与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成18年1月13日(金)10時21分~10時40分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議は案件どおりでございまして、特に御報告することはございません。

そこで、まず物価についてお話し申し上げたいと思います。

昨年末の12月28日に、物価担当官会議を開催し、関係各省庁と連携して、生活必需物資に関する価格の監視について取組む旨、申し合わせたところでございます。

しかしながら、豪雪、寒波等の影響が続いていることから、生鮮野菜や灯油などの生活必需物資の価格動向については、国民の関心が高いこともあり、本日、物価担当官会議を開催し、寒波・雪害に関する関係省庁の物価対策、すなわち、野菜の産地に対する出荷要請等による出荷量の確保、灯油、軽油等の石油製品の安定供給の確保等に関する元売り各社に対する要請などを取りまとめることとし、引き続き連携して、物価動向や便乗値上げの実態把握、監視に取り組んでまいる所存でございます。

次に、昨日開かれましたタスクフォースについて、3点、御報告申し上げます。

御承知のように、このタスクフォースは、歳出・歳入一体改革についてでございますが、第1には、昨日のタスクフォースでは、目指すべき国の形及び財政健全化の目標について議論をいたしました。

非公開ではありますけれども、主な議論を御紹介申し上げます。

1つは、将来の国の形をきちっと提示せずに財政健全化の話だけしても、国民の納得は得られない。将来の国の形を示しながら、財政再建の話を進めるべきだとの意見。ものづくりだけではなく、金融やサービス業における生産性向上を通じて潜在成長力を高めることが重要。投資大国として、GNPベースで経済活性化を考えるべきなどの趣旨の御意見が出されました。

これに関連しまして、税金を払うよりも経費として全部使った方がよいという風潮は是正する必要があるなど、法人納税についてのモラルハザードについての御指摘もありました。

財政再建目標については、プライマリー均衡化の後の目標として、長期金利が名目成長率よりも高いことを前提に、別途、GDP比を緩やかに下げていくことを10年間の目標で提示してかかわるべきではないかという御意見や、フローベースの健全化目標とストックベースの健全化目標の整合性が重要との御指摘がありました。これらは、経済シナリオに基づいた数字の議論を深めながら、更に検討することとなりました。

第2には、昨日、タスクフォースの中に設置されている6つのワーキンググループの初会合を行いまして、それぞれの分野、第1には社会保障、第2は地方財政・交付税、第3には公共事業、その他の支出、第4は歳入、第5は資産負債・特別会計、公会計、6番目はマクロ経済、これだけのワーキンググループがございますが、これらのワーキンググループが、昨日、検討を開始してくださいました。

第3には、内閣府に正式に16日付で、歳出歳入一体改革補佐室を設置することといたしました。補佐室は、私及び民間議員を直接補佐し、歳出歳入一体改革タスクフォースの事務局を務めるものであります。高橋統括官を室長として、内閣府のみならず、他省、民間から専門的知見のある方を任用し、10名余りの室員で構成いたします。各国の財政改革のあり方について、国内外で研究してきた方々、資産債務管理の実務専門家、マクロ経済モデルの専門家などで構成させていただいております。

以上です。

2.質疑応答

問)

歳出歳入のタスクフォースの中で、要はプライマリーバランス黒字化後の新たな目標を設定するということで合意が得られたという理解でよろしいのですか。

答)

プライマリーバランスを到達することの重要性というのは、昨年の「骨太の方針」のときも、その重要性というのは強く認識されておりましたし、また、タスクフォースに参加している方々も、プライマリーバランスを到達することの重要性というものを、皆さん共通した認識として持っておられると私は思います。

ただ、プライマリーバランスというのは、財政再建、財政改革の重要な一歩ではありますけれども、一里塚であって、その先に日本政府が抱える債務をどうするかということについては、やはり今後、きちっとした目標を定める必要があるということで、対GDP比を一定水準に抑えるとか、或いは絶対額をやはり抑えていくべきだとか、色々な御意見は出てくると思いますが、いずれにしても、これからの議論ではあると思います。

ただ、御質問があったように、プライマリーバランスを到達した後、何らかの目標を設定するのかどうかという御趣旨の質問であるとすれば、それは当然のこととして、何らかの目標に向かって物事を進めていくということにならなければならないと私は思っております。

問)

損害保険会社の保険金不払い問題で、各社が本日、業務改善計画を提出されますが、一部報道では、社長が報酬カットするなど責任の明確化を図る会社もあるようです。大臣の御所見をお聞かせください。

答)

損保各社に対して、報告を法律に基づいて出すようにということをお願いしてありまして、御指摘のように、今日が期限であるわけでございます。

いずれにしても、まだ報告の内容は金融庁の事務方も見ておりません。見ておりませんが、報告が参りましたら、その報告をよく精査して、今後とるべき手順というものを決めていかなければならないと思っております。

経営陣の責任というのは、恐らく各社がみずからの責任を社会に対して明らかにするために行ったことであろうと思いまして、私の立場から、それについてコメントというのは差し控えさせていただきたいと思っております。

問)

プライマリーバランスの話ですが、これまで政府としては、長期金利は名目成長率を下回るということを説明されてきて、いわゆる収束型になるから、プライマリーバランスを達成すれば、財政赤字は縮小していくというふうな説明をされていたわけです。それが、今、その後の目標を設定するということは、長期金利と名目成長率の関係は、やはり他の国と同じように、長期金利の方が上回るという認識を、既にタスクフォースの中で共有しているということですか。

答)

戦後60年という長いスパンをとりますと、名目成長率と長期金利の関係は、色々なケースが出てまいります。大ざっぱに時期を4つに分けて考えますと、最初は戦後の経済統制下の中での金利水準、それから2番目は、戦後の混乱状況から高度経済成長期に移る段階。この段階での長期金利というのは、統計上で表れてきている長期金利と実際の長期金利と一致していたかどうかという疑問は、学問的にはそういう研究がなされておりまして、多分その時期の長期金利は、統計上よりも高かったはずであると。なぜならば、お金を借りた方々は、歩積み両建てというものを半ば強要されて、その部分が統計的には長期金利を押し下げるということになったと。3番目の時期は、バブルの時期でございまして、土地、株を中心とした資産バブル、この時期の金利というのは、果たして正しかったのかどうかという問題があります。今のように、長期金利が市場で決まってくるということ、それから長期金利を本当にコントロールできるのかどうかという問題を考えますと、ごく短期間コントロールすることは、理論的にはできるかもしれませんけれども、長期金利自体はそうコントロールのきくものではない、やはり市場で決まってしまうという問題があります。

したがいまして、名目成長力と長期金利の関係というのは、長期金利というのは実質成長率、プラスインフレ期待率、プラスリスクプレミアムというふうに、ごく当たり前に考えて計算していくということをやりたいと思っております。もし、仮に長期金利の方が名目成長率より低いということが起きれば、それは大変ありがたいことであります。ありがたいことでありますが、それが長期間続くということを前提に物事を考えるのは、少し楽観的過ぎるのかなと。やはり、楽観でも悲観でもない中庸なところで物を考えていくということが、正しい考え方ではないかなと私は思っております。

問)

竹中大臣の地方分権懇談会が、自治体に破産法制を作ることを検討していると。それを6月の「骨太の方針」に盛り込むことを目指しているということなのですが、それについて大臣の御所見があればお願いします。

答)

いよいよ竹中大臣のエンジンもかかってきたと思っておりまして、私としては大変喜ばしく思っております。どういうものになるかは、まだ伺っていないのでわかりませんけれども、地方自治、地方分権という世界の中に、やはり自己責任という原則というものはなければならないと思っておりまして、地方自治の中に一定のガバナンスがきくという仕組みを盛り込むという御意図は、十分過ぎるほど私としては理解ができる。

加えまして、地方交付税改革にも取り組むという、非常に難関に取り組むというこの姿勢は、私は非常に高く評価しております。

問)

タスクフォースの議論ですが、中間取りまとめといったような形で一旦区切りをつけるというのは、いつぐらいの時期を考えていらっしゃるのでしょうか。

答)

3月、4月には、もう少し幅広い議論を呼び起こすために、そういう中間報告というものかどうかは別にしまして、何らかの形が少しずつ表れるようにしなければならないのではないかなというふうに個人的には思っております。

問)

昨日それを決めたとか、ある程度、時期を示したということではないですか。

答)

昨日は違います。

問)

昨日のワーキンググループとタスクフォースの中で、今後、議論する論点について幾つかの提示があったというような話があるのですが、もしよろしければ、その論点で何か紹介できるものがあれば、紹介していただきたいのですけれども。

答)

紙にはいっぱい書いてあったので、どれから御紹介していいのかわかりませんが、もし必要であれば、事務的に御説明できるのではないかと思います。

問)

今、省庁再編の議論が出ていますが、その詳細について、どう考えられていますか。それと、内閣府、金融庁あたりを触る必要があるかどうか、そのあたりはいかがお考えですか。

答)

省庁再編というのは、必要があればやったらいいと思います。省庁再編というのは、やはり行政ニーズ、国民のニーズに応える形である必要があって、また、それと同時に政府の効率性というものも考えながら、行政の効率性というものも考えながらやるべき話であると思っております。これは、あくまでも一般論でございまして、今のところ、私としては歳出・歳入一体改革をやるときに、ある種、行財政改革を伴うわけでございますから、その歳出・歳入一体改革の中でそういうものが必要かどうかということを考えてまいりたいと、そのように思っております。

(以上)

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