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森金融庁長官記者会見の概要

(平成13年10月15日(月)17時08分~17時29分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますでしょうか。

答)

特にございません。

問)

先週の講演で、長官が特別検査について月内にも実質的に着手するという意向を明らかにしましたけれども、改めてその狙いについてお聞かせください。

答)

そもそも特別検査は改革先行プログラムの中で、金融庁が構造改革、特に金融セクターにおける構造改革に資する施策として、一つの大きな目玉として出したものでございまして、改革先行プログラムの趣旨からして、出来るだけ早急にこういう検査を行うのは当然のことと考えております。私は先週の講演で、「もうすぐ始めたい」ということを申し上げたわけですけれども、その後大臣がきちんと申しましたように、今月中には特別検査を着手するつもりでございます。

その狙いというのはこれまで何度も皆様方にご説明申し上げました通り、通常の検査は銀行に着目して検査するわけですけれども、今回の検査は言わば債務者側、特に直近の市場のシグナル、株価なりレーティングなり等で、問題がないのかという債務者企業に着目して、その融資先、メインなり準メインなりを検査するというものでございまして、何遍も国会で大臣がご説明されております通り、通常の検査ですとどうしても当該企業の債務者区分が、実は相当前の企業の実態しか反映していないものになりがちだと、それを即座に検査に入った時の債務者企業の実態に即したような債務者区分にしたいと、そういうことによってマイカルみたいな例をなくしたいというところに一番大きな狙いがあるわけでございます。

問)

RCCの機能拡充についてですけれども、与党の方では買取価格の時価、入札制度の導入をする方向で法改正を進めており、入り口の方は大分固まってきたわけですけれども、それについての金融庁の受け止め方、あと今後の出口の企業再建について具体的なイメージなりがおありでしたらお答えください。

答)

金融再生法第53条で買取、また第56条で買取価格等について規定がございますけれども、再生法自体は買い取った後の出口については「管理及び処分」という言葉で、確か規定していたと思うのです。管理及び処分と言いますとどんなことも皆管理及び処分に入るわけですから、出口の具体像を法律でなかなか示すのは難しゅうございますけれども、しかし、何らかの形で今回、そういう入り口の方を改正してRCCの機能拡充をするのであれば、出口の方について、まさに機能拡充を示したような出口の姿にしなければいけないというふうに思っております。そういう面で、何を一番の力点にするかとすれば、それは言うまでもなく企業再建、企業再生、まあどういう言葉でも良いのですが、そういう再建業務というものについてRCCが大きな役割を果たすということに力点を置きたいと考えておりますし、改革先行プログラムの中で、我々がRCCの機能拡充といった中でも企業再建ファンドの創設等、そういうところが皆様方からすればきちっと読み取れるということかと思います。

これまでやはりRCCは、どうしても回収に中心があったわけでございますので、今後は早期の見極め、つまり買い取った債権の処理について何が一番適当なのかと、処理と言いますか処分と言った方が良いかもしれませんが、処分として何が一番適当なのかと。考えられるのは回収、譲渡、これは、再建、再建後の処分、再建というのは再建だけで終わるわけではないので、再建後にまた処分、回収と譲渡になるわけですけれども、そういうものに力点を置いたような形でRCCを改革して行かなければいけないと、こういうふうに思っております。

問)

先程の特別検査の件で、竹中大臣が経済財政諮問会議で、その内容をきちっと調べさせてもらうという形を言ってますよね、何回か繰り返し。つまり、特別検査の内容を経済財政諮問会議の中でちゃんと報告してもらうということだと思うのですが、これに関して金融庁としては前から異論を唱えてますが、その辺りの整理というのはもうついたのですか。

答)

それは何回か前の会見でも申しました通り、何も私共が竹中大臣と対立があるとは思っておりません。検査の内容と申しますのは、これはもう検査局内部の守秘性を持った資料であって、それを例え他官庁、つまり役人に対してであってもそれをディスクローズするということは考えられません。

竹中大臣が仰っているのは、要するに特別検査の結果によって、不良債権処理がどう進捗したのか、きちっと説明してもらおうと、それは当然のことだと思います。従ってそういうことは柳澤大臣は説明責任を負って、特別検査の結果についてはきちっと説明させていただくと、こういうことかと思います。

問)

RCCの時価での買取というのが一つの柱になるような方向なんですが、これまで金融庁としては、大臣も仰っていましたけれども、出来るだけ二次ロスを極力少なくしたいというふうに仰っていたのですけれども、実際に時価での買取となると国民負担の発生する懸念がこれまでより高まると。その辺の差というのはどのように受け止められているのですか。

答)

正直言って、なかなかこういうことは観念的に物を言うのは非常に難しいことだなあと思います。即ち、時価と申しますのは、例えばそういうサービサーがいろいろ値段をつける、預金保険機構・RCCも値段をつける。基本的にはこの債権の価格、あるいは債権の束の価格というのはこれくらいだなあと、サービサーもそういうふうなプライシングをするでしょう。預金保険機構・RCCもそれと同じようなプライシングをする、これが時価だと思うのですけれども、今のサービサーは買った債権をどうしているかと言うと、私は基本的には儲けているんだと思うのですね。慈善事業ではあるまいと思いますし、買った債権を損して処分しているはずはないので、それは何かと言うと、いろんな処分の仕方があると思いますけれども、その中の一つにはその債権の質を良くして、価値を高めて売るということも考えられるわけで、そういう面でRCCが再建機能を持つということは、時価で買っても大きな利益を得て処分するということは考えられるわけです。もちろんそんな成功例ばかりではないでしょう。ただトータルでみて、例えば一年間取った時にいろんな債権を買うでしょうけど、トータルでみて損が出ないというようなことを、当然RCCは株式会社としてそれを狙うのは当然だと思いますし、預金保険機構を通じて監督している監督当局としましても、例えば時価になったとしても、国民のロスが想定されるようなRCCの運営を予定するわけには決して行きません、これは。

これはやはり、国民にロスが出ないような経営を期待するわけでごさいますし、そういうことで期待に応えていただけるものと、今回そういうふうに仕組みが、買取方式の弾力化というのが実現した暁においてという意味でございますけれども、そういうようなことを我々は期待したいというふうに思っております。

問)

ロスが出ないのでしたら民間に任せるというのが小泉改革の基本だと思うのですが。

答)

それは何度も申しましております通り、債権流動化市場なり、あるいは債権売買市場なりが、日本が米国と同じくらいに成熟した市場であるなら、今ご質問になられた記者の方の仰る通りかと思います。成熟していないからRCCがこういう機能を果たすということを、今回の改革先行プログラムに入れたわけでございまして、私はRCCが一定の役割を果たして、日本の債権流動化市場が、よりmaturedなものになって行くことを期待したいというふうに思っております。

問)

特別検査に関連してなんですけれども、今度の検査の対象には主要行の他に、地銀等も貸付けている貸出先があると思うのですが、主要行の債務者区分を特別検査の結果、破綻懸念先以下に落として行ったことを、地銀や他の金融機関の債務者区分の変更にはどう反映させて行くのでしょうか。

答)

これは通常の検査と同じではないでしょうか。いろいろ情報量も違いますし、これは仮定の話に入るわけですけれども、ある債務者企業を主要行がこうしたからと言って、それの協調融資機関のここは、「端からあなたもこうしなさい」というわけには行かないわけでございますから。ただ、当然検査する側は一体でございますので、そういう情報は検査官は十分頭に入れているわけですから、そういう企業の情報を頭に入れて、当該、あなたの仰ったような主要行以外の銀行にあたる時にはそういう議論をして行くと、その結果どうなるかという問題ではないかと思います。

問)

先週の講演で、主要行のことだと思うのですけれども、自己資本の自力調達を金融庁として要請されているというお話をされてましたが、この狙いというか、非常に公的資金の注入議論と何か関連があるのかなという邪推もあるのですけれども。

答)

そういうことではございませんで、私はその今問題になっているのは銀行に対する、特に日本の金融システムという意味においては主要行についての市場からの信認、不良債権処理その他について疑念を払拭しなければいけない。銀行がもっと信認を得なければいけない、そういう前提に立ちますと、一番信認を示せるのは市場からの資金調達でございます。従って、主要行に対してとにかく懸命に、それにはいろいろ市場の信認を得た上でということが前提になるわけですけれども、得た上で市場からの資金調達を考えてはいかがですかと。

これは自己資本が例えば10%くらいあったとしても、額は小さくても、市場の信認を示す意味でも自力調達というのを考えたらいかがですかと、こういうふうに要請というかサジェストしているということでございます。ただ現実問題といたしましては、3月の配当がどうなるかということが非常に不透明な、つまり時価会計が導入された最初の年度であり、株価次第という面がどの銀行もそういう不安定要因を抱えているわけでございますので、そういう中で自力調達して行くというのは極めて難しいということも私は同時に理解しております。理解はしておりますけれども、努力は何とかしてそういうことが実現できれば良いなあというふうに考えております。

問)

9月末で主要行の中に、これは国内基準行ということもあるのでしょうけれども、自己資本比率が8%近くになる銀行がいくつか出てくるのではないかという状況についてはどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。

答)

中間期の業績予想修正の話かと思いますけれども、まだ全部出たわけでもございませんし、私は主要行全体としては概ね10%程度くらいだという認識を持っております。

問)

特別検査なのですけれども、具体的に検査に入ってどういうふうに開示をされ、どういうふうにマスコミに伝え、説明して行くかと言いますか、それとやはり、いつまでとかいろいろあると思うのですが、そこはどういうふうに今お考えでしょうか。

答)

特別検査は正に特別検査でございまして、通常の検査であれば検査予告をした時に聞かれればどこにいたしましたということを検査局が話していると思いますけれども、特別検査は正に債務者に着目した検査でございますし、極めて風説の流布というものを気を付けなければいけないということから、通常の検査の枠の外、つまり皆様へのディスクロージャーなりトランスペアレンシーとしては、そういうもの外というふうに考えておりますし、皆様にもそういうふうにお願いしているつもりでございます。

それでは結果はどうやって分かるのかと言えば、それはあくまでその銀行の不良債権処分損なり、決算が来ればいろいろ開示があるわけですから、そこにきちっと反映されていると、こういうことでございます。

問)

企業が特別検査が終わった後で健全化と言いますか、健全になったという定義と言いますか、そこについては、例えば産業再生法の中で個別の大臣の認可とか、具体的な裁判所のような機能を想定したようなことなんですが、そういった経緯があったようですが、同じ様に考えておられるのか、ある程度健全だといったところはどういうふうなところで認定されるのか、そこのお考えがあれば教えてください。

答)

すべて仮定の議論ですけれども、特別検査は10月中に着手いたしまして、私はある企業に着目して行けば、行った段階でそういう市場のシグナルに合わせて3者協議した時に、ダウングレードしているような銀行はあるかもしれません。仮にそうだとすれば、その時点で特別検査の目的は一応達成しているわけです。間に合えばそれは今年の9月中間決算期にも反映されると思います。

今のお話はそこから後で、その産業再生法なり何かの認可を受けて健全化していったと言えば、今度は1~3月の特別検査で、当然そういうものは市場のシグナルに反映して良くなっている、銀行の方からすればまた持ち出すでしょう。これはこの前はこうなりましたけど、良くなっていますと。そういう企業について3者協議すれば、当方もそれを認めざるを得ないならば、今度はアップグレードされると、そういうことは私は考えられることだと思っております。ですからあくまでその時点における市場の評価を、やはり反映した債務者区分にするというのが大きな目的でございますので、産業再生法なり何なりを適用されて、まさに市場の評価が上がれば債務者区分においてもアップグレードするということは大いに考えられることだと思っております。

(以上)

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