英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成18年1月31日(火)9時40分~9時57分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議は、案件どおり淡々と進みました。お手元に、証券取引等監視委員会とアメリカのSECとの比較表がございますが、必要であれば事務方から詳しく説明いたしますので、お申し出いただきたいと思っております。

今日の閣議では、雇用情勢の改善が報告されました。失業者数或いは有効求人倍率ともに改善しているということは、大変喜ばしいことであると思っております。

以上です。

2.質疑応答

問)

今、日本とアメリカの市場行政機構の比較ということで紙をいただきましたが、大臣の御認識として、日本の証券取引等監視委員会の権限については、かなり広範な権限が与えられているという認識でいらっしゃるのかと、今後、権限の見直しがあるとすれば、具体的にどんな点が考えられるのかという御認識をお伺いしたいと思います。

答)

やはり、一つの組織というのは、単に組織を紙の上で書いただけではだめでして、それなりの歴史も必要ですし、ノウハウの蓄積も必要ですし、人材の集積も必要ですし、一夜にして完璧なものができ上がるということは、実はあり得ないことだろうと思っております。その紙をよく見ていただきますと、規則制定権とか行政処分については、これは金融庁側が持っているわけでございますが、これはもともと見張っている方と処分する方とは、一種のファイアウォールがあった方が良いという平成3年、4年ぐらいの議論のきちんとした延長線上にある話でして、私は現在の組織で良いと思っていますし、実際には証券取引等監視委員会は、今回の事件に関しても有効に動いていたと思っております。

26日に、高橋委員長みずから私の部屋にお見えになりました。これは、滅多にないことでして、高橋委員長にお目にかかったのは、就任のときとお正月のときぐらいでございまして、そういう意味では証券取引等監視委員会は独立してその職務を行っているということで、お互いに不必要な接触はする必要がないわけでございますが、高橋委員長がお見えになりましたのは、今回の事件で色々なところで、証券取引等監視委員会は動いていなかったという御批判があって、これは自分の実感とも違うし、また職員の士気にも影響があるので、私にはちゃんとやっていたということを理解してほしいと、こういう御要望でございました。

そこで、私から幾つか、多分、私はちゃんと動いてくださっているということを確信しているけれども、世間に説明するときに、事件の内容とは別に幾つか材料をいただければ、それをもって説明いたしますということを申し上げまして、3つほど質問いたしました。

1つは、16日だったと思いますが、相当の箇所を、令状をもって家宅捜索し、証拠品を押収するという作業をしましたが、そのときは何人ぐらいで地検と合同でやられましたかということを申し上げましたら、特別調査課は100人しかいないので、100人全員というわけにはいきませんでしたけれども、ほとんどの職員が出払うぐらいの規模の協力をしましたと。それでは、この種の問題について、いつごろから資料集めをされていたのですかと言いましたら、この種の問題は当該のケースだけではなく、世間の注目を浴びるようなこと、注目を浴びるような事犯、またその他大きなものについては常にフォローし、資料を収集しておりますと。本案件について具体的に申し上げれば、正確なことは申し上げられないけれども、もう3年近くきちんと資料集めはやってまいりましたと。東京地検と合同でやっていると仰っているけれども、本格的に法律違反の事案として、いつごろから合同できちんとやるようになりましたかという御質問をしましたら、具体的な時期は申し上げられませんけれども、この事件の端緒が見つかった秋ごろというふうにだけは申し上げておきますということで、事案の内容については立ち入るわけにいきませんので、外形的に証券取引等監視委員会がきちんとやっていたということは、委員長からはなかなか発表しづらいでしょうから、私から機会があるごとに皆さんにお話をしておきますと。ぜひそう願いたいと思います、これは職員の士気にかかわることですと、こういうお話だったので、先般のテレビの発言も、それに基づいて行ったわけでございます。

問)

昨日、衆議院の予算委員会で、農水大臣の答弁で混乱しまして、その件については、今日の閣議・閣僚懇で話題になったのかどうか。あと、その統一見解で、国民の理解を得られるとお考えですか。

答)

閣僚懇では、一切話題になりませんでしたが、じっと座って聞いておりましたら、私も問題の所在がどこにあるのか、答弁を聞いているうちに非常に頭を悩ませていたわけで、この種の食の安全については、国民に分かり易く説明をするという責任は関係者にあるというふうに私は思っております。

問)

自民党の中川政調会長が、今後、党の財政改革研究会の方で名目成長率4、5%を目指した成長戦略をまとめたいという考えを表明されていますが、今後の歳出・歳入一体改革を進める上で、党側との調整というのは、どのように進めていかれるのか。

答)

4、5%を目指すということは結構だと私は思っておりますけれども、どうやると4、5%が実現できるかというところが実は大事でありますし、4、5%になりましたときの副作用もまた考えなければならないと、そのように思っております。

問)

先程の監視委員会の件ですが、武部幹事長や中川政調会長が、監視委員会を金融庁から分離することも検討すべきだというふうに言っていますけれども、それについては。

答)

冒頭申し上げましたように、組織というものは、紙の上に書いた組織がきちんと内容を持つまでには、やはり歴史も必要ですし、ノウハウの積み上げも必要ですし、優秀な人材が集積されるということも大事なので、組織の問題として捉えるというのは、現段階では多分まだ早いだろうと思いますし、我々としても、武部幹事長、中川政調会長に金融庁並びに証券取引等監視委員会の権限や役割をもう少し丁寧に分かり易く説明する責任があるのだろうと思っております。お分かりいただければ、そういう議論はなくなると思っております。

問)

月例経済報告で出ました格差社会を否定する趣旨のデータについて、国会でちょっと議論を呼んでおりますけれども、統計上のテクニカルな話も大事なのでしょうが、実感としてやはり格差社会はあるということは、公明党の神崎さんなども指摘されているのですが、大臣御自身は実感として、格差社会は現段階として日本に存在するとお感じでしょうか。

答)

実は日本は、やはり戦後の所得税制あるいは社会福祉制度、こういうものを通じて所得再分配の構造というのは、先進国の中でもかなり進んだ構造を持ってきたと私は思っております。所得税制も大分フラット化しまして、極端な傾斜はついていない。ただ、社会保障制度については相当傾斜がついた配分になっていると私は思っております。これは、数字の上で見る話とその実感とはどうしても違ってしまうということがありますし、例えば、極端に何かチャンスを掴んで大儲けをしたというような話や、もてはやされるような風潮は、やはり人々に格差意識を生じさせるということはあって、やはり日々、自分で自分の職業を通じて働いておられる、またそれによって所得を得るという、そのことがやはり日本の社会を支えているのだという、その部分の意識をきちんと国民が共有しなければならないと思っております。

たまに、チャンスを掴んですごくお金持ちになったという話は、お話としてはおもしろいと思いますけれども、それが日本国ではないし、それが日本国の社会の基礎ではないと、私はいつも思っております。

問)

これが、自民党総裁選の争点になるという指摘もあるのですけれども、今仰っていることは分かるのですが、今後の小泉内閣とその後の内閣で、この格差社会の是正を争点とすべきか、若しくは是正をするべきだという声もありますが、この点についてはどのように……。

答)

これは私の直感で、何の根拠もない話なので、それは聞き流していただきたいと思うのですけれども、やはり1つは所得税制の最高税率を37%まで一時期引き下げた。地方財政との関係で、今度は40%までになりますけれども、そういう問題が1つあります。それと、やはり不況が15年も続いたわけでして、その中で非正規雇用とか、そういうものが増えたという、その部分はこれからの社会として正していかなければならない課題だと思っております。

裁選挙でどういうことが課題になるかは分かりませんけれども、私は、国民負担率も大体天井は50%ぐらいだろうと。そうたくさんお金持ちもいないし、また極貧にあえいでいる人もいないという穏やかな社会というのが、やはり私個人のイメージしている日本の社会であるわけでして、いたずらな格差というものは、制度として作り出すような方向で、税制改正を始めその他の社会福祉制度はいじるべきではないというふうに思っております。

問)

確認ですけれども、武部幹事長が昨日の講演で、証券取引等監視委員会はどうなっているのだというような批判をされたのですが、それについては、やはり先程の大臣の御発言もあったように、組織とか権限、役割について丁寧な説明をすれば分かってもらえるというふうな理解でよろしいのでしょうか。

答)

教育が必要だということです。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る