森金融庁長官記者会見の概要

(平成14年1月28日(月)17時03分~17時21分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますでしょうか。

答)

特にございません。

問)

明治生命と安田生命が合併を発表したことに対する評価をお聞かせください。合併後も従来の相互会社形態を続けること、あるいは日生・同和、ミレアグループに見られます、最近の生保・損保の融合の流れとは、また別の方向を向いての再編であることなども踏まえてお願いします。

答)

先週、仰られる二社の合併の発表がございまして、おそらくスピードを重んじたと思うのですが、相互会社の形態で合併するという発表をされたと承知しております。

相互会社、株式会社いずれの形態を選択するかということにつきましては、それぞれの会社の経営判断によるものだと思いますけれども、いずれにしても、そのどちらの形態によるにいたしましても、保険会社の経営基盤の強化とか、あるいは商品開発力の向上ということが見込まれるわけでございまして、当局といたしましては、業界全体のより一層の発展と安定に繋がるものという点から高く評価しております。

今のご質問は、最近は生・損融合の流れの中でどう考えるのかというお話でございますが、いろんな形の再編・統合というものはあって然るべきだと思いますし、また、必ずしも合併とか持株会社ということだけが選択肢ではなくて、業務提携という形での生・損融合も考えられるわけでございまして、そういう意味で、今回の両社の合併といっても、その合併の先にいろんな可能性があるわけでございますので、そういう点については、ますます両社が生保業界全体を安定させる方向の中で、いろいろなことをお考えになって行くのではないかなあというふうに思っております。

問)

東京海上と朝日生命がミレアグループ結成に向けていろいろ交渉を続けていると思いますが、現在の金融庁の見方を教えてください。新契約の募集事業の譲渡、基金の拠出、朝日生命と東京海上あんしん生命の合併という、いわゆる3点セットが交渉されていますけれども、この3点が同時に踏み込んだ形で発表されることを金融庁として期待されていますでしょうか。

また、この件に関して、先日、衆議院予算委員会で東京海上の社長に対し、長官が保険商品の認可権を持ち出した上で、早期に決定するように求めたとの趣旨の話が出ておりましたが、真偽のほどを教えてください。

答)

私にとっては非常に極めて重大なことでございますので、最後の方からお答えさせていただきますけれども、全く何か東京海上の社長に圧力を加えたとか、全くそんな事実はございません。事実無根でございます。

と申しますのも、実際、本件はいろいろ交渉されているわけでございますが、監督局が当然監督面からウォッチしているわけでございまして、私はその報告を聞いているだけでございまして、私が監督局を飛び越えて何か東京海上に何とかするということは、そもそもあり得ません。

それを申し上げた上で、最初の質問の方で、どのように期待しているか、どう見ているのかというご質問でございますけれども、私が報告を受けていますのは、統合の方向として昨年1月、さらに昨年11月に、より踏み込んだ形でのシナリオを世の中に示し、そういうシナリオの中で最終合意を目指して現在交渉の詰めを行っているというふうに聞いております。個々具体的に、今3点セットと仰られましたが、その3点セットのところがどうなっている、こうなっているということは私は承知しておりません。

いずれにいたしましても、昨年中にミレアグループとして発表された一つの期待図の中で交渉が行われているものと思いますし、出来るだけ早く良い結果が公表されればいいなあというふうに現在考えております。それ以上のことをコメントする立場にはございません。

と申しますのも、基本的にはそういう統合、再編と申しますのは、個々の民間会社の経営判断の問題でございまして、我々は期待はいたしますけれども、それ以上のことについて関与するわけには行かない立場にございます。

問)

今般発表されましたダイエーの再建計画ですが、この中にあります債権放棄と昨年秋にまとめられました私的整理に関するガイドラインとの関係について伺います。ダイエーに対して実施されます債権放棄というのは、このガイドラインを適用するものと考えておられますでしょうか。仮に不適用の場合ですが、安易な債権放棄をしないようにということで、このガイドラインは定められたと思いますが、今後も不適用というのは許されて行くというふうにお考えでしょうか。

答)

まず債権放棄の点につきましては、ダイエー側が3,000億円の銀行への支援要請、それを今銀行が検討し、2月中には結論が出て来るものと思っているのですけれども、債権放棄を含めて3,000億円の支援というふうに言っていると私は理解しております。

それを受けて銀行側は、1月22日の全銀協会長記者会見におきまして山本会長の会見は、ご承知かと思いますけれども、「ダイエーの再建計画を検討するに当たっては、ガイドラインの精神を念頭に置いているが、具体的な手続きについてガイドラインの手続きを使うかどうかは、現時点では明確に申し上げられない」と発言されているものと承知しております。

今のご質問の点ですけれども、確かに昨年9月でございましたか、銀行側と企業側の代表者、さらには弁護士が入りまして、当局もオブザーバーとして参加したわけですけれども、私的整理のガイドラインというものが作られたわけでございますし、それはそれとして高く評価しているところでございますけれども、その時も当該ガイドラインを作られた際の座長が仰っております通り、再建型の私的整理、私的整理と言った場合は当然再建型になるわけですけれども、そのやり方というのは必ずしもこのガイドラインそのものだけではないということを明確にしているわけでございますし、我々もそこを念頭に置きながら、改革先行プログラムでも私的整理の時には私的整理に関するガイドライン等と言って、「等」という言葉を入れていると思うのです。

従って民-民での合意の下での再建型の私的整理というものは、ケース・バイ・ケースによって、いろいろなものがあり得るわけでございまして、この私的整理に関するガイドラインにリジッドに当てはめなければ絶対ダメなんだというふうに我々は考えておりません。

ただ、今ご質問になられた記者の方が、債権放棄との関係で仰るならば、それは資本注入行の場合、金融再生委員会時代の3原則、いわゆる経済合理性と経営責任と社会的影響という3つをもう既に資本注入の際の基本的考え方でしたか、その時に皆さんに公表しておりますので、その基本的考え方というのは変わらないと思いますし、当然債権放棄する側の銀行というのは、それを意識した債権放棄を行うのではないかと思います。

と申しますのも、資本注入行につきましては経営健全化計画の中で、債権放棄についての考え方というのを明確にしておりまして、その中に私の今申した3つの基準が入っているわけでございます。これはもう皆さんに公表しておりますので、それには沿って行くものになるものかと思っております。

問)

昨年末に空売りへの総合的な取組みというのを発表されましたけれども、その効果、手応えというのはどうなっているのでしょうか。パブリックコメントが終わった段階ですが、最近の証券市場の動きをどう見てますでしょうか。一方、規制が強化されたということで取引量が細るのではないかという懸念が当初からございましたけれども、現状どうなっておりますでしょうか。

答)

今の御質問の最後の方から先にお話しさせて頂きますけれども、仰られる通り、昨年の12月21日に「空売りへの総合的取組みについて」ということで公表させて頂きまして、信用取引に関しましても明示確認義務の対象とする旨を決めまして、パブリックコメントを行ったわけでございます。

それを踏まえまして今後の予定を申し上げれば、と申しますか、もう既に1月25日に所要の改正を盛り込んだ内閣府令を公布しております。そして来月20日に施行することとしております。

新たな規制についてのスケジュールはそういうわけでございまして、そういうことで今のところは公表は致しましたけれども何ら実施はされていないわけです。

今、取引量ということで、東証における売買動向を見ますと、公表時、12月17日から21日くらいの平均売買高を見ますと約6,700億円位でございまして、直近1週間における平均売買高が約6,300億円でございますので、ほとんど変わっていないわけでございまして、特段、こういう規制を発表したことによって、それによって取引量が細っているというような認識は持っておりません。

今の記者の方の質問は、この空売り規制の公表によって相場がどういうふうに変動したかということかと思いますけれども、御承知のように株価は様々な要因を背景に市場において決定されるものでございまして、なかなか変動要因を特定することは難しいなあと思っております。

問)

予算委員会の東京海上に対する不当な発言があったとか、なかったとかいう話ですが、事実無根であるということは、そういう話をした池田議員はとんでもない話でして、池田議員に対して何か抗議をするとか、そういったことは行ったのでしょうか。それと、今後そういうことをする余地というのはあるのでしょうか。

答)

何もしておりません。また、国会の御議論でございまして、それに対して今何か行動を起こすということは何も考えておりません。ただ、真実を私は申し上げているだけでございます。

問)

監督局を飛び越えて何とかすることはあり得ないと仰っているのは、監督局ではそういうことがあったということでしょうか。

答)

いや、それは私のことを聞かれたから私はそう述べただけで、監督局がどういう対応をしているか、私は一々コメントは致しません。敢えて言えば監督局長に聞いて下さい。

問)

東京海上と朝日生命の関係なのですが、期待はしているがそれ以上関与はできないという基本的な立場をお述べになりましたけれども、具体的にどういう期待をされているのかということをお願いします。

答)

それは前にも申しましたように先程、相互会社同士とか、生命保険会社同士の合併について経営基盤の強化とか、あるいは商品開発力の向上として高く評価すると申しましたが、同じようなことが生・損の垣根を越えた統合についても言えるわけでございますし、またそういうことは昨年11月、統合の発表をした時も私はこの席でコメントしたと思いますけれども、やはり経営基盤の強化、商品開発力の向上という点で好ましいことだと思っておるということでございます。

(以上)

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