伊藤内閣府副大臣(金融・経済財政政策担当)記者会見の概要

(平成16年4月8日(木)16時30分~16時50分)

【質疑応答】

問)

郵政民営化の準備室の人事に関連して、高木長官の名前が準備室次長ということで取り沙汰されておりますけれども、事実関係からまず確認したいのですが。

答)

人事のことは官邸だと思いますので。ただ、今決まっていることは渡辺前農水事務次官が準備室の室長になるということが決まっていて、その他のことについてはこれからということだろうと思います。昨日も経済財政諮問会議で、総理から渡辺さんの御紹介があり、これから準備室を立ち上げていきたいというお話しがございましたので、福田官房長官、そして総理を中心に今後の準備室のあり方、体制の作り方、そうしたことが議論され、そして立ち上がっていくということになるのではないかなと思いますけれども。

問)

今現在ということは、現職の金融庁の長官ですから、当然、副大臣にも色々と相談なりあると思うのですけれども、そういうことはあるのですか、候補者の一人として上がっていることに…。

答)

いや、全く。人事のことは官邸ですので。決まっていることは渡辺さんのことだけですから、色々な報道があることは承知をしておりますけれども、渡辺さんのこと以外何か準備室に関わることで決定されたというような話は、今日現在、私のほうは聞いておりません。

問)

兼務等々はできるのですか。

答)

仮定の話は私にされても、これはなかなか答えられないことですよね。

問)

昨日の諮問会議で郵政の民営化の素案が示されまして、その中身では目指すべき方向性というのが示されたわけですけれども、中間報告に向けてその素案を穴埋めしていく作業だとは思うのですけれども、そういったところで、どういったところを入れ込んでいくのか。例えば、諮問会議の中で牛尾さんなどが人材の育成、与信とか国際業務をやっていくのだったら人材の育成が必要であるとか、そういった認識を示されているようですけれども、その辺の中間報告に向けた穴埋めの部分と言うかその辺につきまして教えてください。

答)

昨日、大臣も記者会見をされておられると思いますので、今回の論点整理に向けての議論でありますけれども、今まで四つの機能を中心に議論を続けてきたと。なぜ、機能論をしっかりやりたいかというと、郵政の改革が国民にとってどういうメリットがあるのか、なぜ改革をしなければいけないのか、そのことをしっかりと打ち出していくためにも、また、郵政の改革というものを本当に成功させていくためにも、どうしてもこの機能論をしっかりやることが必要だと、そういう認識の中で四つの機能論を中心とした郵政改革の議論を続けてきたところであります。御承知の通り、経済財政諮問会議、総理の時間との兼ね合い、あるいは国会との兼ね合いで、昨日も1時間少々しかできておりませんので、その四つの機能論一つ一つを十分に議論できているかというと、まだまだ議論ができるところもあるのだろうというふうに思います。したがって、経済財政諮問会議、今月はあと二回ぐらい予定をされておりますから、その中でさらに五つの原則を踏まえた機能論を、総理を中心とした諮問会議の中で議論を続けていくということになるのではないかと思います。

問)

少しちょっと気の早い話なのですが、副大臣の会見もあまり機会がないものでお伺いしたいのですが、4月26日ということで、小泉政権発足から3年ということで、過去の政権等と比べて経済財政運営について一定のプロセスであるとか中身において、どういった違いがあったかということで、その辺りの認識とか分析の方をこの機会にお伺いしたいのですが。

答)

小泉改革の場合には、具体的な改革の方向性というものを示して、そしてそれを実現するための目標、それから目標を達成するための改革の工程管理というものを明らかにして、そして政府・与党、知恵を出し合いながら様々な議論を通じて、一つ一つ改革を実行してきたということがあるのではないかなというふうに思っております。例えば、私が今まで担当してきた、金融問題、金融改革、これは経済構造改革の四本柱の中の一つでありました。主要行については不良債権比率を半分に減らすのだと、そういう目標を掲げてそれを実現するための新しい三つのフレームワークというのを提示をし、それを実現するための改革工程表というものを明らかにしてそして、行政の実務に落とし、それを着実に実行していくということで改革を推進してきたところがございます。こうした形で着実に成果を出すために、政府・与党一丸になって取り組んできたのではないかなというふうに思います。

問)

景気の認識なのですけれども、全体に景気は良くなってきているというところで、地域との格差、地域差とかあるいは、よく言われております中小企業への波及の面なのですけれども、その辺りの認識を教えていただきたいのとですね、これも少し気の早いことですが、郵政が終わりましたら「骨太の方針」に向けて議論を進めていくということで、集中調整期間が終わった後のその向こうに向けた大きなテーマというのはどういったところにあるのか、その辺の認識を教えてください。

答)

地域と中小企業の問題については、これは大臣もお話になられているように、今の景気というものが明るい兆しが見えてきて、その兆しというものを日本の隅々まで浸透させていきたい。特に地域や中小企業というのはまだ景気の明るさの実感を十分感じられないのだ、そういう声も強くあるわけであります。したがって構造改革というものを加速をさせて、特に地方や、あるいは日本経済を支える中小企業に改革の光を当てていくということが非常に重要なことだというふうに認識をしているところで、そうした中で今まで規制改革に基づく構造改革特区というものを実現をし、そして地域再生に向けて再生プログラムというものが決定をされ、地域の自主性というものを尊重しながら、地域も含めた構造改革に着手をしているところでありますし、また中小企業関係についても各省が連携をして中小企業関係の施策というものを点検をし、より今まで展開してきた施策というものを強化をして推進をしていくというものであります。金融庁としましては地域経済を活性化していく、あるいは、中小企業の再生に資する金融機能を強化していくために、新しい法律というものを国会の審議でお願いしているところでございますので、こうした政策努力を通じて私たちも中小企業や地域に対して非常に強い問題意識を持っておりますので、政策を総動員してしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。

骨太の問題については、これはこれから議論をしていくことになろうかと思いますので、今御指摘ありましたように、集中調整期間を終えた後どうするのかというのはこれからの骨太のやはり大きな課題の一つであると思います。そうした認識を持ちながらこれから骨太の具体的な中身を詰めて、与党の方々とも御相談をしながら骨太の作成に向けて鋭意作業を進めていきたいというふうに思っております。

問)

先程お話のあった地域と中小企業の取り組みについてなのですが、足利銀行問題に関してお伺いしたいのですが。新年度に入って、足利銀行一時国有化という流れを受けて、栃木県内ではゴルフ場経営の会社が県内企業としては史上最高額の1,200億円という巨額の負債を抱えて民事再生法の申請を出すなど、いよいよ国有化の影響というものが新年度に入って色濃く出てきたなというふうに感じられる事態となっております。一方ではですね、これまでズルズルと抜本的な経営改革が先延ばしになってきた企業が、国有化という、3号措置という中で、本格的な再建に向けて動き出したというような捉え方も出来るかと思いますが、そういうことに対しての御認識をまず一点お伺いいたします。

それからまた足利銀行問題に関してですね、栃木県は何をしてもらいたいのか、何をするのかといった、地元栃木の一本化された考えであるとか要望であるとかが、なかなか中央の方には伝わってこないというような話も伺うのですが、栃木県はおとなしすぎると言われるということも聞くのですが、その点に関する認識をお伺いできればと思います。

答)

まず一点目ですけれども、今、御質問のあった個別の案件について、私共がコメントをするというのは適切ではないのではないかというふうに思います。ただゴルフ場の問題というのは、これは栃木に関わらず全国的にバブル経済が崩壊した後、言われてきた問題でありますし、また一方、ゴルフ場の再建に向けて様々な成功事例も少しずつ出てきているところではないかなというふうに思います。ゴルフ場に限らず不況業種の再生というものは大きな課題でありますから、今この再生に向けて産業再生機構が設立をされ、また民間でもこの産業再生機構が契機となって、ヒト・モノ・カネ様々なノウハウというものを結集をして、再生に向けての動きというものが出てきておりますので、そうした動きというものが一つ一つの事案を解決をしていくということにつながっていってくれれば、ということを期待をしているところであります。

それから栃木の問題について、国との関係ということなのだろうと思うのですけれども、これはやはり第一義的にはやはり地域の将来をどう切り開いていくかというのは地域の中で色々な議論があり、その中で再生に向けての再生策というものが色々なレベルで作られ、多くの方々が参加する中で実施をされ、その努力が一つ一つ結果になって現れてきてもらいたいというふうに私共も思うわけで、そうした中で国として何か支援していくことができれば、それは国も色々な再生に向けてのモデル事業等々も用意をしているわけでもありますし、足利の問題も含めて栃木県からは地域再生に向けての提案も出されているところでございますから、これは金子大臣の所管でございますけれども、所管外の私が言うのはちょっと僭越ではありますから控えないといけないというふうに思いますが、地域再生本部でしっかりとした対応がなされていくのではないかというふうに思っております。

更に足銀関係については御承知の通り政府としても連絡協議会を設置をしておりますから、その中で政府としてやれる対応をしっかりやっていくということだと思います。

問)

郵政民営化について伺いたいのですけれども、小泉首相が郵政民営化の是非はもう決着しているというふうに仰ってますけれども、その一方で6日に自民党の郵政事業懇話会が開かれて、この中ではまだその議論は決着していないと、是か非から議論するのだと言う声が圧倒的だったわけなのですけれども、副大臣はその点についてどうお考えですか。

答)

これは昨日の経済財政諮問会議の中でも、この民営化についての考え方は会議に参加されている方々の中では確認をされていることだというふうに思っております。その中で民営化に向けた準備期間、そして時間をかけて移行していこうということでありますからその移行期間、最終的な形態までということの段階に分けて、どういう形の改革をしていかなければいけないのかという議論をしているところでありますので。

問)

素案の内容なら自民党の理解も得られるということなのですか。

答)

これは与党の方々ともいろいろな意味で意見交換して、そしてやはり国民のための改革というものをやっていかなければいけないわけでありますし、実際に改革の法案は国会で審議をして多くの方々の賛同を得て法律を成立させていくということが必要なわけでありますから、与党の方々とも十分問題意識を共有して、是非この改革を総理を先頭に成功させていきたいと、政府の一員としてはそう思います。

問)

大臣は明日、日銀の政策決定会合には行かれますか。

答)

まだ大臣が御出席されるかどうか、ちょっと決定していないということです。

問)

あの、副大臣は。まだどちらが行かれるかも決めていないということですか。

答)

ええ、明日は国会の日程がまだどうなるかというのが入ってきていないので。

問)

前回の決定会合は、確か伊藤副大臣が行かれたかと思うのですけれども、日銀の金融政策について、特に最近の動きについてはどういうふうに見ておられますでしょうか。

答)

日銀としてはデフレ克服に向けて最大限の努力をされておられるというふうに思っております。政府としても日銀の独立性というものを尊重しながら、一方で緊密に経済財政諮問会議も含めて意見交換をして、政府・日銀一体となってデフレを克服し、経済の再生に向けて共に努力をしていかなければならないというふうに思っているところです。

問)

ただマネーサプライの伸びがこのところ下がっている傾向がありまして、特にマネタリーベースの方も一時20%位の伸びだったのが11%位まで下がっていると。こういう現状についてはどういうふうに思われますか。

答)

ここについては福井総裁も経済財政諮問会議の中でお話をされておられますけれども、経済構造改革を進めていくにあたって、その過程の中でそうした状況も有り得るというようなお話、総裁なりのお考えというものも披露されていたのではないかというふうに思っております。

私共とすれば、金融面からしますと、金融の改革をしっかりやって、そして資金仲介機能というものをより強く発揮できるような状況というものを更に作り出していくということが大変重要でありますから、私共としての構造改革、世界から信頼される金融市場の構築に向けての改革を一生懸命やっていかなければいけないと、そういう認識でおります。

問)

日銀の金融緩和そのものが不十分だというお考えはありませんか。

答)

日銀として色々な御判断の中で政策決定をされているだろうというふうに思いますし、今日まで日銀としてデフレ克服のために様々なことに挑戦をされて、そしてそうした効果が十分発揮されるかどうか、その点についても検証しながら政策の決定がなされているのではないかというふうに思っておりますけれども。

ただ政府にしても日銀にしても、不断の努力、改革に向けた努力というのが必要だというふうに思っておりますので、そうした意味からも経済が少し良くなったからといってそれに安心することなく、しっかり持続可能な経済成長を実現していくための構造改革を、加速をしてやっていかなければいけないというふうに思います。

(以上)

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