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森金融庁長官記者会見の概要

(平成14年5月13日(月)17時20分~18時00分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

不良債権の処理促進を目指して、政府が整理回収機構に対して、不良債権の買取額を現行の2倍程度で買い取るように要請するというような報道があったのですけれども、これに関連して、何か整理回収機構の不良債権買取に関して新たに方策を考えていらっしゃるようなことはあるのでしょうか、お聞かせください。

答)

一部の報道に、よく読むと「時価の範囲内で」ということかと思うのですけれども、買取価格を2倍程度に引き上げるように求めるという記事があったことは承知しております。そのような決定を行ったとか、そのようなことを検討しているとかという事実は、全くありません。

ご承知のように、改正金融再生法が本年1月11日に施行されたわけですけれども、そのポイントは、時価買取と「時価」ということでございまして、その時価買取を1月11日から始めまして3月末まで簿価ベースで、つまり元本ベースで2,300億円程買い取ったわけです。それには相対部分と入札部分になるわけですけれども、入札におきましても5勝19敗ですか、少なくとも5勝しているわけでございまして、RCCが時価というコンセプトの中で積極的な買取を行っているということは伺えると思います。

また、1月11日以前に比べましても、いわゆる買取価格が元本の何%かという点を見ましても、3.7%から約6.9%と、1.9倍に上昇してございます。そういうところを見ましても、RCCの積極的な買取姿勢の中で時価買取というものが段々定着しつつあるというふうに考えております。

この時価をどういう根拠で2倍と仰ったのか、むしろ1月11日以前が3.7%で今は6.9%と、これが約2倍であることはその通りなので、そのことを仰っているのかなとも思えるのですけれども、まあいずれにいたしましても銀行にモラルハザードを起こすという問題を回避しなければいけませんし、更に二次ロスによる国民負担増という問題も回避しなければいけませんし、いろんな意味から申しましても、買取価格というのは先般の法律で定めました通り「時価」ということしかないものと思っておりますし、私はその時価というのが6.9%も時価ならば、15%も時価だというようなことになるわけではないのだろうと。その時その時の不良債権市場の需給によって時価というものが決まって来るわけですけれども、そんな大きな幅があるものとも思いませんし、更に申し上げれば、RCCに対しては積極的な買取姿勢を示すよう要請しておりますけれども、買い取る受皿は何もRCCに限る必要はないわけでございまして、外資を含むいろいろなファンド等が健全銀行からの不良債権買取の受皿になることも、それはウェルカムでございます。

問)

先週、柳澤大臣が、現在行っている「みずほ」に対するシステムに焦点を絞った検査の結果を何らかの形で国民に伝えなければいけないというお考えを示されたのですけれども、この検査の公表の仕方というのはなかなか難しいと思うのですが、現時点で何か公表方法について事務当局として頭にあるものがあったらお聞かせ願えないでしょうか。

答)

これは、「みずほ」の立入検査を今行っている最中でございますので、「みずほ」の検査結果について、現時点において予断を持って何か言うことは差し控えるべきだと思いますので、むしろ一般論でお答えさせていただきます。

今までもいろいろな検査、信用リスクの検査もあれば、オペレーショナルリスクなりシステムリスク、まあいろんな検査をしているわけでございますけれども、その中で問題があれば検査結果通知の中でそれを指摘し、そしてその問題の程度が、ある一定以上の問題とすべきものであるならば、その検査結果通知を監督局が中身を受け止めて、一般論で言うならば更に24条報告をかけるわけですね。その結果について業務改善命令を打つ、その時に、まあ業務改善命令に限らず業務停止もあるかもしれません。

まあいずれにしても行政処分を打つわけですけれども、その行政処分を監督局の方が打った場合には、これはあくまで一般論で申しているのですけれども、その際には、その行政処分の裏付けとなった検査結果については、今までも何らかの形で公表しております。そうでなければ、世の中に対して、行政処分を打ったけれど、どんな事実があって行政処分を打ったのか分からないわけですから、そういうことを避けるために監督局の方が行政処分を打つ場合には検査結果も国民に分かり易い形で公表しております。

今のご質問に答えるならば、正にそういうことでございまして、「みずほ」の検査が今後どういうふうな進展をするかは予断を持って今は言えませんけれども、もしこれまで、かつていくつかあった・・・いくつかというか例がいくつもあるわけですけれども、行政処分にまで発展することがあるならば、それはどういう検査結果に基づく行政処分かということを国民に分かり易い形で説明する義務が当局にはあると、こういうふうに認識しておりますので、仮にそういう成り行きになった場合には、過去と同様、分かり易い説明をしなければいけないと、こういうふうに思っております。

問)

今の件にちょっと関連してなのですが、銀行に対する行政処分というのは、その都度公表されていましたでしょうか。

答)

今までのルールですと、まず業務停止とか免許の取消は今まで一つございましたね。これは積極的にこちらから公表いたしましたですね。それから業務改善命令の場合には2つありまして、コンプライアンスの問題か信用リスクの問題かに分かれるわけですけれども、信用リスクの問題の時にはいろんな観点からそれは公表しておりません。コンプライアンスについては公表しております。そういうことかと思います。

問)

今後は原則公表されるということですか。

答)

いやいや、これまでのルール通りでございます。

問)

「みずほ」はコンプライアンスだということですか。

答)

基本的には、少なくとも私の頭の中ではコンプライアンスのケースと同じ扱いになるのかなあというふうに思っております。

問)

先日、日動火災への行政処分の時も説明があったのですけれども、随分分かりにくい説明だったのですけれども、今後ともあれぐらいの程度のものなのでしょうか。

答)

私が何か説明いたしましたか?

問)

保険課審査室長だと思いますけれども、行政処分に対する説明で、こちら側とのやり取りも随分白熱しておりまして、一体何の違反があったのか紙に書いていなかったので、随分お聞きしたのですけれども。

答)

それは失礼いたしました。私の理解では、今仰られた社の法令違反というのはかなり明白なものでございまして、今ちょっと手元に資料はございませんけれども、私はそんなに記者の皆様から不平が出るような、舌がもつれるような説明の必要はなかったものだと思っております。

要するに、確か2つ問題があったと思うのですけれども、一番問題なのは自動車保険につきまして、いわばその商品についてデータと共に認可申請をして、その認可を受けてその商品を売らなくてはいけないのに、実際に売られた商品というのはそういう認可を受けたものではなかったと。即ち、認可プロセスなり届出プロセスというものを全く形骸化してしまう悪質な行為であったと。もって一定期間の業務停止と新商品申請を1ヶ月ご遠慮してもらうと、そういう措置を取ったというところが一番の大きなポイントかと思うのですけれども、その説明でも分かり難いでしょうか。

問)

自動車保険だということも紙には書いてありませんでしたし、何の保険についてかということも分かりにくかったと思います。

答)

それは大変失礼致しました。そこは今後気を付けます。明確に言えるものは、きちっと明確に申し上げたいと思います。

問)

あおぞら銀行の件なのですけれども、売却先候補としての名前がここのところいろいろ何か挙がって来ているようなのですが、長銀、日債銀の譲渡の時の経緯とかを考えますと、長官としては売却先ということであれば、出来れば外資ではなくて日本勢の方にとかというようなお考えというのはあるのでしょうか。

答)

いろいろ新聞報道は承知しておりますけれども、当該その株式を売却することを考えているとされている社から具体的な話は当局に対して何もございません。全くございません。あれば我々は何か言わなければいけませんし、検討もしなければいけませんけれども、全くございません。

敢えてあおぞら銀行について言えば、これは旧日債銀を主要株主3社を含む、いわば民間に売却したわけでございますけれども、当該主要株主3社につきましても、その譲渡契約の前文において「長期的投資を視野に置いて買取を行う」という文言があるわけでございまして、我々としてはそういう契約通り、主要株主がしっかりとあおぞら銀行を経営して行く、そして、いずれは上場企業としてしっかりとしたものに持って行くと、そういう責任があると思いますし、そういうふうにしていただきたいというふうに強く期待しております。

問)

先程のRCCに関する質問に関連してなのですけれども、一部報道のような現状はないというふうに仰いましたけれども、RCCが不良債権を買い易くするとか、あるいはRCCに売り易くするような、こういう施策は全く検討していないということなのでしょうか。

答)

いや、それは施策としてはもう出尽くしています。

問)

もうこれ以上はないのですか。

答)

今は頭の中にはありません。何がポイントかと言うと、まずはRCCの買い取ろうという姿勢ですね。そのためにRCCは2つの本部を立ち上げました。企業再生本部と債権買取推進本部です。これは立ち上げたばかりです、特に債権買取推進本部は。最近の報道には見当たりませんけれども、そういうものを立ち上げて、RCCが自ら受身以上に健全銀行の不良債権買取の姿勢を示しています。そして、相対でしたら相対取引のネゴにかかっておりますし、入札にも積極的に参加していると。これは1月11日前とは今のRCCの感じは私から見ても全く違うと思いますし、「施策、施策」と仰いますけれども、価格面での施策というのは法律できちっと「時価」と書いてあるわけですから、それ以上どうしようもないわけで、後はRCCのある意味で営業姿勢ですね、これが積極化している、私はこれが一番大きなポイントだというふうに思っております。

問)

少し話題が違うのですが、いわゆる再編なんですけれども、地銀とか信用金庫で、財務局ベースで積極的に再編をするようにという動きと言いますか、働きかけが多いということらしいのですが、そこは金融庁としてご存知ですか。

答)

まず先般の財務局長会議におきまして、財務局長に対していろいろ私の方から要請はいたしましたけれども、何を要請したかと言うと、再編を働きかけるとかそんなことを要請した覚えはございません。各財務局の管轄地における金融機関について、将来、より強固なものとなって行く、ペイオフ解禁後きちっと預金者の信認を高めて行くということのためには、それぞれの金融機関について何が問題か、そういうことについてよくヒアリングをして欲しいと。そんな中で、金融機関の側から収益力向上という観点から再編ということが考えられるということであれば、それは勿論それを促せば良いわけですけれども、今のご質問にある一般論として各地域に対して再編を働きかける、そんな短絡的なことを金融庁は考えておりません。それぞれの地域において、いろいろな事情があるわけでございまして、必ずしも再編によらなくても収益力向上が見込めるという銀行もあると思いますし、リストラあるいは信用リスクについての物の考え方とかいろんなことで、一番重要なことは収益力の向上なわけでございまして、その収益力向上の手段として、ツールとして再編とかが考えられるのでしたら、是非それも考えて欲しいと、こういう立場が我々の立場でございます。

問)

「みずほ」の立入検査に関して、一般論で「検査をして、ある一定以上の問題があるとすれば、監督局に持ち上げる」と仰いましたけれども、「ある一定の問題」というのは何か基準というものがあるのですか。

答)

それは一般論で言えば、まず法令違反ですね、法令違反があるかどうかです。必ずしも法令違反がなければ良いというわけではないので、これだけ大きな、ある意味で騒ぎを世の中に起こしたわけでございますので、それについての徹底的な原因究明と、それから抜本的な再発防止策というのは立ててもらわなくていけませんし、我々もそれをチェックするという立場でございまして、問題はそういう大きな騒ぎを起こすに至った原因というのがどういうことだということを立入検査で良く検証した上で、銀行法26条、27条等に照らして判断するということではないでしょうか。

問)

金融機関の本人確認の義務化の法案に関連してなのですけれども、決済専業銀行ですとか、ネット銀行の方では、一部こういった義務化されることに対して対応ができないと。法案の要綱の方では経過措置も必要に応じて設けるというような趣旨のことが書かれてありますが、金融庁としてこういった問題に対して、今後どのように対応されるお考えでしょうか。

答)

すみません。今の記者の方の御指摘になられたネット銀行からそういう不満がある、対応ができないという話はちょっと私は初めて聞きまして、よくチェックしてみます。

基本的には本人確認法というのはマネーローンダリングの観点とか、テロ防止の観点からして頂くものでございまして、かつまた今まで既存の銀行については既に全銀協のガイドラインにおいて対応しているものでございまして、その対応のいわば延長線上にあるので、追加的負担というのは極めてミニマムなものと理解しております。

ただ、今の記者の方が御指摘になられました通り、御指摘なされたネット銀行というのは確かに異業種による銀行業参入ということで初めて出てきたものでございますので、確かにここの本人確認法との絡みで全銀協のガイドラインについての延長線上という意味に比べますと、新たな負担があるのかも知れませんので、よくそれを承知した上で、政省令で具体的に施行する時には十分そういう問題も勘案したいと思います。

問)

確認なのですが、検査結果通知で指摘した事項というのは、これは全て報告を求めることになっているのではないのでしょうか。先程、「ある程度」と仰いましたけれども。

答)

失礼致しました。「ある程度」の係り方の問題とは、24条報告は、それはその通りでございまして、そこから行政処分ということになると、指摘した事項がある程度以上の問題をはらんでいる場合に行政処分ということでございまして、検査結果通知を課して指摘したことに対して24条報告を取って、それで終わりになっている例もいろいろございます。そういう意味でございまして、具体的に26条、27条に進むというのは、やはりある程度の問題性をはらんだものというものに限られるかと思います。

問)

先週末に、千葉県で日米官民対話というのが開かれて、そこで「企業再建と不良債権問題」という部会がありまして、公的資金の注入がやはり必要であるというような議論になったと伝えられているのですけれども、金融庁からもどなたか御出席されていたと思いますので、その官民対話の議論、あるいは結論に対してどういう見解をお持ちなのか、お話を伺えますか。

答)

当局からも大久保参事官にオブザーバーとして、今仰られた会議には参加してもらいましたし、その報告は受けております。ただ、今御指摘の公的資金注入の部分につきましては、日本の民間側の西室議長も後の記者会見で話されていたと思うのですけれども、敢えて一言で言えば、「必要な場合には、恐れず、怯まず資本再注入を考えるべし」と、そういう趣旨だというふうに聞いておりまして、そういう意味におきまして、基本的に我々の言っていることとそんなに差があるとは思っておりません。

いずれにしても、民民でいろんな施策について議論頂くことは大変有意義なことだと思いますし、その提言につきましては我々も十分精査して、参考とさせて頂きたいというふうに思っております。

問)

今回の官民対話について、特に不良債権を取り上げる部会にはメンバーで直接実務的にその問題に関わりそうな方というのがいらっしゃって、部会にはJPモルガンのマネージング・ディレクター。この人は98年の頃から日本政府や金融界にいろいろ助言を送っている正に専門家でありまして、適切なメンバーだと思うのですが、全体の議長でゴールドマン・サックスのジョン・セイン氏が入っていることについて、これは日本の内資・外資含めてですけれども、官民対話での結論というのは相当ゴールドマン・サックスの日本での不良債権ビジネスに対する意向が反映されるのではないかと、こういうことがかねてから言われていたと思うのです。この人選というのは、外務省がやっているのだろうと思うのですけれども、実際、先週の金曜日の議論がどのようなものであったかということを伝え聞きますと、不良債権の売り先に外資を入れろというような意見も確かに出ていますし、なかなか官民対話から出てくる提言の中立性とか、そういうものに対して疑問があるのではないかと思うのですが、その辺についてはどうでしょうか。

答)

難しい問題ですね。プロセスを申し上げますと、日米パートナーシップ対話と申しましょうか、要するに小泉総理とブッシュ大統領の、最終的には首脳会談というものに全部集約していくわけですけれども、その中で下のいろんなアンブレラの下で、会合としては日米次官級会合もあれば、日米財務金融対話もあれば、更にいろいろな分野別のいろいろな対話、そういう一つのダイアローグの場というものが定められまして、これまで1回目、あるいは2回目とやったわけでございます。

その中で日米次官級会議を行う時には「日米官民会合をやりましょう」ということになりまして、では日米官民会合のメンバーはどうするんだという時に、日本側は日本政府が中心となって、民間と折り合いを付けて、民間メンバーを選ぶと。アメリカ側はアメリカ側で、米国政府が中心となって、民間メンバーを選ぶと、こういうことでそれぞれ選ばれたわけで、日本側につきましては西室東芝会長を議長にしまして、各分科会につきましてはご承知のように、不良債権等に関わるものにつきましては日本側の分科会の部会長というのは、野村證券の古賀副社長にやって頂いているわけでございます。

こういう方々がそれぞれ、例えば、私が今、例に挙げたことで言えば、東芝の会長であったり、あるいは野村證券の副社長であったりするわけですけれども、当然のことながら、出てお話になる立場というものは、いわばそういう組織から離れて、一有識者として一個人としてお話になっているわけでございまして、私は少なくとも日本側の出席者の御発言というのはそれに徹していたのではないかなあと、有識者として、個人としての立場でお話になられているというふうに思っております。

米国側の出席者も当然のことながら、そういう組織を離れた個人としてとか、あるいは有識者としての立場でお話になられることが期待されているわけでございまして、我々はそうした立場での発言であったというふうに思いたいと思っております。

問)

もう一つ伺いたいのですが、アメリカの証券取引委員会が主として投資銀行のアナリストに関して、そのアナリストのレポートと投資銀行の業務のファイアーウォールを明確にするような新しいルールを作ったようなのですけれども、これについての長官の御評価と、日本の監督当局としての今後の動きというようなものがあればちょっと伺いたいのですけれども。

答)

この点は、米国の某投資銀行で起こった問題、即ち投資家向けには推奨銘柄としていながら、社内的にはボロ株だということを言っているということが明らかになったとか、そういう問題が起こっていることは承知しております。

この問題について皆さんに思い起こして頂きたいのは、昨年の確か7月か8月か、その頃だったような気がするのですけれども、あるいは9月だったか、6月だったか、ちょっと記憶が定かではないのですが、このアナリストの問題ですね、こんな問題が起きる前に、実はIOSCOの会合でこの問題が取り上げられておりまして、アナリストに対する規制を強化しなくていいのかという問題提起の下に、確か今年の夏を期限としてIOSCO参加国がそれぞれの国の事情について調査して、それを持ち寄って、ではどういう点を、ガイドラインなんかを強化したら良いかということを議論するということになっています。これは確かこのIOSCOの分科会の議長を当庁の金井企画官が務めております。だから今、各国はそういうものをまとめている最中だと思います。

私が申し上げたかったのは、今、仰られた記者の方は、確かにここ数日のホットニュースとして世界に流れていますけれども、IOSCOではむしろ前々からこの問題が問題になっておりまして、我々も日本証券業協会なり、アナリスト協会なりに協力を頂きまして、現在日本においてそういう問題があるのかどうかを含めまして調査中でございます。

問)

エンロンの問題をきっかけにして、アメリカでは格付会社と、こうした投資銀行との関係とか、あるいは格付会社内の情報管理がどうなっているのかとか、そういうことも議論され、議会では規制強化、あるいはもっと一層の自由化とどちらを取るか分かりませんけれども、制度の見直しというのが問題提起されていると思うのですけれども、証券会社のアナリストだけで十分なのか、あるいは今や大変重要なインサイダー情報と見なされると思うのですが、その格付けの変更といったようなものを手掛ける人たちも対象にすることができるのか、するのが適切なのかどうか、その辺についてはいかがなのでしょうか。

答)

アメリカでそういう問題の芽が出てきていることはよく承知しております。先程申しましたのは、あくまで証券会社の中、あるいは欧米で言えば投資銀行、インベストメントの中におけるアナリストの立場に対する規制でございまして、日本の場合で言えば、証券会社内のアナリスト、特に調査部門と営業部門のファイアーウォールがきちっとしているかどうかという問題で規制のあり方を申し上げたわけでございますけれども、今の記者の方の御指摘の点というのは、更に格付会社という、いわば民間会社として位置付けられている会社の問題なわけでございまして、若干、組織内、証券会社の中のアナリストの問題とは趣を異にしている面もあるかと思います。

この問題について、何か検討すべきかどうかというのは、アメリカにおいても正に議論が始まったばかりでございますし、現在言われておりますことは、いわば逆方向な、そういう民間会社に対して一切手を出すべきではないという意見、これが非常に多いんだと思いますけれども、そういう議論にあるところでございまして、確かに我が国におきましても格付会社というのは指定格付け機関制度を通じまして当局とも繋がりがあるわけですけれども、今直ちに何か検討すべきかどうかということは、少なくとも今、私は考えておりませんで、むしろアメリカの議論を注視していきたいというふうに思っております。

(以上)

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