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与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成18年2月6日(月) 17時57分~18時11分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議は案件どおりでございまして、特段変わったことはございません。

以上です。

2.質疑応答

問)

今日これから、東証問題の有識者懇談が開かれると思いますが、改めてそのねらい等についてお伺いしたいと思います。

答)

これは、皆様方に申し上げるまでもなく、東証の果たしている役割というのは、日本経済にとっても、諸外国の投資家の皆様方にも極めて重要な存在であると思います。従いまして、日本経済だけではなく、国際金融市場における重要なインフラであると思っております。従いまして、東証のシステム自体の信頼性、或いは東証の色々な規則、こういうものはやはり世界で通用するものでなければならないというのは言うまでもありません。

今日のこの問題に対する有識者の皆様方の会合は、何か東証を叱るという話ではなく、東証に皆さんがどういうことを望んでいるのかということをよく聞いていただくということが一つ、それからもう一つは、東証自体がこういう改革をしたいと思っておられることについて社会的に後押しをしていただく、この2点であろうと私は思っております。

問)

証券取引等監視委員会の問題で、中川政調会長が、様々な制裁或いは訴追の権利、こういうものも与えるべきだというふうに、週末、講演で話しているようですけれども、これについて御所見を伺いたいと思います。

答)

訴追権というのは、法律ではあまり使わない言葉でございまして、中川政調会長に具体的な内容を伺ってみないと、どういうことをお考えなのかはわかりません。

しかし、一般的に使われている法律用語は、公訴権という言葉でございまして、刑罰規定を発動するときの公訴権というのは、検察庁が専ら持っている行政権でありまして、そういう意味では、訴追権というのが公訴権を指しているとしたら、それは多分、実現できないだろうと思っております。

これは、証券取引等監視委員会の専門家の皆様方に一度伺わなければいけないと思っておりますけれども、一体あとどういう権限が必要なのか、或いは調査を進めていく過程で、制度的或いは人的な問題でどういうことが妨げになっているかということは、やはり現場の皆様方の声をよく伺った上で、予算、制度、人員等々でカバーできるものは何かということを事が落ち着いてから改めて判断しなければならないことだろうと思っております。

問)

訴追のほかに、行政処分についても、現在の監視委はその勧告をして、金融庁が処分をするという手続になっていると思いますけれども、この行政処分権を与えろというような声も出ているようです。恐らく、今の仕組みのメリット・デメリットがあるのだと思うのですけれども、その辺はどうお考えですか。

答)

もともと、コーチとアンパイアが同居しているのはいかがなものかということで制度が考えられているわけですから、行政処分をすべきだと勧告するところと実際に行政処分を行う役所が組織上違っても、それは一向に妨げにならないと思っておりますし、証券取引等監視委員会が勧告したにもかかわらず、金融庁が不作為でその事案を放置しておくということはあり得ないことでありますから、それは今の制度で現時点では十分だろうと思っております。

問)

証取法の罰則の件ですが、大臣は先週金曜日の財政金融委員会で、罰則強化に向けた検討を進めているというお話をされていたのですけれども、この現在の状況を改めてお伺いしたいのと、具体的にどういう形でこの強化を図ろうとお考えなのか。更に、金融商品取引法の中にこれを入れていきたいというような考えもお持ちなのか、そのあたりをお願いします。

答)

先週だったと思いますけれども、今、外務副大臣をしておられる塩崎さんが訪ねてこられまして、実は自民党の政調会の小委員長として自分がまとめたものがあるので是非読んでほしいということで、その紙をいただきました。これは、まさに罰則強化ということで、懲役5年を懲役10年にするという趣旨だったと思いますけれども、そこで罰則を考えるときは、オーソドックスな考え方は、刑の均衡ということを常に法務省などは考えます。懲役10年という刑は、一般的にいうと、いわゆる自然犯のみに適用される刑でございまして、行政法規を破った人に対しての懲役10年というのは多分ないはずで、懲役10年というのは自然犯に対する刑罰である、それで均衡しているのだというのが法務省のオーソドックスな考え方であります。

しかし、先般、法務省の課長クラスの方何人かとフリーディスカッションをしましたら、もうこういう経済社会情勢ですから、本当にある種のことを抑止しよう、そのために刑罰規定が必要だということであれば、刑罰の均衡理論を乗り越えて、そういうものは可能ではないかと若手の方々は言っておりましたので、金融庁のこの法律を扱っている人間と法務省の刑事局の専門家の方々と下打ち合わせを始めてくださいということを申し上げてありますから、多分、こちらの専門家が刑事局の方々と下打ち合わせを始めているはずです。もちろん、刑罰を強化するという方向の話をしているわけです。

問)

今日、こういう異例な形での繰り上げの閣議になったのですけれども、こういう繰り上げ閣議という事態について、大臣はどのようにお考えですか。

答)

閣議は、明日やっても今日やっても実態は何も変わらないわけですから、皆さんの明日の予算委員会の準備のためということであれば、繰り上げることは一向に差し支えないことではないかなと私は思っております。

問)

今日、予算委員会で、中川政調会長から、名目成長と金利の関係について質問がありましたが、これについて大臣はどういう御感想をお持ちですか。

答)

事は、やはり二つに分けて考えた方がいいと実は思っております。一つは、日本経済自体が高い潜在成長力を持ちたいと、こういう強い願望を持って、政府も企業も民間も、高い潜在成長力を目指して汗をかく、知恵を出す、これは大変必要なことだろうと思っていますし、よほど考えられないような目標ではなくて、もうあと一歩で手が届くという目標を設定するということは、それは努力目標としての設定という意味では意義のあることだと私は思っております。

ただし、財政再建をやりますときには、やはり手堅いところで前提を色々作って、そういう中で財政を再建していくということの方が、私は現実的だし責任ある改革の姿勢だと思っています。仮に、想定するよりも高い成長力が達成されたとしたら、それはお祝いすべきことであって、そのボーナスをどう使うかは、本当にボーナスが発生してから考えても遅くない、そういうふうに考えております。

名目成長率と金利との関係は、先だっての経済財政諮問会議の大変アカデミックな議論を御参照いただくとよろしいのではないかと思っております。

問)

恐らく、その中であったマンキューの説について、今日、中川政調会長は御質問されていたと思うのですが、この説について大臣は。

答)

これは、戦後の日本の金利の情勢というのを、やはり時代を区分してきちんとよく理解しておかないといけないと思っています。これは、戦後、昭和20年に日本が終戦を迎えてからというのは、いわば20年近くにわたって、最初は統制経済、後半は統制的な経済というものをやってまいりました。また、長期資本市場というものが、実はなかったわけでございまして、これは銀行の貸し出しの金利、これも実は政府のコントロール下に置かれていたと考えてもいいと思っています。ですから、ここでは低く抑えようということを政府はやっていたわけです。

しかしながら、一方では、低い長期金利に耐えかねる金融機関は、歩積み両建てという方式で、実際には貸出先から高い金利を取っていたということですから、歩積み両建ての効果を除くと、恐らくこの時期の金利は10%を超えていただろうという研究があります。

従いまして、名目成長率と長期金利の関係は、竹中経済学博士・大臣は、財政再建をやる時の前提として、長期金利と名目成長率を同じものとしてやるということには御了解を下さったと私は思っております。

(以上)

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