柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年4月6日(金)9時38分~10時18分)

【閣議案件等】

本日は、閣議の前に経済対策閣僚会議と政府・与党緊急経済対策本部の合同会議が行われまして、お手元に配布されていると思いますが、緊急経済対策が取りまとめられました。

その後、閣議がありまして、閣議では海外出張の報告、人事案件、これは国際観光振興会のトップの留任の話でした。それから麻生大臣から緊急経済対策が今申したようなところで決定をされたと、ついては概要の報告しますということで概要報告が閣議の場でもありました。

次いで、閣僚懇に移りまして、ワールドカップサッカーの準備の状況に些か心配な面もあるということで関係閣僚会議を立ち上げたらどうか等々の問題についていろいろ発言がございました。それから内閣官房と内閣府の関係がよく分からないというようなこと等もあって、新しい行政機関の中でいろいろなもの、事務の滞りが若干見られるので、早くこれを解消する必要があるというような話もございました。

最後に総理から、自分ご自身が退陣の表明をされたというご報告と、しかしながら、政治行政には一刻の停滞も許されないので、閣僚においては仕事の推進に遺憾なきよう期されたいというご訓示がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

緊急経済対策なんですが、株式買取機構についてこのような形で固まりましたけれども、この点について大臣としてどのようにお考えでしょうか。

答)

これは銀行保有株式取得機構(仮称)ということで、これはお手元に配布されている通りで概要をそこにあるような形で決定をされたわけですが、これはその前提として、銀行の株式保有制限についてレギュレーションを設けるということがあるわけでございます。そのレギュレーションを遂行するに当たって、当然保有株が市場にかなり大きく流れてくるとしたら、一時的に需給にも大きな影響が出てくるので、それらをショックアブソーバーというか、その一時的な需給のインバランスというか、そういうものを緩和するものとして、一時的な受け止めのための機構を置こうと、こういうことでございます。そういうようなことでありますが、その両者、レギュレーションもそうですし、その受け止めの機構もそうですけれども、これはかなり慎重に仕組みを具体化する必要があろうと思っておりまして、これから鋭意、いろいろ関係の方面の意見等も聞き、しっかり実体もまた把握した上で、取りまとめていきたいと、このように考えています。

問)

その仕組み作りのところですが、自民党の亀井政調会長はこの銀行保有株式取得機構について、もうすぐにでも、今国会中にでもという立場であったようですし、その点について大臣と議論があったと伺っているのですが、その点は大臣の今のお考えはどうなんでしょうか。

答)

これは私は一貫して同じ考えを持っているわけでありまして、何でもそうですが、仕事は急いだ方がいいということも分かりますが、しかし、これは最初は買取機構というものだけがあったわけです。現に銀行が時価会計の導入等を睨んででしょう、この数年間でも6、7兆円の保有株を売却しているわけで、それが株価の若干不振ともいうべきようなことの原因になっているんじゃないかということで、そういうことが発想された。その限りでは、ある意味では緊急経済対策ということにもなろうかと思うのですが、私はそこのところに銀行の株式保有制限というものが入る、これはまさに構造問題なんですよね。そうすると、緊急経済対策でこういう保有制限をするというのは、ちょっとすんなりとはなかなか理解できないくらいに、そこに若干の、ジグゾーパズルで言うとはめ込めないような、そんな感じもありますので、それは経緯上、緊急経済対策には入ったわけですが、ややそこのところが変質したということを配慮してもらいたいと、こういう考え方を私は申し述べたと、こういうことでございます。

問)

今後の進め方として、可及的速やかというのは大臣としては時期的にはいつ頃をお考えなんでしょうか。

答)

私は時価会計の導入というのが具体化するのが9月の決算ですので、9月の決算をする時にはですね、株価がそういう我々のこの仕組みがきちっと影響するようなタイミングというか、かなりこれは慎重な検討を要するのですけれども、同時にそういうことは念頭に置かなければならないと、こういうようには思っていますが、そんないろいろな状況を睨んで、十分周到な検討をした上で決めたいと、こう思っています。

問)

不良債権処理ですが、これをフォローアップしていくということなんですが、具体的にこの処理額など、主要行についてどういうフォローアップを、オフバランス化をしていくんでしょうか。それは強制的にするということなんでしょうか、自主的でしょうか。自主的としたらどういうレベルでするということなんでしょうか。

答)

これは書いてある通りでお分かり頂けるのではないかと思うのですが、ちょっと質問の趣旨が必ずしも分からないのですが、強制などということは、何と言うか、そもそも我々の体制には馴染まないわけでございまして、結局、今銀行の方々も大体こういうものを受入れなければいけないというようなことについては、同じ考え方を持ってらっしゃるということが報道機関を通じて、大方そういう意向が表明されているということで、我々はこの意味での協力というものについて、そんなに無理をしなければならないとは思っていませんが、ただ具体的にというふうに言われれば、ここに書いてあるようにまずフォローアップ、これは資本注入行等に限られるわけですが、そういうようなところでしっかりその実績をフォローさせてもらうということと、それから不良債権のオフバランス化の実績を公表して頂くと、こういうことを通じて、ある種パブリック・プレッシャーという言葉が相応しいかどうかなんですが、そういう世論の監視というのもちょっとそんな言葉も馴染まないんですが、世論がそういうものをどういうように評価していくかというところで、我々は協力をして頂くし、またフォローもしたいと、こういうふうに考えていることに尽きます。

問)

森総理が退陣を表明されたという中で、この緊急経済対策がまとまったという、このタイミングと影響力といいますか、実行性の点についてはどのようにお考えですか。

答)

これはいろんな見方ができると思うのです。正直言って、今の経済状況から言うと、そういう対策が待ったなしだと、そういう考え方からこれを打ち出したわけですが、同時に近々選ばれるであろう新総理・総裁は当然現在の経済状況について、自らの考え方というものを持って臨んで頂かなければならないと思うのですね。つまり新総理・総裁のほとんど第一要件は、現在の低迷している日本経済を日本の国民のためだけではなくて、世界の経済の安定のためにも、第一の課題として取り組んでもらわなければならない、そういう立場だろうと思うのですね。ですから、しっかりした考え方を持っている方が就任されるということが強く期待されていると思うのですが、そうであれば、何と言うか、その方の構想というものが大変重要になってくるわけで、それではその方の構想と、この緊急経済対策が全く寸分の違いもなく一致するかと言えば、これは相当の問題を取り上げていますから、ほぼ一致するだろうと思うんですけれども、ニュアンスその他において完全に一致するということが、人が変わればあり得ないということですね。ですから、これと新総理・総裁の考え方とがですね、言わばプラスされて、統合されて力を持った政策が打ち出されると、そういうことになるんだろうと、こう思いますね。

問)

最終的に銀行が株を保有することを禁止するという話も出てますけれども、これはやはりしなければいけないという考えをお持ちですか。

答)

持っていません。現時点ではいろいろな手法が世界各国でも行われているようですね。保有そのものを制限するという国もあるし、またいろいろ資本から控除するぞというようなやり方をとる場合もあるし、様々なんですよね。ですからそれらを我々が全部見てですね、どういうふうに、何と言うか、組み合わせていくのか、一つの方式でいくのか、それらを含めて、これは考えないといけないということであります。日本のこれからの経済の発展というものを考えて、どこが一番ベストかということを、我々は探求していかなければいけないと、こう思います。

問)

不良債権処理の方ですけれども、大臣は今年になってから不良債権のオフバランス化について、その重要性を強調されて、環境整備策を取りまとめると仰っていましたけれども、それはここに全て盛り込まれていると考えてよろしいでしょうか。つまり、これによって不良債権は本当に処理は進むとお考えでしょうか。

答)

ここにあるのはですね、注意深く読んで頂くと、破綻懸念先債権のオフバランス化というところだけに皆さん目が行きがちで、それはそれで無理ないことだとは思いますけれども、実は一般貸倒引当金の対象になっているところ、要管理先以上のところで、この文書では要注意先等というふうに書いてありますけれども、そういうところの債権についても、これは一つの考え方を打ち出しているわけですね。それに対して銀行が働きかけることによって、できるだけ、むしろ良い債権の方向に持っていけないかということを真剣にやってもらいたいと、ただ、落ちてきたものを処理すると、落ちてくるものを待っているということではなくて、やはり私どもはそういう不良債権、つまりリスク管理債権ということで申し上げれば、そういうもの全体として、銀行が抱えなければならないものを圧縮していきたいと、そういう考え方で今言ったようないろいろなところに配慮しているのです。

もっと言えば、貸し出す時に、ややアメリカ流かもしれないけれども、あまり事業が上手くいかないところは、すぐ切り分けて、それを売却するなり、何なりするというような、そういう融資をする時の始めから、そういうことを配慮していってもらいたいといったようなこともここに書いてあるわけでありまして、不良債権処理について包括的な対策と、あるいは施策というものが盛り込まれたというふうに言わせて頂きたいと思うのです。そういうことによって我々はこれらの手段を全て上手く活用して頂くことによって、日本の不良債権の問題を処理したいというふうに考えています。もっと通常レベルに落したいと、こういうことを考えているということですね。

問)

株式買取機構のことですが、ここにははっきりと政府出資等というのは明示されていないのですが、政府出資の問題に関してはどういうふうに整理されたということなのでしょうか。

答)

これはまだ十分に整理されていないわけですね、これから検討するということであります。いろんな考え方があって、最後に仮に政府が損失が生まれた時に穴埋めをするということであれば、その運用自身にも政府として、やはり発言ができるという体制でないと困るじゃないかと、相応の出資をしておきたい、出資も十分な影響力のあるシェアでもって保有したいと、こういうような考え方もあろうかと思うんですけれども、そんな大きな損失を予想しなくて済むようなスキームというものができればですよ、これは非常にまあマジックのように難しい話ですが、そうなればそこのところは随分、そこに掛かってくるバードゥンというか、負担というものは少なくなるはずで、そういうようなことで全体をどういうふうにやったら、公正で、公正という意味は銀行を不当に、銀行救済だとか、そういうことになってしまうんじゃないかというようなことがないような、公正で、マーケットに歪みを与えるというようなことも最小にして、しかも国民負担を最小にするというようなスキームは一体どういうスキームなんだろうかと、これを課題にして我々はこれから検討しなければいけないと、こういうことだろうと思いますね。

問)

当初、金融のトータルプランといいますか、そういうイメージだったと思いますが、最終的に9月の段階でもう一度トータルプランとしておまとめになるというふうなことは考えておられるのですか。

答)

当初、トータルプランという考え方だったということはどこから出てくるのか、私にはちょっと今理解ができないのですけれども、金融再生トータルプランというものがかつてありまして、それがいろいろな再生法だとか、早期健全化法に結びついていったという位置づけですね。その頃の延長線上の仕事であるということは当然のことですけれども、そういうことよりも私の頭の整理としてはですね、やはり第2段階と金融のシステムの安定化、あるいは金融機関の健全化というようなことについては、一先ずそれを確保できたと、その上でもっと強い、更にしっかりした収益力を持った金融機関にする、あるいは日本経済の足を引っ張るのではなくて、日本経済を前進させるような、その推進力になるような金融機関にならなくてはいけないということから、早く足枷になっているような荷物を降ろしたいという考え方というのが、今回の施策だというふうに理解をして頂きたいと思います。

問)

株式買取機構で、先程大臣も仰られたような大きな損失が出た場合に、この責任問題はどうするのか、あるいは損失が出ることはどう考えているのかという問題については、どういうことで国民に理解を求めていかれるおつもりなんでしょうか。

答)

これは何と言うか、金融システムの安定というのはですね、これは全金融機関というか、その金融機関の範囲等も、これまたいろいろ考えなくてはいけないわけですが、システムを構成する非常に大きな部分の金融機関ですね、1行だとか、そういう個別の問題ではなくて、この金融システムを安定化させる、よりリスクを直接受けないようにするという意味ですけれども、そういうことのために、これまでも資本注入だとか、あるいは損失補填とかというようなことをしてきたわけですが、財政当局の最高責任者がそういうことについて、許容して頂いたのは、おそらくそういう同じ発想だろうと、こう思っておりまして、私もその限りではそういうお考えもあり得るだろうと、こう思っています。

できるだけ国民負担というのは極小にしなければいけない、これはどの場合でも公的資金を使ったことについては、我々そこを目指しているわけですけれども、極小化していかなければいけないと、こう思ってます。

ただ、これは私が慎重派というか、慎重な見方をし過ぎるのかもしれませんけれども、私は日本経済が今成長期にないということは、十分に念頭に置かなければならないことだと思います。昭和40年の証券不況の時に何か最終的には利益があったということですけれども、少なくともそんなことを想起して、思い出して2匹目のドジョウを狙えるんだみたいな安易な考え方というのは全く許されないだろうと、私はそのように思っています。そういう中で国民負担を本当に少なくするためには一体どういうスキームがあるかということが我々の課題だと、こういうように思ってます。

問)

この数年間で銀行が、やはり経済の足を引っ張ていると仰っていましたけれども、これで3回目ぐらいですね、銀行に政府が手を出した、手をというか、助けを出したということになりますけれど、こういうことが繰り返されることで銀行のモラルハザードは生じないんですか。

答)

まあ、生ずる危険性というのは十分ありますね、正直言って。何でも金融システムはある意味で公共財的な性格が強いということで助けてしまうということになれば、何のために経営者がいるんだと、何のために相応の報酬を得て経営者がいるんだということは大問題と思いますね。ですから、今度のスキームもそのことを念頭に置いて作らなければいけないというふうに思います。

問)

具体的にどういうことですか。やはり経営責任とか、そういうことですか、あるいは他の。

答)

それが非常に難しいんですよね、トランスファーしてから、こっちに株が移ってから赤字が出た、損失が出たということなった時に、一体どうやってそれを責任追及できるんだというような話もあり得るわけですね。

問)

その株式買取機構が株を買う時に上場投信(ETF)を念頭に置くということが書いてありましたけれども、それはあまり、何と言いますか、株式を移転しないようにという考えですか。

答)

このスキームを具体的に考えなければいけないという時に、そういう問題は当然私の念頭にもあるわけですね。あるわけでして、これからそういったことも含めてベストミックスを作り出すということでしかないですね、今ここでお答えできることは。だから、ここにあまりいろいろなことを書かなかったんです、逆に言うと。トータルとしてベストミックスを探し出さなければいけないわけですから、どこどこと言ってピン止めされてしまうと動きがとれなくなるということですね。

問)

先程、大臣は9月までにと、株式買取機構の目途を仰いましたけれども、それは大臣のお考えであって、必ずしも与党、あるいは亀井政調会長と話が一致しているということではないということでしょうか、依然として。

答)

いや、党はできるだけ早く結論を出して、今国会中に法案が必要だったら法案も出してもらいたいという考え方を持っているわけですよね。しかし、今皆さんのご質問にあるように、これは極めて難しい問題ですね。ですから、私はこれはしっかり検討した上でやらせてもらいたいと、こういうことを言って、さしずめ時価会計の導入ということは、確かに問題は株価なんで、そこは密接に関係している問題なんで、最終的には3月末なんだけれども、9月の中間決算の株価にも影響が出て、こういうシステムが入った上で形成される株価が反映されると、9月の中間決算に反映されるというのが、我々の考える理想だなあと思って、これから検討したいと、こう思っているわけです。

問)

不良債権の処理を進める時の債権放棄を進めた場合に、借金の棒引きみたいな話が出てきて、その際の経営責任というのですか、その辺というのはどのようにあるべきだというふうにお考えでしょうか。

答)

これは何と言うか、今までも債権放棄をしたところについては、その当該の貸出先企業の経営者には、責任を大体とってもらっているというのが私の認識です。それは特に資本注入行については、我々がそこのところは、経営責任の明確化を図るということを一つの条件にしておることからも、当然そうであってもらいたいと思っておりますが、現実にそうなっているというように考えるわけです。

今回は、その我々の3原則を踏まえていただいた上で、ここに書いてあるように債権放棄を含む全体のスキームを作るためのガイドラインをまず作りたいということを申し上げているわけでございまして、そういうガイドラインができることによって、より我々の資本注入行における債権放棄の時はこういう条件を満たしてもらいたいですよと言っていることが、よりしっかりと実現されるような、そういう運びになるだとうと、こういうように思っております。

問)

ガイドラインというのは何時頃を目処に作るようなイメージでしょうか。

答)

これは出来るだけ早くですね。すぐにスタートしてもらいたいと、こう思っておりますが、率直に言って国際的な雛型もあります。それをどういう格好で日本の現実を踏まえて、何か多分付加していくことになるのではないかと、こう思いますけれども、付け加えることによってガイドラインを早く作るということが必要だと、こう思います。

つまり、もうこの2年、3年というルールは、この4月1日から始まるわけですから、この問題は引当金と違って期中の努力が必要になってくるのですね。引当金は最後のところで、ではこれはこういう評価だからこれだけ引き当てるかということで、期末に向けて努力をしてもらえればいいわけですが、この場合はそうではないですね。むしろ期中の努力が必要になりますから、そういう意味では早めに作らなければいけないと思います。

問)

不良債権のガイドラインで、不良債権の処理が加速されるかどうか確認したいと思いますが、よく指摘される銀行の12.68兆円の破綻先以下の、その位ならガイドラインがなくてもその位は処理するのではないかという見方も多いのですけれども。

答)

ガイドラインがなくても?。

問)

はい、例えば今年4兆、来年4兆、その次も4兆位で。

答)

いや12.8兆、13兆円は2年ですよ、2年。今年というか13年度と14年度です。

問)

加速するのは分かりました。

答)

ですから、それがえてして債権者間のいろいろな話だとか、債権者と債務者の話等ですね、そういうことで非常に滞りがちだということなので、それをガイドラインといっても国際的な雛型を見ますと、当たり前のことを書いてあるなという感じで、抜け駆けをするなとか、皆が債権者が協力し合うことが一番回収を最大化する所以であるというようなことが書いてあるわけですが、そういうものもやはり皆がそうなんだと確認することがとっても大事なのですね。私はそれは進む一つのスキームになると思います。

問)

銀行の保有株の制限ですけれども、こちらの資料では例えば「自己資本の範囲内」というふうに書いてありますけれども、「例えば」という言葉が入っていることについてですけれども。

答)

「例えば」でしかないということ。自己資本の範囲内ということも例えばでしかないということ。だから「例えば」のようにはやらないかもしれない。それは、我々がこれから考えるわけです。

問)

完全に決まっているわけではない?。

答)

全然決まっていません。

問)

不良債権のオフバランス化の対象を主要行に限定していますが、地銀、第二地銀、及び協同組織金融機関を対象にしなかった理由はどういったことになるのでしょうか。

答)

まず第一に、大手行という主要行が、きちっとやるということで、どっちみち一番最初にどなたかが言ったようにですね、強制できるものではないですねこれは。ですから、まず大手行がやるということで、ああやれば不良債権が減るのか、あるいはオフバランス化が出来るのかということになることが非常に大事だということが一つあります。ですからそういう主要行がいろいろな知恵を使ってオフバランス化を進めるということを見てですね、それを見習ってもらいたいという期待が一つあります。

それからもう一つ、相手先の問題があるのですね、貸出先企業の問題。貸出先企業の中小企業のうちですね、再建計画が出来て大企業と同じような考え方で、オフバンス化が出来るというようなものだと、これはやってもらいたいわけですけれども、まあ本当にもう現実論としてそういう切り分けも出来ないと、しかも実際中小企業の人達というのは、その事業そのものがあまり好調でない不振であっても、やはり自分の他の代表者の家計から借りてきて、その法人として、わずかづつでも返済するというようなことがあるわけですね。そういうように対象がかなり違うこともあるので、見習うべきところは見習ってもらい、また実体経済との関係で考えると、言わば企業部門と代表者との関係がぴしゃっと分かれているところでないところがありますから、そういう経営の形態をとっているところに大企業と同じような基準を当てはめていくということは、そぐわないということもあります。そういうものを考えますと、さしずめ日本の今直面している経済的な困難の中には、構造的な問題があるということで、あまり業種までは私今日はここでは申しませんけれども、そういうことを考えてこういうふうなスキームの立て方にしたということであります。

問)

因みに地銀、第二地銀以下の破綻懸念先以下の債権額というのは、どれくらいなのでしょうか。

答)

数字的な話は後から説明します。

問)

先程大臣は強制力がないと、つまり2年、3年でリスク状況を一掃すると、強制力のない中で処理が進まない場合、どういうことが懸念されるのでしょうか。

答)

そんな場合を考えていません。それはもう先程言ったように、皆が、金融機関を含めて、それが必要だということを分かっているわけです。ただ今までは、政府がそういうことをはっきり意思を言わなかったので、なかなか債権者間の話し合いとかなんとかについても、何と言うか話が進まなかった。それがこういうことで政府が、こちらの方向ですと明確に意思表示したことによって、債権者間の話なんかも、そんなこと言っても、もう政府が言っているじゃないかということで進んでいくということが期待されますよということですね。

(以上)


(参考資料)

PDF緊急経済対策(平成13年4月6日)(内閣府ホームページより)新しいウィンドウで開きます

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