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森金融庁長官記者会見の概要

(平成14年6月24日(月)17時03分~17時35分)

【質疑応答】

問)

長官から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

株主総会の季節なのですけれども、優先株が無配になっている3行の業務改善計画とか、あるいは議決権の行使といった問題について、今、どういう状況になっているのでしょうか。

答)

ご承知の通り、資本増強行の内、国が引き受けた優先株に対して無配ということになりましたところは3行ございまして、これら3行に対しましては昨年6月に公表いたしました「3割ルールの明確化」というガイドラインに沿いまして、24条報告を徴求いたしました。3行とも24条報告におきまして、以下の三点を報告して来ているわけでございます。

第一点は、当期利益が下振れして配当が出来なくなったのは、主として不良債権の処理や、あるいは有価証券の強制評価損の処理によるものであるという点。

第二点といたしまして、それに対しまして抜本的収益改善策を立てまして、従来の計画を上回る剰余金を積み上げて、公的資金の消却等が十分可能と見込まれると、付言して言えば、従来立てていた時期までに同じ様にこの抜本的収益改善策によって剰余金を積み立てて、そういう点では最終的な償還について、そこは計画を狂わせる事なく消却を果たして行くということを言っておるわけでございます。

第三点として、経営責任の明確化という点については、3行の内の2行は経営体制の刷新。また1行は大幅減俸によって経営責任を明確化いたしますということ、こうした三点を含んだ24条報告をして参りました。

この抜本的収益改善策を、2行は確か先週金曜日、1行が本日公表したと思います。これらの抜本的収益改善策は、当然「3割ルールの明確化」(というガイドライン)に沿って、我々はこうしたところに対して、まあ無配になった以上は議決権は復活するわけですけれども、議決権を行使する場合に、前にもこの席でも申しましたように、我々が賛成投票出来るような抜本的収益改善策でなければならないわけでございまして、そういう意味で、当方とも十分協議した結果であり、当方として是認出来る内容であることを確認した上で、こういう抜本的収益改善策を提出し公表したわけでございます。

そういうような状況にございまして、我々としてはこうした抜本的収益改善策、これは勿論、経営健全化計画の見直しの中にもこれは盛り込まれるわけでございまして、そして盛り込まれた上で、全体の経営健全化計画の見直し案というものは7月中に他の7行とともに出て来るわけでございますので、そういうものが公表されるわけでございますけれども、そういう形で我々はこの見直し後の経営健全化計画を今後きっちりとフォローして持っていきたいというふうに思っております。

問)

そうしますと株主総会においては、一応銀行側が提出した議案については賛成の投票をするということになるのでしょうか。

答)

その通りでございます。今申し上げた前提で賛成投票を出来るような状況に持っていくまで、これまで3行と協議を重ね、ここまで非常に厳しいリストラ策、あるいは親密銀行との連携策等を盛り込ませた上で、こういうものを作り上げたわけでございまして、そうした結果、賛成投票が出来る状況になったというふうに認識しております。

問)

総会の場で一般の株主から様々な動議とか、あるいは議案が提案される可能性もあると思うのですけれども、その場合の判断というのは、その場に行った人がそこでするということになるのですか。

答)

RCCの役員が株主総会の議場に行きますけれども、その時に賛成するか反対するかという判断基準は、あくまで国にとって有利になるのか不利になるのかということになろうかと思います。

問)

これはRCCの役員が行かれるのですか、預金保険機構ではなくて。

答)

RCCと認識しております。

問)

分かりました。

答)

今のところをちょっと読めば、早期健全化法では、「預金保険機構の承認を得て、整理回収機構が株主総会において議決権を行使する」と、こういうふうに規定されています。

問)

今年3月に破綻した石川銀行と中部銀行の譲渡問題なのですけれども、この両行についてどういうふうな運びになっているのかという点と、石川銀行について米国系の投資ファンドが受け皿として名乗りを上げる会見を今日16時半から行っていると思うのですけれども、このグループについてはどういうふうにお考えなのでしょうか。

答)

ご承知の通り石川銀行につきましても、あるいは中部銀行につきましても、金融整理管財人がそれぞれ地元金融機関を中心に粘り強く交渉しているところでございます。地元紙におきまして報道されている通り、地元の銀行や信用金庫による譲受けについて、環境が整いつつあるとの報告を私は受けております。

そう申し上げた上で、本日、外資系のファンドが名乗りを上げると申しますか、金融整理管財人であります預金保険機構を訪問するという話を報告として受けておりますけれども、その内容についてはまだ報告も受けておりませんので、コメントは差し控えるべきだと思います。

いずれにいたしましても、地銀の受け皿でございますので、基本的には地元金融機関、つまり地元の信認を得た銀行として再生されるのが一番良い事だと思っておりますので、そうした地元金融機関との折衝を、そういう立場から預保は従前的やっているわけでございますけれども、まあそちらの方がどういう帰趨になるかというところをまずは注視して行きたいというふうに思っております。

問)

「みずほ」の検査なのですけれども、東京都の検査が終わって、石原知事が定例会見で「金融担当大臣にも会って、いろいろ話をする事も考えている」というような趣旨のご発言をされていますけれども、東京都との意見の擦り合わせとか、あるいは本当に知事と大臣の会談というのが設定されるのかどうか、この辺についてはいかがなのでしょうか。

答)

私も報道で今、記者の方が仰られたような内容は承知しておりますけれども、東京都は言わば利用者の立場から指定金融機関であるみずほ銀行に対して臨時検査を実施し、その結果を通知したというふうに承知しておりまして、その内容もサービスの向上、あるいは指定金融機関の基準として、これまでの財務基準に加えていくつかの運用上の基準を設けて、それを達成しているかどうかをフォローアップすると、そういう検査結果を通知されたものと承知しております。

一方、金融庁といたしましては、あくまで銀行監督の立場での検査でございまして、ご承知のようにその検査結果を踏まえまして24条報告を取り、更に業務改善命令を発したわけでございまして、今後はその業務改善命令の内容を着実に「みずほ」側が実行して行くかどうかということを厳しくフォローして行くことによりまして、再発防止等に万全を期して行きたいと、このように思っております。

なお、石原知事と大臣の会談ということについて今の記者の方はお触れになりましたけれども、それについては私は聞いておりません。

問)

それから人事の件なのですけれども、長官の人事について先週末、いくつかの新聞で報道がありましたけれども、正式な発表の見通しとか、あるいは他の幹部人事ですとか、そういうものについて今、どういうふうにお考えになっているのでしょうか。

答)

現在、国会開会中でもありまして、長官人事につきましては大臣からまだ何も指示を受けておりません。

問)

これもちょっと人事にまつわる話で恐縮なのですが、いわゆる財務省からの出向職員についてノーリターンルールというものがあると思うのですが、その範囲を課長級まで広げるというようなことも報じられているのですけれども、これについてはどういうご検討をされているのでしょうか。

答)

そういう検討はいたしておりませんし、そういう意図もありません。

これは金融監督庁発足時の経緯に遡ってみますと、その際、明確に当時の部長、今の局長以上についてノーリターンルールを行うということをルールとして決めたわけでございまして、そのルールを変更するつもりはございません。

問)

「みずほ」の件なのですが、石原知事の会見も含めて、どうも事故の原因の本質的なところがやはり分かっていない。そのためにも3ヶ月に1度とか、フォローアップを徹底的にやらなくてはならないと。行政命令をかなり急いだのかなということのようなのですが、そこはどういうふうに認識されているのですか。

答)

すみません、分かっていないとは誰が分かっていないのですか。

問)

いや、ですから、石原知事の会見でもあったのですが、本質的な事故の原因というか・・・。

答)

まだ「みずほ」の中できちっと分かっていないと、そういう意味ですか。

問)

ええ。

答)

ご承知の通りまだ内部で未整理という状況が、今日解消されたのかどうか多少がありますし、まあ我々としても3ヶ月毎のフォローアップを厳しくやって行くつもりでございます。なかなか完全な原因究明ということがまだなされていない部分があるのかもしれませんけれども、そういう点も含めて3ヶ月毎のフォローアップで厳しく見て行きたいというふうに思っております。

問)

石川銀行の関係で、米系投資ファンドが名乗りを上げたという件なのですが、先程のお答えですと、地方銀行の場合は外資系の投資ファンドが受け皿になるというか出資者になるというか、そういうのがちょっと馴染まないのではないかというようなニュアンスに受け取れたのですが、そういうお考えなのでしょうか。

答)

いや、馴染まないとまでは私は申しません。いろいろ選択の幅は広い方が良いわけでございますので、受け皿としてそういう方々も含めて可能性は大きい方が良いと思います。

ただ、これまでの経緯からして、金融整理管財人であります預金保険機構が、これまでは専ら地元金融機関・・・信金も含めて地元金融機関を中心に必死になってやって来た経緯があるということ、そして最近において環境が整いつつあるという報告も受けておりますので、まあ私としてはまずはそこを注視する、固める方が先だなあということを申し上げただけでございまして、その次のステップがあるかどうか、あるとするならばどういう受け皿が考えられるかという時には、当然内外無差別でございますし、外資系ファンドというものを排除するつもりはございません。

問)

内外との調整がつかなかった時のみ外資系ファンドはチャンスが巡って来るという、そういう捉え方で良いのですか。

答)

内外というよりも地元金融機関をと。これは私がそう断定するのはちょっと越権でございまして、基本的には金融整理管財人であります預保の判断というものが最優先でございまして、今日、その外資系のファンドと預保がお会いしているということでございますので、その結果を十分聞いてみたいと思います。

いずれにいたしましても、預保がどう判断されるかということが第一でございます。

問)

今朝の朝刊の方で、信用保証制度を使った中小企業への貸し出しについて、これの債権について銀行の方がRCCに売却をしたいと言ったところ信用保証協会から待ったがかかっていると。そこで中小企業庁と金融庁等で調整をしていかなければいけないのではないかということですが、これは実際のところはどうなっているのでしょうか。

答)

金融機関と保証協会との覚書というものがありまして、その中に金融機関が保証協会の保証付きの債権を他へ譲渡する場合には、保証協会の承諾が必要であるという約定がなされているわけです。こういうことがありまして、事実問題として、保証協会の保証付き債権のRCCへの譲渡実績というのは、これまでないことは事実です。ただし、破綻金融機関の破綻処理に伴うものはRCCへ譲渡された実績はございます。しかし、健全な金融機関からの譲渡実績はないと。それは基本的にそういう場合について保証協会が承諾を出していないということでございます。

これにつきましては現在、預金保険機構、RCCと全国信用保証協会連合会等との間で実務的な協議が進んでいると認識しております。要は「RCCへの譲渡」というものが、RCCの債権回収のやり方についての誤解と申しますか、そういうことにつきまして、どう保証協会に納得してもらえるかということがポイントかと思いますけれども、金融庁としてはその協議の成り行きを注視しているところでございます。

問)

誤解というのは具体的にどういうのがあるのですか。

答)

いや、それは何遍も申しましたように、RCCは基本的にはまずは企業再建を中心に考えるというふうに、RCC自体の機能が変わって来ているわけでございまして、RCCに行けば企業が破綻するというような認識がもしあるとすれば、それは誤解だろうという意味において申し上げた次第でございます。

問)

改めての確認なのですけれども、この問題に関しては、中小企業向けの融資を一方で要請しておきながら、不良債権の処理はスピード・アップしなさいという方針自体に、矛盾なり問題があるのではないかと、そういう見方も例えば政治家何かからは非常に多いのですけれども、この点に関してのコメントをもう一度お願いします。

答)

それはもう「さくっ」と全てを一緒にしてお話になると、今仰られた記者の方のようになるかと思うのですけれども、我々は骨太の方針や、それ以降いろいろな機会に不良債権処理を促進すると、より具体的に言えば、破綻懸念先以下の不良債権について処理を促進するという一つの方針を立てているわけです。ただ、その中においても、中小企業については、またきめ細かく見なさいよということも確か、昨年の骨太の方針だったでしょうか、それにもきちっと配慮を示しているつもりでございます。

一方において中小企業向け貸出を考えてくださいというのは、やはり日本経済を根っこで支えているところは中小企業に負うところが多いわけでございまして、また金融機関からしてもその中小企業への貸出というのが、金融仲介機能において極めて大きな役割を果たすものであるわけですので、そういう中小企業への貸出というものを積極化すべきだというのも、これもまた私は当然のことかと思います。

そういう意味において、金融庁としてはそう矛盾している政策をとっているつもりはございません。

問)

その日本経済の根っこを支えている中小企業への貸出債権に対する取り扱いは今、協議中だということなのですけれども、RCC、中小企業庁、金融庁との間で‥‥。

答)

運用のマニュアルの話ですか。

問)

ええ、RCCに対する誤解を解いて、正しく理解して頂きたいと。解けなかった場合に、破綻懸念先以下は概ね2年以下で処理するという金融庁の方針に変更はありませんか。

答)

マニュアルの話ではなくて、最終処理の話ですか。

問)

最終処理の話です。

答)

まずこれは、要請している先が主要銀行のみでございます。まずそのカバレッジを明確にしておきたいと思うのですけれども。その中で、主要行の破綻懸念先以下の貸出の中に中小企業が入っているという場合のことを仰っておられるのだと思いますけれども、その際も、中小企業の何と言いましょうか、再建可能性というものを中小企業の特性に応じてきめ細かく見て行って下さいということは、骨太の方針にきちっと書いてある通りでございます。

そうした上で最終処理、それは結局ブレイク・ダウンして見ますと、私的整理、法的整理、売却というふうに大きく言ってこの3つでございます。中小企業の再建ということに、上手く行くならば私的整理の世界で上手く行くのだろうと思います。そういう意味におきまして、破綻懸念先以下について、2年、3年ルールというのは、主要行の中小企業向け貸出についてこれが当てはめられていることは、その通りだと思います。

その際においても、あくまで中小企業の特性を見ながら、原則は再建という方向での最終処理というもの、それによって出来る限り要管理先以上に持って行って健全化して行くということが重要なことだというふうに思っております。

問)

今の関連で、いわゆる経済財政諮問会議のビジョンの件なのですが、これは7月末とか、時期的なものについてはどういうふうにお考えでしょうか。

答)

基本方針第二弾と申しますか、基本方針2002で、金融庁関連の事項としては大きな話として、直接金融市場の整備ということが取り上げられております。これは第二部の経済活性化戦略の中で、それが取り上げられておりますけれども、より具体的なものとしては、第5部の経済財政の姿と15年度経済財政運営の基本的考え方の中で、具体的なこととして、不良債権の最終処理と企業再生の促進ということ、第二番目の点として金融システムの安定の確保ということ、第三点として証券市場の構造改革の推進ということ、第四点目として中期ビジョンの取りまとめと、こういうこの四点が主として私は挙げられていると認識しておりますけれども、第一点については、これまでのルールというものをきちっとやっていくということだと思います。第二点も、金融システムの安定の確保、これはもう我々は、毎日のごとくモニタリングをして頑張っているところでございますので、何かデッドラインがあるという話ではないと思うんですね。証券市場の構造改革の推進、これは御承知のように、いろいろ幅広く関係者から今、証券市場の活性化策をヒアリングしているわけでございまして、それをどう取り上げて、どういうふうな政策を打っていくか、これは恐らくこの夏一杯、それについて方向性を出すには時間がかかるのかなあというふうに思っています。中期ビジョンの取りまとめにつきましては、御承知の通り、現在、大臣のいわゆる私的懇話会におきます、いわゆるビジョン懇と言われるもので、いろいろな意見が出て、その取りまとめに入りつつあるわけですけれども、これは何とか7月上・中旬には発表できる形にしたいと思いますけれども、しかし一方において、基本方針2002で言っている中期ビジョンというのは、それそのものではなくて、更にそれをエラボレイトした金融庁のビジョンというものに持って行かなければいけない。これは当然、そういうビジョン懇の報告が出た後でそれを材料にして金融審にかけて、そういうものに持って行かなければいけないというふうに考えておりまして、時期的なことは今、言える段階にはございませんけれども、いずれにしても、基本方針第二弾と言いましょうか、基本方針2002に盛り込まれた以上、できるだけ早く、そういうものをまとめて行きたいというふうに思っております。

(以上)

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