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森金融庁長官記者会見の概要

(平成14年3月25日(月)17時02分~17時25分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

ペイオフの解禁まであと1週間に迫りました。ペイオフ解禁前の金融機関の体制整備ということで、全ての金融機関に関して、経営の健全化というものは達成出来たというご認識でしょうか。

また、年度末を控えてもいますが、いわゆる預金流出など金融機関の資金繰りに関しての問題は生じていないのでしょうか。ご認識をお聞かせください。

答)

前半の話でございますけれども、柳澤大臣が仰られている通り4月を迎える時と申しますのは、来週の月曜になるわけですけれども、その時には基準をパスした健全な金融機関で店を開けていただくというような体制に持って行かなくてはいけないというふうに考えておりますし、大臣が仰るように、その展望がほぼ出来上がっているというところまで来ていると認識しております。

ただ、ごく一部に過小資本を克服すべく最後の努力をされて、またその見通しも我々からすると十分大丈夫な状況にはなっていると思うのですけれども、まだ最終的な確認が取れていないところも、ごくごく一部ございます。そういうような状況でございます。

後半のご質問ですけれども、預金流出につきましては、前にも申しました通り、毎日、各財務局とも連絡を取りながら預金動向についてモニタリングをしておりますけれども、いろいろと定期預金から普通預金へのシフト、あるいは定期預金からCDへのシフト、そういうものはございますけれども、全体として何か顕著な預金流出の動きが生じているということではないという認識を持っております。

問)

引き続きペイオフに関連した質問なんですけれども、いわゆるペイオフ解禁を迎えて、不良債権問題など金融システムはまだ依然脆弱なのではないかという見方もあります。また、預金がリスクフリーでなくなるということで、それがシフトする受皿になるはずの資本市場に対して、投資家の信頼感はまだ低いという指摘もあります。ペイオフ解禁を迎えるに当たっての課題がいくつかあったと思いますが、それに対するご見解をお聞かせください。

答)

不良債権問題の処理、これは当面の喫緊の課題であり、金融庁としても、特に各大手行に対して国民の信認を得るために早急に、かつ確実にやって欲しいということを骨太の方針、改革先行プログラム、さらにデフレ対応策、あらゆる機会を捉えて要請していることでございますし、さらにそれを進めるいわばツールとして特別検査の実施とか、あるいはRCCの不良債権買取機能の強化とか、そういうことを金融庁としても懸命に行っているところでございます。

大手行側もそれに応えて、昨年の11月でしたか、特別検査も十分に頭に入れた上で大幅な引当準備金のようなものを積んでおります。その上でも、なお、この3月期には概ね10%台の健全性を確保出来るということも言っておるわけでございまして、金融システムが依然脆弱という見方があるというふうに、今ご質問をされた記者の方が仰っておられますけれども、今度の決算できちんと不良債権処理を済ませて、4月の出来るだけ早い機会に銀行の健全性を大手行が自ら発表し、それによってそういう見方、今ご質問になられた記者の方の見方が一刻も早く解消して行くことを強く期待しております。

後半のペイオフと直接金融市場との絡みについては、ご質問になられた記者の方のお考えの通りでございまして、我々も資本市場への信頼の向上、これを何とか早く進めて行かなくてはいけないと考えております。大雑把に言って、アメリカでは直接金融市場と言いましょうか、個人金融資産でリスクフリーではない、そういう直接金融市場に向かっている資産の割合が約5割あります。一方、預貯金は約10%だということです。日本は丁度逆で、預貯金が約54%ですから約5割。それに対して、直近の数字を眺めましても株式が4.3%、1,400兆円の中というふうに考えてもよろしいと思うのですけれども、正確に言えば家計の金融資産の内訳ということになっています。そして、昨年12月末現在の速報ということで見ますと、株式が4.3%、出資金が2.9%、広い意味の株式という意味では7.2%。それに投信が2.3%ございます。この投信は正確に言いますと、いわゆる株投信と債券投信とそのバランス型全て含めて、これは区分け出来ないものですから併せて2.3%でございます。まあこれは足すと約10%という数字になるわけです。一方現預金の方は54.3%でございます。

つまりアメリカと丁度逆で、預貯金が約5割で、いわゆる直接金融市場に回っているお金が約10%だということです。これはやはり日本の個人、これからのいろんな意味での直接金融市場を拡大して行くには個人をもっと取り込まなくてはいけない。それには、まず第一に証券市場の信頼向上というのが重要であると我々は考えておりまして、昨年の8月、金融庁としては「証券市場の構造改革プログラム」というのを発表させていただきました。さらには「改革先行プログラム」とか、あるいは「早急に取り組むべきデフレ対応策」でも触れさせていただきましたけれども、何としても証券市場の信頼向上という観点から、例えば証券取引等監視委員会の体制増強等による市場監視の強化、つまり監視面での強化ということと、それから二番目として証券会社の法令違反行為に対する厳格な行政処分の実施・公表ということ、そして三番目に空売り規制の見直しと、こういう3つを掲げてこれまでやって来ておりまして、一定の効果は出て来ているのではないかと思います。

こういうことで、証券市場を透明なものとし、また個人の信頼を回復してはじめて、やはり個人が株式市場に出て来るというふうに思っておるわけでございまして、そのためにも何遍も繰り返しになりますが、証券市場の信認回復、証券市場への信頼向上というのは喫緊の課題だと思って、これからも金融庁としては積極的に取り組んで行きたいというふうに思っております。

問)

先週、日本承継銀行へ銀行免許が付与されました。現段階で破綻した石川銀行と中部銀行は受皿がまだ決まっていませんが、これはいわゆる承継銀行に譲渡される見通しでしょうか。

答)

これは前にもこの席で申し上げたと思いますけれども、金融整理管財人としては今週が3月の最終週になったわけでございますけれども、ぎりぎりまで受皿探しというものに全力を尽くしたいと金融整理管財人もしておりますし、我々も是非そうして欲しいということを申しておりまして、そういう意味で、正に今週ぎりぎりまで努力してもらうということです。その結果、どうしても受皿が見つからないと言いますか、基本合意までには達しないということであるならば、それは法制上、3月31日までは預金全額保護を図らなくてはいけないわけでございますので、そこはやむなく日本承継銀行を受皿にするという決断は、ぎりぎりの段階ではせざるを得ないというふうに思っております。

問)

ペイオフ解禁前で、金融庁は健全な金融機関が揃ったということですけれども、日本銀行の総裁が、未だ予防的注入論という考えを下ろしておられませんで、将来を見据えてのことだと思いますけれども、これというのは預金者から見ると、金融当局‥‥日銀、金融庁とあまり分けて考えないと思うのですが、これはペイオフ解禁までにどうにかしなければいけないという問題にはならないのでしょうか。

答)

我々事務方として、日銀の当局者と話している時に、物の考え方に開きがあるとは思っておりません。この前もこの席で申し上げたかと思いますけれども、予防的注入論の中身というのは仰る方によっていろいろ前提が違うのかも知れませんけれども、非常に悲観的な前提に立って、すなわち今後も業務純益を上回る不良債権処理をせざるを得ない状況がずっと続くということであれば、それは資本力にも限界というものがあるわけですから、資本注入論というのは当然考えられることかと思いますけれども、我々は現時点における各銀行の健全の状況をチェックするのが役割でございまして、その点で我々は心配ない姿で4月1日を迎えるということを申し上げているわけでございます。

その後については、これは正に銀行の収益力を上げること、ここに一番大きくかかっているわけでございまして、銀行の収益力の向上、リスク管理の向上、そういうものを我々としては強く銀行に求めているわけでございまして、何か静態的にこれから先を見通して、ある前提の下で非常に悲観的な見方をしなければいけないということではないだろうというふうに思っています。

ただ、何度も申しますように、銀行自体が収益力向上の努力を弛緩してしまうならば、それはもうその銀行自体の将来に不安を投げかけることになるわけでして、私はどの銀行の経営者も今や、もう真剣になってこの収益力向上のための努力をこれから益々していって下さるものと強く期待しております。

問)

空売り規制について何点かお伺いしたいのですが、罰則を受けた企業というのが日本系よりも外資系ばかりなのですが、日本企業で問題を感じる企業というのは今のところありませんか。

答)

企業というのは証券会社という意味ですか。

問)

はい。

答)

いろいろ世の中で言われていることは私、承知しておりますけれども、私自身、はっきり皆さんに言えることは、海外の証券会社、日本の証券会社、全く差別なく、監視の面、検査の面、両方を行っているわけで、その結果、昨年、EB債等で日本の証券会社も処分を受けたと思います。一方、空売りの方で外国の証券会社も処分を受けたと思います。また空売りでも、先週でしたか、5社のうちの2社が日本の証券会社でありました。

従って、今後について何か予断を持って考えるつもりは全くありませんけれども、外資とか、あるいは内資とか、そういうことを全く関係なく我々はきちっと監視し、検査をしていきたいというふうに思っております。

問)

保険商品の銀行窓販なのですけれども、規制改革会議の方では原則全てのということを前提にいろいろ議論が進んでおりまして、そのような検討をするよう求めていたのですが、金融庁のこの間の判断から見ると、原則全てというのを前提と考えているのではなくて、個々の商品でいろいろ弊害等が起きないかということで認可して行っているようなのですが、その辺の違いというのは今後も、原則全てという立場にはもう立たないで、ずっと個別商品を幾つかずつその都度認可していくと、そういう方針で行かれるのでしょうか。

答)

我々は、総合規制改革会議の3年計画、見直し計画を非常に重く受け止めております。従って、それを前提にして、今、御質問になられた記者の方が仰られたことからすれば、できる限り将来的には規制緩和をしていくというのが金融庁のスタンスでございまして、その前提に立ちまして、先般、金融審議会でいろいろ議論をして頂きまして、とりあえず今年の10月1日について規制緩和と言いますか、銀行窓販を認める商品は個人年金保険、定額型、変額型両方含めて個人年金保険、これは生保・損保両方の世界での個人年金保険というものを中心にするということ、更に、仕入れ元に制限をかけないということ、それが大きな私は改革だったと思いますし、これは相当程度の前進を見たと思いますけれども、そこで止まってはいけないので、またその次に向かっての規制緩和というのはしていくべきだと思います。

ただ、この前の議論を聞いていますと、やはり銀行の売っている商品との類似性というところからの切り口で、こう行っているわけでございまして、そういう切り口から、先程申したような商品がまず解禁されたというふうに認識しております。今後は更にその次の一歩というものについての規制緩和努力というものをしていかなければいけないというふうに思っております。

(以上)

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