伊藤金融担当副大臣記者会見の概要

(平成15年3月26日(水)16時43分~17時05分)

【質疑応答】

問)

副大臣の方から何かございますか。

答)

私の方からは特にございません。

問)

昨日の日銀の政策決定会合で、一応、ある程度の方針が出ているのですけれども、それに対する評価と、あるいはそれ以上の何かご要望があればそれをお伺いしたいと思います。

答)

日銀はある意味では価格変動リスクを軽減して行くために、日銀のご判断として昨日のような対応をとられるということを考えられたというふうに思います。福井総裁も国会の答弁の中で、やはりイラクの問題を注視して、その中でリスク要因を軽減して行く中で、日銀として考えられる政策手段を点検して、やるべきことをしっかりやって行くというお話をされておられましたので、そういう意味で、私共としても日銀のご判断というものを評価して行きたいというふうに思います。

問)

割ともっとご要望があったりはしませんか。

答)

私は金融担当ですので。経済財政諮問会議担当ではありませんので。

問)

間もなく年度が終わるのですけれども、再生プログラムでいくつかまだ年度内に決めなければならないといったことが残っていますけれども、これについてはどういうふうなお考えで、どういうご予定でいらっしゃいますでしょうか。

答)

3月末目途にということで残っているものについては、今、一生懸命作業をいたしておりますので、これを取りまとめて、取りまとまった段階でまた皆様方に大臣なり事務方から発表させていただきたいと。そして、金融再生プログラム、作業工程表に基づいた作業を、ある意味ではここで一つ大きな区切りを付けて次の段階に行きたいなと。つまり、金融システムをより強固にして行くと、構造改革を支える金融システムを作り上げて行くということで、新たなフェーズに移って行きたいというふうに思っております。

問)

与党3党の方の政策責任者会合の方で、与党案として会計基準の変更等々、基準機構と金融庁に対して要請するということが盛り込まれました。これに対する金融庁としてアクションはどういうことが考えられますでしょうか。

答)

会計ルールの問題というのは、大臣も国会でお話になられているように、やはり経済活動のインフラの部分と言われるぐらい非常に大切なものでありますし、一つの物差しとして投資家の方々からそれぞれの企業の財務の内容をしっかりディスクローズして行くという意味で非常に重要なものだというふうに考えております。したがって、こうした物差しを決めるに当たっては、透明性の高い議論の中でこのルールを決めて行くということでありますし、私共は信頼ということを非常に大切に考えて行かなくてはいけないのではないかというふうに思っております。

この会計の問題を考える主体としては、機構で議論して行くということになっておりますから、そこでの議論を私共も注視して行きたいというふうに思っておりますけれども、与党のご議論、それから今回の対策というものは、私も与党の一員でありますから、その中身ということについては私共も十分注視して行きたいというふうに思っておりますが、一番は与党の方々の問題意識というのは、やはり今の経済、あるいはデフレ状況に対する問題意識にあるのではないかというふうに思っておりますので、これはやはり物差しを変えたから経済が良くなるということではありませんので、経済そのものを、デフレ状況をどう克服して、そして良くして行くのかと。そこに与党の方々の一番の問題意識があろうかというふうに思いますから、私共もそういう視点というものを大切にしながら対応をしっかりやって行きたいというふうに思っております。

ただ繰り返しになりますけれども、やはり会計のルールについては、その物差しというものを変えるということについては慎重にならないといけないと。これは投資家の方々の信頼ということを非常に思いを馳せておかなければいけないというふうに思っております。

問)

与党の方で中小企業、中小金融機関も含めてなのですが、配慮を示すべきだということで、監督というよりは検査の方で別立てにすべきではないかというのが与党の考え方だと思うのですが、そういった考え方についての副大臣の方のお考えというのはいかがなのでしょうか。

答)

私もここに来る前は中小企業関係を担当する部会長でありましたから、今の中小企業の検査マニュアルの別冊を作るに当たっては、いろいろ与党の側からも意見を言ってきた人間の一人でもあります。

今、与党の側の議論の中でも、なぜこういう議論をするのかということについての一番の問題意識というのは、やはり中小企業に対して、その中小企業の特性を踏まえて、その実体に合った形で検査をやるべきだし、また中小企業の様々な資金ニーズに応えられるような、そういう金融としての機能というものを強化してもらいたいと。そこにやはり最大の問題意識があるのではないかというふうに思っております。

この別冊を作るに当たっては、当時、相当にいろいろ議論をして、またそうしたことも踏まえてこの別冊というものが出来上がっていると思いますし、またその中でそうした趣旨が徹底されていないということが具体的にあるとすれば、私共としてもそうしたことに耳を傾けて、検査官に対する研修でありますとか、あるいはその他問題点があるとすればその問題点を踏まえて、今後の別冊のあり方というものを考えて行く必要があるのではないかというふうに思います。

ただ私共が金融機関の方々と、例えば年末でありますとか年度末に意見交換をさせていただいた時には、この検査マニュアルの問題というよりも、中小企業側に前向きな資金需要がないんだと、どちらかと言えば非常に後ろ向きな資金需要で、そうしたものに応えて行くことは非常に難しいと。したがって政府保証の問題についても考えてもらえないかと、こういう意見が出ているわけでありますから、全て検査マニュアルの問題ということではないのではないかと。やはり中小企業の特性というものを睨んで、そうした特性というものを十分評価して行きながら、どう円滑に資金を供給して行くのか、銀行側の機能の問題というものも非常に大きいものがあるのではないかというふうに思っております。

この点についてはリレーションシップバンキングのワーキンググループの中でも様々な視点から議論がされておりますし、ワーキンググループとしてもそうしたいろんな意見を踏まえて、今、最終的な取りまとめの作業をしていただいているというふうに聞いておりますので、その報告書を私共としてもしっかり受け止めて行きたいというふうに思っております。

また、いろいろな金融行政に対する疑問や、あるいはご指摘があれば、そうしたことに対しては謙虚に耳を傾けて、そしてより良い形のものを作り出していくために私共としても一生懸命努力したいというふうに思っています。

問)

会計のことでもう1点確認させていただきたいのですけれども、減損会計のようにこれから義務付けるものはともかく、与党の対策本部では時価評価の部分と強制評価減の部分について言及がなされていて、これはもう既に走っている制度で、しかも期末の直前のこの時期にあのようなメッセージを出すと、変わるのか変わらないのかと財務担当者のみならず、企業は非常に不安に思うと思うのですけれども、この点についてもう少し明確な言い方は出来ませんでしょうか。

答)

先程から私自身としてはその点についてお話しているつもりなのですが、時価の問題についても実際に導入されているわけでありますし、それから強制評価減の問題についても、これはもう商法等の要請から既に実務的に行われているわけでありますから、これを変更するということになった場合に、この影響というのは非常に大きいものがあるというふうに思います。したがって私共の立場からすれば、やはり今ある物差しというものを大切にして行かなければいけない。より充実したディスクロージャーの中で投資家に対する信頼というものを、やはり一番に考えて行くことが金融行政の大きな役割ではないかというふうに思っておりますので、そこについては非常に慎重に対応しなければいけないというふうに思っております。

どちらにしましてもこうした会計ルールは、繰り返しになりますけれども、機構の方で議論をして行くということになっていますから、特に減損会計の問題については、今、実務指針を作るところで作業が続いているわけでありますので、経済界等々との、おそらく意見交換もこれから更にされて行くと思いますから、そうした議論を専門家の方々の議論というものを私共としては重視して行きたいというふうに思っております。

問)

本当に会計制度の物差しが信頼を失うことがあってはいけないと考えるのであれば、金融庁として与党の方にその要求に対して反論するなり、そういった毅然とした態度が必要ではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。

答)

この点は大臣、長官、私も含めて私共の考え方というのは一生懸命お話をしているつもりなのですが。

問)

機構の議論を注視するというお話でしたけれども、最終的な会計制度を採用するかどうかという権利は金融庁にあるわけですよね。そういった意味では金融庁の方がもう少し関与しても良いのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

答)

そこは恣意的にということではないと、民間の議論の中でこれがやはり公正なものだと、妥当性のあるものだという形で出てきたものを金融庁がそれを拒否するということになると、これはもう大混乱になってしまいますので、先程から繰り返しお話をさせていただいているように、この会計のルールの問題をどう議論していくかということについては長年議論がある中で、今の機構で手続きを進めていくということになっているわけですから、やはりそこでの議論を私共としては注視をしていきたいというふうに思っております。ですから、そこの議論を大切にしていきたいというふうに思っております。

問)

機構が減損会計の先送りなり時価会計の選択性なりを認めれば、金融庁としてはそれを追認するということになるわけですか。

答)

そこで専門家の方々が議論をしてそうした結論になれば、そういう議論を私共としては注視をして行きたいというふうに思いますけれども。ただこの減損の問題については導入をするということを決めておりますから、私共とすれば、やはり予定通りにその導入をして行くということが適正なことなのではないかと思います。

問)

一部報道で出ている銀行の優先株の転換の話なのですけれども、将来要するに国有化するかどうか、転換するかどうかの猶予期間を設けるような形になるのでしょうか。細かい話はお答えいただけないかもしれませんが。

答)

これは今、作業しておりますし、まだ私共としての最終的な案が固まったところではありませんので、先程お話しさせていただいたように固まりましたら皆様方にご報告をさせていただきたいというふうに思います。

問)

与党案なのですけれども、銀行等保有株式取得機構の権限強化・機能強化というのが盛り込まれていて、その中に公明党や保守新党では8%の拠出金の部分を撤廃すべきだという意見が出ているようなのですが、この8%の拠出金のことを考えて、しかも最初の出資金の107億円を加えて、もう昨年来の株安の部分はもう既にカバーできずにいる中で、そんな議論がまかり通るのかどうか、金融庁の考えを聞かせて下さい。

答)

これも与党の方々が様々な観点から議論をされて対策をおまとめにもなられたのだと思いますから、そうした対策の中身というものを私共としても注視をしてまいりたいと思いますし、今後の検討状況というのも見守ってまいりたいというふうに思います。

ただその議論の中ででもなぜあの規定を入れたのかと言えば、今お話がございましたように、やはり国民負担の観点から、それを最小限にとどめるという趣旨で導入をされたということを私共承知を致しておりますので、その国民負担の関係から言えば、廃止をしていくということについてはやはり慎重に検討して行く必要があるのではないかというふうに思います。

問)

市場対策なのですけれども、株、今日も若干上げていますけれども、追加の対策というのは出るような感じなのでしょうか。現状ではそういうものはないのでしょうか。

答)

私共、株価対策と言いますか、そういうことでなく、株式のシステムそのものの安定性を考えて過日ああいう形の対応策を発表させていただいたということでございますので、現在更に追加したものを考えている状況ではございません。

問)

先程、年度末を迎えるというところで一つの大きな区切りだと思うと、次の段階、新たなフェーズを迎えると仰いましたけれども、新たなフェーズの中で作業工程表第二弾ですとかフォローアップの計画ですとか、そういった新たなものを作ることはお考えなのでしょうか。

答)

今のところはございません。ここから先は各金融機関の方々が様々な努力をされているわけでありますから、その努力の成果が生み出されて行くフェーズになって行くのではないかと思っております。その結果として金融システムそのものがより信頼性が高まり、その構造改革をしっかり応援していけるようなそういうシステムに機能強化されるということを私共期待をしているわけでありまして、その一つの大きな区切りになるというのは、ある意味では市場の様々な評価との整合性を図るために金融再生プログラムを作ったところがございました。このことによって不良債権問題は今まで以上にしっかり把握をして、そして今日まで検査の一巡目、二巡目でいろいろ検査と自己査定の格差というものが生じたわけでありますが、その原因となるものを今回の再生プログラムを金融機関の方々も誠実に対応していただいておりますから、そうした取り組みを通じて、恐らくその格差というものも相当に縮まっていくことになるだろうと、それで不良債権問題についても正面から取り組んでいただいておりますので、そういう意味では大きな山をこの3月期の決算で越えていくことになるのではないかと思っています。そうしますとこの金融再生プログラムで、ある意味では16年度中に不良債権問題を終局に向けてというその大きなレールの上には私はこれで乗れたのではないかと思っておりますから、そうすると次に金融システムがより機能強化をしていくためには不良債権以外の債権というものをどう増やしていくのか、またその中でどう収益を確保して行くということができるのか、そうしたことにヒューマンリソースを始め銀行の持っている経営資源というものを投入をして、そして銀行の方々がよりサービスを上げて様々な資金ニーズに応えられるような、そうした機能というものをより強固にして行くことになっていくのではないかというふうに思っておりますので、そうしたある意味では今までの不良債権問題という、こういう言い方はいけないのかもしれませんけれども、後ろ向きの対応から今度は前向きな取り組みがこれから具体的に始まって行くことになるのではないかというふうに思っておりますし、そうしたことを大きく期待を致しております。

問)

りそなのトラブルが2回起きていると、みずほのあれだけのトラブルの後、相当警戒したにもかかわらずこういう連続するトラブルが起きたことについてはどう考えておられますか。

答)

これは報告徴求を求めるということですので、報告徴求を求めさせていただいて、そして報告の中身を私共としても精査をさせていただき、それに基づいて今後の対応を考えて行きたいというふうに思っております。ただ勘定系のトラブルは起きていないと思いますので、極めて単純なミスが多いのではないかなと思いますね。

(以上)

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