

取引履歴を開示する義務を負うという趣旨の判決がなされたところでありますし、これまでも債務者の方々から取引履歴の開示を求められた際には、これに協力するよう私共としても貸金業の皆様方に指導させていただいてきたところでありますので、今回の判決を受けて事務ガイドラインでこのことを明確化していくと、そのことをパブリックコメントに付させていただいて、その結果を踏まえて速やかに事務ガイドラインの改正に取り組んでいきたいと思っております。

(以上)

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