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伊藤金融担当副大臣就任記者会見の概要

(平成14年10月3日(木)16時33分~16時54分)

【副大臣より挨拶】

まず始めに、昨日、副大臣として金融問題を担当することになりました伊藤達也でございます。分からないことも多いものですから、また皆様方からもいろいろお教えもいただきながら、しっかりやって行きたいというふうに思っております。

今日、このような形で皆様方と初めて接しさせていただくわけでありますけれども、私としましては、基本的に、出来る限り皆様方といろんな形でお話をさせていただいて、今後の金融行政について進めさせていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。不慣れな点もありますし、私自身、大変緊張いたしておりますので、言葉足らずの点がありましたらお許しをいただきたいと思います。今日はどうかよろしくお願いいたします。

【質疑応答】

問)

昨日、内閣府の金融担当副大臣に就任されて、非常に金融問題は一つの大きな焦点になって、まあ難しい問題をいろいろ抱えていると思うのですけれども、今後、仕事を進めて行く上での抱負をまず伺いたいと思います。

答)

昨日の副大臣会議でも小泉総理の方から、「今の経済の問題を解決して行くためには、デフレという問題に対して正面から取り組んで行かなければいけないと。その中にあって、不良債権問題というのは大変大きな課題であるし、これを具体的に、平成16年度までにこの問題を終局させていきたいんだ。」というお話がございました。

私自身も今まで党の政策を担当する立場から、経済構造改革を進めて行くに当たって最も難しい問題、最大の関門は、やはり不良債権問題にどう取り組んで行くのかということであることを認識しながら、いろいろな政策提言もさせていただいたところでありますので、今度は金融問題を具体的に、副大臣という立場で担当させていただくことになりましたので、非常に身が引き締まる思いでありますし、この問題の難しさということを十分認識しておりますので、そういう意味では内外の英知を結集して、そして具体的な道筋というものを是非、竹中大臣の下で付けて行きたいというふうに思っております。

問)

今後の一つの焦点になると思われます公的資金の活用の問題がありますね。竹中大臣も「銀行に引当を強化させて、資本が不足してくれば必要に応じて使う」というような趣旨の発言をされていますが、これは一つの国民負担に繋がってくる問題でございますし、今後大きな議論をよぶだろうというようなことが想像されるわけですが、副大臣は公的資金の活用の是非をどのようにお考えでしょうか。

答)

公的資金を使うということは、やはり一つの結果であり、今、ご指摘がございましたように、その資金の源というのは国民の方々の貴重な税金であるわけでありますから、そういう意味では、やはりこの問題については慎重に議論して行かなければいけないと思っております。

そういう意味から今必要なのは、金融に対する信頼をどういう形でより強固にしていくのかと。その前提にあるのは今の金融システムの実態というものが本当にしっかり安定したものであるということの説明責任を、私達は今まで以上に国民の方々にしっかりしていかなければいけないと思っております。特に今日、こうした問題のプロジェクト・チームが立ち上がって、早速、今夜から第1回目の会議をするということになっておりますので、この会議の中で幅広い視点の中で包括的に、何か今のご質問のように一つの結果をつまみ食いにするということではなくて、しっかりとした戦略性の中で道筋を付けて行く、不良債権問題が「なるほど。こういう形で解決することによって、経済も良くなって行くんだな」と、いわゆる金融の目詰まりというものが解消して行くんだなと、そう思えるような道筋というものを付けて行きたいなと思っております。

その中でやはり特に必要なのは、私たちが強く考えていかなければいけないのは、国民のための金融のあり方というのは何なのかということをしっかり説明して行くということだと思います。今までもその点については、金融庁の皆さん方が一生懸命取り組んで来たというふうに思います。これから必要なのは、そうした取組みについてきめ細かく国民の皆様方に説明して行く、その努力を特に新任の私のような立場の人間がしっかりやって行かなければいけないのではないかと思っております。そのイメージとして、何か公的資金の議論も含めて、一部の銀行であるとか、あるいは一部の過剰債務に陥った大企業を守ってばかりいて、預金者であるとか、あるいは中小零細企業に対して大変冷たい金融行政をしているのではないかと、こういう批判があるということも認識しなければいけないと思います。

そうした中で、繰り返しになりますが、私達は預金者でありますとか、投資家でありますとか、一生懸命努力されている取引先である企業、そうした方々、つまり国民全体をしっかり守って行くのだ。一部の経営者や一部の企業を守ることではないのだと、そのことをしっかり国民の方々に納得していただけるように政策の強化という点が必要であれば、それを打ち出して行く必要がありますし、今お話をさせていただいたように、説明に更に工夫をしていく部分があるのであれば、その点についてしっかりやって行かなければいけないのではないかと思っております。

そういう意味から、おそらく竹中大臣は今の資産査定のあり方、引当のあり方について、やはりそれをより強化して行こう、あるいは自己資本比率の問題についても、これをより強化して行くということを考えていく。更に、経営者のガバナンスの問題、これについても強化して行く。こうした視点の中からプロジェクト・チームについての議論をしっかりやって、答えを導き出したいと仰っておられますので、それぞれの、大臣から示された問題意識、総合的な方向性についてしっかり深堀をして、明確な答えを出していきたいなと思っております。

問)

今日の日経平均株価が9,000円を割れまして、19年振りの安値ということなのですが、株価を上げて行くということに対して何が必要になりますか。

答)

やはり総合的なデフレ対策の戦略だと思います。これは不良債権の処理を加速化していけば、当然デフレの効果が出て来るわけでありますから、その痛みに対してどういう形で対応していくのかという政策、戦略というものが合わせて、しっかりと打ち出されていかなければいけないということだと思います。

そういう意味では、私の担当外になりますが、当然、経済財政諮問会議においても今日まで議論されておられますし、そうした議論の論点が整理されて、具体的な政策のパッケージというものが打ち出されて行くと思っております。

また、私自身も他省の関係する副大臣、あるいは関係者の方々にも私達自身の問題意識、そうした点についての考え方というものをお伝えしながら、総理からは「政府、そして日銀が一体になって、この問題に取り組んでいくのだ」というご指示をいただいておりますので、そのご指示に従った形の行動をとって参りたいと思っております。

問)

金融の基本認識ですけれども、大臣は病の中にあると言われて、金融庁は基本的に健全であるということを言ってきていたのですけれども、どうお考えでしょうか。

答)

私は、今までどちらかと言うと事業サイド、実際のビジネス、事業を見て参りましたから、そうした視点からすると、やはり今の金融の状況はかなり厳しい面があると考えております。例えば、中小ベンチャーの中で、間違いなくこうした分野に資金供給がされれば、相当な事業展開が出来るという所があると思うのです。そこに対して十分な資金供給がなされているかというと、そうではないという実態を見てきておりますし、また、今は金融機関の数が多いので、これをある程度、供給過剰の状況を解消していくという方向の中で、銀行の合併等々が続いてきているわけでありますが、事業者からすれば、銀行の数が減るということだけではなくて、銀行の質が向上してもらいたいという強い希望や、あるいは問題意識があることも私自身は承知を致しておりますので、そうした企業者の声、零細に至るまでの企業者の声にも耳を傾けながら、本当に日本の金融システムはすばらしい、そして各金融機関の経営能力は大変質の高いものであると、そう思っていただけるような状況をさらに創り出して行くために工夫をして行く必要があるのではないかと思っております。

問)

これまでの柳澤さん時代の金融行政をどのように評価しておられますか。また、民間大臣の下での、政治家としての副大臣の役割をどうお考えでしょうか。

答)

柳澤大臣は、在任中に、金融危機を起こさないということで、大変なご活躍をされてこられたと思っております。そういう意味では、柳澤前大臣のリーダーシップに対して、また事務方の方々が、柳澤大臣の下で今日まで努力をされてきたことに対して、私は心から敬意を持って見ております。そして、民間大臣の下での政治家としての副大臣の役割ということでありますが、特に国会の関係、あるいは与党との関係の中で、これは国会サイドも、そして与党側からもこの問題に対しては様々な意見があり、またすばらしい知恵も沢山あるのだろうと思います。私自身も政治家であり、党人でありますから、そうした声を大臣にしっかり伝えて、また大臣は兼務でもありますので、時間的な制約がございます。それをしっかり補佐をして、大臣が兼務をされても、しっかりとした金融行政が展開をされ、また間違いない決断・判断がなされると、そうした意味で政策面においても、あるいは国会での対応においても、あるいは国民の方々に対する説明においても、出来る限りの補佐が出来るように取り組んで行きたいと思っています。

問)

ペイオフについて、どのようなご認識でしょうか。

答)

ペイオフのミッションと言いますか、目的は、金融システムが健全であると、そして間違いのないものであると、それを実現していくための一つの手段であります。そういう意味では、今回のプロジェクト・チームの中で、金融システムの更なる安定化、そして金融の場合には一番重要なことは信頼の確保でありますから、その信頼というものをより強固にして行くためにはどうしなければいけないのかということで、しっかりした議論をし、答えを導き出して行くのではないか、その中で、ペイオフの問題について、自ずと方向性は見出せて行くことになるのだろうと思っております。従って、先に大臣からお話がありましたように、三つの基本的な考え方の中で、自己査定の、例えば、概念のあり方についても議論をして行くべきでしょうし、その基準のあり方についても当然議論になって行くでしょうし、自己資本比率のあり方についても、税効果会計や公的資金のカウントの問題も含めて、自己資本の規制のあり方がこのままで十分に信頼性確保のために役立っているのかどうかということも含めて、これは様々な議論になっているだろうと思いますが、そうした議論を通じて、今お話をさせて頂いたように、ペイオフのミッション・目的、それに資するような形での答えというものをしっかりと打ち出して行きたいと思っております。

問)

先程の一部の過剰債務企業を守るというお話、市場の声ですけれども、昨年来そういった企業に対する問題というものがクローズアップされているのですが、特別検査を受けた後の現在でもそういった過剰債務企業があると副大臣はお考えなのかということが一点と、それから今回の改革で、銀行と企業の一体的再生ということで、役所で言えば経済産業省との連携も必要になってくると思いますが、そちらの方では副大臣の役割について、どういったことをお考えでしょうか。

答)

まず、私が先程申しましたのは、そうした声があるということでありますので、具体的な企業を想定しているわけでは全くありません。それから第2番目については、当然こうした処理を促進して行きましたら、中小企業対策でありますとか、あるいは雇用のセーフティネットのあり方について、よりきめ細かな対応をして行かなければならないわけであります。この点については、私も党の部会長をさせていただいた時に様々な提言をさせていただいておりますし、経済産業省や他の関係省庁に対しても党の側から問題意識を提起させていただき、関係省庁とも議論をしてきておりますので、この立場になりましても、そうした問題意識を持ちながら、関係省庁の方々とは緊密な連携を取って、政策をしっかりとした総合的なものに仕上げられるようにしっかりやって行きたいと思っております。

問)

その部会長当時の話でございますが、木村さんの、例の30社という問題がありまして、かなりはっきりと賛成といいますか、積極的にやるべきだという議論を展開されたように覚えています。そこは現在も変わっておられないでしょうか。

答)

私は、その時に、皆様方の中でも聞かれている方も多いと思いますが、やはり当時の実感としては、今までの不良債権処理の結果として起きていることは、担保が完全に保全されている中小企業だけがどんどん潰れていってしまって、不良債権の額から見ると、やはり一番大きいのは過剰債務に陥った大企業、大口の債務先である企業の問題について、明確な解決の方向性が出ていないと、従って、そうした企業に対する市場の評価は厳しいですし、また経営の実態を見ても、大変厳しい状況が続いたままになっているのではないかということで、私は問題提起をさせていただいて、そのことと、今ご質問になられた木村さんの考え方の方向性が非常に似ていたということではないかというふうに思っております。その認識は今でも変わっておりません。なぜならば、その問題企業の経営が格段に良くなって、再生されたという状況になっていない企業もありますから、そうした企業には、経営者の方々が渾身の力を振り絞って、中小零細企業の方々も一所懸命頑張っているわけでありますから、同じような気持ちをもって、経営の革新のために取り組んでいただきたいと思っております。

問)

そうしますと、党での議論の時は要注意先まで処理の対象を広げることを検討すべきというお立場だったと思うのですが、それは今のお立場になられても基本的には変っていないということでしょうか。

答)

そこも含めて、これから特命チームで議論をして行くということになるのだろうと思います。したがって、先程からお話をさせていただいておりますように、大臣からも資産査定のところについて議論をしていくという話の方向性が出ているわけでありますから、私もその中で今までの自分なりの問題意識も含めてお話をさせていただければと思っております。

(以上)

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