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森金融庁長官記者会見の概要

(平成14年4月22日(月)17時09分~17時33分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

大臣が先週の会見で、「みずほグループへの立入検査を決めた」というようなご発言がありましたけれども、その立入検査の具体的な期間とか、中身などについてお聞かせください。

それと、5月1日を目処に「みずほ側」から最終報告を求めるというふうに聞いてはいるのですけれども、この立入検査後に行政としての判断を決めるのかを含めてお答えください。

答)

まず第一の点でございますけれども、立入検査につきましては大臣が先週金曜日に申しました通り、4月19日に検査予告を行いまして、来月上旬からシステム統合リスクを対象とした立入検査を実施することとしております。今回の検査は、今回のトラブルの発生原因、銀行の対応状況、再発防止策等につきましても厳正な検証を行うために実施するものでございまして、更に日本銀行と緊密な連携を図って、効率的、効果的な検査にして参りたいと思っております。なお、立入検査の期間につきましては、検査の進捗具合によって決まるものでございますので、現時点で何とも申し上げられないわけでございまして、それは他の通常の検査の場合と同様でございます。

二番目のご質問で、「それでは、監督上の対応との関係はどうか」というご質問だったと思うのですけれども、ご承知の通り4月3日に当方は、銀行法第24条に基づく報告徴求を課しまして、4月10日に報告を受けたわけですけれども、その報告が実態を解明するまでに至っていない、言わば中間報告という位置付けにせざるを得なかったわけでございます。それから後は毎日毎日ヒアリング、追加報告という形で今日に至っているわけでございますけれども、これにつきましては、基本的には大臣が申しました通り、4月の「5・10日」、即ち25日、30日を越えて、更に月初の5月1日というところを乗り越えませんとシステム障害の全面復旧に目処が付いたと、完全に全面復旧に自信が出るというところまではなかなか行かないということで、そういう意味で、一つの区切りとして5月1日ということが考えられるわけでございます。そうなりますと、やはり現在、4月3日に課しました銀行法第24条に基づく報告徴求というものに対する一応の、大臣お言葉を借りれば「言わば完結した報告といたしましては、5月1日以降、速やかなところで」ということになろうかと思います。

では監督上の対応はどうなんだというところのご質問だったと思いますけれども、それにつきましては、そうした報告の内容及び、やはり立入検査の結果等も十分に検討しなければいけないわけでございまして、今申しました報告の内容と立入検査の結果等、「等」と申しますのは、検査通知というところまで待っている必要は必ずしもないかと思うのですけれども、少なくとも立入検査は終えて、当方の方が中身について把握した後にきちっとした監督上の対応をすべきであるというふうに思っております。以上です。

問)

破綻の受皿になりました朝銀信組の理事長の交代を要求しているという報道が一部にありましたけれども、理事長と、いわゆる朝鮮総連との関わりも含めまして、金融庁としてのスタンス、また政府の一部の中には「公的資金の導入をトップ交代まで凍結する」というご発言もあるようなんですけれども、この朝銀信組問題についての長官のお考えをお聞かせください。

答)

現在、破綻した朝銀6つの受皿として新しい4つの新設組合が名乗りを挙げていて、その新設組合についてはご承知のようにその定款におきまして、第一に、朝鮮総連を含むいかなる団体からの経営、人事に対する介入、関与を排除するということ、第二に、朝銀や朝鮮総連の役員経験者は役員としないこと、そして第三に、役員は朝鮮総連のいかなる地位・職にも就かないこと。その他にいくつか独立性を担保した条項があったと思いますけれども、主にはこの3つのことを担保してもらっているわけでございます。そうした担保の上に立って我々は審査し、中小企業等協同組合法に基づく信用組合の認可を与えているわけでございます。

しかし、こういった新設組合に対しまして、ご承知の通り国会でのご議論やマスコミ報道など、朝銀問題を巡る厳しい状況に現在なっているわけでございまして、我々はこうした4つの新設組合の発起人に対しまして、各組合の役員の経歴を巡る疑惑を払拭するために、役員体制について徹底的な洗い直しを求めているところでございます。いずれにしても、定款違反の事実が確認された場合には協同組合による金融事業に関する法律等の趣旨を踏まえまして、役員人事を含め、厳正に対処して行かなければいけないわけですけれども、まずは今いろいろ報道等で言われていることに対してヒアリングを重ねて、先方にそうした疑惑の払拭の努力を求めているところでございます。以上です。

問)

先週末、国際通貨基金で日本に不良債権処理と更なる金融緩和、まあデフレを終わらせるための対策としてこの2点を求められましたけれども、長官としてのご認識をお聞かせください。

答)

私も一部の報道に、何か日本だけが求められたように書いてあったものですから、「えっ」と思って、今日、コミュニケを確認いたしましたら、やはりそういうことはないわけでございまして、まあそういうふうにはならないと思っていましたけれども。ご承知の通りそのコミュニケにありますことは、力強い持続的な世界経済の回復を促進するためには、欧州においては一言で言えば「構造改革をもっと進めなさい」、米国においては「財政収支を維持するために中期的に必要な努力をしなさい」とした上で、我が国については「銀行及び企業セクターの確保のための断固たる措置及びデフレの終結に寄与する金融緩和の必要性」が指摘されているわけでございます。

この我が国の部分というのは、正に塩川財務大臣がデフレ克服に向けた政府・日銀一体となった取り組み、更に特別検査の実施や、これを契機とした企業リストラの具体化などによる不良債権の処理の進捗、あるいはRCCを活用した構造改革の進展、こういうことをご説明されたと仰っていることでございまして、正に我が国がやろうとしている、あるいはやっている、あるいはこれからも更にそれを深めて行く努力がそのままコミュニケに表われたものだというふうに認識しております。

問)

みずほフィナンシャルグループの現在の経営陣に対する経営責任については、長官はこの一連のトラブルをご覧になってどのように考えていらっしゃるのかお聞きしたいのですが。

答)

まさに中間報告後も毎日ヒアリングを重ねているわけですけれども、最終的には先程申しました通り、4月3日の報告徴求に対する完結した報告というものを出してもらって分析する、さらに検査によってそれを確認する等の作業を経ませんと、軽々に「責任がどうであったか、こうであるか」ということはなかなか、そういう発言はやはり控えるべきだというふうに思っております。

問)

岐阜銀行についてですが、頭取が続投を表明されまして、優先株を無配とした銀行トップの責任の取り方として如何かという話もあるようですが、長官はどのようにお考えですか。

答)

ご承知の通り金融再生委員会の時代でしたか、3割ルールとか、あるいは金融庁になってからでございますか、優先株について国への配当ができなくなった場合の議決権の行使の仕方とか、そういうものの考え方をまとめて皆様に公表しているわけでございます。その中に「経営責任の明確化」という項目が入っているわけでございまして、ただ今のご質問は、経営責任の明確化として頭取の留任は如何かというご質問かと思うのですけれども、我々は元々ルールとして優先株への配当が払えなくなったら頭取は即、退任というルールは、我々の中にはございません。あくまで「経営責任の明確化」でございまして、もちろん退任されるというのも一つの選択肢ではありますけれども、岐阜銀行の場合、今後同行の抜本的な再建を図っていく上で、真に責任ある経営体制の確立を図るという視点から、如何なる形が最善かということについて、現頭取が、主要株主であり、かつ業務支援先であるUFJ銀行等とも相談の結果、まず第一にUFJとの協業をさらに強化するということ、第二に経営責任を明確にするために頭取の報酬を50%カットして年間700万円にするということ、第三に自ら役職員の先頭に立って同行の抜本的収益改善に取り組むということ、こういうことをお決めになったということと理解しておりまして、当局としても経営責任の明確化という点も含めまして、現状におきまして適当なご判断ではないかというふうに考えております。

問)

G7の関連でもう一点お聞きしたいのですけれども、塩川財務大臣が経済活性化策を6月にも出したい、考えたいという発言をされましたが、その中で産業再生とか税制と並んで不良債権処理の促進ということにもお触れなのですけれども、これは追加で何か対策があるのか、それとも現状の取り組みを追認したような内容になるのか、そこは現時点では長官はどういうご判断でしょうか。

答)

今回の、6月末に経済政策の基本方針をまとめられる、その際、まず第一には産業再生、第二に税制改革ですか、第三に規制緩和、第四に不良債権処理というふうに仰られていることは承知しております。

不良債権の処理の促進という点では、まさに金融庁がそういう考え方を持っているわけでございまして、先般、4月12日に大臣が発表された「新たなる施策」の第一に、まさに不良債権処理の数値目標というもの…1年目で5割、2年目で大宗少なくとも8割以上というものを掲げたのは、まさに財務大臣の仰られた趣旨と軌を一にしているわけでございまして、信託機能を含むRCCの機能も活用いたしまして不良債権処理を進めていくということかと思います。

今の時点で、それ以上何かあるのかと言われましても、我々はこれまでいろんなことで不良債権の促進というものは、いわば昨年の3月の緊急経済対策の頃からずっとやってきているわけでございまして、もうある知恵は乾いたタオルを絞り切るが如く、絞り切ったように出すべき知恵を出してきたつもりでございます。

問)

減損会計の導入についてなのですけれども、いろんなメリットも言われている中、不良債権処理についてなのですが、加速するという見方もあるのですけれども、逆にそれが不良債権を増やしたりとか企業の体力を直撃したりというようなことも言われているのですが、このようなデメリットの方についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

減損会計については、任意適用期間が2004年3月期決算から始まりまして、2005年度から義務的適用になるということでございますけれども、これはもう国際会計基準が固定資産の減損会計を義務付けておりますし、いわばグローバルスタンダードとして日本も当然、そうあるべき姿だと思っております。

タイミングの点につきましても、公開草案がやっと出来上がって、これからパブリック・コメントにかけて、この夏には最終案を決めて、そして企業会計基準委員会で実務指針をまとめていくと、やはり相当時間のかかる作業でございまして、ECも2005年の末からでございますか、ほぼ日本と同じ時期に国際会計基準を採用すると聞いておりますけれども、まあこのぐらいのタイミングになるのかなあと、ならざるを得ないのかなあと、その中でも最も日本も早める努力をしたんだというふうに思っています。

今、ご質問になられた記者の方のポイントは、減損会計をすれば企業によっては、そこでまたロスが出ると。そうすることによって不良債権処理に、いわば手心を加えるようなところが出て来ないかというご懸念、そういうことも考えられるのかということのご質問かと思うのですけれども、我々はそういうことはあってはならないことでございまして、「不良債権処理は不良債権処理」、「減損会計は減損会計」ということで、まあその時の経済の状況を予断を持って考えられませんけれども、日本の構造改革を進めていくためには、「不良債権処理は不良債権処理」、「減損会計は減損会計」という考え方の下で、ともに厳しくやっていかなければならないというふうに考えております。

問)

先程、不良債権処理の今後の取り組みについて、「出すべき知恵は出し切ったと思われている」というご発言がありましたが…。

答)

すいません、言い過ぎでした。まだあるかもしれません。それは知恵というのは、やはり無限に湧いてくるもので、それはちょっと訂正させてもらいます。さらに知恵があれば出すべく、乾いたタオルもさらに絞っていく努力はしていかなければいけないと思っております。

問)

そうすると6月の案の中では、既存の枠組み以上のものを考えていく、既にお考えになられているということですか。

答)

いや、もうそれは…。今は、先程も申しましたように、絞り切ったところでございますけれども、しかし、良い案があればもちろん取り入れるのにやぶさかでないわけでございまして、ただ、今何かあるかと言えばございません。

(以上)

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